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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09 |
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管理番号 | 1214667 |
審判番号 | 取消2009-300109 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2009-01-19 |
確定日 | 2010-04-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4740756号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4740756号商標(以下「本件商標」という。)は,「IDENTIFY」の文字を標準文字により表してなり,アメリカ合衆国における2002年11月29日の商標登録出願に基づきパリ条約による優先権を主張して平成15年5月6日に登録出願され,第9類「コンピュータ支援電子回路設計用コンピュータプログラム,その他の電子計算機用プログラム,電子計算機,その他の電子応用機械器具」を指定商品として平成16年1月16日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張の要点 請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べている。 本件商標は,その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により,その登録を取り消されるべきものである。 3 被請求人の答弁の要点 被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1ないし第16号証を提出している。 (1)被請求人(商標権者)は,本件審判の請求の登録日である平成21年2月3日前3年以内に,日本国内において,本件商標をその指定商品中「電子計算機用プログラム」に使用しており,商標法第50条第1項の規定に該当しないものである。 (2)審判の請求の登録日について 被請求人が登録原簿の写しを確認したところ,本件審判の請求の登録日は平成21年2月3日である。 したがって,被請求人は,平成18年2月4日から平成21年2月3日までの期間内において本件商標が使用されている事実を立証すれば足りることになる。 (3)証明に係る指定商品の範囲 本件審判に係る指定商品は,第9類「コンピュータ支援電子回路設計用コンピュータプログラム,その他の電子計算機用プログラム,電子計算機,その他の電子応用機械器具」である。 (4)証明に係る商標使用者について 本件商標権者であるシンプリシティ・インコーポレーテッドは,米国のカリフォルニア州で設立された会社であるが,その日本法人シンプリシティ株式会社(以下「シンプリシティ社」という。)は,「Synplicity会社概要」(乙第2号証)に示されるように,平成12年8月1日に設立され,平成21年4月10日に清算結了で消滅するまで東京都渋谷区代々木二丁目10番8号ケイアイ新宿ビル6階(平成12年10月16から平成20年8月25日まで)及び東京都品川区大井一丁目28番1号住友不動産大井町駅前ビル(平成20年10月14日から平成21年4月10日)に存在していた(乙第3及び第4号証)。シンプリシティ社は実質的に商標権者であった。なお,シンプリシティ社は清算により消滅したが,その事業は,東京都品川区大井一丁目28番1号住友不動産大井町駅前ビルにある日本シノプシス株式会社のシンプリシティ部門が事業を引継ぎ,現在も販売を継続している。 (5)シンプリシティ社は,乙第5号証に示す「Identify Pro」のリーフレット,乙第6号証に示す「Identify」(オンチップRTLデバッガ)のリーフレット写し及び乙第7号証に示す「Identify」(RTLデバッガ)のリーフレット写しに示されるように,商標「Identify」をソフトウェアの解説リーフレットに使用している。かかる行為は,商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものである。 乙第5ないし第7号証のリーフレットで解説されている内容は,電子計算機用プログラムそのものであり,本商標権の指定商品の「その他の電子計算機用プログラム」に該当することは明かである。 (6)証明に係る商標の同一性について 本件商標は,標準文字として欧文字大文字の「IDENTIFY」を横一連に書してなるものであり,商標法第50条第1項の規定から明らかなように,「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」として,乙第5ないし第7号証において大文字小文字の組み合わせからなる「Identify」の商標が使用されている。 乙第5号証に付記されている「Pro」の文字は,「プロ仕様」を意味する品質表示である。乙第6号証には,「マルアール」の符号が付記されているが,これは「Identify」が登録商標であることを示す国際的な表記である。乙第7号証には,欧文字「Identify」の下段に「RTLデバッガ」の文字が付されているが,これは「RTLソース上でプログラムのバグを取り除き,修正するソフトウェア」というような商品の普通名称を表しているに過ぎず,商標として使用しているのは「Identify」となる。 かかる商標「Identify」は,標準文字からなる本件商標「IDENTIFY」と実質的に同一の関係にあり,商標権者であるシンプリシティ・インコーポレーテッド及びその日本法人シンプリシティ社は,本件商標を指定商品に使用していたことになる。 (7)シンプリシティ社は,平成19年3月15日付,同年9月25日付,同年10月23日付,平成20年3月18日付,同年7月1日付及び同年7月16日付の「Identify Debugger」の注文書写し(乙第8,第10,第12,第13,第15及び第16号証),平成19年9月18日付「Identify Debugger」の注文書・納品書兼請求書写し(乙第9号証),平成19年10月22日付「FPGA検証ソフトウェアIdentify」の注文書・納品通知書写し(乙第11号証)又は平成20年4月10日付「Identify TBL」の注文書兼物品受領書写し(乙第14号証)に示されるように,ソニー株式会社の半導体事業部設計基板技術部門,東京エレクトロンデバイス株式会社PLDソリューション部,オリンパス株式会社IT改革推進部,株式会社ディー・ディー・エス,キヤノン株式会社デジタルプラットフォーム開発本部,松下電器産業株式会社パナソニックAVCネットワークス社,三洋半導体株式会社経営企画部事業管理部,富士通マイクロソリューションズ株式会社DAV開発部の各顧客より,それぞれ商品「プログラムのバグ(誤り)を取り除き,修正するソフトウェア」の商品名「Identify」に関して注文を受けている。 (8)乙第8ないし第16号証に示す注文書・発注書における商標「Identify」の使用行為も,商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものである。 (9)乙第5ないし第16号証の書証により,商標権者であるシンプリシティ・インコーポレーテッド及びその100%子会社であったシンプリシティ社は,本件商標をその指定商品中「電子計算機用プログラム」に平成19年3月15日から平成20年7月16日まで使用してきたことは明らかである。 したがって,本件商標が商標法第50条第1項の規定に該当しないことは明らかであり,請求人の主張は何ら根拠のないものである。 よって,本件審判の請求は成り立たない。 4 請求人の弁駁 請求人は,被請求人の答弁に対し弁駁していない。 5 当審の判断 (1)被請求人の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。 (ア)シンプリシティ社は,コンピュータソフトウェアのマーケティング,販売,設計及び技術支援等を目的とし,被請求人の子会社として平成12年8月1日に設立され,平成21年4月10日清算結了により消滅している(乙第2及び第3号証)。 (イ)乙第5ないし第7号証は,それぞれの記載内容からして,いずれもシンプリシティ社の取扱に係る商品「電子計算機用プログラム」に関するリーフレットと認められるところ,いずれのリーフレットにも,その表面の冒頭に「Identify Pro」又は「Identify」の文字が大きく顕著に表示され,その下段に「TotalRecallテクノロジーで完全な信号観測を実現するオンチップRTLデバッガ」,「オンチップRTLデバッガ」又は「RTLデバッガ」の文字が表示されている。その表示態様に照らし,「Identify」の文字は,独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであり,かつ,本件商標と社会通念上同一といえるものである。 上記リーフレットの発行日は明示されていないが,乙第5号証のリーフレットには,裏面の下の欄外に「Copyright C(マル)2007 Synplicity,Inc. All rights reserved.仕様は予告無しに変更する場合があります。Synplicity, Synplicityのロゴ,・・・はSynplicity,Inc.の登録商標です。」と記載されている。同様に,乙第6号証のリーフレットには,「Copyright C(マル)2005 Synplicity,Inc. All rights reserved.仕様は・・・」と,乙第7号証のリーフレットには,「Copyright C(マル)2003 Synplicity,Inc. All rights reserved.仕様は・・・」とそれぞれ記載されている。 (ウ)乙第8ないし第16号証は,2007年(平成19年)3月15日から2008年(平成20年)7月16日までの間にシンプリシティ社宛に発行された同社の顧客による注文書又は発注書の写しと認められるところ,該書面の商品名欄には,「Identify Debugger and Instrumentor,Japan FL.」,「IDENTIFY DEBUGGER JAPAN FL」,「FPGA検証ソフトウェアIdentify」,「IdentifyDebugger他」,「Identify TBL」,「Identify Debugger and Instrumentor,Floating」等と記載され,それぞれの数量欄,単価欄,金額欄に対応した数字が記載されている。そして,上記商品名欄に記載された「Identify Debugger」の文字と,乙第5ないし第7号証のリーフレットに記載された「Identify」及び「デバッガ」の文字に照らし,取引の経験則上,上記商品名欄に記載された商品は,乙第5ないし第7号証のリーフレットに掲載された商品を示すものとみて 差し支えない。 (2)上記(1)の認定事実によれば,乙第5号証のリーフレットは,「Copyright C(マル)2007 Synplicity,Inc.All rights reserved.」の記載に照らし,少なくとも2007年中ないしはそれ以降も使用されていたものと見るのが自然である。また,被請求人の発行に係る納品書,請求書,領収書等の取引書類の提出はないが,乙第8ないし第16号証の注文書又は発注書の存在からして,平成19年3月頃から平成20年7月頃までの間に,シンプリシティ社によって乙第5ないし第7号証に示された商品の取引が行われていたものと推認される。 (3)以上を総合勘案すると,被請求人は,子会社であるシンプリシティ社を通じ,本件審判の請求の登録(平成21年2月3日)前3年以内に,日本国内において,本件商標を使用して商品「電子計算機用プログラム」の取引を行っていたものというべきである。 (4)以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,その指定商品について,被請求人により使用されていたものであるから,商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消すべき限りでない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-05 |
結審通知日 | 2009-11-09 |
審決日 | 2009-11-20 |
出願番号 | 商願2003-36297(T2003-36297) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 矢代 達雄 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 小林 由美子 |
登録日 | 2004-01-16 |
登録番号 | 商標登録第4740756号(T4740756) |
商標の称呼 | アイデンティファイ |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 山崎 和香子 |
代理人 | 加藤 義明 |
代理人 | 山川 政樹 |