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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X05 審判 全部申立て 登録を維持 X05 |
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管理番号 | 1223158 |
異議申立番号 | 異議2010-900004 |
総通号数 | 130 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2010-10-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2010-01-04 |
確定日 | 2010-08-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5268582号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5268582号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5268582号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成20年10月9日に登録出願、第5類「塩化タリウム(Tl-201)注射液」を指定商品として、平成21年8月31日登録査定、同年10月2日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立ての理由の要点 1 本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が自己の業務に係る商品「キット状膀胱癌診断用試薬」について使用し、本件商標の登録出願前より取引者、需要者の間に広く認識されている商標「NMP22」(以下「引用商標」という。)と類似するものであり、かつ、上記商品と類似の商品について使用するものである。 2 申立人の業務に係る商品「キット状膀胱癌診断用試薬」について使用する商標として著名な引用商標と類似する本件商標をその指定商品に使用すると、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 3 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反して登録されたものである。 第3 当審の判断 1 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について (1)申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品「キット状膀胱癌診断用試薬」について使用する商標として本件商標の登録出願前より取引者、需要者の間に広く認識されているとして、証拠(甲第2ないし第16号証)を提出しているので、該証拠について検討する。 (ア)甲第2、第3、第5ないし第10号証は、いずれもインターネットのウェブサイトの写しと認められるところ、これらは本件商標の登録出願後にプリントアウトされたものであるばかりでなく、その内容にしても甲第5、第6及び第8号証を除き、本件商標の登録出願前の事情を記述したものは見当たらない。しかも、甲第5号証は「NMP22 BladderChek試験の比較と再発する膀胱ガンの発見のための尿細胞診」と題する学術論文一編のみであり、甲第6及び第8号証は、NMP22 BladderChek試験が日本又は米国で認可されたこと等を報道する記事にすぎない。 (イ)甲第4号証の1ないし9は、申立人の業務に係る商品が米国、欧州、日本等の各国で認可されたことを証明する書面の写しと認められるものの、引用商標の具体的な使用状況を示すものではない。 (ウ)甲第11ないし第14号証は、申立人の商品の日本への年別出荷額を示す一覧表及び出荷状況を示す請求書の写しと認められるところ、これらからは引用商標の具体的な使用態様等は明らかでない。もっとも、甲第12及び第14号証の「INVOICE」中の「ITEM」欄や甲第13号証中の一覧表には、「NMP22 TEST KIT(KONICA)」、「BLADDER CANCER(NMP22)ELISA 96T」等の文字が記載されていることが認められるが、これらの文字が実際に商品又はその包装等にどのような態様で使用されているかまでは明らかでない。また、甲第12号証のINVOICEは本件商標の登録出願前の発行に係るものであるが、甲第14号証のINVOICEは本件商標の登録出願後に発行されたものである。 いずれにしても、上記出荷額は、2004年から2007年までの4年間で83万6千ドル余であり、2008年が28万5千ドル余であって、それ程大きな額ではなく、引用商標を使用した商品が日本に広く浸透するほど大量に輸入されたものとは認められない。 (エ)甲第15及び第16号証は、別件の商標登録出願に係る書誌事項及び拒絶理由通知の写しと認められるところ、該出願は審査係属中のものであり、最終的な判断が示されたものではない。 (オ)なお、上記甲第2ないし第10、第12ないし第14号証中の商品名と思しき表示は、いずれも「NMP22」であり、単に「NMP」と記載したものは見当たらない。また、甲第2号証には、「...日本国内で販売している尿中NMP22測定試薬『UNMP22テストキット』について、...。『UNMP22テストキット』は、尿中の核マトリックス蛋白(NMP22)を測定し、尿路上皮癌の診断に使用される体外診断用医薬品です。」と記述されていること、甲第5号証には、「尿サンプルはNMP22BladderChek試験を用いてNMP22の存在が測定され、...」と記述されていること、甲第6号証には、「ガンの診断薬NMP22(R)BladderChek(R)Testが膀胱ガン診断のために日本厚生労働省から認可を受けた...」と記述されていること、甲第7号証には、「路上皮癌ガン診断のためのMatritech社のNMP22(R)Testキットが日本厚生省の医療保障の対象となった...」と記述されていることなどからすると、「NMP22」自体が独立して申立人の業務に係る商品について使用する商標として認識し理解されているかは必ずしも明らかでない。 (カ)その他、引用商標を使用した商品について宣伝広告等されている事実を示す証拠は一切ない。 (2)以上からすれば、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が本件商標の登録出願時において申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。まして、「NMP22」が「NMP」と略称されている事実は発見できないことからすると、「NMP」が「NMP22」の略称として知られているものとは到底認めることができない。 なお、申立人は、引用商標の周知性を立証する証拠を追って提出する旨述べているが、相当の期間が経過するも、未だ提出するところがないので、上記のとおり判断する。 (3)上記のとおり、引用商標ないしは「NMP」の標章が、本件商標の登録出願時において申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められない以上、本件商標は、その構成中に「NMP」の文字を有するとしても、また、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品とが類似するものであるとしても、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するものということはできない。 2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について 前示のとおり、引用商標ないしは「NMP」の標章が、本件商標の登録出願時において申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認められないし、もとより、「NMP」の文字は、種々の語(例えば、「N-methylpyrrolidone」、「No Meaning Project」、「Nitrous Max Power」、「Nuclear Matrix Protein」等)の略語として用いられることがあり、それ自体強い指標力を有するものではない。 そうすると、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が構成中の「NMP」の文字に着目して引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれもないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2010-08-03 |
出願番号 | 商願2008-82328(T2008-82328) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X05)
T 1 651・ 255- Y (X05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大塚 順子 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 渡邉 健司 |
登録日 | 2009-10-02 |
登録番号 | 商標登録第5268582号(T5268582) |
権利者 | 日本メジフィジックス株式会社 |
商標の称呼 | エンカタリウムニヒャクイチテイエルチューエヌエムピイ、エンカタリウムニゼロイチテイエルチューエヌエムピイ、エンカタリウムニヒャクイチテイエル、エンカタリウムニゼロイチテイエル、エンカタリウム、チューエヌエムピイ、エヌエムピイ |
代理人 | 佐々木 美紀 |
代理人 | 東谷 幸浩 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 勝見 元博 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 寺田 花子 |