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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 230
管理番号 1218438 
審判番号 取消2008-301272 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-10-03 
確定日 2010-04-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第256113号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第256113号商標(以下、「本件商標」という。)は、「ノーブル」の片仮名文字を縦書きに書してなり、昭和9年2月23日に登録出願、第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年8月20日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品については、平成17年6月29日に第30類「菓子(「甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずき・キャンディー・ドロップ・キャラメル・ビーンズ・チョコレートケーキ・チューインガム」を除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち,パン」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
2 請求人の主張
請求人は、本件商標について、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標が指定商品「パン」に使用されている旨を主張し、本件商標の使用を示す証拠として乙第3号証ないし乙第5号証を提出したが、以下に述べる理由により、その証拠は、本件商標が指定商品「パン」について使用されていることを示す使用証拠足り得ない。
ア 乙第3号証及び乙第4号証について
乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標の通常使用権者である株式会社ノーブルが発行し配布した「商品チラシ」である。当該商品チラシの左上側には、「ノーブルパン」の文字が記載されている。さらに、右下側には、「株式会社ノーブル」の文字が記載されている。上記「ノーブルパン」及び「株式会社ノーブル」の使用は、本件商標「ノーブル」が使用されている事実を示すものではない。
(ア)「ノーブルパン」について
「ノーブルパン」は、同じ大きさかつ同じ書体の文字から構成されており、外観上まとまりのある構成からなっている。さらに、「ノーブルパン」は、5音という短い音数から構成されている。短い音数から構成される言葉は、淀みなく容易に一息で称呼することができる。したがって、この様に短い音数から構成される言葉が称呼される場合には、通常、その商標が分断されたり省略されたりすることはない。よって、「ノーブルパン」は、外観及び称呼上、強い一体性を有しているといえるから、常に不可分一体に認識されることは明らかである。
また、「ノーブルパン」のうち、「パン」の部分が商品の普通名称を表す場合があるとしても、上述のとおり「ノーブルパン」は、常に不可分一体に認識され、広辞苑等の辞書に掲載されていない言葉である。したがって、「ノーブルパン」全体は、特定の意味を待った成語ではなく、特段の意味を有さない造語であることは明らかである。
以上より、外観及び称呼において、強い一体性を有する「ノーブルパン」の表示を目にした一般消費者は、「ノーブルパン」を一つのまとまった造語として、不可分一体に認識することが自然である。
次に、本件商標「ノーブル」と「ノーブルパン」とを比較すると、両者は「パン」の有無において異なっている。したがって、「ノーブルパン」が、本件商標の書体のみに変更を加えた商標ではなく、文字の表示を相互に変換したものでもなく、両商標が社会通念上同一と認められる商標でないごとは明らかである。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証に記載された「ノーブルパン」が、本件商標「ノーブル」の使用事実を示していないことは明らかである。
(イ)「株式会社ノーブル」について
乙第3号証及び乙第4号証の右下側には、「株式会社ノーブル」と表示されている。当該表示の左側には、「総発売元」と表示されている。これらの表示より、「株式会社ノーブル」の表示は、商品チラシに掲載されている商品の発売者名である「株式会社ノーブル」が、自己の商号を表示しているにすぎないことは明らかである。よって、「株式会社ノーブル」の表示は、本件商標「ノーブル」の商標としての使用ではないことは明らかである。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証に表示された「株式会社ノーブル」が、本件商標「ノーブル」の使用事実を示していないことは明らかである。
イ 乙第5号証について
乙第5号証は、パンを収めたビニール袋上に「KKノーブル」の文字が表示されていることを示している。「KKノーブル」の構成文字のうち、[KK]は「株式会社」を口-マ字表記した「Kabushiki Kaisha」の頭文字をとった表示であり、「KK」が「株式会社」の英字表記の略称として一般的に使用されている。
この事実を示す資料として、甲第2号証乃至第5号証を提出する。甲第2号証では、「味の素株式会社」が自社を「味の素KK」と称している。甲第3号証では、「F5ネットワークスジャパン株式会社」が、自社の英字表記を「F5 Networks Japan K.K.」と表示している。甲第4号証では、「昭和電工株式会社」が、自社の英字表記を「Showa Denko K.K.」と表示している。さらに、甲第5号証では、「ニューウェイズジャパン株式会社」が、自社の英字表記を「Neways Japan K.K.」と表示している。
以上より、「KK」の表示を目にした一般消費者は、その表示から「株式会社」を認識することが自然であるといえる。とすれば、「KKノーブル」の表示を目にした一般消費者は、当該表示が「株式会社ノーブル」を表していると容易に認識するものである。よって、「KKノーブル」の表示は、商品「パン」の販売元である株式会社ノーブルの商号を示しているに過ぎず、商標として機能していないことは明らかである。
なお、仮に、「KK」の部分が、「株式会社」として認識されないとしても、「KKノーブル」は、同じ書体で横一連に一体性を以って表示されている。加えて、「KKノーブル」の文字全体が、白く縁取られており、全体として非常にまとまった構成をとっている。さらに「KKノーブル」から生じる称呼「ケイケイノーブル」もさほど冗長とはいえない。したがって、「KKノーブル」の表示を目にした一般消費者は、当該表示を一体不可分に認識するものであり、当該表示を分断したり省略することはありえない。とすれば、本件商標「ノーブル」と「KKノーブル」とが、「KK」の有無により社会通念上同一と認められない商標であることは明らかである。
以上より、乙第5号証に表示された「KKノーブル」が、本件商標「ノーブル」の使用事実を示していないことは明らかである。
ウ 現実の商取引を示す証拠の不存在について
乙第3号証ないし乙第5号証は商品チラシの写であるが、商品チラシは商品に係る取引が現実に行なわれていることを示すには不十分である、商取引が実際に行なわれていることを示すには、納品書や請求書の提出が必須であるが、被請求人はこれを提出していない。したがって、乙第3号証ないし乙第5号証は、本件商標「ノーブル」の使用を示す証拠としては不十分である。
エ 以上のとおり、被請求人は、本件商標を本件不使用取消審判の請求にかかる商品について使用していることにつき証明をしたとは言えないから、商標法第50条第1項の規定により、取消しを免れ得るものではない。
3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
本件商標の通常使用権者である「株式会社ノーブル」は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品中「パン」について、本件商標を使用している。
乙第1号証は、商標権者が株式会社ノーブルに指定商品「パン」について本件商標を使用許諾していることを示す「商標使用許諾契約書」である。
乙第2号証は、「商標権使用許諾契約の更新の申し出を承諾する書面」である。
乙第3号証及び乙第4号証は、商標使用権者である株式会社ノーブルが発行し配布した「商品チラシ」であり、乙第3号証には、2007年(平成19年)4月・5月・6月、乙第4号証には2008年(平成20年)10月・11月・12月という当該チラシの有効期間が示されている。また、乙第3号証及び乙第4号証には、赤字で本件商標が表示されていると共に、商品の発売元が株式会社ノーブルであることが示されている。
乙第5号証は、株式会社ノーブルが販売するパンの包装袋に本件商標が付されたものを示すものである。
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者により指定商品中「パン」について使用していることが明らかである。
4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
乙第1号証は、被請求人(商標権者)と株式会社ノーブルとの本件商標についての2004年8月10日付け商標使用許諾契約書である。第1条には、商標権者は株式会社ノーブルに対し、本件商標について次条以下に定める条件に従い、通常使用権を許諾する旨の使用許諾を定め、第2条には、使用許諾の範囲を、「1(囲み文字の丸1)商品「パン」商品区分 大正10年法第43類の指定商品のうち「パン」に限る。」「2(囲み文字の丸2)略」「3(囲み文字の丸3)地域 日本国内全域」と定め、第3条には、契約期間を、「本契約の有効期間は2004年7月20日から2年間とし、期間満了の3ケ月前までに、株式会社ノーブルより本契約の更新について商標権者に申し入れがあった場合、商標権者と株式会社ノーブルは、当該更新について誠意をもって協議決定する」旨定めている。
乙第2号証は、商標権者から株式会社ノーブルあての平成20年7月28日付け書簡で、「本件商標の商標権使用許諾契が平成20年7月20日で期間満了となりますが、平成20年7月22日付けで貴社より契約更新の申し出がありましたので、平成16年8月10日付けの契約と同じ条件でこの先2年間使用することを承諾します」の旨記載されている。
乙第3号証は、株式会社ノーブルのパンの販売に関する広告チラシである。このチラシの右下には、総発売元として「株式会社ノーブル」の名称が住所、電話番号等とともに表示されており、チラシの左上には、「ノーブルパン」の片仮名文字を横書きした構成の商標(以下「使用商標」という。)が「おいしい幸せ、お届けします。」「予約宅配」の表示とともに表示されている。また、「デイリーブレッド 平成19年4・5・6月」及び「マンスリーブレッド 2007年 4月 平成19年」「マンスリーブレッド 2007年 5月 平成19年」「マンスリーブレッド 2007年 6月 平成19年」の表示があり、各種のパンが価格とともに写真入りで紹介されている。さらに、チラシ左下には、「2007年(平成19年)4・5・6月」の表示がされている。
乙第4号証は、同じく、株式会社ノーブルのパンの販売に関する広告チラシである。このチラシの右下には、総発売元として「株式会社ノーブル」の名称が住所、電話番号等とともに表示されており、チラシの左上には、「使用商標」が「おいしい幸せ、お届けします。」「予約宅配」「ご注文電話番号」の表示とともに表示されている。また、「デイリーブレッド」として「食パン」等が、また、「10月?12月 3ヶ月間メニュー」として各種パンがそれぞれ価格とともに写真入りで紹介されており、チラシ左下には、「2008年(H20)10・11・12月」の表示がされている。
(2)本件商標は、「ノーブル」の片仮名文字を縦書きした構成よりなるのに対し、乙第3号証及び乙第4号証における使用商標は、いずれも「ノーブルパン」の片仮名文字を横書きしてなるものであり、本件商標とは縦書きに対して横書きである点及び「ノーブル」の文字に対して商品の普通名称である「パン」の文字が付加されている点が相違するが、これらの変更使用によっては本件商標の商品の出所表示機能の同一性に影響を及ぼすものではなく、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
そして、乙第3号証及び乙第4号証から見て取れる「2007年(平成19年)4・5・6月」及び「2008年(H20)10・11・12月」の表示は、広告チラシに掲載した商品の取り扱い時期を表示したものと解されるものであるから、株式会社ノーブルは、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を掲載した広告チラシをその時期に作成、配布し、パンの販売を行っていたものと十分に推認される。
(3)以上によれば、本件審判の請求の登録日である平成20年(2008年)10月21日前3年以内である平成19年4月ないし同年6月及び平成20年10月ないし同年12月において、通常使用権者である株式会社ノーブルが、指定商品「パン」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商品に関する広告に使用をしたものと認められる。
したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中「パン」について、通常使用権者により使用されていたことを証明したと認め得るところであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-11-10 
結審通知日 2009-11-13 
審決日 2009-11-25 
出願番号 商願昭9-3226 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (230)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 井出 英一郎
岩崎 良子
登録日 1934-08-20 
登録番号 商標登録第256113号(T256113) 
商標の称呼 ノーブル 
代理人 伊藤 浩二 
代理人 深見 久郎 
代理人 竹内 耕三 
代理人 野田 久登 
代理人 森田 俊雄 

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