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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) 41
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) 41
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) 41
管理番号 1225187 
異議申立番号 異議2009-900460 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-12-17 
確定日 2010-09-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5264920号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5264919号商標の指定役務中「日本舞踊の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5264920号商標(以下「本件商標」という。)は、「秋田藤蔭流」の漢字を横書きしてなり、平成21年3月10日に登録出願、第41類「日本舞踊の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務として同年8月6日に登録査定、同年9月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、申立人の所有に係る登録第4337954号商標(以下「引用商標」という。)と商標において類似し、その指定役務も本件商標の指定役務と同一又は類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
引用商標は、別掲のとおり「藤蔭流」の漢字を毛筆書体で縦書きに表したものであり、平成10年9月18日に登録出願、第41類「日本舞踊の教授,その他の技芸・スポーツ又は知識の教授,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与」を指定役務として、同11年11月26日に設定登録、その後、同21年11月17日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

3 本件商標の取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)藤蔭流について
申立人の提出した藤蔭流藤蔭会会則(甲第4号証)の「藤蔭静樹略史並びに藤蔭流新発足について」の記述及び略歴によれば、藤蔭流の初代家元である藤蔭静樹は、明治13年に新潟に生まれ、明治41年二世藤間勘衛門の門下となり同43年に藤間静枝の名取名を許され、大正6年に藤間勘次(現松柏)藤代等と「籐蔭会」を起こし、昭和37年に至るまで63回の舞踏公演を行った。そして、昭和6年に藤間流の流名を返上し、藤蔭静枝として藤蔭流を創立し、家元となった。その後、昭和32年に静枝の芸名を弟子に譲り、静樹となり、翌年、藤蔭流宗家を樹立した。また、昭和41年に85歳で没するまでに、日本舞踏協会の顧問となり、昭和39年に文化功労者として顕彰された。
次に、藤蔭流籐蔭会々則の第一章 総則 第1条(名称)には、「この会は藤蔭流藤蔭会(トウインリュウトウインカイ)と称する。但し、藤蔭流(フジカゲリュウ)と称しても差し支えない。」こと、第二章 目的及び事業 第6条(目的)「この会は・・・藤蔭流舞踏創始者宗家故藤蔭静樹師の意志を継ぎ、籐蔭流舞踏の伝承と発展を図り、日本舞踏並びに舞踏家の向上に寄与することを目的とする。」こと、第7条(事業)には、「この会は前条の目的を達するために次の事業を行う。(一)日本舞踏籐蔭流流名(名取・師範)の許可、授受を行う。」こと、また、第三章 会員 第十条(資格喪失)には、「会員は次の事由によってその資格を喪失する。(一)退会(二)流名返上、除籍・・・」こと等が記載されている。
さらに、甲第6号証によれば、浅利和子(商標権者)は、平成21年5月5日に藤蔭流藤蔭会を退会し、流名を返上している事実が認められる。
以上よりすれば、「藤蔭流藤蔭会」及び「藤蔭流」は、家元藤蔭静樹が創始した日本舞踏の流派の一つとして、少なくとも日本舞踏界及び舞踏家において知られていたものとみるのが相当である。
(2)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、「秋田藤蔭流」の漢字よりなるところ、その構成中の「秋田」の文字は、「秋田県、秋田市」を想起するから、役務の提供場所を表示したにすぎないものであること、及び本願指定役務との関係よりみれば、前記(1)のとおり、「藤蔭流」は昭和6年に家元藤蔭静樹が創始した日本舞踏の流派であって、少なくとも日本舞踏界及び舞踏家において知られていたものとみるのが相当であるから、「藤蔭流」の文字部分のみも独立して自他役務の識別機能を有する部分といえる。
そして、他に本件商標を常に一体のものとして捉えなければならない特段の事情はない。
してみれば、本願商標は、その構成中の「藤蔭流」の文字部分より「トウインリュウ」又は「フジカゲリュウ」の称呼を生じ、「藤蔭静樹が創始した日本舞踏の流派」の観念を生じるものである。
他方、引用商標は、毛筆書体の一種である草書体で表されているものの、「籐陰流」の漢字よりなるものと認められるから、構成文字全体として、「トウインリュウ」又は「フジカゲリュウ」の称呼を生じ、「藤蔭静樹が創始した日本舞踏の流派」の観念を生じるものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において同一であり、また、外観上類否判断の要部と言い得る「藤蔭流」の文字部分において近似するから、互いに相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして、本件商標の指定役務中、「日本舞踊の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」については、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。
してみれば、本件商標は、その指定役務中、「日本舞踊の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、本件商標の取消理由に対し、要旨以下のとおり意見を述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。
(1)一般に日本舞踏の流派というものは、その流派独特の振りと手を継承しつつその指導及び普及をはかる者の芸風、品格、生き方等によって種々変えられながら伝えられていくことは自然であり、したがって、分派独立活動も多くなされている。このような場合、従前の活動を示す表示ができなければ、独立後の活動を困難にし、分派独立は事実上不可能となる。
秋田在住の藤蔭清枝は、昭和34年に初代藤蔭静樹から藤蔭流正派分家家元を分派され、昭和52年に清枝の娘である藤蔭季代が恵藤蔭流正派分家家元を継承し、その後、50年の長きにわたり秋田において「藤蔭流」の舞踊の指導及び普及をおこなっていたが、平成20年に逝去したので、浅利和子(商標権者)が継承することになったものである。
(2)「秋田藤蔭流」は、上記のとおり「藤蔭流」より分派され、秋田において長年にわたり舞踊の普及を行う一つの流派の名称であり、本件商標中の「秋田」が地名であるとしても、役務の提供地を表すものであるからこの部分を省略することは不自然である。したがって、「秋田」と「藤蔭流」とは、一体不可分の関係を有するから、これを分離して称呼、観念することはできない。
(3)引用商標は、草書体風の毛筆書きで表されているが、その最下部は「流」と判読できるがその上部2文字は判読できない。
したがって、引用商標は、必ずしも「藤蔭流」なる特定の称呼、観念を生ずるものとはいえないから、本件商標とは、その外観、称呼、観念において互いに類似しないものである。
(4)浅利和子(商標権者)は、昭和34年に分派された秋田での「藤蔭流」を引き継ぎ、舞踏の指導及び普及を行うための活動の一つとして「秋田藤蔭流」の商標登録を得たものである。
(5)以上のとおり、本件商標と引用商標は、互いに非類似の商標であり、両商標には混同のおそれはない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により取り消されるべきではない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおりの構成よりなるところ、取消理由のとおり、他人の先願に係る登録商標である引用商標と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商役務中、「日本舞踊の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」は、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務である。
してみれば、本件商標は、その指定役務中、「日本舞踊の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ない。
(2)商標権者の意見について
商標権者は、前記4の(1)ないし(5)のとおり意見を述べているが、本件商標と引用商標が類似の商標であること、上記(1)のとおりであり、商標権者の主張及び乙第1号証を勘案しても、本件商標を「秋田藤蔭流」と常に一体に把握、認識しなければならない特段の事情は見当たらない。
したがって、商標権者の意見は採用できない。
(3)結語
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中「日本舞踊の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏」について、商標法第43条の3第2項の規定により、これを取り消すべきものとし、その余の指定役務についての登録は、取り消すべき理由がないから、同法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標


異議決定日 2010-07-22 
出願番号 商願2009-17125(T2009-17125) 
審決分類 T 1 651・ 263- ZC (41)
T 1 651・ 262- ZC (41)
T 1 651・ 261- ZC (41)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
渡邉 健司
登録日 2009-09-11 
登録番号 商標登録第5264920号(T5264920) 
権利者 浅利 和子
商標の称呼 アキタフジカゲリュー、アキタトーインリュー、フジカゲリュー、トーインリュー、フジカゲ、トーイン 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
代理人 澤木 誠一 
代理人 澤木 紀一 

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