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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z10
管理番号 1218345 
審判番号 取消2009-300268 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-02-25 
確定日 2010-05-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4761556号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4761556号商標の指定商品中、第10類「歯科用機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4761556号商標(以下「本件商標」という。)は、「ECLIPSE」の欧文字を横書きしてなり、平成13年8月7日に登録出願、第5類「歯科用補綴用レジン,その他の歯科用材料」及び第10類「歯科用機械器具」を指定商品として同16年4月2日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張(要点)
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第16号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、第10類「歯科用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実はない。また、同指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったとは認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、本件商標の指定商品中、第10類「歯科用機械器具」について、取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
本件商標の不使用は、商標法第50条第2項に規定する不使用についての正当な理由には該当しない。
(ア)「デンツプライ三金株式会社」について
被請求人は、「子会社であるデンツプライ三金株式会社を通じて・・・医療機器の製造販売の承認を厚生労働大臣に提出した」旨述べているが、「デンツプライ三金株式会社」が本件商標の専用使用権者か又は通常使用権者であることを証明する資料が一切提出されていない。
よって、「義歯床用アクリル系レジン」の製造販売承認申請書を提出した「デンツプライ三金株式会社」が、その時点で、正当に使用の許諾を得ていた者であるのか否かにつき疑義があると言わざるを得ない。
(イ)「製造販売承認申請書」について
被請求人は、「義歯床用アクリル系レジン」の製造販売承認申請書を平成19年4月26日に厚生労働大臣に提出した旨述べているが、その申請が現在、却下や取下げ等がされずに審査に継続中で、未だ許可待ちの状態であるということが明らかにされていない。よって、不使用についての「正当な理由」を判断するには不十分であると言わざるを得ない。
(ウ)製造販売承認申請日以前の不使用期間について
本件商標の登録日は、平成16年(2004年)4月2日である。そして、「義歯床用アクリル系レジン」についての製造販売承認申請書を提出した日は、平成19年(2007年)4月26日である。すなわち、前記申請書が提出された時点において既に、不使用期間が3年以上も経過していることになる。
このように、商標の不使用の状況が長期間経過した後になって、ようやく許可申請がなされた場合には、当該許可が下りていないことをもって正当な理由があるとはいえない。このことは、昭和55年(行ケ)第329号判決において明確に判示されているところである(甲第1号証)。
そうとすれば、仮に現在、「義歯床用アクリル系レジン」について許可待ちの状態であるとしても、申請前に長期間にわたって不使用期間が継続していたことを考慮すれば、直ちに申請中であることのみをもって「正当な理由」に該当すると即断することはできない。ましてや、本審判で争点となっているのは、その「義歯床用アクリル系レジン」を処理するために用いられる「歯科技工用重合装置」である。すなわち、申請に係る「義歯床用アクリル系レジン」についてすら、正当理由を認めることは妥当ではないのであるから、その「義歯床用アクリル系レジン」を処理するために用いられる「歯科技工用重合装置」について不使用の「正当な理由」を認めることは、さらに妥当ではないといえる。
(エ)「義歯床用アクリル系レジン」と「歯科技工用重合装置」との関係
被請求人は、乙第3号証に記載の「歯科技工用重合装置」は申請品である「義歯床用アクリル系レジン」の処理にのみ使用されるものであり、前記レジンは、その「歯科技工用重合装置」がないと処理することができないものである旨主張している。
しかしながら、一般的には、市販の義歯床用レジンを用いることができる「歯科技工用重合装置」の方が普通であり、各メーカーのレジンに対応して、温度や圧力等を柔軟に変更できる設定機能を持ったものが数多く販売されている(甲第3号証ないし甲第10号証)。また、義歯床用レジンにしても、各メーカーから様々なタイプの汎用レジンが一般的に販売されているのが実情である(甲第11号証ないし甲第16号証)。例えば、甲第16号証に示す義歯床用アクリル系レジン(商品名「フィットレジン」)では、1頁左下「本材に使用する機械及び器具」欄の「歯科技工用重合装置」の項目に、「水を50℃以上に加温及び保温することが可能であり、且つ0.2?0.4MPaの加圧が可能な歯科技工用重合装置」であれば、どのような重合装置にも使用可能との記載がある。
そうすると、被請求人の「歯科技工用重合装置」が申請品である「義歯床用アクリル系レジン」の処理にのみ使用されるものであって、前記レジンは、その「歯科技工用重合装置」がないと処理することができないというのは、単に自己都合でしかなく、前記レジンと前記重合装置という自社製品群の売上げ促進を企図した被請求人側の単なる販売戦略上の事情にすぎないものというべきである。商標法第50条第2項における不使用の正当理由には、医薬品等の承認申請中で未だ許可が下りていないといった事由も含まれるかもしれないが、それはあくまでも、承認申請に係るその物のみであって、それを処理するためにのみ用いられる装置といった、いわば間接的に使用される物にまで拡大して解釈することは妥当ではない。これを認めるならば、専用品であることを主張しさえすれば、不使用の「正当な理由」として認められることとなり、商標法第50条の規定の趣旨を没却することにもなりかねない。
(オ)まとめ
以上述べた通り、被請求人の主張する不使用の理由は、商標法第50条第2項が本来規定しているような商標権者の責めに帰すことができない事由とは到底いえないものである。

3 被請求人の主張(要点)
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出した。
被請求人は、本件商標をその指定商品「歯科用機械器具」について、本件審判請求の登録日前3年以前より今日まで、日本国内において使用していないことにつき、正当な理由が存在する。
(1)被請求人は、本件商標の登録を得て、これを日本国において、指定商品中の第5類「歯科用補綴用レジン」に義歯床材料として使用する企画をたて、該企画を実行に移すべく、日本国における子会社であるデンツプライ三金株式会社を通じて、平成19年4月26日付をもって、医療機器の製造販売の承認を厚生労働大臣に提出した。乙第1号証は、販売名を「エクリプス」(ECLIPSEの自然な称呼に当たる)とする一般的名称「義歯床用アクリル系レジン」の医療機器製造販売承認申請書の写しである。
(2)一方、義歯床用アクリル系レジンを歯科治療行為に使用するためには、レジンを充填し、固化するための専用の器具である歯科技工用重合装置が必要とされる。前記デンツプライ三金株式会社の販売業務担当部で、薬事担当者に対する指針として作成された一覧表を乙第2号証として提出する。同号証の1頁には、専用器具一式として歯科技工用重合装置、歯科技工用成型器、歯科用ワックス形成器等が記載されている。2頁の表にある類別コード「器69」には歯科技工用重合装置が記載され、「歯科技工室で、高分子材料を重合するために用いる装置をいう。加熱、加熱と加圧、光、またはこれらを組み合せて重合を行う」との説明がなされている。同じ項目の次の「クラス分類」とある区画はクラス分類であり「1」と記載されていることから、「クラス1」に該当する医療機器であることが示されている。そして、この「クラス1」の記載は、4頁の海外で製造した製品を輸入し、販売する場合の申請の流れを示したフローチャートによれば、製造販売届を提出するだけでよいことになっている。本件では、現段階では未届となっているが、前記装置は、本レジンを処理するための専用の装置であり、レジンについての製造販売許可を受けなければ、これを製造販売することは実質的に不可能な状態におかれることを意味する。
被請求人によって作成され、製品購入者に販布される「Eclipse」商標を付した歯科技工重合装置についての英文説明書を乙第3号証として提出する。同号証の第1章によれば、前記装置は、「Eclipse商標を付した本歯科用材料の処理にのみ専用の一式器具として開発されました。本説明書に反する器具の使用によって生じた損害に対して、当社は責任を負うことはできません。又、そのような使用は安全を害したり、効率の悪い使い方となります。」と記載されている。つまり、上記装置は、上記レジンの処理にのみ使用されるように作られている。
また、上記の事実から、本件の指定商品レジンは、上記の歯科技工重合装置がないと、これを処理することができない。
以上から、本件における「義歯床用アクリル系レジン」の製造販売承認申請は、前記レジンの処理にのみ使用され、同処理に必須の歯科技工用重合装置の使用を不可能とすることが明白である。
したがって、本件商標は、その指定商品である第10類「歯科用機械器具」について不使用ではあるものの、かかる不使用は、「義歯床用アクリル系レジン」の製造販売について厚生労働省の許可を必要とすることから、商標法第50条第2項に規定する正当の理由に相当するというべきである。

4 当審の判断
被請求人は、本件商標が取消請求に係る商品である第10類「歯科用機械器具」につき使用されていないことについては争わず、本件商標が不使用であることについて正当な理由がある旨主張している。
(1)ところで、商標制度は、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とし、設定された商標権を通じて、商品流通の過程、競争関係に一定の秩序をもたらそうとするものであるところ、商標権が設定された後であっても、この目的ないし要請に積極的に応えるに足りない事実、例えば、当該商標の一定期間の継続した不使用の事実が現にあれば、この事実によって、その商標権は、商標制度存在の趣旨に沿わず、かえって、他人による同一又は類似の商標の使用を阻み、ひいては、他人の流通秩序への寄与を妨げることになる。そこで、そのような不使用の状態にある商標権は、消極的な意味しか有しないものとして否定さるべきものであるとするのが現行不使用による商標登録取消制度の趣旨と解される。
そして、商標法第50条第2項ただし書きの登録商標の使用をしていないことについての正当な理由としては、その商標の使用をする予定の商品の生産の準備中に天災地変等によって、工場等が損壊した結果、その使用ができなかったような場合、許認可手続の遅延その他の公権力の発動による場合、時限立法によって一定期間(3年以上)その商標の使用が禁止されたような場合等が事例として挙げられており、許認可手続に係る場合にあっても、例えば、東京高裁昭和55年(行ケ)第329号判決によれば、「商標法第50条に基づく登録取消審判において、同条第2項ただし書に規定する正当な理由を判断するにあたっては、当該登録商標が登録後、引続き長期間に亘る不使用の状態にあるときは、その不使用の事実ないし状況は、不使用についての正当な理由の存否の判断に当って、考慮されるべきものである」旨判示されている。
(2)そこで、被請求人の主張している理由が本件商標の使用をしていないことについての正当な理由に該当するか否かについて判断する。
(ア)確かに、乙第1号証(医療機器製造販売承認申請書)によれば、被請求人の子会社と推認し得るデンツプライ三金株式会社は、本件審判の請求の登録(平成21年3月13日)前である平成19年4月26日付で、厚生労働大臣に対し、「義歯床用アクリル系レジン」について、「エクリプス」の販売名をもって、医療機器製造販売承認申請書を提出していることが認められる。
しかしながら、商標法第50条第2項に規定されている「正当な理由」の一つといえる認可手続の遅延が、厚生労働大臣への承認申請に係る商品(本件においては「義歯床用アクリル系レジン」)そのものについての事由としてばかりでなく、その処理のために使用される機器(本件においては「歯科技工用重合装置」)の不使用についての事由としてまで認められるとしても、次の理由により、被請求人の主張は採用できない。
すなわち、被請求人は、歯科用材料や歯科用機械器具の製造・販売を業とする者であるから、これら商品について商標を使用しようとする場合、その前提として、厚生労働大臣への承認申請等の規制を受けるものであることは、十分承知している筈である。そして、被請求人が使用を予定している「歯科技工用重合装置」の使用の前提となる「義歯床用アクリル系レジン」の製造販売承認申請をした後、被請求人の責に帰すべからざる事情によって、承認が得られるまでに予想外の長期間を要したというような特別の事情があればともかくも、本件については、そのような事情を認めるに足る証拠は提出されていない。しかも、当該承認申請は、本件商標の設定登録後3年余の長期間にわたる商標の不使用の状況が続いた後になされたものである。
そうとすれば、商標制度及び不使用による商標登録取消制度の趣旨と上記した状況を併せ考えると、被請求人の主張する事情のみをもってしては、被請求人が使用を予定している「義歯床用アクリル系レジン」、ひいては、その「義歯床用アクリル系レジン」の処理のために使用される「歯科技工用重合装置」についての不使用について正当な理由があったものということはできない。
(イ)加えて、被請求人は、該歯科技工用重合装置は該義歯床用アクリル系レジンの処理にのみ使用される専用の装置である旨主張しているが、そのことを裏付ける証拠として提出しているのは、乙第3号証(歯科技工用重合装置の英文説明書)のみである。そして、乙第3号証の説明書には、被請求人も述べているように、「前記装置は、Eclipse商標を付した本歯科用材料の処理にのみ専用の一式器具として開発されました。本説明書に反する器具の使用によって生じた損害に対して、当社は責任を負うことはできません。又、そのような使用は安全を害したり、効率の悪い使い方となります。」と記載されているところ、このような記載は、関連する自社開発製品の販売戦略上の事情とも相俟って、しばしば見受けられる記載の一類型とみられるものである。
そして、請求人の提出に係る甲第3号証(有限会社フィットのウェブページ)、甲第4号証ないし甲第6号証(東邦歯科産業株式会社のウェブページ)、甲第7号証(技工用光重合器「ハイライト パワー」のパンフレット写し)、甲第8号証(レジン用加圧重合器「パラマート エリート」よくある質問と回答)、甲第9号証(歯科技工用重合装置「αライト3」(「3」はローマ数字)のパンフレット写し)及び甲第10号証(歯科技工用重合装置「フイットレジン マルチキュア」の添付文書)によれば、各メーカーの義歯床用レジンに対応して、温度や圧力等を柔軟に変更できる「歯科技工用重合装置」が数多く販売されており、また、甲第11号証(株式会社デンタルネットのウェブページ)、甲第12号証(株式会社松風のウェブページ)、甲第13号証(株式会社クエストのウェブページ)、甲第14号証(山八歯材工業株式会社のウェブページ)、甲第15号証(株式会社ニッシンのウェブページ)及び甲第16号証(義歯床用アクリル系レジン「フイットレジン」の添付文書)によれば、各メーカーから様々なタイプの汎用レジンが一般的に販売されており、例えば、甲第16号証の「本材に使用する機械及び器具」欄の「歯科技工用重合装置」の欄には、「水を50℃以上に加温及び保温することが可能であり、且つ0.2?0.4MPaの加圧が可能な歯科技工用重合装置」であれば使用が可能である旨記載されている。
これらの甲号証を勘案すれば、歯科技工用重合装置が義歯床用アクリル系レジンの処理に使用される機器であって他の用途に用いられるものではないという意味においては専用の装置であるといえるとしても、被請求人が承認申請している「義歯床用アクリル系レジン」の製造販売承認が下りなければ、被請求人が本件商標の使用を予定している「歯科技工用重合装置」の製造販売をすることができなかったとの被請求人の主張には疑問が残り、乙第3号証のみをもってしては、被請求人の主張を裏付けるに充分なものとはいい難い。
そして他に、本件商標を「歯科技工用重合装置」を含む「歯科用機械器具」に使用することについて特段の障害があったとする主張及び立証もなされていない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について本件商標の使用をしている事実は認められないばかりでなく、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、取消請求に係る指定商品である第10類「歯科用機械器具」について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったものとも認められない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取消請求に係る第10類「歯科用機械器具」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-01-05 
結審通知日 2010-01-07 
審決日 2010-01-20 
出願番号 商願2001-71919(T2001-71919) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z10)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
内山 進
登録日 2004-04-02 
登録番号 商標登録第4761556号(T4761556) 
商標の称呼 エクリプス、イークリプス 
代理人 谷 義一 
代理人 小沢 慶之輔 
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