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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X1641 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X1641 |
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管理番号 | 1211391 |
審判番号 | 不服2009-6308 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-03-05 |
確定日 | 2010-01-20 |
事件の表示 | 商願2008- 28226拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「エコ マガジン」の片仮名文字と「Eco Magazine」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、第16類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年3月28日に登録出願されたものであるが、指定商品及び指定役務については、平成20年10月24日付け及び当審における平成21年8月26日付け提出の手続補正書により、第16類「雑誌」及び第41類「オンラインによる電子雑誌の提供」に補正されたものである。 2 当審における拒絶理由通知の要旨 本願商標は、「エコ マガジン」の片仮名文字と「Eco Magazine」の欧文字を普通に用いられる方法で上下二段に横書きしてなるところ、その構成中の「エコ」及び「Eco」の文字は、「『環境の,生態(学)の』の意で複合語をつくる」(コンサイスカタカナ語辞典第3版[株式会社三省堂発行])等の意味を有するものであり、例えば、「環境に配慮した自動車」を「エコカー[eco car]」、「環境保全を提唱する商品」を「エコグッズ[eco goods]」、「環境への配慮をテーマに営業を行う商店」を「エコショップ[eco shop]」、「省エネルギー,ゴミの少量化などを心がける生活」を「エコライフ[eco life]」などのように、他の語と結合して、「環境に配慮したものであること。環境への配慮をテーマにしたものであること。」程の意味を表すためのものとして、一般的に使用されているものである。また、環境問題への関心が高まる昨今においては、環境に配慮した商品や施策であることを表す語として、単に「エコ」又は「eco」の語のみが用いられることが少なくないところでもある。 そして、本願構成中の「マガジン」及び「Magazine」の文字は、「雑誌」(コンサイスカタカナ語辞典第3版[株式会社三省堂発行])等の意味を有するものとして、一般に広く知られ、用いられている語である。 そうとすると、本願商標は、全体として「環境への配慮をテーマにした雑誌」程の意味合いを容易に理解させるものとみるのが相当である。 また、雑誌関連分野において、「エコマガジン」及び「eco magazine」などの語は、以下のように使用されている。 (1)「財団法人岡山県環境保全事業団」のウェブサイトにおいて、「情報誌『環境』」の項の下、「環境eco magazine No.324」との記載があるとともに、該雑誌の表紙写真では、大きく「環境」と書された誌名の下に「eco magazine」の文字、更にその下に「地球にやさしい身近な取り組みを提案する【エコマガジン】」との記載がある。<http://www.kankyo.or.jp/koueki/jouhou/324.html> (2)「京都こだわり通販 賀茂かもん」のウェブサイトにおいて、「【送料込】 エコマガジン『Do You Kyoto?』 個人様向け 年間協賛購読(1冊×4回)」の項の下、雑誌「Do You Kyoto?」に関する説明などが写真付きで記載されている。<http://www.kamokamon.com/SHOP/DYK-PSNL.html> (3)「株式会社オウケイウェイヴ」のウェブサイトにおいて、「ランダムハウス講談社、横浜市との協働により、最先端の情報とコミュニティが融合した環境ポータルが誕生 OKWave、エコマガジン『Imagine』WEBサイトを開設」との表題の下、「環境をテーマにしたエコマガジン『Imagine』WEBサイトを2008年6月30日に開設、一般公開開始しました。」等の記載があるとともに、当該ウェブサイトのコンテンツは、雑誌「Imagine」の編集記事と連動したWEB版記事と、WEBのみで読める独自取材記事などであることが記載されている。<http://www.okwave.co.jp/news/press_log/2008/0630_01.html> (4)環境省広報誌「エコジン」の表紙において、大きく書された「エコジン」の誌名の上に「環境を考えるすべての人のためのエコ・マガジン」との記載があり、また、表紙の次のページには「エコジンとは、“エコロジー+人”、“エコロジー+マガジン”のこと。環境のことを考える人が一人でも多くなることを目指す、環境省発信のエコ・マガジンです。」との記載がある。<http://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/index.html> (5)「ecocul(エコカル)」のウェブサイトにおいて、雑誌「ecocolo」に関し、「エコ雑誌もここまで来た!社会性と芸術性が見事にミックスした、読みやすさ抜群のエコマガジン。」との記載がある。<http://www.aseed.org/ecocul/mailmagazine/04/> (6)「三省堂書店楽天市場店」のウェブサイトにおいて、「企業・国・自治体・市民を結ぶエコマガジン【年間購読】月刊地球環境」との記載があり、また、同ページに掲載されている雑誌の表紙において、「月刊 地球環境」との誌名の上段に小さく「企業・国・自治体・市民を結ぶエコマガジン」との記載がある。<http://item.rakuten.co.jp/books-sanseido/06151/> また、当該雑誌に関し、大分県立図書館がウェブサイトで提供している蔵書検索においては、雑誌名「地球環境」の情報中、副雑誌名の項に「企業・国・自治体・市民を結ぶエコマガジン」との記載がある。<http://library.pref.oita.jp/OIPLIB/servlet/search.detail_list?tilcod=2002220003678> (7)「ブックス成錦堂」の通販オンライン書店サイトにおいて、雑誌「ソトコト」について、「『環境問題を明るく楽しく考える男性総合誌』 地球と人をながもちさせるエコ・マガジン。自然をあらゆる観点から見つめる雑誌。」と記載されている(写真付き)。<http://www.atc.ne.jp/seikindo/magazines/maga23.htm> (8)「発電マングループ」のウェブサイトにおいて、「マスコミ紹介」の項の下、「2)地球を守る人のエコマガジン月刊『Earth Guardian(アース・ガーデン)6』に発電マングループのフォトボルテックが『チャレンジャーカンパニー環境ビジネスここにあり』の欄に紹介されました!(2006.6)」との記載がある。また、一緒に掲載されている当該雑誌の表紙において、大きく書された誌名「Earth Guardian」の下に小さく「地球を守る人のエコマガジン」との記載がある。<http://pv-tec.jp/masu/index.html> (9)「株式会社エコファクトリー」のウェブサイトにおいて、「『ECO&ヘアBeauty』マガジンにハイブリッドサーモシステム『ecowin』の記事が掲載されました!!」との項の下、「エコマガジン『ECO&ヘアBeauty』マガジンにハイブリッドサーモシステム『ecowin』が環境を最優先とした冷暖房機として紹介していただきました。」との記載がある。また、一緒に掲載されている当該雑誌の表紙において、一番上に小さく「美容・理容室から美と環境を考えるエコマガジン。」との記載がある。<http://www.ecofactory.jp/2009/06/post-134.html> (10)「鳥取県倉吉市」のウェブサイトにおいて、「●エコ雑誌『SOTOKOTO』」の項の下、「全国での発行部数は約10万部で、エコ、環境、健康、食などに関係するマスコミ・企業担当者がいつも話題、戦略捜しに読んでいる有名な本です。」との記載がある。<http://www.city.kurayoshi.lg.jp/p/gyousei/div/sogoseisaku/3/5/7/> (11)「エコライフポータルサイト」の「エコプル」において、「エコ雑誌」という項目があり、その項目下に複数の新聞雑誌等が列挙されている。<http://www.ecople.net/modules/ecomagazine1/> 前記した、本願商標より生ずる意味合い、及び例示した事実からすると、「エコマガジン」及び「eco magazine」の語は、「環境への配慮をテーマにした雑誌」程の意味合いを有するのみならず、実際の取引等の現場においても、その意味合いをもって、一つの雑誌の種類を表す如く、広く用いられているといえるものである。 以上の事実を総合勘案すると、本願商標を、本願指定商品又は指定役務中、例えば「環境への配慮をテーマにした雑誌」、「オンラインによる環境への配慮をテーマにした電子雑誌の提供」などに使用しても、これに接する需要者等は、単に商品の品質又は役務の質を表したものと理解するにとどまり、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ず、また、前記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当する。 3 請求人の意見の要旨 (ア)拒絶理由において、「本願商標より生ずる意味合い、及び例示した事実からすると、『エコマガジン』及び『eco magazine』の語は、『環境への配慮をテーマにした雑誌』程の意味合いを有するのみならず、実際の取引等の現場においても、その意味合いをもって、一つの雑誌の種類を表すが如く、広く用いられているといえるものである。」としているが、「eco」(登録第5041456号)がすでに商標として登録されていること、また、雑誌関連分野において、「エコマガジン」及び「eco magazine」などの語が各種の文章などのなかで、標章としてではなく、単なる説明のための形容詞的用語のひとつとして使用されている事例があることをもって、「一つの雑誌の種類を表すが如く、広く用いられているといえる」とするのは、誤りである。 (イ)商標法第3条第1項第3号に関する「商標審査基準」では、「新聞、雑誌等の定期刊行物の題号」について、「原則として、自他商品の識別力があるものとする。」と明記している。当該基準が意味するところは、「新聞、雑誌等の定期刊行物は、同じ著作物でも、書籍とはその性格を異にして、その題号と関わりなく様々な内容からなる記事を編集して定期的に発行されるもので、必ずしも題号が定期刊行物の内容を表示するものではない。また、定期刊行物の題号は、発行者が採択、使用しているものであり、定期刊行物はその題号が自他商品の識別標識として取引きに供されているという定期刊行物に係る取引きの実情を踏まえているもの。」であり、同号に該当するとする拒絶理由は誤りである。 (ウ)拒絶理由は、「エコ」及び「eco」の文字が、「『環境の、生態(学)の』の意で複合語をつくる」等の意味を有するものであり、他の語と結合して、『環境に配慮したものであること。環境への配慮をテーマにしたものであること。』程の意味を表すためのものとして、一般的に使用されていること、また、単に『エコ』又は『eco』の語のみが用いられることが少なくないことを論拠として、「本願商標が、全体として『環境への配慮をテーマにした雑誌』程の意味合いを容易に理解させるものとみるのが相当である。」としている。 しかしながら、「eco」(登録第5041456号)がすでに登録されていることからすれば、「エコ」及び「eco」の文字には、自他商品の識別力があり、その文字に「マガジン」及び「Magazine」の文字を結合して構成した本願商標にも、自他商品の識別力がある。 (エ)商標法第3条第1項第3号は、その立法趣旨について、「これらは通常、商品(役務)を取引過程に置く場合に必要な表示なので何人も使用をする必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものですから一私人に独占を認めるのは妥当ではなく、また、多くの場合すでに一般的に使用がされ、あるいは将来必ず一般的に使用がされるものですので、これらのものに自他商品(役務)の識別力を認めることはできないという理由によるものです。」(特許庁商標審査実務研究会編著「商標実務の基礎知識」114頁 経済産業省調査会)と説明されている。 拒絶理由で示された事例は、いずれも「雑誌」あるいは「オンラインによる電子雑誌」の題号として、標章「エコ マガジン\Eco Magazine」を使用しているものではなく、出版物等に関する内容紹介等の文章のなかで単なる説明のための形容詞的用語のひとつとして使用されているにすぎないものであるから、本願商標は「商品(役務)を取引過程に置く場合に必要な表示」には該当しないものである。 (オ)「ラグビー」(登録第580920号)と「ラグビーマガジン\RUGBY MAGAXINE」(登録第4248635号)は、いずれも「ラグビー」をテーマにした雑誌であるとの意味合いをもって、一つの雑誌の種類を表す如くのものであるが、「新聞、雑誌等の定期刊行物の題号」として、それぞれが自他商品の識別力がある。請求の理由の第5項3)で例示した商標[(ii)?(xii)]についても同様である。 本願商標「エコ マガジン\Eco Magazine」も同様であって、自他商品の識別力があり、商標法第3条第1項第3号には該当しない。 (6)以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当しない。 4 当審の判断 (1)本願商標は、上記1のとおり、「エコ マガジン」と「Eco Magazine」の文字を上下二段に横書きしてなるところ、前記2の拒絶の理由に示したとおり、全体として「環境への配慮をテーマにした雑誌」程の意味合いを容易に理解させるものであり、また、雑誌関連分野の取引等の現場において、当該意味合いをもって、一つの雑誌の種類を表す如く、広く用いられているものである。 よって、このような商標を、本願指定商品又は指定役務中、例えば「環境への配慮をテーマにした雑誌」、「オンラインによる環境への配慮をテーマにした電子雑誌の提供」などに使用しても、これに接する需要者等は、単に商品の品質又は役務の質を表したものと理解するにとどまり、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ず、また、前記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、前記商品又は役務であるかのように、商品の品質又は役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。 (2)請求人(出願人)の主張について (ア)請求人は、「雑誌関連分野において、『エコマガジン』及び『ecomagazine』などの語が各種の文章などのなかで、標章としてではなく、単なる説明のための形容詞的用語のひとつとして使用されている事例があることをもって、あたかも『一つの雑誌の種類を表すが如く、広く用いられているといえる』とするのは、誤りである。」、「拒絶理由で示された事例は、いずれも『雑誌』あるいは『オンラインによる電子雑誌』の題号として、標章『エコ マガジン\Eco Magazine』を使用しているものではなく、出版物等に関する内容紹介等の文章のなかで単なる説明のための形容詞的用語のひとつとして使用されているにすぎないものであるから、商品(役務)を取引過程に置く場合に必要な表示には該当せず、ひいては、商標法第3条第1項第3号に該当しない」旨主張している。 しかしながら、拒絶理由通知で示した事例が、「標章としてではなく、説明のための形容詞的用語のひとつとしての使用」であるか否かにかかわらず、「エコマガジン」及び「eco magazine」等の語が、「環境への配慮をテーマにした雑誌」程の意味合いをもって、雑誌のジャンル・種類を示す語として使用されているのであれば、それは、本願商標に接する需要者等が上記意味合いを認識するとすべき証左であって、当該判断を否定する理由にはならない。 そして、本願商標は前述のとおり、自他商品・役務の識別力を有しないものであって、このような商標は、通常、商品(役務)を取引過程に置く場合に必要な表示に該当するものであり、前記2に示した事例においても、例えば、「環境eco magazine」のように、商標中に使用されている事実もある。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (イ)請求人は、「商標審査基準」において、「新聞、雑誌等の定期刊行物の題号は、原則として、自他商品の識別力があるものとする。」と記載されていることを引用して、商標法第3条第1項第3号に該当するとする拒絶理由が誤りである旨を主張している。 しかしながら、該記載は、「原則として」の語句が付されているように、全てにおいて、自他商品の識別力があるものとしているわけではない。 前記2で示したように、「エコマガジン」及び「eco magazine」等の語が、「環境への配慮をテーマにした雑誌」程の意味合いをもって、一つの雑誌の種類を表すが如く、現に、複数の者によって使用されていることからすれば、これに接する取引者・需要者をして、商品の品質又は役務の質を理解するにとどまり、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。 (ウ)請求人は、登録商標「eco」(登録第5041456号)の存在から、「エコ」及び「eco」の文字に自他商品の識別力があるとし、その文字に「マガジン」及び「Magazine」の語を結合した本願商標にも、自他商品の識別力がある旨主張し、また、「ラグビー」(登録第580920号)と「ラグビーマガジン\RUGBY MAGAXINE」(登録第4248635号)などの存する登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張している。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該出願に係る商標についての査定又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、過去の登録例に当該判断が左右されるものではない。 (3)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、本願商標は、この理由をもって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-11-10 |
結審通知日 | 2009-11-13 |
審決日 | 2009-11-27 |
出願番号 | 商願2008-28226(T2008-28226) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X1641)
T 1 8・ 13- Z (X1641) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 正樹 |
特許庁審判長 |
内山 進 |
特許庁審判官 |
赤星 直昭 井出 英一郎 |
商標の称呼 | エコマガジン、エコ、イイシイオオ |
代理人 | 河野 敬 |