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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43
管理番号 1226655 
審判番号 取消2009-301276 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-11-18 
確定日 2010-10-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4964168号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4964168号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4964168号商標(以下「本件商標」という。)は、「Fairmont Hotel」の欧文字と「フェヤーモントホテル」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成17年9月21日に登録出願され、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,フランス料理の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供」を指定役務として、同18年6月23日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、審判請求人の調査によると、本件商標権者である株式会社小松ストアーによってそのいずれの指定役務についても、日本国内において継続して3年以上使用されていない。また、本件商標の商標権に専用使用権者又は通常使用権者は登録されていないから、のいずれも存在しないことが推認し得る。よって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に使用していなかったことについて、正当の理由がある旨主張し、その証拠として乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。
しかしながら、以下に述べるように、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、本件商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に使用していなかったことについて、正当な理由があるとは認められない。
(2)商標法第50条の規定による商標権の取消審判の請求があった場合、被請求人である商標権者は、同条第2項の規定により、使用の存在を証明又は不使用につき正当な理由があることを立証しなければ、その登録の取消は免れないとされている。
ところで、不使用につき正当な理由があると認められるかどうかは、諸般の事情が総合的に勘案されて判断されるが、原則として、商標権者又は使用権者が、その責めに帰すことができない、予見困難な事情によって使用できなかった場合で、これに該当する典型的なものとしては、以下のような場合とされている。
ア 地震、台風その他の天災地変
イ 類焼、放火、破壊その他の第三者の故意又は過失に基づくもの
ウ 法令による全面禁止、許認可手続きの遅延その他の公権力の発動にかかるもの
他方、以下のような事情に基づく場合は、不使用についての正当理由として一般に認められないとされている。
ア 出火(重過失)等により、あるいは単に病気であったというだけで、商標が使用できなかった場合
イ 経営不振、不況、金融引締め等により製品開発が遅れ商標の使用ができなかった場合
ウ 技術的問題、あるいは市場性などの理由から商品化を見合わせている場合
そこで、以下、被請求人の提出に係る乙各号証が上記要件を満たしているか否かについて検討する。
(3)被請求人は、答弁書において、「本件商標を取得した後、ただ漫然と使用していなかったわけではない。一日も早いホテルや飲食店の営業を目指し努力はしているものの、しかし、如何せん建物が完成しない限りホテルや飲食店の営業はできず、本件商標の使用も実質不可能な状況にある。」と主張している。
しかしながら、たとえ建物が完成していなくても、他の場所に仮の店舗等を調達することによって容易にホテルや飲食店の営業はできるのであって、上記主張は、不使用につき正当な理由があるとは到底認められない。しかも、建物の完成が遅れたのは、テナントの立ち退きや未曾有の経済環境の激変等により予定が遅れたとしているが、テナントの立ち退きが遅れたのは、立退き料等の条件をテナント側に十分に補償しなかったからであり、それは全くもって被請求人の責に帰すべき事項である。
また、経済環境の激変等により遅れたとしているが、経済環境における不況は、正当理由として一般的に認められていない。
なお、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、建設中のビルにおいて開業する予定のホテルや飲食店が、本件商標の下で、営業されるか否か全く不明確である。計画において、名称が決まっていたのであれば、その表示がなされているのが通常であろう。しかるに、被請求人の提出に係る乙第6号証ないし乙第10号証のどこにも本件商標の表示はされていない。
さらに、たとえビルの竣工が遅れたとしても、オープン予定に先立ってホテルの予約等の広告宣伝作業は十分可能であったはずなのに、それら広告宣伝作業も全く行っていない。本件商標の指定役務には「宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」も含まれていたのであるから、オープン前に予約の媒介又は取次ぎといった役務の提供も可能であったはずである。しかるに、かかる役務の提供も全くされていない。漫然と不使用の期間を重ねていたと言わざるを得ない。
なお、「正当な理由」を不当に拡げることは、商標法50条の規定自体の存立の地位を危うくするおそれがあり、到底認められない。
したがって、乙各号証は、いずれも被請求人の責めに帰すことができない理由とは言えず、不使用についての正当な理由に該当しないと言わなければならない。
(4)むすび
以上のとおり、乙各号証によっては、本件商標の不使用につき正当な理由があるとは言えないこと明らかであるから、請求の趣旨のとおりの審決を求める。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
2 答弁の理由
(1)審判請求人は、本件商標は商標権者によっていずれの指定役務についても日本国内において継続して三年以上使用されていないとして、本件商標の登録の取り消しを求めているが、本件商標権者の不使用には正当な理由があり、取消の対象とはならないものである。
(2)不使用についての正当な理由について
ア 本件商標の取得経過について
商標権者は、平成19年9月3日、前の商標権者であった株式会社フェヤーモントホテル(以下「フェヤーモントホテル社」という。)を吸収合併し(乙第1号証)、平成20年4月16日付けで一般承継による商標権移転登録申請を行い、平成20年5月14日付けで登録され商標権者となったものである(乙第2号証)。
この経緯について説明すると、フェヤーモントホテル社は、被請求人の創業者である小坂武雄が設立した会社であり、小坂武雄が経営に心血を注いだホテルである(乙第3号証)。しかし、諸般の事情によりフェヤーモントホテルを閉鎖するに至った。被請求人には創業者が経営に心血を注いだフェヤーモントホテルに対する強い思い入れがあり、フェヤーモントホテルの名を冠したホテルの再開を企画し、これを実行するためにフェヤーモントホテル社を吸収合併し、そして、ホテル及び飲食等の事業にフェヤーモントホテルの名を商標として使用するために本件商標を取得したのである。
被請求人がホテル及び飲食等の事業を企画し、実行の準備を進めていることは、被請求人の履歴事項全部証明書(乙第1号証)における目的の記載事項、平成18年12月21日付けの取締役会議事録(乙第4号証)、平成19年6月4日付けの株主総会招集通知(乙第5号証)、また、本件商標権者が建設中の新築ビルに関し発表された、(仮称)ギンザコマツ計画(乙第6号証)、ギンザ・コマツ・プロジェクト(乙第7号証)の記載からも明らかである。
被請求人が建設中の新築ビルにあっては、フェヤーモントホテル社を吸収合併の数年前から、被請求人の理念(乙第8号証)の下に被請求人のグループが所有するビル(ギンザコマツビル、小松アネックスビル)を全面的に建て替える準備を進めてきたものであり(乙第4号証、乙第9号証)、その過程でフェヤーモントホテル社の吸収合併があり、当然の事ながら新築ビルには、ホテルや飲食店も組み込まれている。このことは前記のギンザ・コマツ・プロジェクト(乙第7号証)の記載からも明らかである。したがって、本件商標の使用は、新築ビルが完成し、ホテルや飲食事業が開始されるに至ってからとなる。
さて、この建て替え工事の計画について説明すると、当初計画では平成20年3月には旧ビルのテナントの立ち退きが完了し、同年4月から解体工事が始まり、同年10月新築工事、平成22年3月竣工の予定であったが、テナントの立ち退きや未曾有の経済環境の激変等により予定が遅れ、現行計画では竣工が平成23年9月となっている(乙第10号証)。
イ 本件商標を使用できなかった理由について
被請求人は、本件商標を取得した後、ただ漫然と使用していなかったわけではない。一日も早いホテルや飲食店の営業を目指し努力はしているものの、しかし、建物が完成しない限りホテルや飲食店の営業はできず、本件商標の使用も実質不可能な状況にある。
被請求人は、乙第1号証ないし乙第7号証の記載からも明らかなとおり、ホテル及び飲食等の事業の準備を進めており、そして、乙第9号証、乙第10号証の記載からも明らかなように、新築ビルの早期完成に努力している。しかし、そこには新築ビルの工事期間といった、被請求人にはどうすることもできない現実がある。
被請求人が本件商標を取得したのは、本件商標の登録の日から約1年10か月後であり、この時点で被請求人がホテルや飲食店等の経営を企画し、以後着々と実行の準備を進めてきているが、現時点で新築ビルの完成には至っておらず、被請求人が本件商標を使用していないのは事実であるが、また被請求人には使用したくても使用できない状況にあることも事実である。
商標法第50条第2項ただし書きでは、「その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときはこの限りでない。」と規定されている。
正当な理由の一例として、天災地変等によりその商標の使用ができない場合や、時限立法によりその商標の使用が禁止されている場合があげられているように、そこには厳格な理由の存在が要求されることは、十分に承知している。これは、商標権者が可能な限りの努力をしても使用できない、即ち商標権者の責めに帰すことができない、といった理由が求められているからである。
被請求人にあっては、被請求人の履歴事項全部証明書(乙第1号証)における目的の記載事項、本件商標に対する被請求人の特別な思い入れ(乙第3号証)、平成18年12月21日付けの取締役会議事録(乙第4号証)、平成19年6月4日付けの株主総会招集通知(乙第5号証)、また、本件商標権者が建設中の新築ビルに関し発表した、(仮称)ギンザコマツ計画(乙第6号証)、ギンザ・コマツ・プロジェクト(乙第7号証)の記載から、本件商標を使用する真摯な意思は十分に認められるところである。しかし、ホテルを入居させる肝心の新築ビルの完成には至っておらず、被請求人には本件商標の使用ができないでいる。この新築ビルの工事期間にあっては被請求人にはどうすることもできないものである。
したがって、被請求人が本件商標を使用していないことについて、被請求人の責めに帰すことができない理由があるといえるものである。
(3)まとめ
以上のように、被請求人には本件商標について真摯なる使用の意思があり、そして、現時点における本件商標の不使用には被請求人の責めに帰すことができない理由があることは明らかであり、被請求人による本件商標の不使用は、商標法第50条第2項ただし書きでは、「その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときはこの限りでない。」に該当するものであるから、本件審判請求は成り立たないとの審決を求める。

第4 当審の判断
被請求人は、商標権者(被請求人)の不使用には正当な理由があり、取消の対象とはならないものであると主張し、乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人の平成21年12月15日付けの履歴事項全部証明書の写しであり、目的の欄に「9.ホテルの経営」「10.一般乗用旅客自動車運送業及びその他のホテル経営に必要な交通機関の経営」「19.飲食店、喫茶店及び酒場の営業」「平成19年9月1日に変更」の記載があり、また、「吸収合併」の欄に「平成19年9月1日東京都千代田区丸の内三丁目4番1号株式会社フェヤーモントホテル、東京都中央区銀座六丁目8番5号株式会社小松アネックス、東京都中央区銀座六丁目8番5号株式会社小松リアルエステート、東京都中央区銀座六丁目9番5号小坂産業株式会社を合併」の記載があり、それらの登記が平成19年9月3日になされている。
(2)乙第2号証は、「商標登録済通知書」の写しであり、本件商標について、被請求人への一般承継による本権の移転の登録が平成20年5月14日にされたことが記載されている。
(3)乙第3号証は、昭和62年4月20日発行「小松ストアー40年のあゆみ-小坂武雄の思い出-」と題する書籍の写しであり、そこには、「・・・二十六年五月、最初の渡米の成果を結集させて、フェヤーモント・ホテルを開業。・・・昭和三十九年十月の東京オリンピックに際しては、フェヤーモントホテルを改築・・・」の記載がある。
(4)乙第4号証は、平成18年12月21日に開催された被請求人の取締役会議事録の写しであり、第2号議案として「三井不動産株式会社と基本協定書調印の件」を承認可決しており、基本協定書(平成18年11月22日付け)には、「本協定が被請求人及びフェヤーモントホテル社のほか被請求人のグループ3社と三井不動産株式会社との間で銀座6丁目に所在する土地及び建物(ギンザコマツビル、ギンザコマツアネックスビル他)における開発計画の基本的な取り組みについて合意したものである」旨記載され、また、第5条(スケジュール)には、本計画のスケジュールとして、「立退業務開始:平成18年12月」「立退業務終了:平成20年3月」「計画建物着工:平成20年10月」「計画建物竣工:平成22年4月」「計画建物開業:平成22年5月」の記載がある。
(5)乙第5号証は、平成19年6月4日付けの株主総会招集通知の写しであり、「第6号議案 定款一部変更の件」の「2.変更の内容」に「変更案」として「9.ホテルの経営」「10.一般乗用旅客自動車運送業及びその他のホテル経営に必要な交通機関の経営」「19.飲食店、喫茶店及び酒場の営業」などの記載がある。
(6)乙第6号証は、被請求人及び三井不動産株式会社等が作成した2008年9月19日付けの「(仮称)ギンザコマツ計画-計画の考え方-」の写しであり、そこには、「株式会社小松ストアーと三井不動産株式会社は、東京都中央区銀座六丁目所在、『すずらん通り』を挟んで小松ストアーグループが所有する『ギンザコマツビル』、『別館ビル』ならびに『小松アネックスビル』の建替え事業を共同で推進しております。小松ストアーならびに三井不動産は、既存建物を解体後、高級ブランドの旗艦店等が集積する立地において、2棟の商業施設を同時に開発することを計画しております。」などと記載され、「計画概要」において、本館の主要用途の欄に「物販、飲食(又は一部サービス、宿泊)」と記載されている。
(7)乙第7号証は、2008年8月25日付け「GINZA KOMATSU PROJECT/ギンザ・コマツ・プロジェクト」と題する書面の写しであり、4枚目の「ギンザ・コマツ概念図」には、本館地下2階がダイニング&バー、地下1階がカフェ&レストラン、5階ないし7階がレストラン、8階がホテル受付/ラウンジ、9階がワインバー&レストラン、10階がホテルである旨の記載があり、5枚目の「1.施設計画(案)」には、「客室」として客室数が「16」と記載されているほか、「レストラン施設」として席数及び面積などの記載がある。
(8)乙第8号証は、「小松ビジョン『更なるお客様満足度を目指して』」と題する書面の写しであり、右上に「21、4、2(2009、4、2)」と手書きされ、「小松の理念」として「小松は、新しくオープンする銀座新店舗に於いて、今まで小松が努力してきたお客様に満足していただくことを・・・プロジェクトの企画を進めてまいります。」の記載があり、「小松アクションプランの策定」の「概要」として「新しい飲食店の構想として、飲食に関係するいくつかの企業にコラボレーションにより、面白い飲食店を企画する。」の記載がある。
(9)乙第9号証は、被請求人及び三井不動産株式会社連名の平成19年6月6日付けの「中央区銀座所在の商業施設/ギンザコマツビル、小松アネックスビル他の建替え事業を推進」と題する書面の写しであり、そこには、「株式会社小松ストアーと三井不動産株式会社は東京都中央区銀座六丁目所在、『すずらん通り』を挟んで小松ストアーグループが所有する『ギンザコマツビル』、『別館ビル』ならびに『小松アネックスビル』の建替え事業を共同で推進することになりましたのでお知らせいたします。」「小松ストアーならびに三井不動産は、既存建物を解体後、高級ブランドの旗艦店等が集積する立地において、2棟の商業施設を同時に開発することを予定しており、今後、詳細な事業計画検討、許認可手続きを推進してまいります。」などと記載されている。
2 以上の事実によれば、被請求人は、平成18年11月には、銀座6丁目所在の「ギンザコマツビル」、「小松アネックスビル」、「別館ビル」において、商業施設ビルを新築し、開業の目途を平成22年5月とする開発計画があり(上記1(4))、平成19年9月1日に株式会社フェヤーモントホテル、株式会社小松アネックス、株式会社小松リアルエステート及び小坂産業株式会社を吸収合併し、平成19年9月3日に会社の目的を「ホテル経営、飲食店、喫茶店及び酒場の営業」などができるように変更、登記し(上記1(1))、2008年(平成20年)8月及び9月には、上記「ギンザコマツビル」などを解体し、そこに2棟のビルを新築し、客室が16室のホテルやレストラン施設を配置する計画があった(上記1(6)及び(7))ことが認められる。
しかしながら、乙各号証からは、新築ビルに配置が計画されたホテルやレストラン施設に「フェヤーモントホテル」を商標として使用する予定であることの証左は見いだせない。
3 不使用についての正当な理由の有無
被請求人は、本件商標について真摯なる使用の意思があり、そして、現時点における本件商標の不使用には被請求人の責めに帰すことができない理由があると主張し、具体的な理由として、新築ビルの建設が完成されていないことをあげ、さらにその原因として、テナントの立ち退きや経済環境の激変等によって替え工事が遅れていることをあげている。
ところで、商標法第50条第2項ただし書きに規定する「正当な理由があること」とは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由(以下「不可抗力等の事由」という。)が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品に又は指定商品役務について使用することができなかった場合をいうと解するのが相当である(知財高裁平成19年(行ケ)10227号 平成19年11月29日判決参照)。
これを本件についてみると、被請求人の主張する上記理由は、商標権者(被請求人)側の事情によるものとみるのが相当であり、このような理由は、不可抗力等の事由とはいえないから、商標法第50条第2項ただし書きによる正当な理由に該当せず、被請求人の主張は採用できない。
なお、乙第4号証の当初計画によれば、新築ビルの開業は、本件審判の請求の登録の日である平成21年12月19日よりも遅い平成22年5月である。
その他、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
4 結論
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての本件商標の使用していることを証明していないものであり、また、本件商標を使用していないことについて正当な理由があるということもできない。
したがって、本件商標の登録は、本件指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-08-26 
結審通知日 2010-08-30 
審決日 2010-09-13 
出願番号 商願2005-88131(T2005-88131) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y43)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2006-06-23 
登録番号 商標登録第4964168号(T4964168) 
商標の称呼 フェヤーモントホテル、フェアモントホテル、フェヤーモント、フェアモント 
代理人 中田 和博 
代理人 大塚 明博 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 森川 正仁 

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