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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X01
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X01
管理番号 1222979 
審判番号 不服2009-11226 
総通号数 130 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-17 
確定日 2010-08-19 
事件の表示 商願2007-127705拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ECOFLUX」の文字を標準文字により表してなり、第1類「アルミン酸カルシウム,その他のアルミン酸塩,その他の金属酸塩,その他の無機塩類,その他の化学品」を指定商品として、平成19年12月27日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ECOFLUX』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、近年、環境破壊が極めて深刻な問題となっていることから、『エコロジーな(地球環境にやさしい)商品』が多数製造、販売されており、本願商標中の『ECO』の文字部分が、『エコロジーな(地球環境にやさしい)』という意味合いを表示する語として広く使用されている。また、『FLUX』の文字部分が『融剤』を意味する語であるから、本願商標をその指定商品中の『融剤(フラックス)』に使用するときは、全体として『地球環境にやさしいフラックス』であることを理解させるにとどまり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1) 本願商標は、前記1のとおり、「ECOFLUX」の文字を標準文字により表してなるものである。
また、本願の指定商品は、前記1のとおり第1類「アルミン酸カルシウム,その他のアルミン酸塩,その他の金属酸塩,その他の無機塩類,その他の化学品」であって、当該指定商品中には、「溶接用フラックス(融剤)」及び「はんだ付け用フラックス(融剤)」等の「フラックス(融剤)」が含まれていると認められるものである。
(2) そして、「フラックス(融剤)」については、各種辞典類及びウェブページに、例えば次のように記載がある。
ア 「新・化学用語小辞典」(株式会社講談社 1996年1月23日第3刷発行)の「フラックス(融剤)flux」の項に「1ハンダづけや溶接に際し、酸化を防ぐため表面に塗布する物質。」の記載がある。
イ 「工業材料大辞典」(株式会社工業調査会 1997年11月20日初版第1刷発行)の「フラックス(flux)」の項に「ある物質の溶解をその融点より低い温度で促進させるような溶媒をいうが、溶接やろう付けでは、良質な接合部を得るために添加する溶剤で、ホウ砂や蛍石、炭酸ソーダ、塩化亜鉛などがある。」の記載がある。
ウ 「JIS工業用語大辞典」(財団法人日本規格協会 2001年3月30日第5版第1刷発行)の「フラックス flux」の項に「溶接又はろう接の際に、母材及び溶加材の酸化物等の有害物を除去し、母材表面を保護し、又は溶接金属の精錬を行う目的で用いる材料。」の記載がある。
エ 「日東粉化工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「フラックス((融剤flux)」を見出しのもとに、「冶金では、溶錬に際し目的にあったスラグを生成させるために加える物質をいう。」の記載がある。
(http://www.nittofunka.co.jp/HP/Dic/901.html)
オ 「オンライン百科事典 Wikipedia」には、「融剤」の項に「融剤(ゆうざい)は物質を融解しやすくするために添加される物質でフラックス (flux) ともいう。」の記載があり、また、「フラックス」の項に「フラックスflux ・化学で用いられる溶剤のこと。・溶接で用いられる融剤のこと。・ろう接で用いられる融剤のこと。」の記載がある。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9E%8D%E5%89%A4)
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)
そうとすると、本願の指定商品を取り扱う業界においては、「フラックス」又は「flux」の語が「はんだ付け用のフラックス(融剤)」及び「溶接用のフラックス(融剤)」等の「フラックス(融剤)」を表すために普通に用いられているものといえる。
(3) ところで、近時の環境に関する関心の高まりの中、多くの公的機関や企業においては、環境に配慮した取組や商品であることを表すものとして、例えば次のように「ECO○○○」又は「エコ○○」と称し、「ECO」又は「エコ」の文字を語頭に用いている事実がある。(下線は合議体が付記した。)
ア 「日本経済新聞」(地方経済面 神奈川2010年6月4日付け26頁)
「横浜信金、環境保全に寄付、定期積立預金を発売。」の見出しのもと、「環境貢献と金利優遇の両面をアピールし、預金者拡大につなげる。新金融商品『横浜ECOチャレンジ2010』は3年間の積立預金で、9月30日まで販売する。」の記載がある。
イ 「日経産業新聞」(2010年5月28日付け18頁)
「三井ホーム、エコ仕様の賃貸住宅、太陽光発電、分配を選択。」の見出しのもと、「三井ホームは27日、同社初のエコ仕様賃貸住宅『eco賃貸』・・・を28日に沖縄を除く全国で販売すると発表した。」の記載がある。
ウ 「読売新聞」(中部朝刊 2010年5月28日付け10頁)
「ボタン押すだけで無線LANを設定 中電子会社新サービス=中部」の見出しのもと、「接続機器を操作して『ECOモード』にすれば、従来に比べて消費電力を47%削減できる。」の記載がある。
エ 「読売新聞」(東京朝刊 2010年5月18日付け31頁)
「電気代630万節約 ゴミは3割減量 前橋市、1年で=群馬」の見出しのもと、「前橋市は、昨年4月から取り組んでいる『ECOプロジェクト』の1年の成果を発表した。」の記載がある。
オ 「毎日新聞」(東京朝刊 2010年5月17日付け7頁)
「エコで勝負:JTB 『ECOバイク 旅チャリ』」の見出しのもと、「旅行客に二酸化炭素(CO2)を排出しない自転車を使ってもらい、人とのふれあいや、旅先の自然を肌で感じてもらうのが狙い。『ECOバイク 旅チャリ』の名で08年11月に首都圏の7拠点で開始し、1年半で全国106拠点に拡大した。」の記載がある。
カ 「株式会社ライオン事務器」のウェブサイトにおいて、「ライオン事務器 ecoキッズ」を見出しのもとに、「eCOキッズ 考えよう!エコロジー 『エコロジーってどんなこと?』『エコ商品って何?』身のまわりの物から環境のことを考えてみませんか?」の記載がある。
(http://www.lion-jimuki.co.jp/ecology/ecokids/)
(4) 以上のことからすれば、本願商標は、例え「ECOFLUX」と標準文字で一連に表してなるとしても、「フラックス(融剤)」をはじめとする本願の指定商品の取引者・需要者は、当該文字を「ECO」と「FLUX」の二語を結合してなるものと容易に理解するとみるのが自然である。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中「フラックス(融剤)」について使用するときは、これに接する取引者・需要者をして「ECOFLUX」の文字を、当該商品が「環境に配慮したフラックス(融剤)」であることを表したもの、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当であり、また、指定商品中「フラックス(融剤)」以外の商品に使用するときには、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、過去の登録例をあげて、本願商標が登録されるべきである旨主張しているが、登録出願に係る商標が登録されるか否かの判断は、指定商品の取引の実情を考慮し、当該商標の全体構成に基づいて、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであって、本願商標が商品の品質を表示するものであること上述のとおりであるから、この点についての請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-06-16 
結審通知日 2010-06-22 
審決日 2010-07-07 
出願番号 商願2007-127705(T2007-127705) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X01)
T 1 8・ 272- Z (X01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人石戸 円 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 旦 克昌
小畑 恵一
商標の称呼 エコフラックス、エコ、イイシイオオ 

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