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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1211547 
異議申立番号 異議2009-900257 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-06-26 
確定日 2010-02-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5217689号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5217689号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5217689号商標(以下「本件商標」という。)は、「RARE GEM」の欧文字を横書きしてなり、平成20年9月4日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同21年3月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するから、取り消されるべきである。」旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)引用商標
申立人の引用する登録第4709575号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成14年6月26日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年9月12日に設定登録されたものである。
同じく、国際登録第817383号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、2003年10月22日にイタリア国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成15年11月3日に登録出願、第14類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同16年12月3日に設定登録されたものである。
同じく、国際登録第917928号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、2005年9月29日にイタリア国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成17年11月7日に登録出願、第9類、第18類及び第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同20年3月21日に設定登録されたものである。
(これらの登録商標をまとめていうときは、以下単に「引用商標」という。)
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、称呼及び外観をいずれも共通にする類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、イタリアの高級カジュアルブランドメーカーであり、現在5つのブランドを保有し、全世界の直営店や販売代理店を通じて、展開している(甲第10号証及び甲第20号証)。また、我が国においては、申立人が拒食症のモデルを採用したことで注目を集め、検索エンジンの「YAHOO!JAPAN」(2007年9月24日?9月30日)における検索キーワードランキングでは申立人である「Flash&Partners」が1位になるなど、広く知られている(甲第21号証)。そして、かかる世界的ブランドメーカーである申立人の引用商標は、上述のとおり、「RARE(ラーレ)」として、我が国においても取り扱われており、広く知られている。
甲第22号証は、日本を管轄地域とする販売代理店であるフランスの「La Connection Mode」社と申立人との代理店契約書の写しである。同契約書に添付されている「Allegato A/Enclosure A」の記載より、同社が「RA-RE」の日本における販売代理店であることが分かる。そして、甲第23号証ないし甲第25号証は、同代理店が、日本を代表する商社である伊藤忠商事(株)のほか、日本の洋品店などに商品を納品した際の伝票の一部である。また、甲第26号証は、申立人が同代理店に対し引用商標が付された被服などを販売した伝票の一部である。
以上の事実を考慮すると、本件商標の出願時において、引用商標は、申立人のブランドとして、国内及び外国における取引者・需要者の間に広く認識されている商標であることが明白であるから、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者及び需要者は、その商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者若しくは申立人の許諾を受けた者の業務に係る商品などであるかのように、その商品などの出所について混同を生ずるおそれが高いと思料する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上述のように、引用商標が付された被服などは、日本及び外国において広く販売されていることにより、需要者及び取引者の間に広く認識されており、本件商標と引用商標は、称呼及び外観が共通する類似商標である。
そもそも、本件商標権者は、自らが使用するために本件商標を出願したとすると、商売をする又は予定している本件商標権者は、被服などについては、一般消費者を凌駕する情報及び知識を有していると考えるのが自然であるため、本件商標の出願時において、被服などの商標としてすでに広く知られていた申立人ブランドの引用商標の存在を認識していたことは、杜会通念に照らせば明らかである。よって、本件商標権者は、高級カジュアルブランドメーカーである申立人の引用商標に仮体した信用にフリーライドするなどの不正目的を持っていたことは、明らかである。
以上より、本件商標を登録しようとする行為は、申立人ブランドの人気及び信用を不当にフリーライドしようとするものであるから、かかる本件商標を登録するのは、国際信義に反し、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「RARE GEM」の欧文字よりなるものであるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで表してなり、「RARE」と「GEM」の間に一文字程度の空白を有するとしても、外観上まとまりよく一体に表わされてなるものである。
そして、本件商標は、たとえ、その構成中、前半の「RARE」が「まれな、珍しい」を、後半の「GEM」が「(特にカットして磨いた)宝石」を意味する英語(甲第2号証)であるとしても、かかる構成においては、「GEM」の文字部分を省略し、「RARE」の文字部分のみをもって取引に資されるとはいい難く、むしろ、構成全体をもって一体不可分の一種の造語として認識し把握されるとみるのが自然である。
そうとすれば、本件商標はその構成全体に照応して「レアージェム」の一連の称呼のみを生ずるというのが相当である。
他方、引用商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるところ、その図形部分はもとより、「RAG RESTYLE」「RAG RECYCLE」の文字部分においても、本件商標とは、比較の対象となり得ないほど、外観、称呼及び観念において大きく異なるものであり、申立人も「申立人が所有する引用商標1および2は、いずれもハイフンにより結合され、全体の構成中大きく書された欧文字『RA-RE』の語を有している。また、引用商標3は、『RE』を左右反転した上、『RA』との間に『2つのR』を組み合わせたと思しき図形が配されているが、そこから欧文字『RARE』を認識することができる。」として、それらの構成中の「RA-RE」との比較において言及しているところであるから、同様に、これと本件商標とを比較するに、引用商標の「RA-RE」は、特に観念は生ぜず、その文字のアルファベットに起因して、「アールエイアールイー」の称呼を生じ、また、申立人が言うように、これは「ラーレ」と称されている取引の実情がある(甲第6号証ないし甲第8号証、甲第11号証ないし甲第15号証)ことを考慮して「ラーレ」の称呼をも生ずるものとしても、本件商標とは、外観が明らかに相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「レアージェム」であるのに対し、引用商標の「RA-RE」の称呼は、「アールエイアールイー」又は「ラーレ」であるから、構成音が明らかに相違し、これらを一連に称呼した場合であっても、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、引用商標の「RA-RE」からは、格別の観念が生じないから、これを比較すべきところがない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人提出の証拠
甲第1号証ないし甲第5号証は、本件商標及び引用商標についての公報、又は、本件商標を構成するワードに関する英和辞典である。
甲第6号証は、朝日新聞(2006年10月18日)の広告記事であり、「シャツ税込み16,590円」の文字と共に「ラーレ」記載がある。
甲第7号証は、雑誌「POPEYE」の2007年12月号67ページであるが、そこには、デニムパンツの写真と共に「ラーレ」「RARE」の記載がある。
甲第8号証は、「週刊ファッション雑誌」の紹介であり、2008年1月18日の表示とともに「ラーレ【RA-RE】」及び「ラーレとは、イタリアのブランドである。」の記載がある。
甲第9号証は、通販サイト「YOOX.COM」の「RA-RE」商品ページであるところ、「ジーンズ」「長袖Tシャツ」「パンツ」等の文字と共に「RA-RE」の記載があるが掲載日は、不明である。
甲第10号証は、申立人のウェブサイトであるところ、「THE KID」の文字と共に引用商標3が示されているが、具体的に何についての使用か、また、掲載日も不明である。
甲第11号証は、子供服のブランドリスト「RA-RE(ラーレ)」を紹介とするものであるが、そこには、「子供服のブランドリスト」として「RA-RE(ラーレ)」との記載があり、2007年6月3日の日付がある。
甲第12号証は、洋品店「LEMURIA」のウェブサイトであるところ、「RA-RE ラーレ」及び引用商標3が示され、「RA-RE (Italy) 2001年よりスタートしたRA-RE(ラーレ)」との記載がある。
甲第13号証は、楽天市場のウェブサイトであるところ、「イタリア高級カジュアルブランドRA-RE 新作ZIPパンツ★RARE ラーレ 新作ZIPジップ パンツ」の記載があるが、掲載日は不明である。
甲第14号証は、楽天市場のウェブサイトであるところ、「RARE(ラーレ)/KNIT HULF ZIP JACKET」及び「RARE(ラーレ)2000年よりスタートしたイタリアブランドRA-REです。」の記載があるが、掲載日は不明である。
甲第15号証は、雑誌「OCEANS」2007年2月号であるところ、そこには、子供と大人のモデルと共に「パンツ」及び「ラーレ」の記載がある。
甲第16号証ないし甲第22号証及び甲第27号証は、引用に係る商標の使用等を示すものはない。
甲第23号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)は、2006年以降の申立人の取引書類(伝票)であるところ、「RA.RE」の記載で、取引されていたことが確認できる。
イ 小括
以上の事実からは、「RARE」、「RA-RE」、「RA.RE」及び「ラーレ」の文字並びに引用商標3(以下、まとめて「使用商標」という。)の使用をもって、宣伝・広告及び取引をした事実は認められるものの、その広告・宣伝を行った期間等は不明であり、また、その売上数量等をも示されていないことからすれば、提出に係る証拠によっては、使用商標が、本件商標の出願日及び登録査定時において、我が国又は外国において、申立人の業務を表すものとして広く知られるに至っていたとは、認められない。
ウ 結び
上記のとおり、使用商標が、本件商標の出願日及び登録査定時において、我が国において、申立人の業務を表すものとして広く知られるに至っていたとは、認められないばかりでなく、本件商標は上記(1)のとおり一連と認められるものであることからすれば、本件商標と使用商標とは、相紛れるところのない別異のものであり、本件商標をその指定商品に使用しても、本件商標は、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について誤認・混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
以上のとおり、申立人提出に係る証拠によっては、使用商標が、本件商標の出願日及び登録査定時において、我が国又は外国において、申立人の業務を表すものとして広く知られるに至っていたとは、認められないばかりでなく、本件商標と使用商標とは、同一又は類似するものではないから、「不正の目的」について検討するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(4)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標1(登録第4709575号商標)

(色彩については、原本を参照されたい。)


(2)引用商標2(国際登録第817383号商標)




(3)引用商標3(国際登録第917928号商標)





異議決定日 2010-01-13 
出願番号 商願2008-72785(T2008-72785) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (X25)
T 1 651・ 222- Y (X25)
T 1 651・ 271- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 忠司石井 恵美子 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 2009-03-27 
登録番号 商標登録第5217689号(T5217689) 
権利者 株式会社ビーアールエートレーディング
商標の称呼 レアジェム、レアゲム、レア、ジェム、ゲム、ジイイイエム 
代理人 特許業務法人原謙三国際特許事務所 

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