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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1218471 
異議申立番号 異議2009-900398 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-10-19 
確定日 2010-05-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5249670号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5249670号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5249670号商標(以下「本件商標」という。)は、「ファームランド」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成20年1月11日に登録出願、第35類に属する別掲(1)の役務を指定役務として、同21年6月25日に登録査定され、同年7月17日に設定登録されたものである。

第2 本件登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
1 引用商標
申立人が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(7)である。
(1)登録第2114683号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)の構成よりなり、昭和61年5月8日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」を指定商品として、平成元年2月21日に設定登録、その後、同11年2月9日及び同21年1月13日の二回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

(2)登録第2709676号商標(以下「引用商標2」という。)は、「FARMLAND」の欧文字を横書きしてなり、平成4年3月25日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年8月31日に設定登録、その後、同17年9月6日に商標権存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、同19年3月22日に、第29類「食肉,肉製品」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

(3)登録第2709677号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)の構成よりなり、平成4年3月25日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年8月31日に設定登録、その後、同17年9月6日に商標権存続期間の更新登録がなされ、また、指定商品については、同18年9月6日に、第29類「スモークドソーセージ」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

(4)登録第4062529号商標(以下「引用商標4」という。)は、「FARMLAND」の欧文字を横書きしてなり、平成7年12月27日に登録出願、第29類「食肉,肉製品」を指定商品として、同9年10月3日に設定登録、その後、同19年7月31日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

(5)登録第4062530号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(4)の構成よりなり、平成7年12月27日に登録出願、第29類「食肉,肉製品」を指定商品として、同9年10月3日に設定登録、その後、同19年9月11日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

(6)登録第4062531号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(5)の構成よりなり、平成7年12月27日に登録出願、第29類「食肉,肉製品」を指定商品として、同9年10月3日に設定登録、その後、同19年9月11日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。

(7)登録第4441790号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(6)の構成よりなり、平成11年7月13日に登録出願、第29類「ブラックアンガス種の牛肉,ブラックアンガス種の牛肉製品」を指定商品として、同12年12月22日に設定登録されたものである。

以下、(1)ないし(7)を一括していうときは、「引用各商標」という。

2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用各商標
本件商標は、その構成文字に照応して「ファームランド」の称呼及び「農地、耕地」の観念を生ずる。
引用各商標は、いずれも、欧文字の「FARMLAND」若しくは「Farmland」を書したもの又はこれを構成中に明確に表したものであるから、「ファームランド」の称呼及び「農地、耕地」の観念を生ずる。
してみれば、本件商標と引用各商標は、同一の称呼及び同一の観念を生ずる類似する商標である。

(2)引用各商標の著名性
申立人は、引用各商標の商標権者であるところ、前商標権者はファームランド・インダストリーズ・インコーポレーテッド(Farmland Industrie Inc.。以下、「ファームランドインダストリー」という。)である(甲第2号証ないし第8号証)。
ファームランドインダストリーは、1929年に設立された、米国、カナダ、メキシコにおける60万世帯以上の養豚生産者及び約1700の生産者組合から組織された、従業者約13,800人を有した北米最大の協同組合であった(甲第9号証)。
ファームランドインダストリーは、平成14年5月に米国破産法第11章に基づく会社更正手続を受け、その結果、同社の豚肉生産部門を担当していたファームランド・フーズ・インコーポレイテッド(Farmland Foods Inc.。以下「ファームランドフーズ」という。)が、平成15年に367,000,000ドルで米国最大手の食品メーカーであるスミスフィールド・フーズ・インコーポレイテッド(Smithfield Foods、Inc.。以下「スミスフィールドフーズ」という。)の傘下に入った(甲第10号証)。
ファームランドフーズは、1959年に設立された食品メーカーであり、設立当時からハム、ベーコン等の肉製品を中心とする販売を行なって業務を拡大し、1998年にはフォーチュン誌の全米食品会社のトップ10にランクされるほどに成長した(甲第11号証)。
ファームランドフーズは、長年にわたって引用各商標を含む「Farmland」(以下「ファームランドブランド」という。)をメインブランドとして事業を行ない、ファームランドインダストリーのグループ会社としてその信用獲得の一翼を担った。
現在、ファームランドフーズは、上記変遷を経てスミスフィールドフーズのグループ会社として引用各商標を継続して使用し、豚肉製品の製造販売を中心に、2002年には、全世界における年間売上実績が約110億米ドルに達し、2008年時点で毎年同レベルの実績を維持している。
ファームランドフーズの肉製品は、新鮮な高品質豚肉製品として、全米に広く親しまれているのみならず、6大陸にまたがる90力国以上の国へ輸出されており(甲第10号証)、その主な輸出先は、日本、台湾、メキシコ、ロシア、中国、ヨーロッパ各国、韓国、カナダ及びオーストラリアといった主要国である。ファームランドフーズがグループ会社であった1999年度におけるファームランドインダストリーのミートグループの売上高は、実に38億1400万ドルであった(甲第11号証)。
ファームランドフーズが日本へ肉製品の輸出を開始したのは、昭和60年のことであり、当時、年間で約1億2000万ポンドの食肉、約15万ポンドの加工肉製品を日本国内で販売した。
それ以来、ファームランドブランドは日本国においても取引者、需要者の間で広く知られるようになり、平成20年には、日本国におけるファームランドブランドの肉製品の販売実績は、約1億5000万ドルに達している。
ファームランドフーズの平成16年から同20年2月までの日本国への総販売合計額は、5億7162万1919ドルである(甲第12号証)。
なお、ファームランドフーズがファームランドインダストリーのグループ会社となったことに伴い、引用商標1に係る商標権は、平成6年2月7日付け登録で、ファームランドからフーズファームランドインダストリーヘ譲渡により移転され、さらに、その後、申立人に移転された(甲第2号証)。
上記の事実によれば、肉製品について使用する引用各商標は、本件商標の出願時及び登録査定時のいずれの時点においても、日本国及び外国において、ファームランドフーズ及びそのグループ会社の肉製品であることを表わす極めて広く知られた著名ブランドであったことは疑う余地がない。
申立人は、引用各商標の商標権者となった後は、スミスフィールドフーズに対して引用各商標の使用権をライセンスし、現在に至るまで、スミスフィールドフーズとともにファームランドフーズが製造する肉製品の著名ブランド「Farmland」の厳格な管理を行なっている。

(3)商品と役務の関連性
ファームランドフーズの主たる製品は、ハム、ベーコン、ソーセージなど飲食料品の分野に属する肉製品であり、本件指定役務には、飲食料品に係る小売等役務が多数含まれている。
小売等役務は商品の販売に際して提供される当該商品の品揃え等のサービスを商標法上の役務として保護するものであるから、ある商品とその商品の小売等役務は、商品の販売と役務の提供が同一事業者により同一場所で行われる。
現実に、飲食料品は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの同一の店頭で販売されており、また、かかる店舗では、飲食料品以外の日用品等も同時に取り扱われていることは、公知の事実である。
そして、本件指定役務に飲食料品に係るものが多数含まれる以上、本件商標の指定役務は、引用各商標の指定商品と互いに類似する。
さらに、本件指定役務は、引用各商標の指定商品とは、流通部門及び販売部門が一致するだけでなく、これらの商品を店頭で直接購入するのは家庭の主婦等の最終消費者であろうから、両者は、需要者の範囲においても当然に一致する。
したがって、本件指定役務と引用各商標の指定商品は、その性格上関連性が非常に高く、また、取引者及び需要者の範囲においても相当程度の共通性を有するといえるから、互いに近接した分野に属する商品及び役務である。

第3 当審の判断
1 本件商標は、「ファームランド」の片仮名文字よりなるものであるところ、構成前半の「ファーム」の文字は、「農園、農場」を意味する親しまれた外来語であり、後半の「ランド」の文字も「土地、地面」のほか、「・・・の国」をかたちづくる親しまれた外来語であるところから、当該文字(語)は、「農園の国、農場の国」を意味するものと容易に看取されるものであり、また、当該意味を有する語として使用されている実情も認められる。
ところで、申立人は、引用各商標の著名性を証する証拠として甲第9号証ないし甲第12号証を提出している。
甲第9号証ないし甲第11号証は、ファームランドインダストリー及びファームランドフーズの歴史、会社の概要等に関する資料であるところ、同号証には引用各商標と類似する商標(以下「使用商標」という。)が表示され、また、ファームランドフーズが、我が国に肉製品を輸入していること等が記載されている。
しかしながら、同号証によっては、使用商標が使用された期間及び範囲等の使用商標の使用状況に関する事実が明らかではない。
また、甲第12号証は、ファームランドフーズの販売実績を示す資料であるところ、同号証は自己申告によるものであって客観的なものとはいい難く、使用に係る商標の表示もない。
その他、引用各商標の使用状況に関する事実を定量的に把握し得る証拠はない。
そうとすれば、申立人提出の証拠によっては、引用各商標が、我が国において、上で述べた「農園の国、農場の国」を意味する「ファームランド」の語彙を凌駕するほどに著名であるということはできない。
してみれば、申立人の提出に係る証拠をもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、引用各商標がファームランドフーズの業務に係る前記商品について使用する商標として我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとまではいうことができないから、本件商標をその指定役務に使用した場合、ファームランドフーズ又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
なお、申立人は、判決例を挙げて主張するところがあるが、商標法第4条第1項第15号等の判断は、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるから、申立人が主張するような事例があるからといって、本件商標についての前記判断が左右されることにはならない。

2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲


(1)本件商標の指定役務
第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,氷の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,調味料・人口甘味料・乳糖の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ホップ・ビール製造用ホップエキスの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,香辛料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貴金属製靴飾り・靴ブラシ・靴べら・靴磨き布・軽便靴クリーナー・シューツリー・靴用ろう引き縫糸・靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具・靴飾り(貴金属製のものを除く。)・靴はとめ・靴ひも・靴ひも代用金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(布製身の回り品を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品(エッグスライサー(電気式のものを除く。)・かつお節削り器・角砂糖挟み・缶切・くるみ割り器・スプーン・チーズスライサー(電気式のものを除く。)・ピザカッター(電気式のものを除く。)・フォーク・家庭用浄水器・家庭用食品包装フィルム・紙製ごみ収集用袋・プラスチック製ごみ収集用袋・ストロー・アイスペール・泡立て器・こし器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振り出し容器・卵立て・ナプキンホルダー及びナプキンリング・盆・ようじ入れ・ざる・シェーカー・しゃもじ・手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき・じょうご・すりこぎ・すりばち・ぜん・栓抜・大根卸し・タルト用取り分けべら・なべ敷き・はし・はし箱・ひしゃく・ふるい・まな板・麺棒・焼き網・ようじ・レモン絞り器・ワッフル焼き型(電気式のものを除く。)・織物製テーブルナプキン・ふきんを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品(肥料・種子類を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ペットフードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」


(2)引用商標1



(色彩は、原本参照)


(3)引用商標3




(4)引用商標5




(5)引用商標6


(色彩は原本参照)

(6)引用商標7



(色彩は原本参照)




異議決定日 2010-04-26 
出願番号 商願2008-1422(T2008-1422) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松浦 裕紀子津金 純子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 酒井 福造
榎本 政実
登録日 2009-07-17 
登録番号 商標登録第5249670号(T5249670) 
権利者 ファームドゥ株式会社
商標の称呼 ファームランド 
代理人 羽鳥 亘 
代理人 石田 昌彦 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 

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