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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X2932
審判 全部申立て  登録を維持 X2932
審判 全部申立て  登録を維持 X2932
審判 全部申立て  登録を維持 X2932
管理番号 1223171 
異議申立番号 異議2010-900049 
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-02-22 
確定日 2010-09-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5281973号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5281973号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5281973号商標(以下「本件商標」という。)は、「Optiwell Control」及び「オプティウェルコントロール」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成21年4月10日に登録出願され、第29類「パーム油,その他の食用油脂,乳製品,加工野菜及び加工果実,パーム油・オーツ麦オイルを主成分とする固形状・スティック状・球状・タブレット状・錠剤状・ペースト状・クリーム状・ゼリー状・液状・粒状・粉末状・顆粒状・ビスケット状・カプセル状・チュアブル状の加工食品」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として同年10月2日に登録査定、同年11月20日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「牛乳、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、乳製品、清涼飲料、果実飲料、乳清飲料」などについて使用する、「OPTIWELL CONTROL」又は「Optiwell Control」の文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)、別掲(1)のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)、「OPTIWELL」又は「Optiwell」の文字からなる商標(以下「引用商標3」という。)及び別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標4」という。)を引用している。以下、これらを一括して「引用商標」ということがある。

3 登録異議申立ての理由の要点
(1)本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として需要者の間に広く認識されている引用商標と類似するものであり、その指定商品中の第29類「乳製品」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料」と引用商標が使用されている商品「牛乳、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、乳製品、清涼飲料、果実飲料、乳清飲料」とは同一又は類似するものである。よって、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)引用商標は、世界的に周知著名な商標であって、創造標章であること、申立人は多角経営の可能性が十分にあること、及び本件商標の指定商品と引用商標に係る商品とが密接な関連性を有することから、引用商標と類似する本件商標に接する需要者は、申立人の業務に係る商品と誤認し、商品の出所について混同するおそれがある。よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)本件商標は、外国で周知・著名な引用商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、先取り的に出願したか又は申立人の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的等の不正の目的が推認され、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがある。よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)申立人と無関係な者が、世界的に周知・著名な引用商標の存在を知り、かつ、使用すれば多大な損害が生ずることを認識しながら無断で出願し登録を受けることは、国際商道徳に反し公正な取引秩序を乱すおそれがあり、国際信義に反し公の秩序を害するものである。よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
(ア)申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品「牛乳、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、乳製品、清涼飲料、果実飲料、乳清飲料」について使用する商標として需要者間に広く認識されているものである旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出しているので、甲各号証について検討する。
甲第1号証ないし甲第5号証は、本件商標の登録書誌情報、引用商標1、3及び4に係るドイツ、欧州共同体及びベネルクスにおける登録書誌情報等であって、引用商標の周知性に関係するものではない。
甲第6号証及び甲第8号証は、ドイツ語らしき外国語によるウェブサイトの写しと認められるところ、引用商標2又は4を付した商品の写真が掲載されていることが認められるものの、訳文もなく、具体的に何について記載されたものかその詳細内容は不明である。
甲第7号証は、「パトス」と題するウェブサイトの写しと認められるところ、その内容は、主に「ファビュレス」と称する商品について紹介するものであり、「ファビュレス」を原材料とする商品の例が掲載されていること、ドイツにおける2007年の小売商品売上ベストテンの第1位として「Optiwell Contol」が掲載されていることが認められる。上記ウェブサイトは、その右下に表示された「2010/05/20」の数字に徴し、本件商標の登録出願後である2010年5月20日にプリントアウトされたものと認められるが、その最終頁に「当サイトの記載内容は記事下にある年月日に書かれたものです。」として「2009年3月16日」の表示があることからすると、本件商標の登録出願時には上記内容が掲載されていたものといえる。もっとも、上記ウェブサイトが、我が国の取引者、需要者の間にどの程度閲覧され浸透されたかは不明である。
甲第9号証は、日本貿易振興機構「JETRO」のウェブサイトの写しと認められるところ、その「アグロトレンド」の表題の頁に掲載された「ドイツ『ウェルネス食品』がトレンドに」との記事、「ジェトロセンサー」(2004年10月号)において、ドイツの食品メーカーが紹介されており、引用商標については、申立人「カンピーナ(Campina)」の項で、「国内では代表的な乳製品メーカーである同社は2003年に低カロリー、低糖を売りにしたヨーグルトおよびヨーグルト飲料の『オプティウェル』シリーズを発売した。」と記述されているのみである。
甲第10号証は、獨協大学ドイツ語学科大串ゼミのウェブサイト「CM分析・研究発表一覧(最終更新:2009年7月)」の写しと認められるところ、ヨーグルトドリンクのCMの一つとして申立人の商品が紹介され、「Campina Optiwell」と称されているにすぎない。
甲第11号証及び甲第15号証は、株式会社ラクトジャパンのウェブサイトの写し及び2008年12月26日付けラクト・ジャパン乳製品情報12月号の掲載記事等と認められるところ、引用商標に関しては、甲第11号証中の「アムステルダム駐在員情報」の項目下に、「2006年は・・・・オランダ国内での『Optimel』、『Vifit』、ドイツでの『Optiwell』といった小売用健康飲料の伸びや、・・・」との記述が見られるのみである。
甲第12号証の1及び2は、「Hatena::Diary」又は「Ameba」と題する個人ブログの写しと認められるところ、プリン又はプディングとして引用商標4を付した商品の写真が掲載され、「辞書で調べただけではよく分かりません??Optiwell PUDDING VANILLE 0.1%FETT(campina)・・・」又は「optiwellというメーカーのVANILLA Pudding」等の記述があるのみである。
甲第13号証は、英文によるオンライン百科事典「Wikipedia」及びその訳文の各写しと認められるところ、その内容は、申立人会社を紹介するものであり、引用商標に関しては、「医療補助の要求のブランド」の項目に「・Campina Optiwell(ドイツ)」との記述があるのみである。
甲第14号証は、「ロンドン大学王立Wye校農業経済および農業経営部」による「酪農乳業による牛乳のマーケティング協働戦略報告書」と題する2000年11月付けの論文の写しと認められるところ、引用商標については一切記載されていない。
甲第16号証は、「DMV Japan カンピナビー.ブイの会社情報」と称するウェブサイトの写しと認められるところ、引用商標については一切記載されていない。
甲第17号証は、引用商標1又は3の各国における商標登録リストの写しと認められるところ、各国で商標登録されたことのみにより、当該商標が周知・著名になるものでないことはいうまでもない。
甲第18号証は、引用商標1を使用した商品の販売実績グラフ(原文)の写しとのことであるが、訳文がないばかりでなく、販売国、販売形態、販売単位、市場占有率等の具体的な説明が一切なく、詳細内容は不明である。
甲第19号証は、引用商標2を使用した商品のテレビCM実績資料(原文)の写しとのことであるが、2007年及び2008年におけるテレビCMの画面と思しき写真が掲載され、引用商標2が掲載されていることが認められるものの、訳文がないばかりでなく、放映された国、テレビ局、放映時間・回数・期間等の具体的説明が一切なく、詳細内容は不明である。
甲第20号証は、引用商標1を使用した商品の認知度・市場普及率・リピート率の推移グラフ(原文)とのことであるが、訳文がないばかりでなく、上記内容について具体的な説明がなく、詳細は不明である。
甲第21号証は、本件商標権者のウェブサイト及び該ウェブサイトで紹介している新聞広告の写しと認められるところ、これらには、食品原材料「ファビュレス」について記述した箇所があるものの、申立人や申立人商品を始め、引用商標について直接言及している箇所はない。
(イ)以上のとおりであるから、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時において引用商標が使用されていることが認められるとしても、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
その他、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていることを認めるに足る証拠はない。
(ウ)そうすると、本件商標は、商標において引用商標1及び2と類似し、引用商標が使用されている商品と類似の商品を指定商品とするものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、引用商標は世界的に周知著名である旨主張するが、前示のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものとはいえないから、本件商標と引用商標との類似性及び本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品との関連性を考慮したとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人は、引用商標は国内又は外国において周知著名である旨主張するが、前示のとおり、引用商標は我が国はもとより外国においても申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものとはいえない。加えて、本件商標が不正の利益を得る目的、申立人等に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用するものであることを認めるに足る具体的な証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(4)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標が世界的に周知・著名な引用商標の存在を知りながら、無断で出願し登録を受けたものである旨主張するが、前示のとおり、引用商標は取引者、需要者間に広く認識されていたものとはいえない。加えて、本件商標権者が、引用商標及び申立人の存在を知りながら、引用商標が我が国において登録されていないことを奇貨として本件商標を先取り的に出願したとか、申立人の国内市場への参入を阻止したり、申立人に代理店契約締結を強制する等の目的で本件商標を出願したとか、又は本件商標を使用すれば申立人に多大な損害を生ずることを認識しながら無断で出願したといった、本件商標の登録出願経緯に著しく社会的妥当性を欠くような事実が存在したことを具体的に示す証左はない。
もとより、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもなく、その指定商品について使用することが社会公共の利益や一般的道徳観念に反するものともいえない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標2


(2)引用商標4


異議決定日 2010-08-17 
出願番号 商願2009-27104(T2009-27104) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X2932)
T 1 651・ 22- Y (X2932)
T 1 651・ 271- Y (X2932)
T 1 651・ 222- Y (X2932)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2009-11-20 
登録番号 商標登録第5281973号(T5281973) 
権利者 大木製▲薬▼株式会社
商標の称呼 オプティウエルコントロール、オプティウエル、コントロール 
代理人 特許業務法人ウィンテック 

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