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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X30
審判 一部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1211528 
異議申立番号 異議2008-900496 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-12-22 
確定日 2010-02-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5167052号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5167052号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5167052号商標(以下「本件商標」という。)は、「ゼロマックス」の片仮名文字及び「ZEROMAX」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成20年2月20日に登録出願、第29類「乳製品」及び第30類「コーヒー及びココア」を指定商品として、同年9月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第1702370号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MAX」の欧文字を横書きしてなり、昭和55年8月25日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年7月25日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成17年3月9日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第710310号商標(以下「引用商標2」という。)は、「MAX COFFEE」の欧文字及び「マツクス コーヒ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和35年7月26日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同41年6月16日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成18年4月12日に第30類「コーヒー」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第1453284号商標(以下「引用商標3」という。)は、「MAX,COFFEE」の欧文字及び「マックスコーヒ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和41年10月25日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年1月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成13年9月12日に第30類「コーヒー」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(4)登録第1453285号商標(以下「引用商標4」という。)は、「MAX CAFE」の欧文字及び「マックスカフェ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、昭和41年10月25日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年1月30日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成13年9月12日に第30類「コーヒー」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(5)登録第1565603号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、昭和50年6月19日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年2月25日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成15年5月7日に第30類「コーヒー」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)引用商標1ないし5の使用状況
1975年6月から千葉県及び茨城県等を中心に「MAX COFFEE」の商標が付された缶コーヒーの製造及び販売が開始され、商標の態様に多少の変更を加えつつも現在までその製造及び販売が続けられており、商品はロングセラーとなっている。現在、当該商品の製造及び販売は引用商標1ないし5の登録商標に係る通常使用権者により行われ、その販売地域は全国的に広がっており、2007年度には159万ケースを売り上げ、人気テレビドラマ等で取り上げられる等、その知名度は更に増しているものである。
また、当該商品について現在使用されている商標の態様は、大きな文字の「MAX」とやや小さい「COFFEE」の文字が二段に分けて横書きされてなるものであり、「MAX」の文字が目立つ態様となっている。そのため、「COFFEE」の部分は識別力が低いことも併せ考えると、当該商品を製造及び販売する行為は、商標「MAX COFFEE」の使用に該当するほか、 商標 「MAX COFFEE」から「COFFEE」の部分を捨象した商標「MAX」の使用にも該当するものである。
この事実から、「MAX COFFEE」及び「MAX」の文字部分を有する引用商標1ないし5は、継続的に使用された結果、需要者の間に広く認識された商標であるということが窺えるものである。
(2)本件商標と証拠との対比
引用商標1は、「MAX」の欧文字を横書きしてなるものであり、「マックス」の称呼を生じる。
引用商標2 は、「MAX COFFEE」の欧文字と「マックスコーヒ」の小さな片仮名文字とを二段に分けて横書きしてなるものであり、指定商品との関係から識別機能の低い「COFFEE」及び「コーヒ」の部分を除いた「MAX」及び「マックス」の部分から「マックス」の称呼を生じる。
引用商標3 は、「MAX COFFEE」の欧文字と「マックスコーヒ」の小さな片仮名文字とを二段に分けて横書きしてなるものであり、指定商品との関係から識別機能の低い「COFFEE」及び「コーヒ」の部分を除いた「MAX」及び「マックス」の部分から「マックス」の称呼を生じる。
引用商標4は、「MAX CAFE」の欧文字と「マックスカフェ」の小さな片仮名文字とを二段に分けて横書きしてなるものであり、指定商品との関係から識別機能の低い「CAFE」及び「カフェ」の部分を除いた「MAX」及び「マックス」の部分から「マックス」の称呼を生じる。
引用商標5 は、「MAX」の欧文字と「coffee」の欧文字とを二段に分けて横書きしてなるものであり、指定商品との関係から識別機能の低い「coffee」の部分を除いた「MAX」の部分から「マックス」の称呼を生じる。
一方、本件商標は、「ゼロマックス」の片仮名文字と「ZEROMAX」の欧文字とを二段に分けて横書きしてなるものである。ここで、「ゼロ」及び「ZERO」の文字部分は数字を表すものであるが、この種数字は、商品の規格、型式又は品番を表すための記号、符号として商取引上類型的に採択使用されているところであるから、それ自体は、商品識別の機能を有しないか、若しくは極めてその機能の弱い部分といわなければならない。
また近年、「ゼロ」又は「ZERO」の語は、本件商標の指定商品の関連する業界においてその飲料が有する糖質あるいは糖類が0gであるか、又は0gに極めて近いことを示す語として一般に用いられている事実があり、需要者、取引者の間においてもそのような意味として一般的に認識されている。この事実は、飲料メーカー各社が自己の商品に使用する商標に「ゼロ」又は「ZERO」の語を取り入れている点からも窺うことができる。
飲料メーカー各社は、それぞれ販売する缶コーヒー飲料の商標において、糖質あるいは糖類が0 gであること等を示すために「ゼロ」あるいは「ZERO」の文字を用いていることから、缶コーヒー飲料等について「ゼロ」あるいは「ZERO」の文字は、糖質あるいは糖類が0gであること等を意味するものとして需要者、取引者間において広く浸透していることが窺われる。このような事実から、本件商標における「ゼロ」及び「ZERO」の文字部分は、本件商標の指定商品の原材料表示、品質表示等に該当するものであり、商品識別の機能が極めて低い語であるといえる。
一方、「MAX」の文字部分について考察すると、「MAX」は口語で「最大限(maximum)」という意味を有するが、これは本件商標に係る指定商品の品質等を直接表示するものではなく、品質等を暗示的に表現するに止まるものである。そのため「MAX」の文字部分には識別力が認められる。
すると、本件商標に接した需要者、取引者は「MAX」の文字部分に着目し、該語に強く印象付けられるとともに、これを主要な構成部分、すなわち自他商品の識別標識と捉え、その称呼をもって取引に当たる場合が決して少なくないものといえる。
また、「ゼロ」及び「ZERO」の文字部分の識別機能の低さに加え、引用商標1ないし5が継続的に使用された結果、需要者の間に広く認識された商標であるという取引の実情を併せ考えると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと考える余地はなく、本件商標は「MAX」の文字部分から独立して「マックス」の称呼が生じるものと解するのが妥当である。
以上より、本件商標と引用商標1ないし5 は「マックス」の称呼を共通にすることから、称呼において同一又は類似する。また、本件商標と引用商標1ないし5はいずれも通常の文字書体の域を超えるものではないため、独立して識別力を有する「MAX」の部分から同一又は類似の外観を生じる。さらに、本件商標と引用商標1ないし5は独立して識別力を有する「MAX」の部分から口語で「最大限(maximum)」といった同一又は類似の観念が生じる。したがって、本件商標と引用商標1ないし5は外観・称呼・観念のいずれにおいても同一又は類似する。
また、本件商標の指定商品である第30類「コーヒー及びココア」は、引用商標1の指定商品「コーヒー、ココア」と、引用商標1ないし5の指定商品「コーヒー」と同一又は類似する商品である。
したがって、本件商標と引用商標1ないし5は互いに同一又は類似の商標である。
(3)まとめ
このように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)引用各商標の著名性について
引用商標1ないし5については、日本コカ・コーラ株式会社を通常使用権者として通常使用権が設定されている(甲第2号証ないし甲第6号証)。
そして、通常使用権者の日本におけるコカ・コーラのボトラーの一社である利根コカ・コーラボトリング株式会社は、その関連会社に製造を委託し、1975年から「MAX COFEE」「マックスコーヒー」の商標を付した缶コーヒーの販売を開始し、1991年からは前記商標に「GEORGIA」の文字を冠した商標が使用されていることが認められる。そして、その主な販売地域は、千葉、茨城、栃木の各県であり、2006年7月より東京都、埼玉県、群馬県、新潟県及び全国のコンビニエンスストア、スーパーマーケットといった全国チェーン店の一部店舗で販売され、販売地域は広がった(甲第7号証ないし甲第9号証)。
しかし、例えば2007年の売り上げ159万ケースの半分以上は千葉県内で消費されていること、また、人気テレビドラマ等で取り上げられたと申立人は主張しているが、それは千葉県又は茨城県を対象とした地域性の強い番組によるものでその影響力は不明であること、マックスコーヒーはこれまで大々的なテレビCMや広告を出したことがないこと等を併せ考慮すると、引用各商標が本件商標の登録出願がされた平成20年2月20日前に需要者の間において全国的に広く知られていたとは認めることはできず、たとえ知られていたとしても千葉県、茨城県及び栃木県の需要者に限定されているというのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「ゼロマックス」の片仮名文字及び「ZEROMAX」の欧文字を上下二段に横書してなるところ、商標を構成する各文字は同じ書体、同じ大きさ及び同じ間隔でまとまりよく表されており、また、片仮名文字は欧文字の読みを表記したものと認められるものであって、これより生ずる「ゼロマックス」の称呼は淀みなく一連に称呼し得るものである。そして、引用各商標の著名性については上記(1)のとおりであり、全体としてまとまりよく表された本件商標は、これを「ゼロ/ZERO」と「マックス/MAX」に分離して観察しなければならない特段の理由を発見することはできず、一体不可分の商標として把握すべきものであるから、本件商標は、特定の意味合いを有しない一連一体の造語とみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「ゼロマックス」の称呼のみを生じ、特定の観念は生じないというのが相当である。
これに対し、引用商標1は、「MAX」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「マックス」の称呼を生じ、「最大限」等の意味を有する英語「maximum」の略語と認められることから、「最大限」の観念を生ずるものである。
引用商標2は、「MAX COFFEE」の欧文字及び「マツクス コーヒ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、また、引用商標3は、「MAX,COFFEE」の欧文字及び「マックスコーヒ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるところ、それぞれの構成全体からともに「マックスコーヒ(ー)」の称呼を生じ、また、その構成中の「 COFFEE/コーヒ」の部分は商品の普通名称を表示すものであって自他商品の識別力を有しないものであるから、独立して自他商品の識別力を有する部分はそれぞれ「MAX/マツクス」及び「MAX/マックス」の文字部分にあり、これより「マックス」の称呼、「最大限」の観念を生ずるものである。
引用商標4は、「MAX,CAFE」の欧文字及び「マックスカフェ」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるところ、その構成全体から「マックスカフェ」の称呼を生じ、また、その構成中の「コーヒー店、コーヒー」を意味する英語又は仏語「CAFE」(カフェ)の部分は商品の普通名称等を表示すものであって自他商品の識別力を有しないものであるから、独立して自他商品の識別力を有する部分は「MAX/マックス」の文字部分にあり、これより「マックス」の称呼、「最大限」の観念を生ずるものである。
引用商標5は、別掲に示すとおりの構成からなり、その構成文字に相応して「マックスコーヒー」の称呼を生じ、また、その構成中の「coffee」の部分は商品の普通名称を表示すものであって自他商品の識別力を有しないものであるから、独立して自他商品の識別力を有する部分は「MAX」の文字部分にあり、これより「マックス」の称呼、「最大限」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標と引用各商標とを比較するに、外観においては、本件商標と引用各商標とは、その構成文字において顕著な差異を有するものであるから、外観上相紛れるおそれはない。
称呼においては、本件商標より生ずる称呼「ゼロマックス」と引用各商標より生ずる称呼「マックスコーヒ」「マックスコーヒー」「マックスカフェ」及び「マックス」とは、その音構成及び構成音数などに明らかな差異を有するからそれぞれ明確に聴別することができるものであって、本件商標と引用各商標とは、称呼上相紛れるおそれはない。
観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないものであるから、観念上引用各商標とは比較することができない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、観念上は比較することができず、外観及び称呼においては相紛れるおそれのない非類似の商標である。
なお、申立人は、本件商標の構成中の「ゼロ」及び「ZERO」の文字部分は、商品の規格又は品番等を表すための記号、符号として商取引上類型的に採択使用されているところであるから商品識別の機能を有しないこと、また近年、「ゼロ」又は「ZERO」の語は本件商標の指定商品の関連する業界においてその飲料が有する糖質あるいは糖類が0gであるか又は0gに極めて近いことを示す語として一般に使用され、認識されていることを理由として、本件商標は、要部と認められる「MAX」の文字部分から、「マックス」の称呼及び「最大限(maximum)」の観念が生じる旨主張している。
しかしながら、一般に商品の規格又は品番等を表す記号、符号として使用されている数字はアラビア数字が一般的でり、片仮名文字表記による「ゼロ」又は欧文字表記による「ZERO」が使用されること並びにこれらの表記「ゼロ」と「ZERO」が併記して商品の規格又は品番等を表す記号、符号として使用されることは極めてまれなことと解されるので、その主張は採用することができない。
また、「ゼロ」又は「ZERO」の文字の使用に関しては、甲第10号証は「CAFE ZERO」「カフェゼロ」「砂糖ゼロ」として使用され、甲第11号証は「CAFE ZERO」「糖類ゼロ」として使用され、甲第12号証は「糖類0g」「糖類0グラム」として使用されているように、他の「砂糖」や「糖類」等の語とともに使用されているのが実情であって、「ゼロ」又は「ZERO」の単独の表記が糖質あるいは糖類が0gであるとの意味を有するものとして理解され、使用されているのではないというべきであるから、この点に関する主張も採用することができない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号の規定に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別 掲(引用商標5)


異議決定日 2010-01-13 
出願番号 商願2008-12134(T2008-12134) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (X30)
T 1 652・ 262- Y (X30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 武谷 逸平小田 明 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
井出 英一郎
登録日 2008-09-19 
登録番号 商標登録第5167052号(T5167052) 
権利者 アサヒ飲料株式会社
商標の称呼 ゼロマックス、マックス、エムエイエックス 
代理人 馬場 信幸 
代理人 宮尾 明茂 
代理人 神田 正義 
代理人 藤本 英介 
代理人 萼 経夫 

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