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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Y36 審判 全部申立て 登録を維持 Y36 |
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管理番号 | 1226760 |
異議申立番号 | 異議2010-685003 |
総通号数 | 132 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2010-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-02-26 |
確定日 | 2010-09-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際商標登録第958427号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 国際商標登録第958427号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件国際登録第958427号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)の構成よりなり、2007年8月8日にシンガポール国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2008年(平成20年)2月6日に国際登録出願、第36類に属する別掲(1)の役務を指定役務として、平成21年7月21日に登録査定、同年12月18日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録第5128900号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)の構成よりなり、2006年3月22日オーストラリア連邦国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成18年3月31日に登録出願、第36類に属する別掲(2)の役務を指定役務として、平成20年4月18日に設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由の要点 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、申立ての理由を、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出している。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲(1)のとおり「LION GLOBAL INVESTORS」の欧文字を横一段に表してなるところ、本件商標構成中の「GLOBAL INVESTORS」の語は、「グローバルな投資家」程の意味を表す英語であり、本件商標の指定役務である第36類の役務との関係においては識別力が弱い語であるといえる。 そうとすれば、本件商標構成中自他識別力を発揮するのは「LTON」の文字部分であるということができる。 また、本件商標の商標権者のホームページ(第20号証)には、「LION/GLOBAL/INVESTORS」と商標が三段で記載されていることからも、本件商標から単に「ライオン」の称呼が独立して生ずる場合があるというべきである。 以上のとおり、本件商標は、その構成全体から「ライオングローバルインベスターズ」の称呼を生ずる他、「LION」の文字部分から「ライオン」の称呼をも生ずるものである。 一方、引用商標は、別掲(2)のとおり「LION CAPITAL」の欧文字を横一段に表してなるところ、引用商標構成中の「CAPITAL」の部分は「資金、資本」の意味を有するから、本件商標の指定役務である第36類の役務との関係においては識別力が弱い語であるということがいえる。 そうとすれば、引用商標構成中自他識別力を発揮するのは「LION」の文字部分であるということができるから、本件商標は、その構成全体から「ライオンキャピタル」の称呼を生ずる他、「LION」の文字部分から「ライオン」の称呼をも生ずるものである。 そこで、本件商標と引用商標の称呼を比較するに、両者はそれぞれ「ライオン」の称呼を生ずるから、称呼上同一の商標であるといえる。 また本件商標と引用商標の外観についてみるに、本件商標は「LION GLOBAL INVESTORS」、引用商標は「LION CAPITAL」という違いがあるものの、上述したように「GLOBAL INVESTORS」及び「CAPITAL」の語はそれぞれ指定役務との関係において識別力が弱く、それぞれにおいて強い識別力を発揮するのは「LION」の文字部分であると考えることができ、また、特に看取しやすい語頭部分において共通するから、需要者は特に「LION」部分に注目しやすい。 そうとすれば、両者は外観上極めて相紛れやすい商標といえる。 また本件商標と引用商標の観念を比較するに、それぞれ識別力の弱い部分が捨象され「ライオン」程の観念が生ずるから、観念においても同一である。 したがって、本件商標と引用商標とは称呼・外観・観念のうち、称呼・観念を共通にし、外観においても相紛らわしいものであるから、両者はその出所について混同を生ずるおそれのある互いに類似する商標である。 また、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務は類似するものである。 ゆえに、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 本件商標の国際登録出願時及び登録査定特において、引用商標は、需要者の間に、申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であることを表示するものとして広く認識されていたものであるから、本件商標は他人との業務に係る商品または役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 ア 引用商標の著名性 申立人は、2004年に主に消費者部門の企業に関する投資等を行う会社として設立された。 その後、2005年に最初の大規模なファンド「Lion Capital Fund I」を立ち上げるとともに、2007年には二つ目のプライベートエクイテイファンド[Lion CapitalFund II]を立ち上げた。 また、2004年の設立から今日まで絶え間なく投資に関する多くのプロフェッショナルをチームに加えることにより、拡大を続けており(甲第4号証)、投資先としても有名企業を多数含んでいる(甲第5号証)。 このように、申立人は、世界的に大規模に展開をしている投資関連の事業を行う会社であり、その投資先が有名ブランドであることは、その投資がなされる際にも多くのニュースにおいて取り上げられ、申立人の名前がメデイアに登場することを意味する(甲第6号証ないし甲第8号証)。 さらに、申立人は、世界各国において「LION CAPITAL」、「LION」、「LION logo」を出願・登録している(甲第9号証)。 以上のとおり、引用商標は、欧州を中心として、世界で広く知られた周知・著名な商標である。 イ 引用商標の日本での周知・著名性について 日本においても申立人の業務は広く知られているところである。 特に申立人が飲料メーカーのオランジーナをサントリーに売却したニュースは日本企業への売却ということもあり多くの媒体で取り上げられている(甲第10号証ないし甲第17号証)。 この他にも靴の有名ブランドであるジミー・チュウの買収に関連したニュースが掲載されたり(甲第18号証)、アメリカンアパレルへの融資が2009年3月に話題になる(甲第19号証)など、様々な媒体において話題となっている。 したがって、引用商標は日本においても、周知・著名な商標となっている。 ウ 本件商標と引用商標の類否及びその指定役務の類否について 上記(1)で述べたとおり、本件商標と引用商標は類似するものであり、指定役務においても、同一又は類似するものである。 エ「混同を生ずるおそれ」の有無 本件商標の商標権者と申立人は、いずれも投資関連の事業を行う会社であるという点で共通しており、その役務の提供の手段・目的、提供する商品、需要者層、業種を同じくする。 このような狭い業界において、本件商標がその役務に使用された場合には、申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認しその役務の需要者が役務の出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 引用商標は、前記したとおり、「LION CAPITAL」の欧文字からなるところ、「LION」の文字と「CAPITAL」の文字の間に一文字程度の間隔があるものの、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで外観上一体的に表現されており、また、「LION CAPITAL」の欧文字より生ずる「ライオンキャピタル」の称呼も格別冗長であるとはいえず、淀みなく一連に称呼し得るものである。 また、引用商標構成中の「CAPITAL」の文字が「資本」の意味を有する英語であるとしても、かかる構成においては、「CAPITAL」の文字が特定の役務の質等を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難いところである。 そうとすれば、引用商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然であり、その他、「LTON」の文字部分のみが分離・抽出され、取引に供されるとみるべき格別の理由も発見できない。 してみれば、引用商標は、当該構成文字全体に相応して「ライオンキャピタル」の称呼のみを生ずるものであって、単に「ライオン」の称呼を生ずることはないものといわなければならない。 したがって、引用商標から「LION」の文字部分も独立して認識されることを前提にして、そのうえで、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において共通し、外観において類似するものとする申立人の主張は理由がない。 その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき特段の理由は見いだせない。 ゆえに、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、「引用商標は、投資関連の事業事業を大規模に展開している申立人の略称として著名である。」旨主張しているが、申立人の提出に係る証拠は、申立人のホームページ、申立人の名称が記載されている新聞の記事等であり、我が国における商標の広告・宣伝の状況、普及度、取引の実績等、引用商標の著名性を具体的に裏付ける証拠も何ら提出されていないため、申立人の提出に係る証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、引用各商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国における取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 しかも、上記(1)で認定したとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が申立人あるい同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別記】 指定役務: 第36類「Financial consultancy;financial evaluation[insurance,banking,real estate];financial management;buying and selling of securities;capital investments;foreign exchange transactions;mutual funds;trading of overseas market securities futures;trading of securities index futures;trading of securities options;transaction of securities subscription or offering;fund management;investment management;asset management;unit trust management;financial and investment portfolio management;financial advisory services;financial investment advisory services;investment advisory services;advisory services relating to unit trusts;investment analysis;fund investments;capital investments;unit trust investments;marketing of mutual funds;mutual fund distribution;mutual fund administration;unit trust services;including such services provided on-line or via the Internet.」 指定役務: 第36類「保険情報の提供,保険に関する助言,保険契約の締結の仲介,保険の引き受け,保険に関する相談,保険契約の締結の仲介の助言・相談及び情報提供,保険の引き受けの助言・相談及び情報提供,金融又は財務に関する情報の提供,財務の評価,財務の管理,財務の評価に関する助言・相談及び情報提供,財務の管理に関する助言・相談及び情報提供,投資の媒介・取次ぎ又は代理,投資の管理,銀行業務(クレジットカード・デビットカード利用者に代わってする支払い代金の清算を含む),投資の媒介・取次ぎ又は代理に関する助言・相談及び情報提供,投資の管理に関する助言・相談及び情報提供,銀行業務(クレジットカード・デビットカード利用者に代わってする支払い代金の清算を含む)に関する助言・相談及び情報提供,資金の貸付,資金の貸付に関する助言・相談及び情報提供,土地・建物の売買又は賃借の代理又は媒介,土地・建物の管理,土地・建物の鑑定評価,不動産に対する投資,土地・建物の貸与,土地・建物の売買又は賃借の代理又は媒介に関する助言・相談及び情報提供,土地・建物の管理に関する助言・相談及び情報提供,土地・建物の鑑定評価に関する助言・相談及び情報提供,不動産に対する投資に関する助言・相談及び情報提供,土地・建物の貸与に関する助言・相談及び情報提供,ベンチャーキャピタル(投資会社)に対する企業の財務管理に関する助言及び指導,投資・ファンド投資の助言及び指導,ベンチャーキャピタル(投資会社)に対する企業の財務管理に関する相談及び情報提供,投資・ファンド投資に関する相談及び情報提供,プライベートエクイティ(未公開株式)・ベンチャーキャピタル・特別なファンド及びその他種々のファンドへの投資に関する助言及び財政上の助言,有価証券の売買及び管理,企業買収・合併・子会社の売却・財産並びに投資用ポートフォリオの管理及びこれに関する助言,財務に関する分析及び相談,電子的方法によって提供される投資用ポートフォリオ(一覧表)の作成に関する財務及び投資に関する情報の提供,投資ファンドの引き受け,プライベートエクイティ及びベンチャーキャピタル投資の分野における相談,プライベートエクイティの投資管理,有価証券の売買及び管理に関する助言・相談及び情報提供,企業買収・合併・子会社の売却・財産並びに投資用ポートフォリオの管理及びこれに関する相談及び情報提供,投資ファンドの引き受けに関する助言・相談及び情報提供,プライベートエクイティ及びベンチャーキャピタル投資の分野における助言及び情報提供,プライベートエクイティの投資管理に関する助言・相談及び情報提供,投資,投資に関する相談及び情報提供,合同運用型投資,合同運用型投資に関する助言・相談及び情報提供,証券投資信託受益証券の募集・売り出し,証券投資信託受益証券の募集・売り出しに関する助言・相談及び情報提供,信託の引き受け,先物取引についての信託の引き受け,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地・土地定着物・土地賃借に係る地上権についての信託の引き受け,信託の引き受けに関する助言・相談及び情報提供,先物取引についての信託の引き受けに関する助言・相談及び情報提供,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地・土地定着物・土地賃借に係る地上権についての信託の引き受けに関する助言・相談及び情報提供,金融・財務に関する助言及び調査,金融・財務に関する助言及び調査に関する助言・相談及び情報提供,インタラクティブ通信によるプライベートエクイティの投資管理に関する情報の提供」 |
異議決定日 | 2010-09-01 |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(Y36)
T 1 651・ 26- Y (Y36) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中束 とし |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小林 由美子 |
登録日 | 2008-02-06 |
権利者 | LION GLOBAL INVESTORS LIMITED |
商標の称呼 | ライオングローバルインベスターズ、ライオン、リオン、グローバルインベスターズ |
代理人 | 宮城 和浩 |
代理人 | 塚田 美佳子 |
代理人 | 黒瀬 雅志 |
代理人 | 村木 清司 |
代理人 | 塩谷 信 |
代理人 | 松原 伸之 |
代理人 | 松嶋 さやか |
代理人 | 関口 一秀 |
代理人 | ▲高▼部 育子 |
代理人 | 吉武 賢次 |
代理人 | 橋本 千賀子 |