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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y31
管理番号 1219981 
審判番号 無効2009-890086 
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-07-21 
確定日 2010-07-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5057985号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5057985号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5057985号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成16年12月15日に登録出願,第31類「ザクロ,その他の果実」及び第32類「ザクロ果実飲料,その他の果実飲料,清涼飲料」を指定商品として,同19年6月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は,以下(1)ないし(5)であり,その商標権はいずれも現に有効に存続している。
(1)登録第1219540号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲(2)のとおりの構成からなり,昭和48年5月31日に登録出願,商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同51年9月20日に設定登録,その後,同61年11月13日,平成8年12月24日及び同18年6月27日の3回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ,さらに,同年11月15日に,指定商品を第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物
」,第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」及び第32類「飲料用野菜ジュース」のほか,第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がされているものである。
(2)登録第1615420号商標(以下「引用商標2」という。)は,「POM」の欧文字を横書きしてなり,昭和53年9月4日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同58年9月29日に設定登録,その後,平成5年12月22日及び同15年8月5日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同年11月5日に,指定商品を第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」,第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」及び第32類「飲料用野菜ジュース」とする書換登録がされているものである。
(3)登録第2077008号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲(3)のとおりの構成からなり,昭和61年2月26日に登録出願,第29類属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,昭和63年9月30日に設定登録され,その後,平成10年10月27日及び同20年6月24日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに,同年7月23日に,指定商品を第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がされているものである。
(4)登録第2248134号商標(以下「引用商標4」という。)は,「POM」の欧文字及び「ポン」の片仮名を上下二段に横書きしてなり,昭和62年7月7日に登録出願,第29類「茶,コーヒー,ココア,清涼飲料,果実飲料,氷」を指定商品として,平成2年7月30日に設定登録され,その後,同12年5月9日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
(5)登録第4853235号商標(以下「引用商標5」という。)は,「ポン」の片仮名を横書きしてなり,平成16年9月3日に登録出願,第31類「野菜,果実」を指定商品として,同17年4月1日に設定登録されたものである。
以下,引用商標1ないし引用商標5を一括していうときは,単に「引用商標」という。

3 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。 本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから,商標法第46条第1項の規定により,その登録を無効とされるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は,いずれも「ポン」,「ポム」又は「ピーオーエム」の称呼を生ずるものであるから,その称呼において相紛らわしい類似の商標であって,かつ,指定商品においても,引用商標の指定商品は,本件商標の指定商品と同一又は類似の商品若しくはその商品を包含するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は,2003年(平成15年)4月に「愛媛県農業協同組合連合会」を改組し,設立した飲料メーカーであるが,同人が事業内容とするミカンジュース・リンゴジュース等の清涼飲料,果実飲料の製造・販売において我が国を代表する企業であって,請求人が製造販売する「POM(ポン)」ブランドのジュース(100%果汁飲料)は,2004年ないし2006年において販売額及びシェア共に業界第2位に位置付けられている。
そして,「POM」,「ポン」及び「ポンジュース」の文字よりなる商標(以下「引用標章」という。)は,請求人が製造販売する商品「清涼飲料,果実飲料,茶」について,主たる出所標識として使用しているものであるが,これは,1952年(昭和27年)12月に「愛媛県青果販売農業協同組合連合会」が製造販売するミカンジュースの商標として使用を開始し,「清涼飲料,果実飲料,茶」等の商品を表示する商標として長年にわたり使用してきたものであって,2003年(平成15年)4月にその業務とともに請求人に引き継がれたものであるから,引用標章は,遅くとも本件商標出願時には,既に請求人の業務に係る上記商品を表示する商標として,取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものであり,その著名性は現在も継続しているものである。
また,本件商標と引用標章は,共に「ポン」,「ポム」又は「ピーオーエム」の称呼を生ずるものであり,また,本件商標の指定商品は,引用標章の使用をする商品と同一又は類似の商品であるか,原材料とその製品という点において引用標章の使用をする商品と密接な関係を有するものである。
そうすると,これら引用標章の著名性,本件商標と引用標章との類似性,使用する商品の関連性等を併せ考慮すれば,本件商標は,これをその指定商品に使用するときは,取引者・需要者をして,その構成中の「POM」の文字から請求人の著名な商標「POM」「ポン」「ポンジュース」を連想,想起し,それが請求人又は同人と組織的,経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれがあったものと判断するのが相当であり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号にも違反して登録されたものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は,答弁していない。

5 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標は,別掲(1)に示したとおり,欧文字「P」と「M」との間に,内部を赤く塗りつぶし輪郭線を欧文字と同じ太さの黒色で描いたハート型図形を配してなる上段の構成部分の下に,上段の文字の幅内に「WONDERFUL」の赤色の文字を配した構成からなるものであるところ,上段の構成部分は,下段の「WONDERFUL」の文字に比して圧倒的顕著に表されてなるものであることから,独立して取引に資される場合があるものとみるのが自然である。
そして,その上段の構成部分は,ハート型図形の輪郭線が両脇の欧文字と同じ色,同じ太さで描かれていることに加え,文字からなる商標について,その一部又は全部を図案化するなどして特徴を持たせることが盛んに行われている商取引の実情に照らせば,これに接する者に「POM」の欧文字を表したものと容易に認識,理解されるものと見るのが自然である。
そうすると,本件商標は,上段の構成部分に相応し,「ポン」,「ポム」又は「ピーオーエム」の称呼をも生ずるものである。しかし,これからは特定の観念を生ずるとはいえない。
他方,引用商標1は,別掲(2)に示したとおり,図形と文字からなるものであるところ,その構成中の中央に顕著に横書してなる「POM」の欧文字が独立して取引に資されるものというべきであるから,これからは,「ポン」,「ポム」及び「ピーオーエム」の称呼を生じ,特に観念は生じない。
そこで,本件商標と引用商標1を比較すると,両者は,外観において相違し,観念について比較することができないとしても,「ポン」,「ポム」又は「ピーオーエム」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
そして,本件商標の指定商品は,引用商標1の指定商品中の第29類「冷凍果実」,第31類「果実」及び第32類「飲料用野菜ジュース」と同一又は類似するものである。
イ 本件商標は,前記アの認定のとおりであるのに対し,引用商標2は,「POM」の欧文字を横書きしてなるものであるから,「ポン」,「ポム」及び「ピーオーエム」の称呼を生じ,特に観念は生じない。
そこで,本件商標と引用商標2とを比較すると,両者は,外観において相違し,観念については比較することができないとしても,「ポン」,「ポム」又は「ピーオーエム」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
そして,本件商標の指定商品は,引用商標2の指定商品中の第29類「冷凍果実」,第31類「果実」及び第32類「飲料用野菜ジュース」と同一又は類似するものである。
ウ 本件商標は,前記アの認定のとおりであるのに対し,引用商標3は,別掲(3)に示したとおり,擬人化した動物と文字との結合からなるものであるところ,その図形と文字の各部分は,視覚上分離して観察され,それぞれが独立して取引に資される場合があるものというが自然であり,かつ,その文字部分についても,上段の「POM」が欧文字であるのに対し,下段の「三柑王」が漢字であること,書体の大きさが異なること及びそれぞれの文字に何ら意味上のつながりもないことなどを併せ勘案すれば,「POM」の欧文字のみにおいても独立して取引に資される場合があるものというべきであり,これからは,「ポン」,「ポム」及び「ピーオーエム」の称呼を生じ,特に観念は生じない。
そこで,本件商標と引用商標3とを比較すると,両者は,外観において相違し,観念については比較することができないとしても,「ポン」,「ポム」又は「ピーオーエム」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
そして,本件商標の指定商品中の第32類「ザクロ果実飲料,その他の果実飲料,清涼飲料」は,引用商標3の指定商品と同一又は類似するものである。
エ 本件商標は,前記アの認定のとおりであるのに対し,引用商標4は,「POM」の欧文字と「ポン」の片仮名からなるものであるから,「ポン」の称呼を生じ,特に観念は生じない。
そこで,本件商標と引用商標4とを比較すると,両者は,外観において相違し,観念については比較することができないとしても,「ポン」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
そして,その指定商品については,本件商標の指定商品中の第32類「ザクロ果実飲料,その他の果実飲料,清涼飲料」は,引用商標4の指定商品中の「果実飲料,清涼飲料」と同一又は類似するものである。
オ 本件商標は,前記アの認定のとおりであるのに対し,引用商標5は,「ポン」の片仮名を横書きしてなるものであるから,「ポン」の称呼を生じ,特に観念は生じない。
そこで,本件商標と引用商標5とを比較すると,両者は,外観において相違し,観念については比較することができないとしても,「ポン」の称呼を共通にする類似の商標というべきである。
そして,その指定商品については,本件商標の指定商品中の第31類「ザクロ,その他の果実」は,引用商標5の指定商品中の「果実」と同一又は類似するものである。
カ 以上のとおり,本件商標と引用商標とは,商標が類似し,指定商品も同一又は類似する商品が含まれるものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)したがって,請求人の主張する他の無効理由について論及するまでもなく,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすべきである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)本件商標


(色彩については原本参照のこと)


別掲(2)引用商標1




別掲(3)引用商標3


(色彩については原本参照のこと)


審理終結日 2010-01-29 
結審通知日 2010-02-02 
審決日 2010-02-24 
出願番号 商願2004-114547(T2004-114547) 
審決分類 T 1 11・ 262- Z (Y31)
最終処分 成立  
前審関与審査官 藤平 良二 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 2007-06-29 
登録番号 商標登録第5057985号(T5057985) 
商標の称呼 ポムワンダフル、ポム、ピイエムワンダフル、ピイエム 
代理人 成合 清 
代理人 外川 奈美 
代理人 青木 篤 
代理人 為谷 博 
代理人 田島 壽 
代理人 原 隆 

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