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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y06 |
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管理番号 | 1212949 |
審判番号 | 不服2007-22974 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-08-21 |
確定日 | 2010-02-18 |
事件の表示 | 商願2006- 51566拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「NUCOR」の欧文字を標準文字で表してなり、第6類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年6月2日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、原審における同19年5月12日受付の手続補正書により、第6類「鉄及び鋼,棒鋼・丸鋼・平鋼・ロッド鋼・山形鋼・溝形鋼・鍛造ビレット・線鋼・シート鋼・帯鋼その他の鋼,低炭素鋼,ステンレス鋼・合金鋼その他の特殊鋼,ボール鋼,建築用又は構築用の鉄製又は鋼製の専用材料」と補正されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第1437548号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和50年10月9日登録出願、第6類「鉄心用電気鋼板」を指定商品として、同55年9月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録(2回目の更新登録は、平成12年10月3日)がされたものである。 3 当審の判断 (1)商標の類否判断について 本願商標は、前記1のとおり、「NUCOR」の欧文字からなるものであるが、新聞記事情報及びインターネット情報に以下のような記載がある。(ウないしカは、2009年8月24日検索) ア 2000年5月24日付け日本経済新聞の朝刊13ページには、「石川島播磨重工業、鋼板設備で2社と合弁会社。」の見出しのもと、「石川島播磨重工業は二十三日、豪州の鉄鋼メーカーであるBHP社(メルボルン)、電炉メーカーのNucor社(ニューコア、ノースカロライナ州)と電炉向け鋼板生産設備の技術供与を行う合弁会社を設立したと正式発表した。」との記載がある。 イ 2000年5月24日付け日経産業新聞の16ページにも、「石播、米豪2社と合弁??電炉向け鋼板生産、設立を正式発表。」の見出しのもと、前記アと同様の記載がある。 ウ 「はてなキーワード」のWebサイトにおいて、「ニューコア」の見出しのもと、「Nucor Corporation」の項に、「全米第二位の鉄鋼メーカー 一時は倒産寸前だったがケン・アイバーソン社長の大胆な経営手法で飛躍的成長を果たした。」との記載がある。 (http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%CB%A5%E5%A1%BC%A5%B3%A5%A2) エ 「株式会社IHI」のWebサイトにおいて、「省エネ・省コストを可能とした新型鋼板製造機を受注?鋼板生産量1tあたりの二酸化炭素排出量を1/5以下に抑えることが可能?」の見出しのもと、「2007年7月5日 IHIは、このたび、世界で初めて商業化に成功した、溶鋼から圧延の工程を経ずに直接薄板をつくることが可能な新型薄鋼板製造機(ストリップキャスター)『キャストリップ』の2号機を、世界最大の電炉メーカー(粗鋼生産量世界8位)ニューコア社(NUCOR社、社長:Daniel R.DiMicco、本社:米、ノースカロライナ州)から受注しました。」との記載がある。 (http://www.ihi.co.jp/ihi/ihitopics/pressm/10068.html) オ 「投資情報サイト」のWebサイトにおいて、「NY鉄鋼セクター」の見出しのもと、「1日チャート」の項に、「ニューコア」、「NUCOER」及び「Nucor corporation」の文字と「米国の製鉄会社。05年の粗鋼生産は2030万トンで、世界8位。」との記載がある。 (http://www.investwalker.jp/chart/Marketview/sector/Steel/index.shtm) カ 「海外Overseas」のWebページにおいて、「世界の粗鋼生産は10年ぶりに減少」の見出しのもと、「世界主要鉄鋼企業の粗鋼生産」の表において、「順位」(2008年)、「企業名」及び「国名」の欄に、それぞれ、「10」、「USスチール US Steel」及び「米国 USA」並びに「13」、「ニューコア Nucor」及び「米国 USA」との記載がある。 (http://www.jisf.or.jp/en/statistics/sij/docs/Overseas.pdf) 以上のことから、本願商標は、全米第二位(2008年)の鉄鋼メーカーである出願人「Nucor corporation」の略称と認められるものであり、我が国では「ニューコア」と片仮名で表示されていることから、取引の実情に照らして、本願商標は、「ニューコア」の称呼を生ずるというのが相当である。また、本願商標からは、特定の観念を生じさせないものである。 一方、引用商標は、別掲のとおり、幾何模様的な図形の右に「ニューコア」及び「NEWCORE」の各文字を二段書きしてなるものであるところ、その図形部分と文字部分とは、視覚的に分離して把握されるものであり、また、これらを常に一体のものとして把握すべき意味上の関連性もないことから、それぞれの部分が独立して自他商品の識別機能を有するものといえる。そして、上段の文字部分は、下段の文字の読みを片仮名で表したものと認められるから、この片仮名に相応した「ニューコア」の称呼を生ずるものである。また、文字部分を含め引用商標は、特定の観念を生じさせないものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において類似するとはいえないものの、「ニューコア」の称呼を共通にするものであって、また、両者はいずれも特定の観念を生じないから、取引者、需要者に与える印象、記憶及び連想等を総合して全体的に考察すると、両者は類似する商標というべきである。 (2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について ア 商標法施行規則第6条別表には、第6類中に規定する「鉄及び鋼」の下位概念の商品として、「圧延鋼材」があり、その中に「鋼板」が例示されているが、その下位概念の射程を検討する上で、平成8年9月財団法人全国統計協会連合会発行、総務庁統計局統計基準部編集の「日本標準商品分類(平成2年6月改訂)」が参考になるところ、これによれば、分類番号18 615の「鋼板(電気鋼板を含む。)(巻いたものを除く。)」の下位概念として、分類番号18 6154の「電気鋼板」があることが認められる。さらに、1996年4月15日東洋経済新報社発行の「商品大辞典」が参考になるところ、これによれば、103頁の「表7圧延鋼材の種類」の表には「鋼板」があり、その中に「薄板類」が例示されており、さらに、その中に、「薄板、広幅帯鋼、電気鋼板」との記載がある。 そうすると、本願商標の指定商品中の「鉄及び鋼」は、「電気鋼板」を包含する商品であると判断するのが相当である。 イ また、社団法人日本鉄鋼連盟のウエブサイト(http://www.jisf.or.jp/knowledge/variety/usu.html)によると、「薄板(うすいた)」の見出しのもと、「電磁鋼板…変圧器や発電機で特性を発揮」の項に、「冷延鋼板の一種で磁気特性と電導性に優れ、大型発電機や変圧器のほか、家電製品の大小モーターなど電気機器類の鉄心に用いられる。けい素などを添加した特殊な鋼板で、電磁鋼板、または電気鋼板と呼ばれ、磁性の方向によって方向性電磁鋼板と無方向性電磁鋼板に分けられる。方向性電磁鋼板は圧延方向に優れた磁気特性を発揮し、変圧器に使われる。無方向性電磁鋼板はすべての方向に均一な磁気特性を有しており、発電機やモーター類に使われる。」との記載がある。 ウ さらに、以下のようにインターネット情報の記事(アないしウは、2009年9月7日検索)をみると、電磁鋼板(電気鋼板)と他の鋼板を共に扱っている企業も少なくないことから、商品の流通経路も共通していることがわかる。 (ア)「阪和興業株式会社」のWebページにおいて、「鉄鋼事業」の見出しのもと、「鋼板部門」の項に「主要取り扱い品目」において、「厚板、中板、熱延鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板、電磁鋼板、ステンレス鋼板、住宅資材、スチールハウス、鋼製パレット、鋼製地下室」との記載がある。 (http://www.hanwa.co.jp/business/steel/section3.html) (イ)「JFE商事株式会社」のWebページにおいて、「鉄のプロジェッショナルとして信頼を築く。」の見出しのもと、「■ 主な取扱商品 ■ 造船材、厚中板、舶用加工品、縞板などの厚板、熱延薄板、冷延薄板、電磁鋼板、表面処理鋼板などの薄板、ステンレス鋼、特殊鋼、亜鉛鉄板、ブリキ、鋼管、特殊鋼管、鋼管加工品、鉄粉、溶材、棒鋼、線材、H形鋼、軽量形鋼、一般形鋼、鉄筋加工品、コラム、スラブなどの鉄鋼半製品、土木製品、建設用資材、住宅資機材、スチールハウス、その他鉄鋼製品、土木工事、建築工事など」との記載がある。 (http://www.jfe-shoji.co.jp/service/d_steel.html) (ウ)「伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社」のWebページにおいて、「鋼材第一本部」の見出しのもと、「自動車業界向けのあらゆる鋼材を海外・国内の自動車メーカー、部品メーカーに供給しています。商社として初めて電磁鋼板部を設け、高度な専門知識を有するプロフェッショナルが電磁鋼板の特殊性をふまえ、全世界のユーザーの高度なニーズに対応しています。」との記載がある。 (http://www.benichu.com/Recruit/data/org.html) エ 前記アないしウによれば、本願商標の指定商品中の「鉄及び鋼」は、引用商標の指定商品「鉄心用電気鋼板」を包含するものと認めるのが相当である。 (3)したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)請求人の主張について 請求人は、本願商標の指定商品は、原材料としての商品であり、他者がさらに加工することによって最終製品となるものであるが、引用商標の指定商品は、「鉄心」すなわち「CORE」用の電気鋼板に限定されているから、両商標の商品を購入する購入者層も違えば、販売チャンネルも異なっており、そもそも両商標は誤認混同するおそれのないものである旨主張している。 しかし、前記(2)のとおり、本願商標の指定商品中の「鉄及び鋼」には、引用商標の指定商品「鉄心用電気鋼板」が含まれるものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。 (5)むすび 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(引用商標) |
審理終結日 | 2009-09-07 |
結審通知日 | 2009-09-11 |
審決日 | 2009-09-30 |
出願番号 | 商願2006-51566(T2006-51566) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(Y06)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大島 護 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 田村 正明 |
商標の称呼 | ニューコア、ヌーコア、ヌーコル |
代理人 | 高橋 三雄 |
代理人 | 高橋 大典 |
代理人 | 浜田 治雄 |