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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200915782 審決 商標
不服200913085 審決 商標
不服200911931 審決 商標
不服200914585 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X36
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X36
管理番号 1225014 
審判番号 不服2009-5060 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-06 
確定日 2010-09-24 
事件の表示 商願2007-76221拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「FXトレード口座」の文字を標準文字により書してなり、第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年7月6日に登録出願されたものであるが、その後、平成20年11月29日付け手続補正書により、指定役務については、第36類「外国為替取引,外国為替取引・外国為替市況に関する情報の提供,外国為替に関する助言,外国為替取引に関する相談及び助言,外国為替保証金取引,外国為替相場に関する情報の提供」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『FXトレード口座』の文字からなるところ、『FXトレード』の文字は、『証拠金として預け入れた資金の10?20倍程度の為替取引ができる金融商品』である『外国為替証拠金取引』の意味を有するから、全体として『外国為替証拠金取引口座』程の意味合いを認識させるものと認める。よって、本願商標を指定役務中、例えば、外国為替取引等について使用するときは、単に役務の質を表示したものと理解されるに止まり、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であっても、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和53年(行ツ)第129号、昭和54年4月10日第三小法廷判決)。
イ そこで、上記の趣旨を踏まえて検討するに、本願商標は、前記1のとおり、「FXトレード口座」の文字よりなるところ、その構成中「FX」の欧文字部分は、「大きな字のカタカナ新語辞典第2版(学習研究社発行)」によれば、「[foreign exchange]外国為替.また,外国為替証拠金取引.」と解説され、また、「現代用語の基礎知識2010(自由国民社発行)」によれば、「外国為替証拠金取引(FX) 最低5万?10万円程度の担保資金(証拠金または保証金)を取引会社に差し入れることで、その数倍?数十倍ほどの外貨を24時間リアルタイムで売買出来る仕組み。俗に『FX』と呼ばれる。」との解説がある。
同じく、その構成中「トレード」の片仮名文字部分は、「取引」を意味する英語「trade」の表音であるが、「取引」を意味する外来語としても良く知られている語であり、また、同じく「口座」の漢字部分は、「大辞林第三版(三省堂発行)」によれば、「簿記で,資産・負債・資本の増減、損益の発生などを項目別に記入する所。『預金口座』『振り替え口座』の略。」との解説があるとおり、例えば「銀行に口座を設ける」等の如く使用され、一般に広く知られている語である。
そうすると、上記の各文字を結合して「FXトレード口座」と一連に表した本願商標は、全体として「外国為替(FX)の取引(トレード)用の口座」程の意味合いを容易に理解、認識させるものというべきである。
ウ そして、「FXトレード」及び「口座」の各文字が、本願指定役務中「外国為替取引」に関する役務を取り扱う業界において、「外国為替(FX)の取引(トレード)用の口座」を意味する語として使用されていることが、次のインターネット情報によっても容易に窺い知ることができる。
(ア)「外国為替取引」の見出しの下、「外国為替取引(外国為替証拠金取引・FX)をするには?」によれば、「FX(外国為替取引)(外国為替証拠金取引を含む)をするには、まず口座を開設する必要があります。証券会社など外国為替を扱っている業者に、口座を開設します。」(http://www.tetuzuki.net/tax/stockfx.html)との記述。
(イ)「マネックスFX×大証FX」の見出しの下、「(1)取引の開始」によれば、「b.取引所FX取引口座の設定/取引所FX取引の開始に当たっては、あらかじめ当社に取引所FX取引口座の設定に関する約諾書を差し入れ(電磁的方法を含む)、取引所FX取引口座を設定していただきます。」(http://www.monexfx.co.jp/ose/compliance/step.html)との記述。
エ してみれば、本願商標を、その指定役務中、例えば「外国為替取引」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、それが「外国為替(FX)の取引(トレード)を行うための口座」程の意味合いを理解、認識するに止まり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものであるから、本願商標は、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものというべきである。

(2)請求人の主張
請求人は、「本願商標は、英語辞書や広辞苑などに存在しない造語であって、普通に使用されている事実は発見出来ない」旨主張している。
しかし、仮に本願商標が造語であって、普通に使用されている事実がないとしても、識別力を有するか否かについては、その指定役務に係る需要者又は取引者が、本願商標に接した場合に、これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから、需要者又は取引者が、役務の質、すなわち、役務の内容を表示したものと一般に認識することをもって足りるというべきであり、それ以上に、現実にその役務が実施されていることまで必要ということはできない。
そして、本願商標の指定役務に係る需要者又は取引者が、その言語的意味からして、本願商標「FXトレード口座」を「外国為替(FX)の取引(トレード)用の口座」という役務の内容を表示したものと一般に認識することは、前記したとおりであるから、請求人のこの主張は採用できない。

(3)商標法第3条第2項該当性について
ア 請求人は、審判請求書において、「本願商標は、請求人が提供する役務の商標として周知である」旨主張し、甲第1号ないし甲第14号証を提出しているところ、商標法第3条第2項の適用により登録されるべきである旨をも主張していると解されるから、以下、請求人の前記主張及び提出された証拠について検討する。
なお、商標法第3条第2項の判断に当たっては、「商標法第3条第2項の要件を具備するためには,使用商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら,同条項は,本来的には自他商品識別力がなく,特定人の独占にもなじまない商標について,特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり,実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして,登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると,同条項は,厳格に解釈し適用されるべきものである。」(知財高裁平成18年(行ケ)第10054号 平成18年6月12日判決言渡)と判示されている。
イ そこで、以下、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。
(ア)甲第1号ないし第3号証は、請求人によれば、いずれも新聞に掲載された広告紙面のコピーとのことであるが、その発行日付や新聞社名は見あたらない。
また、甲第4号ないし第13号証は、いずれも2008年中に発行された雑誌に掲載された広告紙面のコピーとのことであるが、第4号証を除き、その発行日付や雑誌名の表示はない。
そうすると、上記の広告宣伝の実情や広告回数だけで、本願商標の周知性を客観的に示す証拠として十分なものとは到底認め難いから、本願商標が、その指定役務について使用された結果、請求人の業務に係る役務であることが、需要者間で全国的に広く認識されるに至ったものであるとは認められない。
(イ)そして、実際に使用している役務は、その指定役務中「外国為替取引」についてのものだけであって、その他「外国為替取引・外国為替市況に関する情報の提供,外国為替に関する助言,外国為替取引に関する相談及び助言」等の役務について、本願商標を使用していることを示す証拠は、何ら提出されていない。
(ウ)さらに、甲各号証によれば、使用に係る商標「FXトレード口座」は、別掲に示すとおり、常に「短期トレードの外貨投資」の文字と共に使用され、本願商標が単独で使用されている例は存在しないから、本願商標と甲各号証に示された使用に係る商標とは、その構成態様を異にするものであり、本願商標との同一性は認められないものである。
ウ 以上のとおり、請求人提出の証拠を総合勘案しても、本願商標が、その指定役務に使用された結果、自他役務の識別力を獲得するに至ったと認めるに足る充分かつ客観性のある事実は見出せないから、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を具備しているとの請求人の主張も、採用することができない。

(3)まとめ
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、提出された証拠によっては、本願商標が同法第3条第2項の要件を具備するに至ったものとも認めることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 (使用に係る商標)

(色彩については原本参照。)


審理終結日 2010-07-13 
結審通知日 2010-07-23 
審決日 2010-08-04 
出願番号 商願2007-76221(T2007-76221) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X36)
T 1 8・ 13- Z (X36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 裕紀子 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小田 昌子
田中 亨子
商標の称呼 エフエックストレードコーザ、エフエックストレード、トレードコウザ 
代理人 黒田 泰弘 

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