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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X01
管理番号 1225155 
審判番号 不服2009-650085 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-09 
確定日 2010-08-09 
事件の表示 国際登録第920314号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「AZONE TS」の欧文字を横書きしてなり、第1類に属する国際登録において指定された商品を指定商品として、2006年10月2日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2007年(平成19年)3月28日に国際商標登録出願されたものである。
そして、指定商品については、原審における平成20年6月13日付け手続補正書により、第1類「Chemicals,namely,penetration enhancers for use with chemicals,diagnostic,cosmetic,therapeutic and fungicidal agents(other than for medical or veterinary use).」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4166157号商標(以下「引用商標」という。)は、「AZON」の欧文字を横書きしてなり、平成8年12月20日登録出願、第1類「ウレタン製ボウリングボールを形成するためのポリウレタン樹脂・窓枠および断熱ガラス窓の構成部材の製造に使用する熱硬化性ポリウレタン樹脂およびその他の原料プラスチック,ミキサおよびディスペンサからポリウレタン樹脂を除去するために使用される溶剤・コンクリートおよび地下構造物における水漏補修に使用されるグラウト化合物・耐熱化学品およびその他の化学品」を指定商品として、同10年7月10日に設定登録され、その後、同20年1月22日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、前記1のとおり、「AZONE TS」の欧文字を横書きしてなるところ、「AZONE」と「TS」の間には半文字程度のスペースがあることから、視覚上、「AZONE」と「TS」の二語からなるものと認識されるものである。
そして、構成中の「TS」の文字部分は、それ自体簡単な構成であって、商品の種別又は品番等を表示するものとして普通に使用されている欧文字2字の一類型と認められるものであり、また、本願商標の指定商品を取り扱う分野においても、「TS」の文字は商品の種別等を表すものとして次のように使用されている事実がある。
ア「VOC抑制対策 接着剤などで採用拡大・伊藤製油(企画記事)」の見出しのもと、「このなかで積極的な市場開拓を進めているのが環境対応溶剤を使用した添加剤のTSおよびDSシリーズ。環境負荷の大きいトルエン、キシレンなど芳香族系溶剤を使わない低極性から無溶剤系の添加剤として需要拡大が続いている。またTWシリーズは水系塗料用顔料沈降防止剤として拡販に取り組んでいる。」との記事(2007.3.29 化学工業日報)。
イ 昭和電工株式会社のウェブサイトにおいて、製品の紹介「マックスライト」において、推奨グレードとして「TS」の文字が使用されている(http://www.sdk.co.jp/html/products/maxlight/grade.html)。
ウ 株式会社ADEKAのウェブサイトにおいて、界面化学製品の汎用型界面活性剤において、「アデカコール PS/CS/TSシリーズ」と記載されている(http://www.adk.co.jp/chemical/products/surface/)。
以上のとおり、本願商標の構成中、「TS」の文字部分は、商品の取引界において、商品の種別等を表すものとして使用され、それ自体簡単な構成からなるものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分というべきであり、簡易迅速を旨とする取引の実際にあっては、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「AZONE」の文字部分に着目して取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そこで、「AZONE」の文字についてみるに、該文字は特定の観念をもって親しまれた語とはいえず、このような場合、我が国において一般に親しまれている英語読みに倣って発音するのが一般的であるから、構成中の「A」の文字部分は、英語では「エー」と発音し、「ZONE」の文字部分は「地帯、区域」を意味する一般に知られた英単語の「zone」が「ゾーン」と発音される例からすれば、「AZONE」の文字からは、「エーゾーン」の称呼を自然に生ずるといえる。
これに対し、引用商標は、前記2のとおり、「AZON」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、特定の観念を有しない造語であることから、これを英語読みにして、「A」の文字部分は「エー」と発音し、「ZON」の文字部分は、「(母音の前にくるときの)zono-の異形」の意味を有し(株式会社研究社発行「研究社新英和大辞典第6版」2002年3月発行)、「ゾーン」と発音されることから、「AZON」の文字からは「エーゾーン」の称呼を生ずるものといえる。
以上によれば、本願商標と引用商標とは、観念については比較できないとしても、「エーゾーン」の称呼を同一にするものであり、さらに、「AZONE」と「AZON」の文字部分の外観においては、語尾の「E」の文字の有無の相違はあるものの、他の欧文字部分の綴りを共通にすることから近似した印象を与えるものであり、本願商標と引用商標とは、全体として相紛れるおそれのある類似の商標であるといわざるを得ない。
そして、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品に包含されるものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標の「TS」の文字部分は、「経皮(Transdermal System)」の略称であるが、このような略称は一般的に用いられない造語であり、「AZONE」の文字部分と結合して、全体として特定の観念を生じない一つの造語からなるものであるから、これより、「エーゾーンティエス」又は「アゾネティエス」の称呼のみを生じ、また、異議2007-900365においても、そのような称呼の認定がなされている旨主張する。
しかしながら、本願商標は、構成文字全体に相応して、「エーゾーンティエス」又は「アゾネティエス」の称呼を生ずること自体を否定するものではないが、前記認定のとおり、「TS」の文字部分は、本願商標の指定商品を含む商品の取引界において、商品の種別等を表すものとして使用され、それ自体簡単な構成からなるものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分であることから、「AZONE」と「TS」の文字が、常に一連一体としてのみ認識、把握されるということはできず、これより、「エーゾーン」の称呼をも生ずるものであり、このことは、異議2007-900366において、「TS」の文字部分は、商品の型式又は品番等を表示するものとして普通に使用されている欧文字2字の一類型であり、「AZONE TS」の文字から、単に「エーゾーン」の称呼をも生ずると認定していることからも裏付けられるものである。
さらに、請求人は、引用商標「AZON」からは、「アゾン」の称呼しか生じない旨主張するが、前記認定のとおり、該文字は造語として認識されるものであり、構成文字を英語読みに発音した「エーゾーン」の称呼が生じないとはいえない。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。
(3)結語
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-03-16 
結審通知日 2010-03-18 
審決日 2010-03-30 
国際登録番号 0920314 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 旦 克昌小田 昌子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 瀧本 佐代子
木村 一弘
商標の称呼 アゾーンテイエス、エイゾーンテイエス、アゾーン、エイゾーン、ゾーン、アゾネ 
代理人 大中 実 
代理人 鈴木 活人 
代理人 大内 信雄 

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