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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y20
管理番号 1212989 
審判番号 不服2007-11641 
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-23 
確定日 2010-02-22 
事件の表示 商願2005- 77872拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第20類、第30類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年8月22日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同18年5月8日受付の手続補正書により、第20類「プラスチック製包装用葉」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において容器を表すものと認められるところ、これは指定商品を取り扱う業界において通常採用し得る形状の範囲を超えていないと判断するのが相当であるから、単に商品の容器の形状を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、請求人に対して通知した、平成21年4月27日付け審尋は、以下のとおりである。

本願商標は、胴体の部分を蛇腹状にしたペットボトルと思しき形状からなるものであるところ、これは、本願指定商品と関連の深いプラスチック製包装用容器の一種を表したものと理解されるものであって、その構成中には商標の本質的な要素として必要な特定の要部を定めることができないものであるから、本願指定商品との関係においては、自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認め難く、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、単に本願指定商品と同種の商品であるプラスチック製包装用容器を表したものと認識するにとどまり、結局、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標といわざるを得ない。
よって、本願は商標法第3条第1項第6号に該当し、これを登録することはできない。

4 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記3の審尋に対して、平成21年6月17日受付の回答書において、要旨、以下のとおり主張している。

本願商標として表わされた飲料容器は、その周囲が縦方向の蛇膜状となっていて、この蛇膜状容器は、請求人の創作になるもので、それは新規な独創性に富む審美性を有する形状の容器であり、飲料容器の形状としてはこれまで採用されたことが無い奇抜なデザインである。
また、その基本的形状および具体的な形状は、新規な独創性を認められ意匠登録されるとともに、独創性のあるデザインの蛇膜状容器として、ラジオ,テレビ,新聞等の報道機関を介して広く紹介されている。
よって、これらの事実からすれば、本願商標として表わされた飲料容器は、これを全体観察してみれば、商品識別のための標識となり得る文字・図形が存在しなくても、胴体部分に顕著に施された蛇腹形状の奇抜なデザインが看者の注意をひくもので、その顕著性を以って十分に自他商品識別標識として機能し得るものである。
したがって、本願商標は、その指定商品について使用する場合も、自他商品識別標識として十分機能するものであり、商標法第3条第1項第6号の規定に該当するものではない。

5 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・自他役務(以下「自他商品等」という。)を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品等を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能又は美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するにとどまり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、いまだ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
ところで、商品等の形状の外観上の特徴は、需要者の購買心理、選択意欲、消費行動等に重要な影響を与えるものといえるから、商品等の形状において、美感や装飾等のデザイン性が強く追求されるということが、商品の企画、開発の現場で行われているところである。
そうすると、商品等の形状は、市場の流行や需要者の用途、嗜好等に合わせ、美感や装飾等のデザイン性を強く意識した各種の特徴的な変更、装飾等が施される実情にあるものと認められ、その場合、立体的形状に施されたその種の変更、装飾等は、外観上、同種の商品等の形状と比較し特徴的なものと認められるとしても、それらは専ら需要者が商品を選択するに際して、外観上の美観、若しくは魅力的な形状という嗜好上の意味合いを与えているにすぎず、いまだその商品等の形状の範囲内のものと認識するにとどまるものである。
したがって、通常、商品等の形状における変更、装飾等は、自他商品等の出所を表示する識別標識として機能しているものではないというのが相当である。
(2)これを本願についてみると、本願商標は、別掲のとおり、胴体の部分を蛇腹状にしたペットボトルと思しき形状からなるものであるところ、その形状が特徴的なものであったとしても、それは商品の美感、若しくは魅力的な形状をより発揮させるために施されたものというのが相当であるから、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に、本願商標の指定商品と同種の商品であるプラスチック製包装用容器のペットボトルの形状を表したものと理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとはいい得ず、結局、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
(3)また、請求人は、本願商標の形状について、意匠登録を受け、これより、この立体的形状は、請求人の創作になるもので、それは新規な独創性に富む審美性を有する形状の容器であり、飲料容器の形状としてはこれまで採用されたことがない奇抜なデザインであるから、十分に自他商品識別標識として機能し得るものである旨主張する。
しかしながら、意匠法における保護は、同法の目的に基づいて、保護の対象、要件、権利の範囲、効力等が定められているものであって、これらに従った登録意匠の実施と商標の使用とは明らかに異なるものであるから、意匠登録による独占を理由として自他商品の識別力を有するに至ったとは認めることはできないばかりでなく、却って、意匠権消滅後は何人もの実施が予定されているものであるから、請求人の主張は採用できない。
(4)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標(色彩については原本参照。)




審理終結日 2009-12-24 
結審通知日 2009-12-25 
審決日 2010-01-08 
出願番号 商願2005-77872(T2005-77872) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y20)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫水落 洋 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 稲村 秀子
井出 英一郎
代理人 奈良 武 

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