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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X02 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X02 |
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管理番号 | 1224852 |
審判番号 | 不服2009-15185 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-08-21 |
確定日 | 2010-09-06 |
事件の表示 | 商願2007-119020拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「HYPERCLEAR」の欧文字と「ハイパークリヤー」の片仮名を上下二段に横書きにしてなり、第2類「塗料,染料,顔料,印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。),カナダバルサム,コパール,サンダラック,セラック,松根油,ダンマール,媒染剤,マスチック,松脂,木材保存剤,防錆グリース,塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の非鉄金属はく及び粉,塗装用・装飾用・印刷用又は美術用の貴金属はく及び粉」を指定商品として、平成19年11月28日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『HYPERCLEAR』及び『ハイパークリヤー』の文字を上下二段に書してなるところ、構成中の『HYPER』及び『ハイパー』の文字部分が『超越した』等の意味を有する語として広く知られており、また、『CLEAR』及び『クリヤー』の文字部分が、本願指定商品との関係において『クリヤー塗料』を容易に想起させるものであるから、これをその指定商品中『塗料』に使用しても、取引者、需要者に『既存の商品の品質を超えたクリヤー塗料』程度の意味合いを想起させるものであるから、単に商品の品質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、前記1のとおり「HYPERCLEAR」の欧文字と「ハイパークリヤー」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、その構成中前半部の「HYPER」、「ハイパー」の文字は、「『過度の』『超越した』の意。『スーパー』よりさらに強い意味で用いる。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)または、「超越して,過度の,超・・・」(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典)、「『スーパー』のさらに上をゆく『超越的』の意味で使われる。」(自由国民社 現代用語の基礎知識2010年版)の意味合いを有し、主に接頭語として普通に使用されているものである。そして、本願指定商品である「塗料」に関連する業界においては、既存の商品の品質を誇称していることを示す用語として使用され、このことは、別掲1のインターネット情報からも裏付けられるところである。 また、構成中後半部の「CLEAR」、「クリヤー」の文字は、「晴天の,透明な,澄んだ」(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典)等の意味合いを有するところ、本願指定商品である「塗料」に関連する業界においては、透明塗料を「クリヤー塗料」と指称して普通に使用されていること、また塗料の色彩が「透明色」であることは、別掲2のインターネット情報からも裏付けられるところである。 (2)してみれば、その構成中の「HYPER」、「ハイパー」の文字部分は、「超越して,超・・・」などの意味合いを有し、接頭語として誇称表示的に使用され、また、「CLEAR」、「クリヤー」の文字部分は、本願の指定商品中「塗料」との関係においては、「透明塗料」または塗料の色彩が「透明」を意味し商品の品質を表示する語として業界において使用されていることが認められる。 そうすると、本願商標をその指定商品中「塗料」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「超高品質の透明塗料(透明色)」の意であると理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。また、これを上記に照応する商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものと認められる。 (3)請求人の主張について 請求人は、「HYPER」、「ハイパー」及び「CLEAR」、「クリヤー」の各文字は、互いに自他商品識別力が弱く、一連に書した「HYPERCLEAR」、「ハイパークリヤー」なる語は、辞書にも掲載されていないため造語商標であることから、全体として商品の品質を直接的かつ具体的に表示するものではなく、自他商品識別力を備え、なんら商品の品質等を直感させることもない旨主張している点については、「HYPER」、「ハイパー」の文字が、例えば「ハイパーインフレ(hyperinflation):超インフレーション」(株式会社学習研究社 大きな字のカタカナ新語辞典第2版)、「ハイパーソニック(hypersonic):極超音速」(株式会社学習研究社 大きな字のカタカナ新語辞典第2版)、「ハイパーマーケット(hypermarket):倉庫型店舗の超大型スーパーマーケット」(株式会社学習研究社 大きな字のカタカナ新語辞典第2版)、「ハイパーネットワーク(hypernetwork):現在のネットワークを超越する次世代のネットワーク」(株式会社三省堂 日経新聞を読むためのカタカナ語辞典〈改訂版〉)などといったように、既存のものを超越した状態を言い表すための接頭語として、普通に使用されていること、また塗装業界の実情においても、別掲1のとおりに使用されていることからして、該文字が本願指定商品の品質を誇称表示しているものと容易に認識されるものと判断するのが相当である。 また、「CLEAR」、「クリヤー」の文字は、請求人は商品の普通名称とまではいい難い旨主張しているが、「塗料」との関係においては、別掲2の記載の事実のとおり、「透明(クリヤー)塗料」または「透明色」を表す品質表示であると判断するのが相当である。 そうすると、本願商標は、指定商品中「塗料」との関係においては、造語商標というよりは、商品の品質が「超高品質の透明塗料(透明色)」の意であることの品質を表示したにすぎないものであるため、請求人の主張は採用することはできない。 さらに、請求人は、「HYPER」及び「ハイパー」、「clear」の文字を含む登録例及び審決例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、それらは商標の具体的構成において相違するばかりか、指定商品においても相違するものであるから、本願商標とは事案を異にするといわざるを得ず、また、登録出願された商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係において、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。 (4)結論 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 1 「HYPER」、「ハイパー」の文字が、指定商品中の「塗料」に関連する業界においては、既存の塗料(塗装)の品質(質)を超越していることを示す用語として普通に使用されている実情について (1)「イサム塗料株式会社」のウェブサイトにおいて、「製品一覧 上塗り塗料 水系ベースコート」の項に、「ハイパー水系塗料 ◆AXUZ(アクアス) ◆利益を生む作業性能=CO2(注:「2」は下付文字)削減効果 1.省略・・・ 2.・・・従来水性塗料より約30%削減可能 ◆誰でも簡単技術フリー 1.塗装回数の低減 2.塗装使用量の低減 ◆より優れた環境性能=VOC削減効果」旨記載されている。 (http://haigo.jp/doc/product/p-00000109.pdf) (2)「ハイパーフッ素断熱ペイント工法」の見出しのウェブサイトに、「超高耐候 ハイパー4Fフッ素塗装 約40年で1回?2回の塗り替えで済む 超耐紫外線 従来の塗装、フッ素塗装に比べ、紫外線に対する強さも格段にアップしております 超低汚染 超低汚染性 親水性がとても優れています。」旨記載されている。 (http://dannetu-fusso.go-g.net//) (3)「水谷ペイント株式会社」のウェブサイトにおいて、「製品情報」の項に、「屋根用塗料 ハイパー遮熱シリーズ ハイパー遮熱は、メタリックが赤外線をより効率よく反射することに着眼して開発した、これまでにない遮熱型塗料です。 特長1.リアルシリコンテクノロジーにより優れた耐候性を発揮 2.優れた耐候性が、遮熱効果を長期間保持します 3.ハイパー遮熱Siプラチナは、遮熱効果に加え放熱効果が期待できます」旨記載されている。 (http://www.polyma.co.jp/products/roof/hyper/index.html/) (4)「光触媒塗装 クリヤーコート 住宅外壁塗装」の見出しのウェブサイトに、「ハイパーリキッドチタン塗装 『ハイパーリキッドチタン』は、水性光触媒酸化チタンのコーティング材で、従来の抗菌、防汚・消臭、有害物質の分解作用などを飛躍的に高めることに成功。」旨記載されている。 (http://www5.plala.or.jp/Special/hiperliquidtitan.html/) (5)「(有)オートサービス西」のウェブサイトにおいて、「ハイパー塗装の修正」の項に、「『ハイパー塗装』・・厚さは0.01マイクロ?0.03マイクロの超極薄銀幕塗装(焼き付け)」旨記載されている。 (http://www.243ok.co.jp/wheel.repair.hipar/wheel.repair.hiparr.htm/) (6)「有限会社エムシーサービス」のウェブサイトにおいて、「ホイールコーティング」の項に、「ハイパー塗装 これは下塗りにソリッドカラーを塗装した後、ハイパー塗装と言われる特殊な透過性のあるメタリックを塗装し、その上にクリアコートをしたタイプで、光の当たり方等により色艶が変化し、光沢感のある高級な仕上がりを実現しています。」旨記載されている。 (http://www.osaka-mc.com/ho.html/) (7)「日建塗装工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「チタン材ドライプレス新加工技術」の項に、「フッ素樹脂ハイパー加工は、加工料金がフッ素樹脂塗装の約1.5倍になります。」旨記載されている。 (http://www.nikken-toso.co.jp/seihin/titan/titan.html/) 2 「CLEAR」、「クリヤー」の文字が、指定商品中の「塗料」に関連する業界において、「透明(クリヤー)塗料」または「透明色」を指称する用語として普通に使用されている実情について (1)「塗装・全塗装・オールペン・オールペイント用語集」と称するウェブサイトにおいて、「か行」の項に、「クリヤー 顔料を含まない透明な塗料。メタリック系塗装の最終仕上げや艶だし用に使用する。」旨記載されている。 (http://tosou-yougo.com/ka.html/) (2)「有限会社松谷塗料店」のウェブサイトにおいて、「塗装用語集【か行】」の項に、「■クリヤーとは(clear coating) クリヤーとは、顔料を含まない透明な塗料。」旨記載されている。 (http://www.matsutanipaint.co.jp/?cn=100036/) (3)「株式会社ヨコソー」の「e-すまい」と称するウェブサイトにおいて、「塗装用語集」の項に、「クリヤー:顔料を含まない透明な塗料。ラッカーや合成樹脂塗料に使う言葉で、油性 系塗料ではワニスと呼ぶ。」旨記載されている。 (http://www.esumai.jp/paint/tosouyougo.htm/) (4)「不二塗料株式会社」の「Paint proshop Fuji」称するウェブサイトにおいて、「塗料の基礎知識」の項に、「透明塗料:顔料の入らない塗料を透明塗料又は、クリヤーと言います。」旨記載されている。 (http://p-fuji.sakura.ne.jp/newpage6.html/) (5)「株式会社アサヒペン」のウェブサイトにおいて、「塗料」の項に、「カラーアルミスプレー 容量:300ml 色数:8色 白、黒、ツヤ消し黒、透明(クリヤ)」旨記載されている。 (http://www.asahipen.jp/product/detail.php?top_cat=04&cat=01&middle_cat=04&item_code=14863/) (6)「有限会社瀬古商店」が運営する「SSペイント」のウェブサイトにおいて、「アトムハウスペイント 水性 木部用ステイン(木部着色塗料) ガーデニングカラー 色:クリヤー(透明) 1.6L」旨記載されている。 (http://store.shopping.yahoo.co.jp/sspaint/ag-1003.html/) (7)「マルヤ通商株式会社」のウェブサイトにおいて、「商品紹介」の項に、「エアーウレタン 2液アクリルウレタン樹脂塗料 ●色の種類は● クリヤー つや消しクリヤー ホワイト ロスホワイト グリーン ・・・」旨記載されている。 (http://www.maruya-t.co.jp/products/isamu/airurethane.htm/) (8)「株式会社デイトナ」のウェブサイトにおいて、「耐ガソリンペイント」の項に、「耐ガソリンペイント315ml クリアー(透明)72709 \2,993 つや消しクリヤー(透明)72710 \2,993 ブラック72711 \2,993・・・」旨記載されている。 (http://daytona-mc.jp/products/110/060/post_93.html/) |
審理終結日 | 2010-07-02 |
結審通知日 | 2010-07-09 |
審決日 | 2010-07-21 |
出願番号 | 商願2007-119020(T2007-119020) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X02)
T 1 8・ 13- Z (X02) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 箕輪 秀人、石戸 円、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
鈴木 修 |
特許庁審判官 |
大島 康浩 瀧本 佐代子 |
商標の称呼 | ハイパークリヤー、ハイパークリア、ハイパー |
代理人 | 鮫島 武信 |