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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 036
管理番号 1221561 
審判番号 取消2009-301083 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-09-25 
確定日 2010-08-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第3161133号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3161133号商標(以下「本件商標」という。)は、「ホロス」の文字を横書きしてなり、平成4年9月29日に登録出願、第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,保険料率の算出,生命保険契約の締結の媒介」を指定役務として同8年5月31日に設定登録され、その後、同18年5月23日に商標権の存続期間の更新登録がなされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出している。
1 請求の理由
(1)取消事由
本件商標は、その指定役務(審決注:「指定商品」は誤記と認められる。)第36類「損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,保険料率の算出,生命保険契約の締結の媒介」について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実は存在しない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
(2)取消原因
ア 本件商標について、インターネットの検索エンジン(Google、Yahoo)によって「千寿製薬 ホロス」及び「千寿製薬 HOLOS」にて検索したところ、「千寿製薬」における「ホロス」又は「HOLOS」のいずれの使用も認められなかった(甲第2号証及び甲第3号証)。
イ 被請求人「千寿製薬株式会社」(以下、「千寿製薬社」という。)のホームページにて「ホロス」の文字を検索したところ、該当する情報は見つからなかった(甲第4号証)。
ウ 本件商標については、商標登録原簿謄本によれば、専用使用権者及び通常使用権者の登録はなされていない。したがって、いずれの使用権者も存在しないものと認められ又は推定される。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、答弁書において、使用権者の存在と本件商標使用の立証について主張しているが、これらの主張と証拠では本件審判に必要な本件商標の使用が認められるものではない。請求人は、これらの点について以下に具体的に反論するとともに、被請求人が立証していない通常使用権の許諾の不存在も併せて主張する。
(2)使用権者の存在について
ア 被請求人は、乙第1号証ないし第3号証を挙げて、使用権者の存在を主張している。しかしながら、これらの証拠は使用権者が実際に存在して営業を行っているかを立証するのに十分な証拠力を有していない。
例えば、乙第1号証(履歴事項全部証明書)は、平成1年12月20日に法務局で登記されたということは立証できるかもしれないが、有限会社ホロス(以下「ホロス社」という。)が実際に存在して営業を行っていることまで十分に立証されるものではない。
乙第2号証(代理店登録・募集人届出内容確認シート)は、保険会社に登録されていることを示すかもしれないが、そのことをもってホロス社が実際に存在して営業を行っていることまで十分に立証されるものではない。言うなれば、保険代理店は個人事業又は小規模会社が行う場合が多く、登録していても実際に営業を行っていないことも決して珍しくない。
乙第3号証(各種資格証明書)は、豊田一美氏個人が各種資格認定を受けていることを示すかもしれないが、そのことをもってホロス社が実際に存在して営業を行っていることまで立証されるものではない。そもそも、本来であれば代表取締役の吉田郁子氏の各種資格認定を示すはずのものが、登記簿上において一取締役に過ぎない豊田一美氏のみの各種資格認定を示すのも不可解である。ちなみに、後の乙第5号証の名刺も代表取締役の吉田氏ではなく、肩書きなしの豊田氏である。
イ さらに、請求人側において、ホロス社の存在を調査するべくインターネットの各種検索エンジンで詳細に検索したが、請求人のサイト関連のものばかりが検索され、ホロス社のホームページはもとより、ホロス社の存在を示すサイトは一切存在していなかった。近年のインターネットの普及からかんがみて、その存在を示すサイトが一切存在していないのは不可解であり、幽霊会社である可能性が極めて高いといわざるを得ない。
また、請求人側において、ホロス社が示す住所(平野町センチュリービル)に実際に赴き調査を行ったところ、甲第5号証に示すとおり、現住所の表看板、案内看板のいずれにも被請求人「千寿製薬社」は表示されているが、ホロス社は表示されていないし、被請求人の玄関においてもホロス社の存在を示すものが存在しなかった。
ウ 以上より、ホロス社が実際に存在して営業していることを示す客観的な証拠が存在しない以上、通常使用権者が存在していない可能性は高い。
(3)本件商標使用の立証について
被請求人は、乙第4号証ないし第9号証を挙げて、本件商標の使用を主張している。しかしながら、これらの証拠は、いずれも本件審判の請求の登録前3年間における本件商標の使用を立証するのに十分な証拠力を有していない。
例えば、乙第5号証(名刺)、乙第6号証の1(大型封筒)及び2(小型封筒)については、形式上では「有限会社ホロス」の文言が記載されているが、いずれも使用の日付を特定することができず証拠力はない。あえて言うならば、本件審判の請求の登録後に作成したとも言える。
乙第4号証(パンフレット)については、表紙の右上部に「平成20年11月」と記載されており、パンフレットが同年月に存在していた可能性はある。しかしながら、「有限会社ホロス」の文言はパンフレットと一体に印刷されたものではなく、パンフレットの裏表紙に単に押印されているに過ぎないものであり証拠力が乏しい。あえて言うならば、上述と同様に本件審判の請求の登録後に押印したとも言える。
乙第7号証(火災保険契約更改申込書)、乙第8号証(運送保険契約更改申込書)及び乙第9号証(保険料領収証)については、いずれもホロス社と被請求人との間のものであり、言うなれば身内同士のものであって客観的な証拠とはいい難い。しかも、申込書や領収書を見ても、第三者の認証等があるわけでもなく、商標権者側でいくらでも偽造できるものばかりであり、証拠力が乏しい。
したがって、これらの証拠は証拠力がないか、あるいは乏しいものばかりであるため、本件商標の使用を十分に立証するものではない。
(4)通常使用権の不存在について
被請求人は、答弁書において「商標権者は、兵庫県西宮市段上町四丁目9番21号に本店を有するホロス社に対して通常使用権を許諾している。この通常使用権は、本件商標登録原簿に登録されていない。換言すれば、ホロス社は本件商標に関する未登録の通常使用権者である。」と主張している。
しかしながら、本件審判における通常使用権は、必ずしも特許庁に登録されていることまでは必要ないとはいえ、確固たる客観的な証拠により通常使用権の立証がされなければならない。この点、被請求人は上記のとおり主張するのみで、通常使用権の許諾の存在を何ら立証していない。
この通常使用権の許諾の存在を示すものとしては、例えば契約書の存在が挙げられるが、答弁時において提出されていないことからかんがみて、そのような契約書は存在していないものと推察する。請求人の今回の主張により、万一、このあとに契約書を提出しようとするならば、偽造も可能であることから、本件審判の請求の登録前の確定日付などが付いた客観的な契約書の必要がある。
仮に、契約書が存在していなくても通常使用権の許諾を十分に立証できる場合があるかもしれないが、具体的に商標権者とホロス社との関係を見ると、特に子会社の関係もなく、役員も共通しておらず、商標登録出願日とホロス社の設立日が近接しておらず、会社名も何ら共通しておらず、実際の業務も製薬業(被請求人)と保険業(ホロス社)と共通していない。さらに上述のように住所を同一と主張しながらも、表看板、案内看板、会社玄関などには何らホロス社の存在を示すものはない。
このような状況からかんがみて、被請求人がホロス社に通常使用権を許諾している事実は何ら確認することができない。よって、通常使用権の許諾が存在していないことから、被請求人が商標を使用していない以上、本件商標は何人にも使用されていないものである。
(5)以上より、ホロス社は、審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を指定役務について使用していない、あるいは少なくとも被請求人からホロス社に対して通常使用権を許諾していないため、本件審判請求は成り立つものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出している。
1 答弁の理由
(1)使用権者の存在
本件商標に関して、商標権者は、兵庫県西宮市段上町四丁目9番21号に本店を有するホロス社に対して通常使用権を許諾している。この通常使用権は、商標登録原簿に登録されていない。換言すれば、ホロス社は本件商標に関する未登録の通常使用権者である。
通常使用権者のホロス社は、同社の履歴事項全部証明書(乙第1号証)に示すとおり、(a)不動産の賃貸業及び管理業、(b)損害保険代理業、(c)生命保険の募集に関する業務及び(d)上記各号に附帯する一切の業務を目的とする会社である。
ホロス社は、設立時は大成火災海上保険株式会社の代理店であったが、2002年12月1日に株式会社損害保険ジャパンと大成火災海上株式会社との合併により、株式会社損害保険ジャパン(以下「損保ジャパン社」という。)の代理店となった。ホロス社が損保ジャパン社に提出している「代理店登録・募集人届出内容確認シート」のコピーを乙第2号証として提出する。
また、ホロス社の取締役である豊田一美に対して、社団法人日本損害保険協会が交付した「損害保険募集人試験(合格証)」、損保ジャパン社が交付した「損害保険代理店事故対応力認定制度一般(全種目)資格証明証」、「損害保険代理店事故対応力認定制度専門(全種目)資格証明証」及び「損害保険代理店商品(総合)資格証明証」の各コピーを乙第3号証として提出する。豊田一美がホロス社の取締役であることは乙第1号証の役員欄を参照されたい。
(2)本件商標の使用の立証
通常使用権者であるホロス社は、本件審判の請求前3年以内に、少なくとも本件指定役務である「損害保険契約の締結の代理,生命保険契約の締結の媒介」について、乙第4号証ないし乙第9号証が示すように、本件商標を使用していた。
これらの証拠からわかるように、ホロス社の主たる営業所は「大阪市中央区平野町二丁目5番8号」にある。この営業所住所は、本件商標権者「千寿製薬社」の住所と同じであり、実際、同じビル(平野町センチュリービル)の2階にある。
これらの使用証拠中、乙第7号証ないし乙第9号証では、役務が「損害保険契約の締結の代理」であり、使用されている商標が「ホロス」であるので、登録商標の適法な使用であることについて疑問の余地はない。
乙第4号証ないし乙第6号証では、「ホロス」単独ではなく、会社名として「有限会社ホロス」と表記されている点で、登録商標の構成とは異なる。しかしながら、「有限会社」の表示は、いうまでもなく法人の種類を示すものであって、この文字自体では識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、自他役務を識別する商標としての「ホロス」の文字からなる本件商標の本質的機能は損なわれていないというべきである。同旨の審決例(取消2002-30131)を乙第10号証として提出する。
(3)結論
本件では、審判の請求前3年以内に、通常使用権者であるホロス社が、少なくとも本件指定役務である「損害保険契約の締結の代理,生命保険契約の締結の媒介」について本件商標を使用していたので、本件審判の請求は成り立たない。
2 第2答弁
(1)使用権者の存在について
ア 乙第1号証及び乙第2号証により、使用権者が存在することが法律的にも実体的にも証明されている。
イ 乙第3号証は取締役豊田一美の各種資格証明書であり、使用権者が有資格者を有することが証明されている。代表取締役の各種資格証明書を提出していないと請求人はいうが、実務担当者が資格を有していれば必要にして十分であり、必ずしも代表取締役が有資格者である必要はない。
ウ 使用権者がインターネット上にホームページサイトを有していない、というのは事実である。その理由は、使用権者は固定顧客及びその固定顧客から紹介された顧客のみを対象にして営業をしている保険代理店であって、不特定多数の顧客をインターネットで募集するような営業形態を採用していないためである。そのような営業は、今どき珍しいかも知れないが、そのこと自体何らとがめられるべきことではない。
エ 使用権者が主たる営業場所(平野町センチュリービル)に存在しないという請求人の主張は明らかに事実に反する。請求人の調査者が実際にこのビルを訪ねて調査をしたのはビルの案内看板の写真(甲第5号証)を提出しているので間違いないが、ビルの中まで入って確かめなかったようである。2階(このことは答弁書で明記している)に上がれば、乙第11号証の写真に示すように、使用権者の事務室のドアが見えたはずである。使用権者がビルの案内看板に会社の名前を出していないのは、インターネットのホームページサイトに関して述べたのと同じ理由による。
念のため、使用権者の営業場所を証明するものとして、損保ジャパン社発行の「代理店親口座登録情報(基本)」のコピー(乙第12号証)を提出する。この書類の3/3頁に「文書送付先」として使用権者の営業場所が記載されている。
(2)本件商標使用の立証について
ア 被請求人が提出した乙第4号証ないし乙第9号証について、請求人は「本件審判請求の登録後に作成した」ものであるとか、「商標権者の側でいくらでも偽造できる」などと、根拠も示さず、推測のみに基づいていろいろ述べているが、被請求人も使用権者も誓ってそのような不正な行為はしていない。
イ 使用権者が損保ジャパン社と継続的に取引していることについて、請求人は本件審判の当事者以外の第三者の証明がないという。そこで、被請求人は、さらに乙第13号証ないし乙第18号証を提出する。
ウ 乙第13号証の証明書では、損保ジャパン社とホロス社との間の過去5年間の取引件数が記載されている。それを見ると、取引件数は年間230件前後であり、好不況にかかわらずあまり増減が見られない。このことは、先に述べた「使用権者は固定顧客及びその固定顧客から紹介された顧客のみを対象にして営業をしている」という事実を数字の上でも裏付けるものである。
乙第14号証ないし乙第18号証は、第三者である損保ジャパン社の証明書である。
(3)通常使用権の存在について
請求人が推察したとおり、被請求人は、使用権者との間で本件商標について通常使用権契約書を取り交わしていないので、契約書のコピーは提出することができない。しかしながら、民法上、双方の合意さえあれば、たとえ口頭であっても契約は成立するのであるから、文書がないからといって契約が不存在ということにはならないのは当然のことである。まして、本件では、被請求人と使用権者が一つのビルに同居しているのであるから、使用権者が被請求人に無断で長期間にわたって本件商標を使用できるわけがないのは誰が考えても分かることである。
請求人は、被請求人と使用権者の間で役員が共通していないとか、商標登録出願日とホロス社の設立日が近接していないとか、会社名が共通していないとか、実際の業務(製薬業と保険業)が共通していないとか、いろいろ述べているが、商標使用契約を締結するに当たってそれらの事実は全く支障とはならないことはいうまでもない。このような疑問に答える義務はないが、被請求人と使用権者の代表取締役同士は親戚関係にある。
念のため、通常使用権の存在に関する被請求人の「証明書」を乙第19号証として提出する。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第4号証は、損保ジャパン社作成の「国内旅行総合保険/国内旅行傷害保険特約付帯 傷害保険」に関するパンフレットの写しと認められるところ、その表紙の右上に「平成20年11月」と記載されており、最終頁の下段には、「このパンフレットは概要を説明したものです。詳しい内容については、取扱代理店またはお近くの損保ジャパンにお問い合わせください。取扱代理店は引受保険会社との委託契約に基づき、お客さまからの告知の受領、保険契約の締結、保険料の領収、保険料領収証の交付、契約の管理業務等の代理業務を行っています。・・・」等と記載され、「株式会社 損害保険ジャパン」の文字が住所、電話番号等と共に記載されている。また、その右側には「お問い合せ先」として「大阪市中央区平野町二丁目5番8号 有限会社 ホロス」の文字が電話番号等と共にゴム印で押印した如き態様で記載されている。
イ 乙第7号証は、損保ジャパン社に宛てた「火災保険契約更改申込書」の写しと認められるところ、「申込日」の欄に「平成20年11月28日」、「申込人(ご契約者)」の欄に「大阪市中央区平野町2-5-8 千寿製薬株式会社」、「保険期間」の欄に「平成20年12月3日午後4時から平成21年12月3日午後4時まで1年間」、「取扱代理店/仲立人」の欄に「ホロス (コード)6473」とそれぞれ記載されているほか、保険の目的、特約条項等が記載されている。
ウ 乙第8号証は、損保ジャパン社に宛てた「運送保険契約更改申込書〔期間(建)契約用〕控」の写しと認められるところ、「申込日」の欄に「2008年11月28日」、「保険契約者(申込人)」の欄に「大阪市中央区平野町2丁目5番8号 千寿製薬株式会社」、「保険・契約期間」の欄に「2008年12月3日午前零時から2009年12月2日午後12時まで1年間」、「代理店/仲立人」の欄に「ホロス」とそれぞれ記載されているほか、輸送用具、輸送区間、保険価額、基本条件および特約事項等が記載されている。
エ 乙第9号証は、損保ジャパン社の「保険料領収証」の綴りの表紙及びその内容頁の写しと認められるところ、その表紙には「使用期限2010年4月末まで」と記載され、「株式会社損害保険ジャパン」の表示の下に、代理店名として「ホロス 6473」、交付年月日として「2009年10月5日」とそれぞれ記載されている。また、内容頁には、「保険契約者」の欄に「千寿製薬株式会社様」、「領収日」の欄に「平成21年10月23日」、「代理店 取扱者」の欄に「大阪市中央区平野町二丁目5番8号 有限会社 ホロス」とそれぞれ記載されているほか、保険料等が記載されている。
(2)上記(1)の認定事実によれば、ホロス社は、本件審判の請求の登録(登録日は平成21年10月14日)前3年以内の期間である、少なくとも平成20年11月28日頃及び平成21年10月5日頃に、損保ジャパン社の代理店として「損害保険の締結の代理」の役務を提供していたものと認められる。
また、 上記乙第4号証及び第7号証ないし第9号証は、いわゆる取引書類といえるものであり、それらに記載された「ホロス」及び「有限会社 ホロス」の文字は、役務の提供者を示すものであり、役務の出所標識たる商標としての機能を果たすものといえる。さらに、当該「有限会社 ホロス」の文字は、その構成中「有限会社」の文字が会社の種類を示すものであり、それ自体では自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、「ホロス」の文字部分が自他役務の識別標識たる要部というべきである。
そうとすれば、これら乙各号証に記載された「ホロス」又は「有限会社 ホロス」の文字は、「ホロス」の文字からなる本件商標と社会通念上同一というべきである。
2 通常使用権者の存在について
通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、黙示の契約によっても可能であり、また、商標法第50条における通常使用権者による登録商標の使用というために通常使用権の登録を要するものではない(知財高裁平成21年(行ケ)第10290号判決参照)。
これを本件についてみると、本件商標に係る商標登録原簿には、通常使用権者は登録されていないが、被請求人は、ホロス社に対し通常使用権を許諾している旨主張していること、また、上記1(1)の認定事実によれば、被請求人の住所とホロス社の営業所は、記載文字の差異はあるが、いずれも「大阪市中央区平野町二丁目5番8号」であること、さらに、被請求人は、ホロス社が「ホロス」及び「有限会社 ホロス」の表示をもって「損害保険契約の締結の代理」業務を行っていることを知ったうえで損害保険契約をし、その関連書類を証拠として提出していることを総合すれば、その契約当時、被請求人とホロス社との間で本件指定役務中「損害保険契約の締結の代理」について黙示の使用許諾があったとみるのが自然である。
なお、請求人はホロス社が実際に業務を行っていない、あるいは、幽霊会社の可能性が高い旨主張しているが、損害保険会社が作成したパンフレットに代理店等が自己の氏名や名称を押印することは普通に行なわれているし、ホロス社が被請求人と「損害保険契約」を行っていること上述のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
3 まとめ
そうとすれば、通常使用権者であるホロス社は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務中「損害保険契約の締結の代理」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたといわなければならない。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定役務中「損害保険契約の締結の代理」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-06-07 
結審通知日 2010-06-09 
審決日 2010-06-22 
出願番号 商願平4-262849 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (036)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加園 英明 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 1996-05-31 
登録番号 商標登録第3161133号(T3161133) 
商標の称呼 ホロス 
代理人 小林 正樹 
代理人 岡本 昭二 
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