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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X44
管理番号 1223180 
異議申立番号 異議2009-900409 
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-10-26 
確定日 2010-08-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5251010号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5251010号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5251010号商標(以下「本件商標」という。)は、「ペプシ・ピロリABC検診」の文字を標準文字で表してなり、平成20年12月10日に登録出願、第44類「健康診断,医療情報の提供,医療用機械器具の貸与」を指定役務として、平成21年6月22日に登録査定、同年7月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は次の理由でその登録は取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)「ペプシ」は、申立人の業務に係る商品「清涼飲料」を示す語として、また、申立人のハウスマークとして世界的に著名な商標である。
(2)本件商標は、「ペプシ」「ピロリ」「ABC」「検診」の四語からなり、「ピロリ」「検診」は本件商標の指定商品との関係において役務の質を表示する語であり自他役務識別力が弱いから、本件商標の要部は「ペプシ」「ABC」である。よって、本件商標は、これをその指定役務に使用すると申立人の業務に係る役務であるかのように出所の混同が生じるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)本件商標は、食品の著名商標「ペプシ」と胃がんの原因とされる細菌の略称「ピロリ」とが並べて表示されているため、食料品ブランド「ペプシ」にとって最も重要な清潔感、衛生感を害され、著名商標「ペプシ」のブランド価値、顧客吸引力を大きく減ずるものである。よって、本件商標は、申立人の著名商標と類似するものであって、申立人の商標の価値をき損するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 本件商標の取消理由
商標権者に対して、平成22年4月22日付け取消理由通知書で通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の「ペプシコーラ」の項には、冒頭に「ペプシコーラ(Pepsi-Cola)は、アメリカ・ニューヨーク州に本社を置くペプシコ社の所有により、全世界で展開されているソフトドリンクブランドである。」と記載されているほか、「歴史」の見出しの下に、「ペプシコーラは、1894年にアメリカ合衆国ノースカロライナ州の薬剤師ケイレブ・ブラッドハムが消化不良の治療薬として売り出した飲料に起源を発する。・・・第一次世界大戦頃には全米25州にフランチャイズのボトリング工場を擁するまでに事業拡大したが、大戦中の砂糖相場の乱高下の打撃を受けて1922年に破綻した。・・・第二次世界大戦下では軍需品として特別扱いされたコカ・コーラに引き離されてしまうものの・・・自動販売機での販売を開始すると再び成長軌道に乗った。・・・1970年代にニクソンが大統領に就任、ペプシコーラはソビエト連邦政府と20年間の独占契約をした。・・・この後、ソビエト連邦ではペプシコーラは一般的に入手することが可能となり、他の共産圏諸国(東ドイツ、ルーマニアなど)でも販売された。フリトレー、ピザハット、ケンタッキーフライドチキン、タコベルなどを傘下におさめ、清涼飲料水以外の分野にも進出しているが、現在はレストラン事業はペプシコ・インクよりスピンオフし、トライコングローバルレストラン(現ヤム・ブランズ)となっている。」などと記載されている。
また、「日本における歴史」の見出しの下に、「・・・日本における一般販売は本土よりも早く1954年に、当時アメリカ統治下の沖縄で比嘉悦雄により開始される。・・・1997年に日本に於ける事業(マーケティング及び製造販売総代理権)をサントリーに譲渡し、1998年以降、飲料部門のサントリーフーズが販売している。」などと記載され、「マーケティング」の見出しの下に、「・・・それ以降も・・・などの挑戦的なCMを放送した。またイチロー、デビッド・ベッカムなども日本版限定でCMに出演していた。日本における販売活動では、現在に続く『おまけ』『ノベルティ』など付加価値を重視したマーケティングを行ってきた。」などと記載されている(甲第7号証)。
イ 2010年(平成22年)1月25日にプリントアウトされたインターブランドのウェブページの「ベスト・グローバル・ブランド 2009 ランキング」(世界のブランド価値評価ランキング)によれば、「PEPSI」は、2008年度が第26位、2009年度が第23位にランク付けされている(甲第8号証)。
ウ 「英和商品名辞典」(初版第2刷1991年 株式会社研究社発行)の「Pepsi(-Cola) ペプシ(コーラ)」の項には、「米国New York州(もとNorth Carolina州)のPepsi-Cola Co.(PepsiCo,Inc.の一部門)製の清涼飲料.1898年にdyspepsia(消化不良)をなおすcolaというところからNorth Carolina州のドラッグストアの経営者Caleb D.Bradhamによって名付けられたもので,正式な商標登録は1903年.略称のPepsiは1916年に,『1911年より使用している』として登録.」と記載されている(甲第9号証)。
エ 作成時期は不明であるが、「ペプシ ディスペンサー シロップ 商品カタログ」には、「PEPSI」の標章を付した飲料の写真が掲載されると共に、「ペプシは、挑戦します。」との表題の下に、「ご存じですか。アメリカで、カナダで、ペプシがNO.1コーラになったということを。そしてまたイギリスで驚異的な伸びを示しているということを。」などと記載され、「コーラといえば、ペプシ。野心的で独立心旺盛な世界の若者が揺るぎないNO.1の座を支えています。」との表題の下に、「1890年。米国ノースカロライナ州の小さな町でペプシコーラはデビューしました。・・・世界約150カ国で絶大なる人気を獲得しています。」などと記載されている(甲第10号証)。
オ 2010年(平成22年)1月25日にプリントアウトされたウェブページには、「PEPSI」の標章が冒頭に掲げられているほか、「日本のペプシの歴史」、「世界のペプシの歴史」の項目が設けられ、申立人の歴史や商品の発売経緯などが記載され、「PEPSI」の標章を含む各種ラベルの写真が掲載されている(甲第11号証)。
カ 申立人所有の、別掲のとおり「PEPSI」の文字と図形からなる登録第1353411号商標は、第32類「清涼飲料のもと,シロップ,その他の清涼飲料,果実飲料」を指定商品とするものであり、第3類、第6類、第8類、第9類、第14類、第16類、第18類、第20類ないし第22類、第24類、第25類及び第34類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、防護標章登録がなされている(甲第6号証及び当庁備付けの商標登録原簿)。
(2)上記(1)の認定事実によれば、申立人が清涼飲料について使用する「PEPSI」又は「ペプシ」の文字からなる商標(以下、両商標をまとめて「引用商標」という。)は、本件商標の登録出願の時には、既に、我が国はもとより、米国をはじめとする世界各国において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識され、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものといえる。
そして、引用商標が使用されている商品「清涼飲料」は、需要者が特定の者に限定されるものではなく、広範囲の者を需要者とするものであるから、引用商標の周知性は、本件商標の指定役務の分野における取引者、需要者の間にも及んでいるとみるのが相当である。
(3)他方、本件商標は、上記1のとおり「ペプシ・ピロリABC検診」の文字からなるものであり、その構成中に中黒「・」を有することから、視覚上「ペプシ」の文字部分と「ピロリABC検診」の文字とに分離して看取されるものである。
また、本件商標は、全体として一体の観念を有する成語として知られている事実は見いだせない。しかも、「ピロリ」の文字は、胃の中に生息する細菌である「ヘリコバクスター・ピロリ」の略称「ピロリ菌」を容易に認識させるものであり(甲第2号証)、職権調査によれば、例えば、次の(ア)ないし(エ)のように、胃がんの検診方法として「ABC検診」と称される手法があり、胃がんとピロリ菌が密接な関係にあるという事実が確認できることからすれば、なおさら、本件商標は、「ペプシ」の文字部分と「ピロリABC検診」の文字部分とに分離して看取されるものである。
(ア)「胃がんリスク検診(ABC検診)マニュアル」(株式会社南山堂発行、NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構編集)
(イ)「livedoorニュース」と称するウェブページ
(ウ)高崎市医師会のウェブページ
(エ)「Gastro-Health Now」と称する広報誌
なお、「ペプシ」の文字が「ペプシノゲン」を暗示させるとしても、当該文字が「ペプシノゲン」の略称として使用されている又は略称として認識されると認め得る事実は発見できない。
(4)そして、本件商標の構成中「ペプシ」の文字は、上述した申立人の周知著名な引用商標「ペプシ」と、その構成文字を同一にし「ペプシ」の称呼及びブランドとしての「ペプシ」の観念を共通にするものであって、引用商標「PEPSI」と、「ペプシ」の称呼及びブランドとしての「ペプシ」の観念を共通にするものです。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定役務について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その構成中、語頭に位置する「ペプシ」の文字部分に着目し、引用商標又は申立人を連想、想起し、該役務が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
上記3の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲

(色彩は原本を参照されたい。)
異議決定日 2010-07-06 
出願番号 商願2008-99309(T2008-99309) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X44)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田中 瑠美長澤 祥子 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2009-07-24 
登録番号 商標登録第5251010号(T5251010) 
権利者 栄研化学株式会社
商標の称呼 ペプシピロリエイビイシイケンシン、ペプシピロリエイビイシイ、ペプシピロリ、ペプシ、ピロリエイビイシイケンシン、ピロリエイビイシイ、ピロリ、エイビイシイケンシン、エイビイシイ 
代理人 名高下 嘉奈 
代理人 塚田 美佳子 
代理人 村木 清司 
代理人 高部 育子 
代理人 関口 一秀 
代理人 松嶋 さやか 
代理人 松原 伸之 
代理人 橋本 千賀子 

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