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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X41
管理番号 1219813 
審判番号 不服2009-24001 
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-12-04 
確定日 2010-06-18 
事件の表示 商願2008- 39586拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SHINMAI」の文字を標準文字で表してなり、第41類「ファッションショーの企画・運営又は開催,ファッションデザイナーの育成及び養成,ファッション・デザインに関する展示会の企画・運営又は開催,書籍・電子出版物の制作,映画の上映・制作又は配給,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオ・DVDの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),写真の撮影」を指定役務として、平成20年5月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第3084071号商標(以下「引用商標」という。)と『シンマイ』の称呼を共通にする類似の商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
そして、引用商標は、「信毎」の漢字を横書きにしてなり、平成4年9月29日に登録出願、第41類「美術展の開催,書道展の開催,写真展の開催,撮影会の開催,ピアノ・作文コンク?ルの開催,マラソン大会の開催,ゴルフ大会の開催,レガッタ大会の開催,演劇又は音楽の演奏の興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,スキ?の教授,育児の教授,交通安全に関するセミナ?の企画・運営又は開催,暮らしのセミナ?の企画・運営又は開催,住宅に関するセミナ?の企画・運営又は開催,アパ?ト経営に関するセミナ?の企画・運営又は開催,文化・エネルギ?・地域づくりに関する講演会の企画・運営又は開催」を指定役務として、同7年10月31日に特例商標として設定登録され、その後、同17年10月18日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について
本願商標は、「SHINMAI」の文字を書してなり、該文字に相応して「シンマイ」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、「信毎」の文字からなるところ、その構成中の「信」は、「欺かないこと。言をたがえないこと。まこと。」(広辞苑第六版)等を意味し、また、「毎」は、「そのたびごと。たびたび。」(広辞苑第六版)等を意味するものである
しかして、「信」及び「毎」を結合してなる「信毎」の文字が、特定の意味合いを看取させるものとはいえず、その構成全体として一種の造語として認識されるものと判断するのが相当である。
よって、引用商標は、その構成文字から、「シンマイ」の称呼を生じ、かつ、特定の観念は生じないものである。
そこで、本願商標と引用商標とを比較するに、両商標は、外観において相違し、かつ、両商標とも、特定の観念を生じないことから、観念については比較できないものであるとしても、両商標は、「シンマイ」の称呼を共通にする類似の商標である。
そして、本願の指定役務中「ファッションデザイナーの育成及び養成」と引用商標の指定役務中「スキーの教授、育児の教授」とは、共に「教育」を目的とした役務であり、「教育」を専門に行う事業者により提供されるものである。
また、かかる役務は、教育施設や研修施設等で、実施される役務であるから、その提供場所も共通にするものである。
さらに、かかる役務の需要者は、その習得する内容に相違点はあるものの、技芸や知識等を習得することを目的とした者である点において共通していることから、その役務の需要者が、著しく相違する等の特段の事情は、認められないものである。
また、本願の指定役務中「ファッションショーの企画・運営又は開催,ファッション・デザインに関する展示会の企画・運営又は開催」と引用商標の指定役務中「美術展の開催,書道展の開催,写真展の開催,撮影会の開催,ピアノ・作文コンク?ルの開催,交通安全に関するセミナ?の企画・運営又は開催,暮らしのセミナ?の企画・運営又は開催,住宅に関するセミナ?の企画・運営又は開催,アパ?ト経営に関するセミナ?の企画・運営又は開催,文化・エネルギ?・地域づくりに関する講演会の企画・運営又は開催」とは、共に「興行」あるいは「教育」を目的とした役務である。
また、かかる役務は、イベントや展示会等の開催を専門に行う会場で実施される役務であるから、その提供場所も共通にするものである。
さらに、かかる役務は、特定の需要者のみを対象とし開催されるものではなく、一般大衆の誰もが、需要者となり得る役務であるから、その需要者層が、著しく相違する等の特段の事情は、認められないものである。
そうとすれば、本願の前記役務と引用商標の前記役務とは、提供の目的、提供の場所を共通にし、需要者の範囲も異なるものではなく、さらに、同一の事業者が提供することがある類似の役務というべきである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較できないものであるとしても、両商標は、「シンマイ」の称呼を共通にする類似の商標であることから、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。

(2)請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張
ア 請求人は、「本願商標『SHINMAI』よりは、『シンマイ』の称呼が生じ、引用商標『信毎』からも『シンマイ』の称呼が生じ得る。しかしながら、引用商標は、これが『信濃毎日新聞』の略称であることが、当該商標の取引者、需要者に容易に認識されるため、『シンマイ』の称呼が特定されるのであり、そのような観念がなければ、漢字「信」と「毎」の訓読み、音読みを組み合わせた『シンバイ』、『ノブマイ』、『ノブゴト』、『マコトゴト』などの称呼が生じ得る。また、本願商標は、有限責任中間法人日本ファッション・ウィーク推進機構が主催するコレクション(ファッションショー)、クリエーター育成企画に係る名称である。そして、これらは官民が一体となって進めるイベント、企画としてファッション業界でも広く知られている。してみれば、取引者、需要者は、本願商標『SHINMAI』をその指定役務について使用した時は、請求人の取り扱いに係る役務であることを容易に認識するものである。よって、本願商標と引用商標とは、たとえ、同一の称呼を生じ得るとしても、外観において著しく相違し、観念においても決して相紛れるおそれのないことから、これらを総合的に考察すれば、両者が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想などは大きく異なるものであり、出所について混同を生じさせることのない非類似の商標である。」旨、主張し、証拠資料を提出する。
そこで、請求人が提出した証拠資料中の甲第6号証ないし甲第26号証を見ると、請求人は、2008年4月1日に設立された法人であり、請求人は、「シンマイクリエーターズプロジェクト」あるいは、「SHINMAI Creator’s Project」等と称し、若手デザイナーの支援を目的とした役務を行っている事実は窺うことはできる。
しかしながら、本願商標「SHINMAI」の文字のみで使用されている例は、請求人の提出した証拠資料からは、確認することができない。
また、提出された資料では、請求人の営業規模や、本願商標に関する広告・宣伝の方法・回数及び内容、売上高や市場占有率等に関する資料等が提出されておらず、本願商標が需要者等に広く知られているとする事実を立証するものではない。
してみれば、請求人が、本願商標をその指定役務に使用したことにより、需要者等に広く知られているものとは、直ちに、認められないものである。
また、請求人提出の甲第2号証及び甲第3号証によると、引用商標「信毎」が、「信濃毎日新聞」の略称として使用されている事実は窺い知れるものである。
しかしながら、信濃毎日新聞は、長野県あるいはその隣接地域のみで販売されているものであることから、前記地域以外に在する需要者等が、引用商標「信毎」に接した場合に、直ちに、「信濃毎日新聞」の略称であると認識するとはいい難い。
以上からすると、本願商標が、請求人を認識させるものとはいえず、かつ、引用商標が、直ちに、「信濃毎日新聞」の略称であることを認識するものとはいえないから、両商標が共に、特定の観念を生じ、それをもって、両者が区別し得るものとは認められないものである。
そうとすれば、前記(1)で認定したとおり、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較できないものであるとしても、両商標は、「シンマイ」の称呼を共通にする類似の商標であることから、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものであるから、請求人の前記主張は、採用することができない。
イ 請求人は、「原審では、具体的に類似する役務について言及しないまま、本願商標と引用商標の指定役務を類似と判断している。しかしながら、両商標は、指定役務を全く異にするものであり、たとえ同一または類似の商標が使用されたとしても両者に混同が生じるおそれはないものである。例えば、本願商標に係る指定役務『ファッションデザイナーの育成及び養成』は、ファッションデザイナーを育てることを目的として、服飾専門学校、デザイン学校等において提供される役務であり、主たる需要者は、『ファッションデザイナー』を職業として目指す者である。一方、引用商標の指定役務『スキーの教授』はスキー競技を楽しむ者、観光客などを需要者として、スキー場でスキースクール等により提供される役務であり、『育児の教授』は、核家族などで育児に関する知識を得る機会の少ない母親や父親へ、栄養指導、教育方法等に関する方法について教授するものであり、地域の市区町村などにより提供されることの多い役務である。よって、両役務は、その提供の目的、提供に係る場所および事業者、対象となる需要者などあらゆる面において、著しく異なる。」旨、主張する。
しかしながら、本願の指定役務と引用商標の指定役務が類似するものであることは、前記(1)で認定したとおりであるから、請求人のかかる主張も採用することができない。
ウ 請求人は、「引用商標権者は、長野県の様々な地域の人々を対象に、長野県内の会場で、暮らし、趣味などに係わる様々なイベントを提供している。たとえ長野県在住の需要者が、本願商標『SHINMAI』に接したとしても、ファッションに関心のある本願指定役務に係る需要者ならば、即座に世界的に知られた東京コレクションの特別企画である若手デザイナー育成企画を認識すると考えられるのであり、これが信毎webで紹介されていないにもかかわらず、長野県地域密着型のイベントを提供する引用商標権者のイベントと認識することはない。」旨、主張する。
しかしながら、引用商標の指定役務は、長野件県内に限定されるものではなく、その使用については全国に及ぶところ、請求人は、引用商標に接する需要者が、長野県在住の者に限定されているかの如く、主張することは、引用商標の使用範囲を誤って判断するものである。
よって、請求人のかかる主張は失当である。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

(3)まとめ
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2010-03-11 
結審通知日 2010-03-19 
審決日 2010-04-26 
出願番号 商願2008-39586(T2008-39586) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢代 達雄 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊田 純一
小川 きみえ
商標の称呼 シンマイ 
代理人 小谷 武 

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