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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない X03
管理番号 1225023 
審判番号 無効2010-890017 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-03-05 
確定日 2010-09-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5262959号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5262959号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)の構成よりなり、平成20年6月2日に登録出願、第3類「せっけん類,水溶性の化粧品,香料類」を指定商品として、同21年7月28日に登録査定、同年9月4日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標
請求人は、本件商標の登録の無効の理由に以下の8件の商標を引用している(以下、これらの商標を総称するときは「引用各商標」という。)。
(1)登録第2219231号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LOVE」の文字を横書きしてなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同12年5月23日及び同22年2月2日の2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年4月21日に、指定商品を第3類「化粧品,歯磨き,香料類,薫料」とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(2)登録第2219232号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ラブ」の文字を横書きしてなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同12年5月23日及び同22年2月2日の2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年4月21日に、指定商品を第3類「化粧品,歯磨き,香料類,薫料」とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(3)登録第2431617号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)のとおり、「Love」の文字(筆記体)と「ラブ」の文字を二段に横書きしてなり、昭和48年5月10日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成4年7月31日に設定登録され、その後、同14年5月28日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同16年3月3日に、指定商品を第3類「歯みがき,化粧品,香料類,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がされたものである。

(4)登録第4277280号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおり、やや図案化された「Love」の文字よりなり、平成9年12月22日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同11年5月28日に設定登録され、その後、同21年2月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(5)登録第4522976号商標(以下「引用商標5」という。)は、「ラブ」の文字と「LOVE」の文字を二段に横書きしてなり、平成13年1月9日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同年11月16日に設定登録されたものである。

(6)登録第5095768号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(4)のとおり、「LOVE」の文字を横書きしてなり、平成18年4月18日に登録出願、第3類「化粧品,歯磨き,香料類」を指定商品として、同19年11月30日に設定登録されたものである。

(7)商願2007-65561に係る商標(以下「引用商標7」という。)は、「LOVE」の文字を標準文字で表してなり、第35類「化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成19年6月25日に商標登録出願されたものであり、現在、審査に係属中のものである。

(8)商願2008-7060に係る商標(以下「引用商標8」という。)は、「Love」の文字を横書きしてなり、第3類「化粧品,香料類,歯磨き」を指定商品として、平成20年2月1日に商標登録出願されたものであり、現在、審査に係属中のものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「水溶性の化粧品」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。
本件商標と類似し、かつ、本件商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用する先行登録商標または先行商標登録出願が存在するため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により登録無効とされるべきである。
(1)引用各商標について
引用各商標からは、その構成文字に対応して「ラブ」の称呼が生じることは明らかである。

(2)本件商標について
本件商標の構成中「WATER」、「ウォーター」の文字は、後述するように、本件商標の指定商品中「化粧品」との関係で、「水状の、水溶性の」等の意味を有する商品の品質ないし原材料を表示する文字であって品質表示的な語であるから、本件商標は、品質表示的な語と識別力を有する語との結合商標であるといえる。

(3)結合商標の類否について
結合商標の類否について、特許庁商標課編「商標審査基準」における商標法第4条第1項第11号の解説では、「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。」旨明示されている。
これは、形容詞的文字は、識別力のない部分であり、それ以外の識別力がある部分をもって需要者・取引者に認識され、称呼されるからである。
本件商標の場合、「WATER」、「ウォーター」は、まさに「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字)」に該当する。
してみれば、本件商標は、当該審査基準でいうところの「形容詞的文字を有する結合商標」といえる。
なお、当該審査基準では、「原則として」とあり、例外もあることになるが、それは、結合商標が全体として一つ一つの要素を組み合わせただけとは異なる別個の観念を生じるような特別な場合をいうと考えられる。
商標権者は、審査段階で提出した意見書(甲第9号証)において、本件商標は全体として「愛の水」の観念が生じる旨述べているが、これは単に「LOVE」、「ラブ」=「愛」と「WATER」、「ウォーター」=「水」を組み合わせたにすぎず、別個の観念を生じているわけではない。
以上の理由により、本件商標は、審査基準に則り、形容詞的文字が付加結合されていない引用各商標と類似すると判断されるべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により登録無効とされるべきである。

(4)「WATER」、「ウォーター」の品質表示性について
化粧品を取り扱う業界において、「WATER」の文字及び「ウォーター」の文字が「水状の化粧品」等の商品の品質を意味するものとして商品の一部に広く用いられていることは、以下の証拠に示すとおり、顕著な事実である。
甲第10号証は常盤薬品の化粧品「ノブ」の化粧水が「ノブウォーター」と使用されている例であり、甲第11号証は「アベンヌ」の化粧水が「アベンヌ ウォーター」と使用されている例であり、甲第12号証は資生堂の化粧水が「フィトウオーター」と使用されている例であり、甲第13号証はマードゥレクスの化粧品「エクスボーテ」の化粧水が「セラムウォーター」と使用されている例であり、甲第14号証は「ユリアージ」の化粧水が「ユリアージ ウォーター」と使用されている例であり、甲第15号証はコーセーの化粧水が「アクアライブウォーター」と使用されている例であり、甲第16号証はカネボウ化粧品の化粧水が「ビタチャージウォーター」と使用されている例である。
また、インターネット検索エンジンGoogleにおいて、「化粧」と「ウォーター」をキーワードに検索したところ(「ウォータープルーフ(耐水)」については、雑音として除去した。)、259万件のヒットが確認された(甲第17号証)。
これらの使用事実及び検索結果からも、「ウォーター」の語が、水溶性の化粧品を意味する語として極めて広く使用されていることは明らかであり、化粧品との関係において「ウォーター」が品質表示的な語であることも明らかである。

(5)査定・審決例について
「WATER」、「ウォーター」が品質表示的な語で識別力がないことを理由に、「○○+WATER」及び「○○+ウォーター」と「〇○」とが類似と判断された査定・審決例を挙げると、以下のとおりである。
甲第20号証は「ラブウォーター」に対して「ラブ」等が引用された例、甲第21号証は「Pearl Water」に対して「PEARL」等が引用された例、甲第22号証は「プレシャスウォーター」に対して「Precious」等が引用された例、甲第23号証は「Reinascente」、「i」、「water」に対して「RENASCENT」等が引用された例、甲第24号証は「ACTIVE WATER」に対して「ACTIVE」が引用された例、甲第25号証は「The Soul Water」に対して「SOUL」が引用された例である。

(6)むすび
以上のとおり、本件商標の構成中「WATER」、「ウォーター」は、品質表示的な語であって識別力がなく、本件商標の識別力を発揮する部分は「ラブ」にあるため、本件商標に接した需要者・取引者は、本件商標を単に「ラブ」と認識し、称呼する場合があることは明らかである。
よって、本件商標は、引用各商標と類似し、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、同法第46条第1項第1号により登録無効とされるべきである。
よって、請求の趣旨どおりの審決を求める。

4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第25号証を提出した。
(1)結合商標の類否について
本件商標は、アルファベット文字「LOVE WATER」と片仮名文字「ラブウォーター」とを上下2段に横書きした構成であり、下段の片仮名文字は、上段の読み方を特定したものである。また、構成文字は、同じフォント、同じサイズで外観上一体化されており、これより生ずる「ラブウォーター」の称呼も格別長いものではなく、一連に称呼できるものである。
これは、「LOVE」、「ラブ」の標章がきわめてよく知られている英語であり、また、市場において「LOVE」、「ラブ」を含む商品名やブランド名等が多数存在する以上、もはや「LOVE」、「ラブ」のみの使用では、他社との識別力は弱く、「LOVE」、「ラブ」を含んだ名称にして初めて識別力が生じるものと考えてのことである。
そして、「LOVE」には、「愛、愛情、恋愛、好意」等の意味が生じ、「WATER」には、上位の意味として「水」が挙がっている以上、明確に「愛の水」の観念を生じるものである。
よって、「LOVE WATER」、「ラブウォーター」に対して、「ラブ」のみの称呼、観念が生じるとの主張は、妥当ではなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

(2)「WATER」、「ウォーター」の品質表示性について
請求人は、「WATER」、「ウォーター」が品質表示的であることをもって形容詞的文字に当たるため、その部分に識別力がなく、「ラブ」のみの称呼、観念が生じる旨主張しているが妥当ではない。
結合商標において、品質表示的あるいは形容詞的文字に当たる部分があれば、その部分は常に必ず識別力が無いものとするとは審査基準には謳われてはいない。いいかえれば、仮に、品質表示的な表記が含まれる場合があったとしても、外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察することが大原則であり、その結果、非類似になる商標や登録になる商標が有り得るといえる。

(3)査定・審決例について
請求人は、査定・審決例を挙げて、「○○+WATER」及び「○○+ウォーター」は「○○」と省略して認識、称呼され、「○○」とは類似と判断される旨主張している。
しかしながら、実際には、「○○」と「○○+WATER」及び「○○+ウォーター」の両商標が登録査定を受けたものが多数確認できる。
最近の登録例を挙げると、以下の乙第1号証ないし乙第25号証のとおりである。
そうとすれば、他に「WATER」、「ウォーター」に全く識別力が無いと言い切れるだけの格段の事情でもない限り、「LOVE WATER」「ラブウォーター」全体をもって1つの商標として認識され、「ラブウォーター」の称呼を生ずるとみるのが自然であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。

(4)むすび
以上のとおり、上記に述べた理由等を総合的に判断すれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点からみても、非類似の商標というべきである。

5 当審の判断
請求人は、本件商標の登録が商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである旨主張しているので、この点について判断する。
(1)本件商標について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、上段に「LOVE WATER」の欧文字を大きく表し、下段にやゝ小さく「ラブ ウォーター」の片仮名文字を表してなるところ、これを構成する「LOVE」と「WATER」の文字との間には、半文字程度の間隔が設けられており、また、「ラブ」と「ウォーター」の文字との間には、一文字程度の間隔が設けられてはいるが、いずれも、いずれか一方を強調するような構成態様ではなく、同じ書体、同じ大きさの文字をもって、まとまりよく一体的に書されているものであって、それぞれの各構成文字より生ずる「ラブウォーター」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一気一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標を構成する「LOVE」、「ラブ」及び「WATER」、「ウォーター」の各語についてみるに、「LOVE」、「ラブ」の語は、「愛、愛情、恋愛」等の意味を表す語として広く知られている英単語(外来語)であるところ、例えば、株式会社三省堂発行のコンサイスカタカナ語辞典第3版(2005年10月20日発行)には、「ラブシーン〔love scene〕」、「ラブストーリー〔love story〕」、「ラブソング〔love song〕」、「ラブレター〔love letter〕」、「ラブロマンス〔love lomance〕」のような様々な熟語が掲載されているように、「LOVE」、「ラブ」の語は、他の語と結合して熟語を形成し易い語であるということができる。
また、「WATER」、「ウォーター」の語は、その語意の一つとして「化粧水」の意味合いがあるとしても、一義的には、「水」の意味を表す語として広く知られ、親しまれて用いられている英単語(外来語)である。
そうとすれば、本件商標は、「LOVE」、「ラブ」の語と「WATER」、「ウォーター」の語とが一体的に表されているものであり、「WATER」、「ウォーター」の文字部分をもって特定の商品又は商品の品質等を具体的に表示したものと直ちに理解し得るものともいい難いところである。
してみれば、本件商標は、その構成全体をもって、「愛の水」の如き熟語的な意味合いを無理なく理解・認識させる一体不可分の合成語を表したものと認識し把握されるとみるのが自然であり、「LOVE」、「ラブ」の文字部分のみが分離・抽出され、取引に供されることはないものというべきである。
したがって、本件商標は、該構成文字全体に相応して「ラブウォーター」の称呼のみを生じ、「愛の水」の如き観念のみを生ずるものであって、単に「ラブ」の称呼及び「愛、愛情、恋愛」等の観念を生ずることはないものといわなければならない。

(2)引用各商標について
引用各商標は、前記2に示したとおり、その構成態様は様々であるが、「LOVE」、「Love」の欧文字や「ラブ」の片仮名文字あるいはそれらを組み合わせた構成からなるものであるから、いずれも、その構成文字に相応して「ラブ」の称呼を生じ、「愛、愛情、恋愛」等の観念を生ずるものということができる。

(3)本件商標と引用各商標との類否について
そこで、本件商標から生ずる「ラブウォーター」の称呼と引用各商標から生ずる「ラブ」の称呼とを比較するに、両者は、「ラブ」の音部分を共通にするとしても、「ウォーター」の音の有無という音構成上の明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するも、その音構成及び音数の差により称呼上十分に区別し得るものである。
そして、上記したとおり、本件商標からは「愛の水」の如き観念を生ずるのに対して、引用各商標からは「愛、愛情、恋愛」等の観念を生ずるものであるから、観念についても十分に区別し得るものであり、また、前記した構成よりして、外観においても十分に区別し得る差異を有するものである。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)請求人の主な主張について
ア 請求人は、甲第10号証ないし甲第16号証を挙げて、化粧品を取り扱う業界において、「WATER」、「ウォーター」の語が「水状の化粧品」等の商品の品質を意味するものとして商品の一部に広く用いられている旨主張している。
確かに、上記甲号証の中には、「WATER」、「ウォーター」の語(文字)が「化粧水」の意味合いを表すものとして用いられている事例のあることは、否定しない。
しかしながら、甲第10号証の「ノブウォーター」の商品説明中の商品の成分表示には、「水、濃縮海水」の表示があり、甲第11号証の「アベンヌウオーター」の商品説明中には、「南フランス生まれのアベンヌ温泉水100%」として「世界でも有数の複雑な地層を持つ南フランス、セベンヌ山脈麓のアベンヌ村に、大地のミネラルをたっぷり含みながら40年以上の時間をかけて、地上に湧き出るアベンヌ温泉水を100%使用。・・・アベンヌウオーターは、アベンヌ温泉水の源泉から直接つながるアベンヌ工場の無菌室でボトリングされます。・・・」と記載されており、甲第12号証の「ナチュラルズ フィトウオーターF」の商品説明中には、「ナチュラルズは、植物の力を合わせ、変化する肌にうるおいを補給し、コンディションをととのえます。肌にキレイを補給するフィト(植物)サプリメント・・・みずみずしいうるおいを肌に満たし、肌環境をととのえる植物うるおい補給水」と記載されており、甲第14号証の「ユリアージ ウォーター」の商品説明中には、「75年の歳月をかけて湧き出る温泉水を源泉からそのままボトルにつめたユリアージ温泉水100%のスプレータイプの化粧水です。」と記載されている。
これらの記載からみれば、請求人が挙げている事例においてさえ、「WATER」、「ウォーター」の語が常に必ずしも「化粧水」の意味合いのみを表すものとして用いられているとは限らないものといわなければならない。
また、請求人は、インターネット検索エンジンGoogleにおいて、「化粧」と「ウォーター」をキーワードに検索したところ259万件のヒットが確認された旨述べているが、それは、あくまでも「化粧」や「ウォーター」のワードあるいは、それらを含めたワードが259万件検索されたというにとどまるものであって、259万件のヒットがあったからといって、そのことから直ちに、「WATER」、「ウォーター」の語が「化粧水」の意味合いのみを示すことの証左となるものとはいえない。

イ 請求人は、「○○+WATER」及び「○○+ウォーター」の文字からなる商標と「○○」の文字からなる商標とが類似と判断された査定・審決例(甲第20号証ないし甲第26号証)を挙げて、「WATER」、「ウォーター」の語(文字)は品質表示的な語であって識別力がない旨主張している。
確かに、請求人が挙げているような査定・審決例のあることは否定できないが、それらは、審査あるいは審判においてなされた判断の一事例である。
しかも、請求人が挙げている事例がある一方において、「○○+WATER」及び「○○+ウォーター」の文字からなる商標と「○○」の文字からなる商標とが区別されて併存している事例も数多く存在している(乙第1号証ないし乙第25号証)。
そうとすれば、そもそも、商標の判断は、それぞれの事案に応じて、個別具体的な事情をも勘案して総合的に判断されるべきものであるから、請求人が提出しているような事例が存在しているからといって直ちに、「WATER」、「ウォーター」の語には識別力がないとか、「WATER」、「ウォーター」の語を含む商標は常に「WATER」、「ウォーター」の文字部分を分離して判断されるということにはならないものといわなければならない。
してみれば、請求人の主張は、いずれも採用することはできない。

(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、本件商標の指定商品中の「水溶性の化粧品」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲


(1)本件商標




(2)引用商標3




(3)引用商標4




(4)引用商標6


(色彩は原本参照)


審理終結日 2010-07-14 
結審通知日 2010-07-16 
審決日 2010-08-12 
出願番号 商願2008-41440(T2008-41440) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
小畑 恵一
登録日 2009-09-04 
登録番号 商標登録第5262959号(T5262959) 
商標の称呼 ラブウオーター 
代理人 向口 浩二 
代理人 深見 久郎 
代理人 森田 俊雄 
代理人 竹内 耕三 

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