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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X0314182435
審判 全部申立て  登録を維持 X0314182435
管理番号 1214730 
異議申立番号 異議2009-900276 
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-07-15 
確定日 2010-03-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5226382号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5226382号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5226382号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成20年6月2日に登録出願、第3類、第14類、第18類、第24類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同21年4月6日に登録査定、同年4月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人カナリ アイルランド リミテッド(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、下記のとおりの商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(a)登録第4907948号商標(以下「引用商標1」という。)は、「CANALI」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年4月2日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年11月11日に設定登録されたものである。
(b)国際登録第838447号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、2004年4月26日を国際登録の日とし、第3類、第9類、第14類、第18類、第24類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年7月14日に設定登録されたものである。
(c)登録第2448071号商標(以下「引用商標3」という。)は、「CANALI」の欧文字を横書きしてなり、平成元年9月19日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年8月31日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成15年7月16日に指定商品の書換登録により、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標からは「カナル」の称呼を生じ、引用商標1及び2からは「カナリ」の称呼を生ずる。この両称呼は、語頭「カナ」を共通にし、差異音「ル」及び「リ」とて50音中同行に属する近似音で、しかも聴者に与える印象が弱い語尾に位置するから、語調・語感が極めて近似し、彼此聞き誤るおそれがある。また、両者は、外観上の印象も極めて近似しており、「運河」等の意味合いにおいて観念上も密接な関連性を有する。
したがって、本件商標は、引用商標1及び2との関連で商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標3は、欧文字「CANALI」を一連に横書きした構成からなるものであり、アメリカ、ヨーロッパ及び日本国内で申立人の服飾製品(高級紳士服)に使用される商標として、本件商標の出願時には、取引者・需要者の間に広く認識され、現在もなお広く認識されているものであるから、本件商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかの如く、その出所につき混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、周知著名な引用商標3との関連で、同法第4条第1項第15号にも該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「カナル」の片仮名文字と筆記体で書された「Canal」の欧文字とを二段に横書きした構成からなるものであるから、該構成文字に相応して「カナル」の称呼を生ずるものと認められる。
一方、引用商標1及び2は、上記あるいは別掲(2)のとおりの構成からなるものであるから、「CANALI」の欧文字に相応して「カナリ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標から生ずる「カナル」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「カナリ」の称呼とを比較するに、両称呼は、語尾部分において「ル」と「リ」の音の差異を有するものであるところ、この両音は、子音を同じくするとはいえ、それぞれの母音である(u)及び(i)の各音は、その発音形態を異にするばかりでなく、特に、(i)の音は、(u)の音に較べて、澄んだ音として明瞭に発音され、聴取されるものであるから、この差異は、語尾部分における差異とはいえ、3音という短い音構成からなる両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。
また、本件商標と引用商標1及び2の外観を比較してみても、その欧文字部分の配列を単純に比較してみれば、確かに、語尾における「I」の有無の差異のみではあるが、本件商標は特徴のある筆記体で書されているのに対して、引用商標1及び2は通常の活字体の大文字で書されているものであって、その字形において明らかな差異を有するものであるから、通常の注意力をもってすれば、その外観を見誤ることはないものというべきである。
更に、両商標の観念についてみても、いずれも、親しまれた意味合いを有するものとは認められないから、観念については比較すべくもないものといわざるを得ない。
そうとすると、本件商標と引用商標1及び2とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点よりみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、引用商標3との関連で、本件商標は商標法第4条第1項第15号にも該当する旨主張している。
そこで、申立人の提出に係る甲各号証をみるに、「各種全国紙・地方紙」等(甲第75号証ないし甲第78号証)、1987年度ないし2005年度までの申立人の「商品総売上高一覧表」(甲第79号証)、1987年度ないし2005年度までの申立人の「広告宣伝費一覧表」(甲第80号証)等によれば、「CANALI」の文字からなる引用商標3は、申立人の業務に係る商品「高級紳士服」に使用される商標として、我が国においても一定程度知られていることを認めることができる。
しかしながら、申立人が実際の取引において使用している「CANALI」の商標は、我が国においては、専ら「カナーリ」と表記されて使用されている事実が認められる。このような取引の実情に鑑みれば、引用商標3の「CANALI」の商標からは「カナーリ」の称呼のみが生ずるものといわなければならない。
そうとすれば、本件商標から生ずる「カナル」の称呼と実際の取引に供されている「CANALI」の商標から生ずる「カナーリ」の称呼とは、前半部分に共通するところがあるとしても、後半部分の音構成において明らかな差異を有しており、その語調、語感も明らかに異なるものであるから、互いに聞き誤るおそれはないものといわなければならない。
してみれば、本件商標と申立人が実際の取引において使用している引用商標3の「CANALI」の商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標3を連想又は想起させるものとは認められず、その商品・役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品・役務であるかの如く、その商品・役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。

(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(色彩については原本参照)

(2)引用商標2


(色彩については原本参照)

異議決定日 2010-03-02 
出願番号 商願2008-41941(T2008-41941) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X0314182435)
T 1 651・ 262- Y (X0314182435)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2009-04-24 
登録番号 商標登録第5226382号(T5226382) 
権利者 株式会社F&Aアクアホールディングス
商標の称呼 カナル、キャナル 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 小川 利春 
代理人 泉名 謙治 
代理人 工藤 莞司 
代理人 浜田 廣士 
代理人 黒川 朋也 
代理人 長谷川 芳樹 

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