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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X141825 審判 全部申立て 登録を維持 X141825 審判 全部申立て 登録を維持 X141825 審判 全部申立て 登録を維持 X141825 |
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管理番号 | 1211530 |
異議申立番号 | 異議2009-900168 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-05-14 |
確定日 | 2010-01-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5203824号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5203824号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5203824号商標(以下「本件商標」という。)は、「AHAVA」(語頭の「A」の文字は、他の文字に比べやや大きく表示されている。)の欧文字を横書きしてなり、平成20年6月27日に登録出願され、第14類「貴金属,キーホルダー,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」、第18類「かばん類,袋物,皮革」及び第25類「被服,履物」を指定商品として平成21年2月13日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由の要点 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、以下の(1)ないし(4)に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると主張している。 (1)商標法第4条第1項第19号の該当性について 申立人は、その名称をAHAVAーDead Sea Laboratories Ltd.(アハバ デッド シー ラボラトリーズ リミテッド)とするイスラエル法人であり、1988年以来、本国イスラエルを拠点として、死海の水を原材料とする各種化粧品及びせっけん類の製造・販売を行い、同商品について「AHAVA」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)を使用している。使用商標を付した申立人の業務に係る化粧品、せっけん類等の商品は、世界中の国・地域において流通・販売されており、女性向け雑誌等において多数広告・宣伝が行われていることから、使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には申立人の業務に係る商品を表示する商標として外国及び日本国内の需要者・取引者の間に広く認識されているものである。使用商標は、ヘブライ語で「愛」を意味する語であるが、我が国におけるヘブライ語の普及度からすれば、造語又はこれと同程度の特徴的な標識として認識されるものである。 そうしてみると、本件商標は、使用商標と同一の構成からなり、世界中で周知な使用商標に化体した信用・名声・顧客吸引力等にただ乗りする等の不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。 (2)商標法第4条第1項第15号の該当性について 本件商標と使用商標とは同一であること、使用商標は周知著名性及び独創性を有すること、本件商標の指定商品と使用商標が使用されている商品とは密接な関連性があり、取引者・需要者が共通であること、を総合的に考慮すると、本件商標をその指定商品に使用した場合には商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (3)商標法第4条第1項第8号の該当性について 本件商標は、他人である申立人の著名な略称「AHAVA」と同一の構成からなり、申立人の承諾を得たものでないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。 (4)商標法第4条第1項第7号の該当性について 本件商標の商標権者は、海外で広く認識されている使用商標を知り、使用商標が我が国において登録出願されていないことを奇貨として、申立人に無断で先取り的に出願し登録を受けたものである。かかる行為は、公正な取引秩序を乱すばかりでなく、国際信義に反し公の秩序を害するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。 3 当審の判断 (1)使用商標の周知著名性について 申立人は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には使用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として外国及び日本国内の需要者・取引者の間に広く認識されている旨主張し、甲第1ないし第14号証(枝番を含む。)を提出している。 そこで、以下、申立人の提出に係る証拠について検討する。 ア 甲第3号証の1ないし10及び甲第4号証は、申立人のホームページの写しと認められるところ、これらは申立人会社の紹介や申立人の業務に係る商品の紹介を内容とするものと認められるものの、いずれも本件商標の登録出願後にプリントアウトされたものである。しかも、その記載内容にしても、本件商標の登録出願前に記載されたと認められるものは、英文による甲第3号証の3のみであり、他には見当たらない。 イ 甲第5号証の1ないし6は、インターネットショッピングのサイトで申立人商品を検索した結果の写しと認められるところ、これらには使用商標を使用した申立人の商品が掲載されていることが認められるものの、いずれも本件商標の登録出願後にプリントアウトされたものである。しかも、その記載内容にしても、本件商標の登録出願前に記載されたと認められるものは、英文による甲第5号証の3のみであり、他には見当たらない。 ウ 甲第6号証の1、2及び甲第7号証の1ないし3は、米国特許商標庁又は欧州意匠商標庁における商標登録情報の写しと認められるところ、これらによれば、使用商標と同一の構成からなる商標が米国特許商標庁又は欧州意匠商標庁において登録されていることが認められるものの、商標登録の事実のみをもって、当該商標が周知著名であると認めることはできないことは、いうまでもない。 エ 甲第8号証の1及び2は、申立人の日本総輸入元である株式会社ダイトクレアを紹介するホームページの写しと認められるところ、これらには「AHAVA」の文字が表示されていることが認められるものの、上記甲第3ないし第5号証同様、これらも本件商標の登録出願後にプリントアウトされたものであるし、その内容も単に上記会社を紹介するに止まり、しかも、これらが本件商標の登録出願前に掲載されていたことを客観的に示すものはない。 甲第8号証の3は、申立人が日本国内の販売代理店に発行した請求書(Invoice)の写しと認められ、いずれにも頭書部分に「AHAVA」の文字が独立して大きく表示されていることが認められる。 これらによれば、2006年1月24日から2007年6月5日までの間は「SEABELL CO.LTD.」に対し、2008年6月29日から同年12月15日までの間は「DAITOCREA CO.,LTD」に対し、それぞれ化粧品等の商品が販売されたものと認められるが、これらのうち、本件商標の登録出願前のものは上記「SEABELL CO.LTD.」の分のみであり、その数量・額もそれほど多いものではない。 オ 甲第9号証の1ないし66は、女性向け雑誌等の抜粋写しと認められ、これら雑誌において使用商標を使用した申立人の商品が紹介されていることが認められる。 しかしながら、これらの雑誌は、不鮮明で発行年が確認できないもの(甲第9号証の2、6、7、38、45、49、51、53、63ないし65)を除き、ことごとく本件商標の登録出願日後に発行されたものである。 甲第9号証の67及び68は、ウェブサイト「Garbo」の写しと認められる。 しかしながら、いずれも本件商標の登録出願後にプリントアウトされたものであり、しかも、その記載内容にしても、本件商標の登録出願前に記載されたと認められるものは見当たらない。 カ 甲第10号証の1ないし8は、インターネットを通じた通信販売を行う各社のウェブサイトの写しと認められ、これらには使用商標を使用した申立人の商品が掲載されていることが認められる。 しかしながら、これらは、いずれも本件商標の登録出願後にプリントアウトされたものである。しかも、その記載内容にしても、本件商標の登録出願前に記載されたと認められるものは見当たらない。 キ 甲第1、第2、第11ないし第14号証は、本件商標の商標公報写しや判決例等であり、使用商標の周知性とは直接関係するものではない。 ク 小括 以上によれば、本件商標の登録出願後である平成20年末頃から平成21年始めにかけて女性雑誌等に申立人又は使用商標を付した申立人の商品について紹介されていることが認められるとしても、本件商標の登録出願前の事情を示す証左はごくわずかであり、また、本件商標の登録出願前における使用商標を使用した申立人の商品の販売高もさほど多いものではないから、本件商標の登録出願時(平成20年6月27日)において、使用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として外国及び我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 その他、本件商標の登録出願時において、使用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として外国及び我が国の取引者・需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る証拠はない。 (2)本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(1)のとおり、使用商標が本件商標の登録出願時において申立人の業務に係る商品を表示する商標として外国及び我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたとは認められない以上、本件商標は、使用商標と同一であるとしても、商標法第4条第1項第19号の要件を充足するものではない。 加えて、使用商標は、ヘブライ語で「愛」を意味する語であって、全くの造語とはいえないものであり、また、本件商標の商標権者が使用商標又は申立人の存在を知っていたものとは必ずしもいえず、むしろ、本件商標と使用商標とは偶然の一致といわざるを得ない。 してみれば、本件商標は、使用商標の信用、名声等にただ乗りし、不正の利益を得る目的、他人である申立人に損害を加える目的等の不正の目的をもって使用するものとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について 上記(1)のとおり、使用商標は、本件商標の登録出願時において申立人の業務に係る商品を表示する商標として外国及び我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたとは認められない。 そうすると、本件商標と使用商標との同一性、本件商標の指定商品と使用商標が使用されている商品との関連性、取引者・需要者の共通性その他取引の実情等を考慮しても、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者が使用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 (4)本件商標の商標法第4条第1項第8号該当性について 申立人は、使用商標の周知著名性を立証すべく証拠を提出しているが、該証拠によっては、本件商標の登録出願時において申立人の業務に係る商品を表示する商標として、外国及び我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたとは認められないことは、前示のとおりである。 そして、申立人は「AHAVA」の文字が申立人の著名な略称である旨主張するところ、「AHAVA」の文字は、申立人の商号の一部であることは認められるものの、これが申立人の略称として使用されている事実は、上記証拠中に散見される程度であり、これらをもって「AHAVA」の文字が申立人の略称として著名になっているものとは認められない。 他に、本件商標の登録出願時において、「AHAVA」の文字が申立人の著名な略称であることを認めるに足る証拠はない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。 (5)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について 前示のとおり、使用商標は本件商標の登録出願時において申立人の業務に係る商品を表示する商標又は申立人の著名な略称として外国及び我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたとは認められないから、本件商標の商標権者が、使用商標及び申立人の存在を知りながら、使用商標が我が国において登録されていないことを奇貨として先取り的に本件商標を登録出願したとまではいい難く、これが公正な競業秩序を害し、ひいては国際信義に反し公の秩序を害するものとは認められない。 もとより、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではないし、その指定商品について使用することが社会公共の利益に反し又は社会の一般的道徳観念に反するものでもなく、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。 (6)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する |
異議決定日 | 2010-01-07 |
出願番号 | 商願2008-55849(T2008-55849) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(X141825)
T 1 651・ 23- Y (X141825) T 1 651・ 271- Y (X141825) T 1 651・ 222- Y (X141825) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 正樹 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 野口 美代子 |
登録日 | 2009-02-13 |
登録番号 | 商標登録第5203824号(T5203824) |
権利者 | 株式会社ディーアール |
商標の称呼 | アハバ |
代理人 | 前田 大輔 |
代理人 | 窪田 英一郎 |
代理人 | 中村 知公 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |