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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X050910141621242526 |
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管理番号 | 1219996 |
審判番号 | 取消2008-301491 |
総通号数 | 128 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-08-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-11-28 |
確定日 | 2010-05-20 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第289393号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第289393号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲の構成よりなり、昭和11年8月12日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月24日に設定登録され、その後、同31年10月31日、同52年9月5日、同62年5月20日、平成9年4月18日及び同18年12月5日の5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年7月9日に、指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第14類「ネクタイ止め,ネクタイピン,カフスボタン」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第21類「家事用手袋」、第24類「布製身の回り品」、第25類「被服(頭から冠る防虫網・あみ笠・すげ笠・ナイトキャップを除く。),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,地下足袋,運動用特殊衣服(剣道衣・柔道衣・空手衣を除く。),マラソン足袋」及び第26類「腕止め,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ボタン,スナップボタン,ホック」とする指定商品の書換登録がされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 また、本件審判の請求の登録日は、平成20年12月16日である。 2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)第1答弁書に対する弁駁 ア 請求に係る指定商品中の第24類の商品は、「布製身の回り品」であり、当該商品は、被請求人が使用を主張する「織物」や「絹織物」とは異なる商品である。 よって、上記使用の事実は、請求に係る指定商品中の第24類の商品の使用には当たらないから、その使用は立証されていない。 イ 被請求人は、請求に係る指定商品中の第25類「被服」について、乙第4号証から乙第7号証を提出し、紳士下着(ブリーフ、以下「使用商品1」という。)に本件商標が表示され、これが、1996年(平成8年)4月から現在まで製造、販売され、八木文株式会社(以下「八木文」という。)に納品された旨主張する。 (ア)乙第4号証によれば、使用商品1には、本件商標と同一の二重丸の図形及び独特にデザインされた「gunze」の文字及び「L 綿100% MADE IN CHINA CIG」の印刷がされている。 しかしながら、商品自体に、上記のような商標及び文字等を印刷することは極めて容易にできることである。 また、被請求人は、乙第4号証の商品が、乙第7号証の取引先に納品されたことを立証するのみであり、使用商品1が「快適仕様 GC 100」のブランドの付いたパッケージ(乙第5号証)に入れられ、市場において現実に販売されていることまでは立証していない。 本件商標及び文字等が実際に使用されているというのであれば、使用商品1は、大量生産されるものであるから、本件商標及び上記文字等が印刷された使用商品1が、複数、我が国の市場で現実に販売されているということが立証されるべきである。 さらに、本件商標は、商品自体には付されているものの、需要者に一目で視認されるパッケージ自体には付されていない(乙第4号証ないし乙第6号証)。このような使用事実は、極めて不自然なものといわなければならない。 (イ)請求人は、本件審判の請求前に本件商標の使用についての市場調査を行ったところ、使用商品1が、市場において現実に販売されている事実を発見できなかった。 請求人は、市場で、パッケージに入れられた紳士下着を入手することができた(甲第1号証)が、当該パッケージには、「快適工房/GUNZE」のブランドが表示されてはいるものの、当該下着及び当該パッケージには、本件商標及び上記文字等は全く示されていない。 また、1999年(平成11年)11月9日付け読売新聞の記事(甲第2号証)には、被請求人が、男性下着に、新ブランド「快適工房」を使用することが紹介され、これは、1989年(平成元年)から茶色い二重丸の「茶マーク」(請求人注釈:これは本件商標を意味する。)で知られた肌着類を引き継いだ旧ブランド「CQ-1」ブランドをさらに引き継ぐものである旨、記載されている。 すなわち、当該記事では、被請求人のブランドが、茶色の二重丸「茶マーク」から、1989年(平成元年)には、「CQ-1」ブランドへ、さらに、1999年(平成11年)11月からは、「快適工房」ブランドへと変遷してきたことが説明されているのである。 加えて、2003年(平成15年)8月25日付け繊研新聞の記事(甲第3号証)によれば、被請求人の当時の社長である小谷茂雄氏の話として、被請求人が、1988年(昭和63年)に「茶マーク」を「CQ-1」ブランドへ全面刷新し、その後、「CQ-1快適工房」へ変更してきた旨、記載されている。同記事は、甲第2号証の記事内容と符合するものである。 このように、市場で現実に入手できる被請求人の男性下着には、本件商標は全く使用されていないのである。 ウ 以上のとおり、乙各号証によっては、本件商標の使用事実は証明されていない。 (3)第2答弁書に対する弁駁 請求人は、第2答弁書に対しては弁駁していない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 (1)第1答弁書 ア 被請求人は、以下のとおり、本件請求に係る指定商品中の第24類「織物」に含まれる「絹織物」及び第25類「被服」に含まれる「紳士肌着」(使用商品1)について、本件商標を本件審判の請求日前3年以内に日本国内で使用していた(乙第2号証ないし乙第7号証)。 (ア)乙第2号証は、被請求人の子会社である加賀グンゼ株式会社(石川県小松市島ヲの一番地、以下「加賀グンゼ」という。)が1952年から現在まで製造、販売している和装用裏地の「絹ばら」羽二重である。生地の反端に楕円形のプリントされたものがあり、下方に「GUNZE HABUTAE」、上方に「SPECIAL」「QUALITY」の表示と共に、本件商標が表示されている。また、外装には、規格番号を表示したラベルが貼られている(写真中央)。これにより品番「1474」、規格「74×46」を記載し販売していたことがわかる。 (イ)乙第3号証は、2008年(平成20年)8月25日付けで、加賀グンゼがその代理店である丹後生糸株式会社に依託し、得意先であるセーレン株式会社に対して、乙第2号証に示す商品を出荷した際の出荷案内書(写し)である。当該出荷案内書には、納品委託元の「加賀グンゼ株式会社」及び納品先の「セーレン株式会社」、当該商品の品番・規格、及び上記の出荷年月日が記載されている。これにより当該商標を付した商品が納品され、商標を使用していたことが明らかである。 (ウ)乙第4号証は、被請求人が1996年(平成8年)4月から現在まで製造、販売している使用商品1に本件商標がプリントされている商品の全体の写真(写し)及びプリント部拡大写真(写し)である。使用商品1の左上に、本件商標が転写プリントにより表示されている。 (エ)乙第5号証は、使用商品1がパッケージに入れられた状態であり、この状態で販売されている。パッケージには、品名「ブリーフ」、サイズ「L」、品番「GK21316」等が表示されている。 これにより、使用商品1のパッケージに、品番「GK21316」を記載して販売していたことがわかる。 (オ)乙第6号証は、乙第5号証のパッケージの裏面である。下方部には、商品の製造元である「グンゼ株式会社」の名称が記載されている。 (カ)乙第7号証は、2008年(平成20年)10月10日付けで被請求人が得意先である八木文(愛知県名古屋市中区栄2丁目4-12)に対して、使用商品1を出荷した際の売上伝票(写し)である。 当該売上伝票(写し)には、納品元の「グンゼKK」及び納品先の「ヤギブンKK」、使用商品1の品番「GK21316」、サイズ「L」、売上伝票発行年月日が記載されている。 なお、「グンゼKKトウカイ」とは「グンゼ株式会社東海支店」のことである。 これらにより、本件商標が使用されていたことが明らかである。 イ むすび 以上のとおり、被請求人は、請求に係る指定商品である、第24類「絹織物」及び第25類「被服」について、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に使用している事実がある。 (2)第2答弁書 ア 被請求人が、従来から使用してきた茶色の二重丸「茶マーク」をリフレッシュするためにパッケージを変え、「CQ-1」、「快適工房」へとブランドを変遷してきたことは事実である。 しかしながら、そのことをもって、本件商標が本件審判請求に係る指定商品に全く使用されていないということはできない。 本件商標は、「グンゼCSR報告書2006」(乙第8号証)にあるように、大正4年に制定されて以降、現在も継続して使用されている被請求人の社章を表した商標であり、現在もなお、被請求人の製造、販売に係る一定の商品に、被請求人が製造、販売する高品質な商品であることを示す商標として、商品に直接付され使用されているものである。 イ 本件商標が商品にしか付されていないのは、本件商標が会社理念を表す商標であり、伝統の重みのある商標であるため、安易にパッケージデザインに組み込むことができないという理由によるものである。 商標法上、商品に標章を付する行為、商品に標章を付したものを譲渡する行為が商標の使用として定義されていることからすれば(商標法第2条第3項第1号、同第2号)、パッケージに使用されていなくとも、商品に直接付され、その商品が販売されたことをもって、本件商標について商標法上の商標の使用が行われたことは明らかである。 ウ 乙第4号証ないし乙第7号証から、本件商標が付された使用商品1が、八木文との間で商取引の対象物として売買されたことは明らかであり、商品が市場において最終消費者向けに販売されたという事実の立証をなさずとも、商標法第50条における商標登録の取消しの要件との関係において、商標の使用が行われたという事実の立証は充分になされていると考える。 エ 本件商標が、被請求人の製造、販売に係る一定の商品に使用されている事実として、本件審判請求の登録前3年以内に、使用商品1のみならず、「和装用肌着」にも使用されていることを付加的に申し述べる。 乙第9号証及び乙第10号証は、被請求人が製造、販売している「和装用肌着」がパッケージに入れられた状態の写真及び「和装用肌着」をパッケージから出した状態の写真である。 当該「和装用肌着」には、本件商標と同一の商標がプリントされており、乙第9号証のパッケージ表面には品名である「和装七分パンティ」、サイズ「M」、品番「5164」が、また、乙第10号証のパッケージ表面には、品名である「和装三分パンティ」、サイズ「L」品番「5163」がそれぞれ記載されている。 乙第9号証及び乙第10号証にある、これらの商品の裏面写真には、商品の製造元である「グンゼ株式会社」の名称が記載されている。 乙第11号証は、乙第9号証の「和装用肌着」が東京都中央区日本橋横山町6の18所在の株式会社宮入(以下「宮入」という。)に販売された際の納品書控(写し)である。 当該納品書控(写し)には、納品元である「グンゼ KK」(「グンゼ株式会社」を指す。)、納品先である「KK ミヤイリ」(「宮入」を指す。)、品番「5164」、品名「W.7.パンティ」(「和装七分パンティ」を指す。)、販売数量、金額、納品日である「080422」(「2008年4月22日」を指す。)が記載されている。 乙第12号証は、乙第10号証の「和装用肌着」が東京都中央区日本橋横山町5番6号に所在の株式会社丸中商会(以下「丸中商会」という。)に販売された際の出荷案内書(写し)である。 当該出荷案内書(写し)には、出荷元である「グンゼ KK」(「グンゼ株式会社」を指す。)、出荷先である「KK マルナカショウカイ」(「丸中商会」を指す。)、品番「5163」、品名「W.3.パンティ」(「和装三分パンティ」を指す。)、販売数量、金額、納品日である「080410」(「2008年4月10日」を指す。)が記載されている。 したがって、本件商標が本件審判請求に係る指定商品に含まれる「和装用肌着」に本件審判請求の登録前3年以内に使用されていることは明らかである。 4 当審の判断 (1)乙第10号証及び乙第12号証によれば、以下の事実を認めることができる。 ア 乙第10号証3頁目は、和装肌着(以下「使用商品2」という。)の写真(写し)及び同第8号証4頁目は、使用商品2のウエスト部分を拡大した写真(写し)であるところ、使用商品2のウエスト部の右下には、本件商標と構成を同じくする、太線円輪郭とその内部に太線円輪郭と同心円とする小さな円図形を配した図形がいずれも赤色で直接印刷されている。 しかして、当該図形よりなる商標は、色彩を本件商標と同一にするものとすれば本件商標と同一の商標であると認められるものである(商標法第70条第1項)から、本件商標と同一と認められる商標である。 イ 乙第10号証1頁目は、使用商品2を透明のプラスチック製包装袋に入れた状態の表面写真(写し)であり、同号証2頁目は、当該包装袋の裏面写真(写し)であるところ、当該包装袋の表面には、左側に、「グンゼ」、「和装三分パンティ」、「品番 5163」、「L」、「03 ホワイト」、「4901420028406」等の文字及び数字が表示され、また、中央部に、上記アで認定した本件商標と同一の構成よりなる商標等が包装袋の上から見えるように、使用商品2が表示されている。 また、当該包装袋の裏面には、「和装肌着」、「製造 グンゼ株式会社」等の文字が表示されている。 ウ 乙第12号証は、被請求人から「KK マルナカシヨウカイ」に宛てた、納品年月日を「080410」とする「納品No.5405」の「出荷案内書」(写し)であるところ、同号証の2段目には、「品番:5163」、「品名:W.3.パンティ」、「カラー:ホワイト」、「サイズ:M」、「数量:10」、「単価:6000」、「金額:6000」等と記載されている。 (2)上記(1)で認定した事実及び答弁の理由を総合すると、被請求人は、使用商品2(品番を「5163」とする「和装肌着」)について、本件商標と同一と認められる商標を表示し、これを本件審判の請求の登録前3年以内である2008年(平成20年)4月10日に、東京都中央区に所在の丸中商会に納品したことを推認することができる。 そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の使用商品2に、本件商標と同一と認められる商標を使用し、これを市場に流通させていたものと認めることができ、上記被請求人の行為は、商標法第2条第3項第1号に規定する「商品に標章を付する行為」及び同2号に規定する「商品に標章を付したものを譲渡し又は引き渡す行為」に該当するというべきである。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、使用商品1及び2に商標及び文字等を印刷することは極めて容易にできることであり、他方、本件商標及び文字等が実際に使用されているというのであれば、我が国の市場で、使用商品1及び2が複数販売されているということが立証されるべきであるところ、その事実が立証がなされていない旨主張する(審決注:請求人は、使用商標1についてのみ、当該主張をしているが、当該主張は使用商品2に関しても当てはまることから、請求人は使用商品2についても同じ内容の主張をしたものとする。)。 しかし、本件商標と同一の商標が表示された使用商品2が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において取引に資されたと認められることは、乙第12号証(出荷案内書)により明らかである。 したがって、請求人の上記主張は理由がない。 イ 請求人は、本件商標は、下着自体には付されていながら、需要者に一目で視認されるパッケージ自体には付されておらず、このような使用事実は、極めて不自然なものである旨主張する(審決注:請求人は、使用商標1についてのみ、当該主張をしているが、当該主張は使用商品2に関しても当てはまることから、請求人は使用商品2についても同じ内容の主張をしたものとする。)。 しかし、前記認定のとおり、使用商品2は、透明のプラスチック製包装袋に包装され、これに表示された商標等が需要者の目に触れるように包装されているものである。 このような商標の表示方法が、商取引一般からみて、格別不自然なものであるとみることができない。 したがって、請求人の上記主張は理由がない。 (4)むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件請求に係る指定商品中の「和装肌着」(下着)について、本件商標と同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2009-12-21 |
結審通知日 | 2009-12-24 |
審決日 | 2010-01-08 |
出願番号 | 商願昭11-18106 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X050910141621242526)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
田村 正明 末武 久佳 |
登録日 | 1937-04-24 |
登録番号 | 商標登録第289393号(T289393) |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 東谷 幸浩 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 熊倉 禎男 |