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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200716882 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X0942
審判 査定不服 観念類似 登録しない X0942
管理番号 1211355 
審判番号 不服2008-32672 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-12-25 
確定日 2010-01-12 
事件の表示 商願2007- 37810拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SONICS,INC.」と標準文字で表してなり、第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年4月16日に登録出願されたものであるが、その指定商品及び指定役務については、原審における同20年3月11日付け、当審における同21年3月4日付け及び同年3月10日付けの手続補正書により、最終的に、第9類「集積回路,大規模集積回路における部分的な集積回路の設計情報ファイル(ダウンロード可能なもの),半導体素子を高密度に集積させた半導体チップ,集積回路の設計用の開発ツールとして使用されるコンピュータソフトウェア,集積回路の設計用の超小型回路,大規模集積回路における部分的な集積回路間プロトコル情報を提供する部分的な集積回路の設計情報ファイル(ダウンロード可能なもの),デバイスドライバソフトウェア,集積回路の設計用コンピュータアプリケーションソフトウェア」及び第42類「ソフトウェア・集積回路・半導体素子を高密度に集積させた半導体チップの分野における技術に関する研究及びコンサルティング,ソフトウェア・集積回路・半導体素子を高密度に集積させた半導体チップの技術基準の適合性についての分析及び研究,集積回路の設計及びこれに関する助言」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
(1)商標法第6条第1項及び第2項について
この商標登録出願は、その指定商品及び指定役務中に、その内容及び範囲が不明確な商品及び役務を含むものであるから、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しないものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第512748号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和32年4月23日登録出願、第69類「電気機械器具及びその各部並に電気絶縁材料」を指定商品として、同33年1月23日に設定登録され、その後、商標登録の一部取消し審判により、指定商品中「電気医療器械,電気補聴器及びこれらに類似する商品」について取り消すべき旨の審決がされ、平成15年1月8日にその審判の確定登録がされ、また、4回にわたる商標権の存続期間の更新登録(4回目の更新登録は、同20年1月29日)がされ、さらに、同年7月9日に指定商品を第7類「発電機,電動機(陸上の乗物用のもの(その部品を除く。)を除く。)」、第9類「回転変流機,整流機,周波数変換機,電信機,電話機,変圧器,開閉器,電流制限器,電流制御器,抵抗器,電気炉電極,電鈴,真空管,X線管,電気測定器,電池,蓄電器,被覆電線」、第11類「電気炉,電気カーペット,電気がま,電気こんろ,電気暖房器,電気布団,電気湯沸かし器,白熱電球,アーク灯,電球類及び照明器具用の炭素棒,懐中電灯」及び第17類「電気絶縁材料」とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 当審の判断
(1)商標法第6条第1項及び第2項について
本願は、その指定商品及び指定役務について前記1のとおり補正された結果、商品及び役務の内容及び範囲が明確なものになった。
その結果、本願の指定商品及び指定役務は、商標法第6条第1項及び第2項の規定の要件を具備するものとなった。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、「SONICS,INC.」と標準文字で表してなるところ、その構成中前半の「SONICS」の欧文字は、「《単数扱い》ソニック:音波の実用的応用を扱う工学の部門。音響工学。」(「ランダムハウス英和大辞典」第2版 株式会社小学館 2002年1月10日発行)の意味を有する語であり、後半の「INC.」の文字は、(a)「incorporated」の略であり、「〈会社が〉法人組織の,有限責任の」(前掲「ランダムハウス英和大辞典」)や(b)「株式会社の略。また法人。」(「現代用語の基礎知識」 自由国民社 2009年1月1日発行)の意味を有する語であって、法人組織の一種類を表すものとして我が国においても普通に使用されていることから、本願商標は構成文字全体をもって商号を英語で表したものと認識されるとみるのが自然である。
そして、商号商標については、一般に「株式会社」、「INC.」等の法人組織の種類を表す部分を省略して、残余の部分をもって取引に資されることも少なくないというのが経験則に照らして相当であるから、本願商標は、「SONICS」の文字部分に相応して、「ソニックス」の称呼及び「音響工学」の観念をも生ずるものといえる。
一方、引用商標は、別掲のとおり、下部には「Sonics」と容易に認識し得る欧文字を顕著に表し、その冒頭の大文字「S」の左下先端部をそのまま左斜め上方に延長し、楕円曲線を描くかのようにして上部中央で「U」字状の形をした部分(以下「U字部分」という。)の左側中央部分と接し、さらに、U字部分の右側中央部分から同様に楕円曲線を描くかのようにして、下部にある「Sonics」の末尾「s」の下部右横に接するかのように線が描かれた構成からなるものである。そして、請求人の主張のように、たとえU字部分を「ユー」と称呼したとしても、U字部分と「Sonics」部分とが不可分のものとして一つの観念を形成しているものともいえず、また、視覚的にも、U字部分を含む線書きの部分と「Sonics」とを分離して観察することが取引上不自然と考えるほど不可分一体に結合しているということはできない。そうとすると、本願商標は、読み取りやすい「Sonics」の文字部分も独立して自他商品識別力を有するものであり、これから「ソニックス」の称呼及び「音響工学」の観念を生じるものとみるのが相当である。
そうすると、両商標は、外観において相違するものであるとしてもなお、その称呼及び観念において紛れ得るものというべきであるから、両者はその出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして、本願商標の補正後の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、「INC.」の文字を除外した「SONICS」の文字は、「音響学」という意味合いを有する既存の英単語であり、この「音響学」に基づいた技術は、近年、音の録音・編集・加工機能を有する電話・ラジオなどの電気通信機械器具や音声によるデジタル入力機能を有する高性能なコンピュータに応用されているので、この「SONICS(ソニックス)」又は音(音波・音速)に関するものを意味する「SONIC(ソニック)」という言葉は、電気通信機械器具や電子応用機械器具に関する製品に好んで用いられていることから、「SONICS」の部分のみでは自他商品又は役務の識別力が有するとは考えにくい旨主張し、「SONICS」(ソニックス)又はこの文字を含んだ商標の登録例(甲第9号証)及び拒絶例(甲第10号証)を提出している。
しかし、請求人が提出した登録例のうち、「SONICS」(ソニックス)又はこの文字を含む商標は、250件の登録例中に15件存在するにすぎず、同じく拒絶例のうち、「SONICS」(ソニックス)又はこの文字を含む商標の拒絶例は存在しないことから、これらの証拠をもっては、「SONICS」の語の自他商品識別力の有無の認定に関し、何ら参考になるものではない。
したがって、請求人の上記主張は採用することはできない。
イ また、請求人は、OCP(Open Core Protocol)規格の標準化を推進している非営利の国際機関の運営メンバーとして、本願商標の指定商品及び指定役務「IPコア,半導体素子を高密度に集積させた半導体チップ(SOC),SOCの技術基準(工業界規格)」に携わる技術者において、我が国においても広く知られているから、商標全体を一体的に捉え請求人の商号商標として称呼される旨述べている。
しかし、仮に、請求人が、そのような指定商品の一部の需要者に広く知られているとしても、それだけでは、商号商標において法人組織の種類を表す部分が省略され、残余の部分をもって取引に資されることがないとまでは認めることができない。
したがって、請求人の上記主張も採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標)


審理終結日 2009-07-17 
結審通知日 2009-07-21 
審決日 2009-08-28 
出願番号 商願2007-37810(T2007-37810) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X0942)
T 1 8・ 262- Z (X0942)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊泉 弘貴 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田村 正明
榎本 政実
商標の称呼 ソニックスインコーポレーティッド、ソニックス 
代理人 黒川 朋也 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 森川 邦子 
代理人 齋藤 宗也 

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