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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X28
管理番号 1224984 
審判番号 不服2009-18631 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-01 
確定日 2010-09-21 
事件の表示 商願2008- 79642拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「EXECT」の文字を標準文字で表してなり、第28類「運動用具」を指定商品として、平成20年9月30日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4620623号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に表示するとおりの構成よりなり、平成13年10月5日登録出願、第28類「ゴルフ用具,その他の運動用具」を指定商品として、同14年11月15日に設定登録されたもので、現に有効に存続している。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、前記1のとおり、「EXECT」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は特定の読みをもって親しまれた外国語を表したものとはいえないものである。
ところで、一般的に,特定の読みを持たない欧文字からなる商標の称呼を特定する場合にあっては,これに接する取引者、需要者は,自己の知り得た外国語の知識を基に,当該商標の読みを特定して称呼する場合が多いということができるところ、我が国における英語教育の状況等にかんがみれば,本願商標においても自己の有する英語の知識に従って,当該文字の配列となるべく似たような文字の配列からなる英単語の発音にならって,称呼を特定する場合が多いということができるものである。
これを本願商標についてみれば,本願商標を構成する前半の「EXE」が共通する「EXECUTIVE(エグゼクティブ)」(株式会社三省堂 コンサイスカタカナ語辞典 第3版)の英語が、また、本願商標を構成する後半の「CT」が共通する「SELECT(セレクト)」(前掲書)や「PERFECT(パーフェクト)」(前掲書)の英語が、それぞれ想起され、これらの発音にならった本願商標全体の称呼としては、「エグゼクト」と特定する場合も多いというべきである。
そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「エグゼクト」の称呼が生ずるものとみるのが相当であり、また、これよりは特定の観念を生じさせないものである。
他方、引用商標は、別掲のとおり、「EXACT」の欧文字(第2文字目の「X」の文字は、他の文字と比較して縦に約1.8倍強、横に約2.5倍強の大きさで、かつ、左上から右下への斜線部については、二つの白抜き斜線から構成されている。)を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「エグザクト」の称呼及び「正確、厳密」等(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版、前掲コンサイスカタカナ語辞典)の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標から生ずる「エグゼクト」の称呼と、引用商標から生ずる「エグザクト」の称呼とを比較するに、これらは共に5音からなるところ、5音中、第1音及び第2音の「エグ」と第4音及び第5音の「クト」の4音を共通にし、異なるところは、比較的聴別され難い中間における第3音の「ゼ」と「ザ」の音に差異を有するにすぎないものである。
そして、この差異音である「ゼ」と「ザ」の音は、50音図のザ行に属する同行音であること、「ゼ」の音が、舌端を前硬口蓋に寄せて発する有声摩擦子音「Z」と母音「e」との結合した音であるのに対し、「ザ」の音が、舌端を前硬口蓋に寄せて発する有声摩擦子音「Z」と母音「a」との結合した音であることから、「ゼ」と「ザ」の音は、調音方法も共通し、かつ、相違する母音「e」と「a」は近似した音であることなどから、これらを一連に称呼するときは、全体として、語調、語感が近似したものとなり、称呼上互いに相紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較することができないとしても、称呼において相紛らわしいものであるから、本願商標は引用商標と類似する商標であって、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、母音「e」は前舌面を平にして歯茎の後に近づけて舌の先をややひっこめて声を口腔内に響かせて発声する音であり、弱く柔らかく聴取され、「a」は口を広く開いて発声する音であり、強く明確に澄んだ音として聴取されるものであり異なる印象を与え、5音という比較的短い音数からなる両称呼において、これらは称呼全体に与える語感、語調の印象の違いは決して小さくない旨主張する。
しかしながら、前記3(1)のとおり、母音「e」と「a」とを単独で称呼した場合にも近似した音であること、この近似した母音に、調音方法を同じくする有声摩擦子音「Z」が結合した「ゼ」と「ザ」の音として称呼されるものであることなどから、これらを一連に称呼するときは、全体として、語調、語感が近似したものとなり、称呼上互いに相紛れるおそれがあるものといわざるを得ない。
また、請求人は、引用商標は「X」の文字を他の文字の2倍程度の大きさとし、さらに強調した書体としたものであり、これに接した需要者、取引者は「X」の文字部分で一旦区切って称呼、印象することが予想され、相違音「ザ」は例え語中に存するとはいえ、称呼全体に与える役目は決して小さいものではない旨主張するが、別掲に表示するとおりの構成からなる引用商標を「EX」と「ACT」に分断して称呼しなければならない特段の事情は見当たらないから、「X」が顕著に表されているとしても、引用商標は「EXACT」の1語からなるものとみるのが自然であり、「エグザクト」と無理なく一連に称呼できるものである。
したがって、これらの点についての請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標


審理終結日 2010-07-08 
結審通知日 2010-07-16 
審決日 2010-07-30 
出願番号 商願2008-79642(T2008-79642) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X28)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 恵美子大渕 敏雄山田 忠司 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 岩崎 良子
安達 輝幸
商標の称呼 エグゼクト、エクゼクト 
代理人 神保 欣正 

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