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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない X35
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X35
管理番号 1211404 
審判番号 不服2008-11951 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-09 
確定日 2010-01-18 
事件の表示 商願2007-29451拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食器類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成19年4月1日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第471939号商標(以下「引用商標1」という。)、登録第493692号商標(以下「引用商標2」という。)、登録第1507999号商標(以下「引用商標3」という。)、登録第1573541号商標(以下「引用商標4」という。)、登録第1725512号商標(以下「引用商標5」という。)、登録第1725513号商標(以下「引用商標6」という。)、登録第1756092号商標(以下「引用商標7」という。)、登録第1829366号商標(以下「引用商標8」という。)、登録第3338880号商標(以下「引用商標9」という。)、登録第4452572号商標(以下「引用商標10」という。)、登録第4460222号商標(以下「引用商標11」という。)、登録第4460223号商標(以下「引用商標12」という。)及び登録第4992317号商標(以下「引用商標13」という。)(なお、これらをまとめていうときは、「引用各商標」という。)と類似の商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
ところで、引用各商標の構成等については、以下の(1)ないし(13)のとおりである。
1 引用商標1は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和30年3月2日に登録出願、第43類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同年10月19日に設定登録され、その後、4回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成18年8月16日に第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつまめ・ゆであずきを除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち,パン」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 引用商標2は、別掲3のとおりの構成よりなり、昭和29年10月29日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和31年12月19日に設定登録され、その後、4回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成19年6月20日に第30類「ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,トマトソース,ホワイトソース,マヨネーズソース」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 引用商標3は、別掲4のとおりの構成よりなり、昭和53年2月15日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和57年4月30日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成15年6月18日に第30類「しょうゆ,食酢,ウースターソース,ケチャップ,マヨネーズソース,ドレッシング,酢の素,ホワイトソース」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
4 引用商標4は、別掲5のとおりの構成よりなり、昭和53年2月15日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和58年3月28日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成15年7月9日に第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
5 引用商標5は、別掲6のとおりの構成よりなり、昭和56年6月4日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和59年10月31日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成18年1月18日に第30類「しょうゆ,食酢,ウースターソース,ケチャップ,マヨネーズソース,ドレッシング,酢の素,ホワイトソース」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
6 引用商標6は、別掲7のとおりの構成よりなり、昭和56年6月4日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和59年10月31日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成17年8月10日に第1類「人工甘味料」、第5類「乳糖,乳児用粉乳」、第29類「乳製品」、第30類「みそ,砂糖,氷砂糖(調味料),角砂糖,ぶどう糖,果糖,はちみつ,麦芽糖,水あめ(調味料),粉末あめ,食塩,ごま塩,すりごま,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」、第31類「ホップ」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
7 引用商標7は、別掲8のとおりの構成よりなり、昭和56年6月4日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和60年3月25日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成17年10月12日に第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,乾燥卵,カレーのもと,スープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」、第30類「サンドイッチ,すし,べんとう,即席菓子のもと,酒かす」及び第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
8 引用商標8は、別掲9のとおりの構成よりなり、昭和56年8月12日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として昭和60年12月25日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされ、指定商品については、平成18年3月29日に第30類「しょうゆ,食酢,ウースターソース,ケチャップ,マヨネーズソース,ドレッシング,酢の素,ホワイトソース」とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
9 引用商標9は、「イカリ」の片仮名文字を縦書きしてなり、平成6年9月16日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として平成9年8月15日に設定登録され、その後、平成19年8月15日に商標権の存続期間が満了し、平成20年4月23日に登録の抹消登録がされているものである。
10 引用商標10は、別掲10のとおりの構成よりなり、平成12年1月28日に登録出願、第30類「ウ-スタ-ソ-ス,ケチャップソ-ス,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソ-ス,マヨネ-ズソ-ス,焼き肉のたれ」を指定商品として平成13年2月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
11 引用商標11は、別掲11のとおりの構成よりなり、平成12年1月28日に登録出願、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として平成13年3月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
12 引用商標12は、別掲12のとおりの構成よりなり、平成12年1月28日に登録出願、第30類「みそ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,コーヒー及びココア,茶,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として平成13年3月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
13 引用商標13は、別掲13のとおりの構成よりなり、平成17年10月4日に登録出願、第30類「ウースターソース,とんかつソース,ケチャップソース,お好み焼きソース,焼そばソース,マヨネーズソース,ホワイトソース,オイスターソース,グレービーソース,ブラウンソース,サルサソース,タルタルソース,チリソース,トマトソース,ハンバーグソース,バーベキューソース,ピザ用ソース,その他のソース(調味料)」を指定商品として平成18年9月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
1 前記第2の9のとおり、引用商標9の商標権は、存続期間が満了し、登録の抹消登録がされているものである。
したがって、本願商標に係る当該引用商標についての拒絶の理由は解消した。

2 本願商標と引用商標1及び引用商標5ないし引用商標7との類否について
本願商標は、別掲1のとおり、黒色長方形の背景内に、白抜きで「ikari」の欧文字を書してなるところ、該文字部分に相応して、「イカリ」の称呼を生ずるものである。
また、該文字部分からは、「怒り」及び「錨」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標1及び引用商標5ないし引用商標7は、別掲2及び別掲6ないし別掲8のとおり、構成中上部に「錨」と思しき図形を配し、その下部に「イカリ」の片仮名文字を書してなるものである。
そうとすると、引用商標1及び引用商標5ないし引用商標7は、その構成中の「イカリ」の文字から、「イカリ」の称呼を生ずるものであり、「錨」と思しき図形及び文字との関係より「錨」の観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標1及び引用商標5ないし引用商標7とは、外観において相違するものであるとしても、「イカリ」の称呼を共通にし、さらに、「錨」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標1及び引用商標5ないし引用商標7の指定商品と同一または類似する役務を含むものと認められる。

3 本願商標と引用商標2との類否について
本願商標は、上記2の認定のとおり、「イカリ」の称呼を生ずるものであり、かつ、「怒り」及び「錨」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標2は、3本の内枠を有する灰色で着色されたラベルのような背景の構成中左上部に「錨」と思しき図形を配し、下部に表した二本の横線の間に、「IKARI」の欧文字と、その下段に黒色の「Sauce」の欧文字とを二段に横書きにしてなるものである。
そして、引用商標2の構成中、「IKARI」の文字部分は白色のゴシック体で肉太に大きく書されているのに対し、その下段に筆記体で書された「Sauce」の文字部分は、「IKARI」の文字の「K」と「A」の中間から「I」の文字にかけてなる程の長さで、かつ、背景の灰色に沈み込むような色合いの黒色で書されている。
そうとすると、引用商標2の構成中、「IKARI」の文字部分は「Sauce」の文字部分に比べ、白色で大きく書されていることから、特に、看者の目を惹きやすい部分であって、視覚上、分離して認識し、把握される場合があるとみるのが自然である。
また、引用商標2の構成中、「Sauce」の文字部分は、その指定商品との関係においては、商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであることから、「IKARI」の文字部分が独立して取引に資される場合があるというのが相当である。
したがって、引用商標2は、「IKARI」の文字部分より「イカリ」の称呼をも生ずるものであり、「錨」と思しき図形及び「IKARI」の文字との関係より「錨」の観念をも生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標2とは、外観において相違するものであるとしても、「イカリ」の称呼を共通にし、さらに、「錨」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標2の指定商品と同一または類似する役務を含むものと認められる。

4 本願商標と引用商標3及び引用商標4との類否について
本願商標は、上記2の認定のとおり、「イカリ」の称呼を生ずるものであり、かつ、「怒り」及び「錨」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標3及び引用商標4は、別掲4及び別掲5のとおり、黒色の正方形に白抜きで「錨」と思しき図形を表した図形を構成中上部中央に配し、該図形を囲むように左側に縦書きで「錨牌」の漢字を、右側に縦書きで「イカリ」の片仮名文字を、下部に「Ikari」及び「Anchor」の欧文字を二段に横書きしたものを、それぞれ配してなるものである。
そうとすると、引用商標3及び引用商標4は、請求人(出願人)(以下「請求人」という。)も認めているとおり、その構成中の「イカリ」の文字より、「イカリ」の称呼をも生ずるものであり、該文字及び「錨」と思しき図形との関係より「錨」の観念をも生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標3及び引用商標4とは、外観において相違するものであるとしても、「イカリ」の称呼を共通にし、さらに、「錨」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標3及び引用商標4の指定商品と同一または類似する役務を含むものと認められる。

5 本願商標と引用商標8との類否について
本願商標は、上記2の認定のとおり、「イカリ」の称呼を生ずるものであり、かつ、「怒り」及び「錨」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標8は、別掲9のとおり、「イカリ」の片仮名文字、黒色の正方形に白抜きで「錨」と思しき図形を表した図形及び黒色の円を横に二つ連ねたような図形内に白抜きで「熟味」と漢字で横書きしたものを、横一列に配してなるものである。
そして、引用商標8は、中央部分に図形を介してなることから、視覚上、該図形を挟んで、「イカリ」と「熟味」に分離できること、該商標全体として特定の意味を直ちに把握できないこと、また、左側の文字「イカリ」が、中央部分に配された「錨」と思しき図形と相俟って、我が国において一般に知られている単語である「錨」を容易に想起させるものであることから、簡易迅速を旨とする取引の実際においては、「イカリ」の文字部分に着目し、該部分より生ずる「イカリ」の称呼及び「錨」と思しき図形との関係より生ずる「錨」の観念によって取引に資されるとみるのが相当である。
そうとすると、引用商標8は、その構成中の「イカリ」の文字より、「イカリ」の称呼をも生ずるものであり、該文字及び「錨」と思しき図形との関係より「錨」の観念をも生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標8とは、外観において相違するものであるとしても、「イカリ」の称呼を共通にし、さらに、「錨」の観念を共通にする商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標8の指定商品と同一または類似する役務を含むものと認められる。

6 本願商標と引用商標10ないし引用商標12との類否について
本願商標は、上記2の認定のとおり、「イカリ」の称呼を生ずるものであり、かつ、「怒り」及び「錨」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標10ないし引用商標12は、別掲10ないし別掲12のとおり、黒色の雲状の図形に白抜きでやや図案化した「iKARI」(「i」の上部の点は黒色)の欧文字を横書きしてなるものである。
そうとすると、引用商標10ないし引用商標12は、該文字より、「イカリ」の称呼を生ずるものであり、かつ、「怒り」及び「錨」の観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標10ないし引用商標12とは、外観において相違するものであるとしても、「イカリ」の称呼を共通にし、さらに、「怒り」及び「錨」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標10ないし引用商標12の指定商品と同一または類似する役務を含むものと認められる。
なお、請求人は、「引用商標10ないし引用商標12は、高度に図案化されているため、特定の称呼は生じない。」旨述べているが、該引用商標の文字は、雲状の図形を伴い、ややレタリングが施されているものの、この程度の図案化は、通常行われている手法であり、容易にローマ文字を表したものとして理解し得るものであり、該引用商標の文字部分は「iKARI」の文字を横書きしてなるものと認められ、これより、「イカリ」と称呼し得るものとみるのが相当であるから、この主張は採用できない。

7 本願商標と引用商標13との類否について
本願商標は、上記2の認定のとおり、「イカリ」の称呼を生ずるものであり、かつ、「怒り」及び「錨」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標13は、別掲13のとおり、赤色の長方形内に白抜きで「IKARI」の欧文字、「錨」と思しき図形及び白抜きで「SAUCE」の欧文字を、横一列に配してなるものである。
そして、引用商標13は、その構成中の「SAUCE」の文字部分が、その指定商品との関係においては、商品の品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものであることから、「IKARI」の文字部分が独立して取引に資される場合があるものというを相当とし、これより「イカリ」の称呼をも生ずるものというべきであり、「IKARI」の文字及び「錨」と思しき図形との関係より「錨」の観念をも生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標13とは、外観において相違するものであるとしても、「イカリ」の称呼を共通にし、さらに、「錨」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標13の指定商品と同一または類似する役務を含むものと認められる。

8 請求人の主張について
(1)請求人は、資料1ないし資料28(枝番を含む。)を提出し、「本願商標は『いかりスーパーマーケット』の商標として、本願指定役務の分野において、既に我が国において広く認識されており、需要者が本願商標に接した場合、『いかりスーパーマーケット』という固有の観念を認識するのに十分な使用実績を積み重ねている。したがって、本願商標からは、『いかりスーパーマーケット』の観念が生じるものである。そして、個別具体的な取引の実情に基づいて考えれば、本願商標と引用各商標とは、称呼において共通するとしても、観念及び外観において全く紛らわしくはない。」旨、主張する。
しかしながら、請求人の提出に係る証拠資料、及び職権による調査によると、請求人が、本願商標をその指定役務について使用し、現在、実際に営業を行っているのは、兵庫県、大阪府及び京都府における24店舗(請求人のウェブサイト:http://www.ikarisuper.co.jp/store/store_list.html)であることが認められる。
なお、平成17年に埼玉県に大宮店を、平成20年に神奈川県に新横浜店を開店させている(資料18ないし資料20)が、両店とも平成21年には閉店していることが認められる(ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)。
そして、上記3府県以外の地域に出店を行っている事実は認められない。
また、インターネット通信販売により、取扱商品を日本全国に販売しているとして、販売実績表を提出している(資料8及び資料23)が、資料8によると、例えば、平成17年1月から平成19年10月31日の2年10か月の間の東京都への販売実績は400件にすぎず、また、資料23によると、平成19年11月1日から平成20年5月25日のおよそ7か月の間の東京都への販売実績は、わずか58件にすぎないものである。
さらにまた、資料9-1ないし資料9-6、資料24-1、資料24-2、資料10-1ないし資料10-6は、雑誌及びテレビによる取材結果についての資料であるが、そのほとんどが近畿圏におけるメディアからの取材によるものであり、加えて、本願商標に関する情報も、上記インターネット通信販売のウェブサイトによるものであって、請求人自らが、本願商標について、一般需要者が接する機会が多いと認められる全国ネットのテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、宣伝・広告を行っている等の事実も確認することはできない。
上記実情よりすれば、本願商標が「いかりスーパーマーケット」という観念をもって、全国の一般需要者に広く認識されているとは認められないものである。
そうとすれば、本願商標から、直ちに「いかりスーパーマーケット」の観念を生ずるものとはいえないと言わざるを得ない。
そして、仮に本願商標が、取引者・需要者をして「いかりスーパーマーケット」の観念で認識される場合があるとしても、上記2のとおり、本願商標の構成態様から「怒り」及び「錨」の観念をも生ずるというのが相当である。
してみれば、上記2ないし7で認定したとおり、本願商標と引用各商標とが、称呼を共通とするのみではなく、その観念においても類似するものであると判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
(2)請求人は、登録例(資料28)を挙げ、本願商標も自他役務識別標識としての機能を果たしうるものである旨主張しているが、そもそも、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、請求人の主張している登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、請求人の主張は、採用することができない。
その他、請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

9 結論
以上からすると、本願商標と引用各商標は、外観において相違するものであるとしても、「イカリ」の称呼を共通にし、「怒り」及び「錨」の観念においても類似する商標である。
そして、本願商標の指定役務は、引用各商標の指定商品と同一または類似する役務を含むものと認められる。
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標

別掲2 引用商標1

別掲3 引用商標2

別掲4 引用商標3

別掲5 引用商標4

別掲6 引用商標5

別掲7 引用商標6

別掲8 引用商標7

別掲9 引用商標8

別掲10 引用商標10

別掲11 引用商標11

別掲12 引用商標12

別掲13 引用商標13

(色彩については、原本を参照されたい。)

審理終結日 2009-11-24 
結審通知日 2009-11-27 
審決日 2009-12-08 
出願番号 商願2007-29451(T2007-29451) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X35)
T 1 8・ 263- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大井手 正雄 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 小川 きみえ
豊瀬 京太郎
商標の称呼 イカリ 
代理人 松井 宏記 
代理人 稲岡 耕作 
代理人 川崎 実夫 
代理人 竹原 懋 

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