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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X33 審判 全部申立て 登録を維持 X33 審判 全部申立て 登録を維持 X33 |
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管理番号 | 1211537 |
異議申立番号 | 異議2009-900213 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-06-05 |
確定日 | 2010-01-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5211864号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5211864号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5211864号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成20年7月22日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年12月18日に登録査定され、同21年3月6日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 1 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。 (1)登録第241876号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和7年6月23日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年3月22日に設定登録され、その後、5回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成15年4月23日に第33類「みりん,白酒,しょうちゅう」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 (2)登録第436744号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、昭和26年9月28日に登録出願、第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同28年12月12日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成17年2月2日に第33類「濁酒,泡盛,直し,柳蔭,亀の歳,保命酒,葱苳酒,まむし酒,梅酒,朝鮮薬酒及びこれらの模造酒」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 (3)登録第1955248号商標(以下「引用商標3」という。)は、「達磨」の文字を書してなり、昭和59年8月10日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年5月29日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、平成19年4月4日に第32類「ビール」及び第33類「洋酒,果実酒」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは「引用各商標」という。 2 理由の要点 (1)商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とでは、「中国酒」を除き商品の抵触関係が存在する。 イ 本件商標の文字部分は「あか達磨」であるが、ひらがな部分の「あか」と漢字部分の「達磨」では、文字の種類に質的な差異が存在することから、「あか」と「達磨」とは分断されて把握されることも十分あり得るものであり、本件商標からは、その「達磨」の部分から「だるま」の称呼、「『禅宗の始祖「達磨大師」』又は『赤色の張り子の玩具』」の観念が生じる(甲第8号証)。 他方、引用各商標からは、「だるま」の称呼、「『禅宗の始祖「達磨大師」』又は『赤色の張り子の玩具』」の観念が生じる(甲第8号証)。 仮に本件商標の文宇部分が「あか達磨」と一体的に把握されるとしても、「赤色の衣をまとった男の図」が伴なわれていること、「達磨〔張り子の玩具〕」はほとんど例外なく「赤色」であることにかんがみれば、需要者・取引者は、「あか達磨」の「あか」の部分は色彩を示す「赤」であると理解し、「形容詞的言葉〔色彩を示す言葉〕を有する結合商標は、それが付加結合されていない商標と類似する」との類否判断基準に照らし、本件商標の文字部分は、引用各商標と称呼及び観念において同一又は類似である。 特に、需要者・取引者が「あかだるま」と聞いた場合には「赤色の張子の玩具」を印象に残すものであり、他方、引用各商標「達磨」の称呼「だるま」と聞いた場合には、「赤色の張子の玩具」を印象に残すことからしても、本件商標と引用各商標とでは、観念において極めて紛らわしいものといわざるを得ない。 ウ してみれば、本件商標と引用各商標とでは、「だるま」の称呼及び「『禅宗の始祖「達磨大師」』又は『赤色の張り子の玩具』」の観念において同一であるか、又は類似する商標である。 また、本件商標の指定商品中「日本酒、洋酒、果実酒、薬味酒」は、引用各商標の指定商品と抵触するものである。 エ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、商品「しょうちゅう」を中心とする「酒類(「みりん」を含む)」を、「達磨」ブランドにて、長年に亘って製造・販売してきており、申立人の商標「達磨」は、取引者・需要者の間に広く認識され、著名になっているものである。また、申立人の「達磨」ブランドの商品「しょうちゅう」のうちの「紅あずま(さつまいも)」を原材料とする芋焼酎は、原材料が「紅(赤)あずま」であり、缶の表面や瓶のラベル上に「達磨」を模した図形が「赤」で描かれていることもあり、申立人の他の「達磨」ブランドの商品「酒類」(特に、米焼酎等の他の種類の「しょうちゅう」)と区別する意味もあり、酒販売店などにおいては、自然発生的に事実上「あかだるま」との愛称にて呼ばれて取り引きされており、この自然発生的な「あかだるま」との呼び名は広島県を中心に山陽・山陰・四国・北九州などで広く知られている(甲第9号証ないし甲第96号証)。 このような流通市場の現況に照らせば、その文字部分から「あかだるま」との称呼が生じる本件商標がその指定商品「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」に付されて販売されるとなると、本件商標を付したかかる商品の出所について混乱を生じ、本件商標の商標権者にとって「他人」である申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれが多大にある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定商品「日本酒、洋酒、果実酒、薬味酒」に関する限りは、商標法第4条第1項第11号に該当し、また、仮に本件商標が同法第4条第1号第11号に該当しないとしても、本件商標は、そのすべての指定商品に関して、同法第4条第1項第15号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲(1)のとおり、髪、髭及び眉だけが黒色で顔、胸、手足及び衣を含めて全体が赤色の立ち居姿の達磨大師らしき人物図形と、その図形に沿うようにまとまりよく縦書きされた「あか達磨」の文字からなるものである。そして、本件商標の構成中「あか達磨」の文字は、本件商標の構成態様及び当該文字が「赤い達磨大師」程の意味合いを想起させることから、人物図形をいい表したものとみるのが自然である。 そうとすれば、本件商標は、その構成中の「あか達磨」の文字から生ずる「アカダルマ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、「赤い衣をまとった達磨大師」程の意味合いを看取させるものと判断するのが相当である。 これに対し、引用商標1は別掲(2)のとおり、「達磨」の漢字を縦書きしてなるものであり、引用商標2は別掲(3)のとおり、だるまと思しき図形の上に「登録」及び「商標」の文字を右から左に横書きし、図形の下に「達磨」の文字を横書きしてなるものであり、引用商標3は「達磨」文字を横書きしてなるものであるから、いずれもその構成に相応して、「ダルマ」の称呼と「達磨大師。だるま(達磨大師の座禅した姿に模した張り子の玩具)」の観念を生ずるものというべきである。 そこで、本件商標と引用各商標との類否について検討すると、両者の構成は、前記のとおりであるから、外観上は明らかに区別し得るものである。 また、本件商標と引用各商標から生ずる「アカダルマ」と「ダルマ」の称呼の比較及び「赤い衣をまとった達磨大師」と「達磨大師。だるま(達磨大師の座禅した姿に模した張り子の玩具)」の意味合い(観念)の比較においても相紛れるおそれのないものである。 してみれば、本件商標と引用各商標とは、称呼、観念、外観のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第15号について 申立人が提出した、甲第9号証ないし甲第96号証は、あらかじめ印字した同一の証明書書式に、証明者が日付けを記入し、記名、押印して作成されたものであるから、これらの証拠価値を高く評価することはできない。そして、これらの証拠からは、申立人の製造・販売にかかる「芋焼酎」が、「あかだるま」との愛称で取り引きされていることは認め得るとしても、かかる愛称が申立人の商品であることを表わすものとして、本件商標の登録出願日以前より広島県を中心に山陽・山陰・四国・北九州などで周知になっていたとは認められない。また、他にその事実を認めるに足る証拠も見いだせない。 そうとすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者をして申立人の焼酎の愛称「あかだるま」を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。 3 まとめ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(1)本件商標![]() (色彩については原本を参照) 別掲(2)引用商標1 ![]() 別掲(3)引用商標2 ![]() |
異議決定日 | 2009-12-22 |
出願番号 | 商願2008-59396(T2008-59396) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X33)
T 1 651・ 262- Y (X33) T 1 651・ 263- Y (X33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 津金 純子 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 小畑 恵一 |
登録日 | 2009-03-06 |
登録番号 | 商標登録第5211864号(T5211864) |
権利者 | 株式会社トスネット |
商標の称呼 | アカダルマ、ダルマ |
代理人 | 吉村 仁 |
代理人 | 吉村 悟 |