• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2007300831 審決 商標
審判199831206 審決 商標
取消2008300831 審決 商標
取消200330385 審決 商標
取消2008300390 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1209967 
審判番号 取消2009-300438 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-04-09 
確定日 2009-12-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4845600号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4845600号商標(以下「本件商標」という。)は、「REAL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年4月22日に登録出願、第9類「測定機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,救命用具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電子出版物,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,火災報知機,盗難警報器,磁心,抵抗線,電極,自動販売機,金銭登録機,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、平成17年3月11日に設定登録されたものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成21年4月30日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品のうち「電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「電子応用機械器具及びその部品」について使用していないことについて
被請求人は、使用に係る商品(以下「本件使用商品」という。)が、「『液晶テレビ』と銘打たれているものであるが、その実質は、汎用の映像表示装置というべきもの」との旨述べている。
現代において、電気通信機械器具であっても、何らかの形で電子の作用を応用しているものは、非常に多い。しかしながら、電気通信機械器具という概念がある以上、電子応用機械器具には、含まれないと考える。
このことは、被請求人が答弁書で言及している取消2006-30241によっても明らかである。
また、本件使用商品は、乙第1号証のリーフレットにあるように「液晶モニター部」と「ステーション部」から構成されている。そして、乙第2号証の「システムイメージ」に記載されているようなシステム構成になっており、ステーション部から伝送することにより、視聴を可能にするものであるから、本件使用商品は、搬送機械器具(類似群コード:11B01)の範ちゅうに含まれる商品である。
したがって、本件商標が、上記商品について使用されていないことは、明らかである。
(2)乙第1号証について
上記乙号証に掲載されている商品は、一義的には、液晶テレビであり、あくまでもPC用ディスプレイは、付加的要素にすぎない。このことは、上記乙号証の随所に「三菱液晶テレビ」と明記されていることからも明らかである。
そして、「液晶テレビ」は、本件商標の指定商品ではない。
(3)乙第2号証について
上記乙号証に掲載されている商品は、一義的には、液晶テレビであり、あくまでもPC用ディスプレイは、付加的要素にすぎない。このことは、上記乙号証の随所に「三菱液晶テレビ」「液晶テレビ」「三菱カラーテレビ」と明記されていることからも明らかである。
そして、「液晶テレビ(カラーテレビ)」は、本件商標の指定商品ではない。
(4)まとめ
以上述べたとおり、被請求人の提出した書類によっては、本件商標が請求に係る指定商品についての使用が証明されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出している。
答弁の理由
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人自身の商品の広告物(リーフレット)の複写物である。
当該リーフレットは、2008年12月に作成されたものである。このことは、当該リーフレットの裏面の最下部中央付近に「2008年12月作成」と記載されていることから明らかである。
また、当該リーフレットは、日本国内の不特定多数の企業・施設運営者に向けて頒布されているものである。このことは、当該リーフレット表面右上に「企業・施設向け」と記載されていることなどから明らかである。
(2)本件商標の使用について
乙第1号証として示す前出のリーフレットの表面において、本件商標(又はこれと社会通念上同一の商標)である「REAL」の欧文字が、右上方に付されている。
これを見れば、被請求人自身の商品の広告物として頒布されたリーフレットにおいて、当該商品を指称する商標として「REAL」の欧文字が付されているということが、容易に把握できる。
(3)本件使用商品について
乙第1号証として示す広告用リーフレットにおいて、本件商標(又はこれと社会通念上同一の商標)が使用されている本件使用商品は、当該リーフレットにおいて「液晶テレビ」と銘打たれているものであるが、その実質は、汎用の映像表示装置というべきもので、「テレビジョン受信機」や「PC(パーソナルコンピュータ)用ディスプレイ」といった複数の商品内容を兼ね備えている商品である。
このことを裏付ける事実として、まず第一に、当該リーフレットの商品説明文において、以下の(ア)及び(イ)のように、テレビジョン放送受信用途・DVD再生表示用途及びPC用ディスプレイ用途といった各用途が並列的に訴求されている。
(ア)「ワイヤレスで簡単操作 デジタル放送、DVD、PCなど様々な映像機器を、直接ケーブル類でモニター画面に接続する必要がありません・・・<中略>・・・PCやディスク類の操作は手元で可能になり、今までにない快適操作が実現できます。」
(イ)「豊富な接続端子で様々なコンテンツを高品位表示 豊富な接続端子と高画質ダイヤモンドエンジンで、デジタル放送もPC画面もクオリティの高い映像を提供します。」
さらに、当該リーフレットの裏面に示されている本件使用商品の用途例の第一番目において、「会議室のプレゼン用に」という用途が挙げられている事実もある。一般的に、会議室でのプレゼンテーションにおいて表示装置に接続されるものといえばPCであるので、本件使用商品の用途としてPC用ディスプレイの用途が強く訴求されていることになる。
また、併せて、当該裏面の右下方には、「PC入力対応表」なる表があり、比較的大きな紙面を割いてPCとの接続機能を詳しく説明している。
そして第二に、乙第2号証として示す被請求人のウェブサイトにおける本件使用商品の紹介ページを見ると、「企業・施設での導入ポイント」として、前出のリーフレットと同様の商品用途が挙げられていることに加え、「PCの映像もワイヤレスで伝送」であるとか、「パソコンを接続し、ワイヤレスでモニターに伝送可能。モニターとPCを近くに設置する必要や長い接続ケーブルが不要です。」といったごとく、PC用ディスプレイとしての用途が積極的に訴求されている。
これらの数々の事実からすると、本件使用商品は、PC用ディスプレイとしての用途をその主要な用途の1つとしていると解するのが自然である。
つまり、本件使用商品は、単に液晶テレビ(すなわちテレビジョン受信機の1種)に各種の付随的な機能が備わった程度のものというよりも、むしろ、上記各事実に照らせば実質的には、多数の用途に対応しうる汎用性を備えたものであり、少なくとも、テレビジョン受信機とPC用ディスプレイの両方を兼ね備えた商品としてとらえるのが穏当である。
特に、世上における一般的なテレビジョン受信機が、表示画面背部の厚み・配線用ケーブル・設置用スタンドといった外形的要素を伴っていることからすれば、それらを伴わない特異な形状となっている本件使用商品は、外形上テレビジョン受信機とも汎用映像表示装置とも判別し難いものであり、さらに、これをPCと接続して用いれば、容易にPC用ディスプレイとしても認識されるものである。そして、本件使用商品が乙各号証にあるように企業内・施設内において用いる場合は、その所有者ではない者が本件使用商品を目にする機会も多く、かかる者においては、PCに接続して用いられる本件使用商品を見れば、自然とPC用ディスプレイとして認識すること確実である。
かくのごとく、本件商標がその実際の使用局面において、前段のような認識をされるということは、すなわち、本件商標がPC用ディスプレイの商標としても使用されている実態があることにほかならない。
したがって、商標法上においても、乙第1号証における本件商標の使用に係る本件使用商品は、少なくともテレビジョン受信機とPC用ディスプレイの双方に該当する商品であると判断するのが妥当である。
そして、PC用ディスプレイが、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に該当するものである。
(4)まとめ
上記(1)ないし(2)に述べたように、被請求人は、乙第1号証として示す被請求人自身の商品の広告において、本件商標と同一(又は社会通念上同一)の商標を付してこれを頒布しているので、商標法第2条第3項第8号に照らせば、本件商標を使用していること明らかである。
そして、上記(3)に述べたとおり、乙第1号証において示された本件商標の使用に係る本件使用商品は、「電子応用機械器具及びその部品」にも該当する商品である。
また、上記(1)に述べたように、乙第1号証の頒布された時期は、2008年12月以降である。してみると、結局、本件商標は、被請求人自身によって、その指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に相当する商品について、本件審判の予告登録目前3年以内において使用されていた事実があるものであるから、上記指定商品についての登録を商標法第50条第1項により、取り消されるべき理由はない。

第4 当審の判断
1 不使用取消審判について
商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
2 不使用取消審判における商品の二面性について
東京高等裁判所昭和57年(行ケ)第67号事件昭和60年5月14日判決は、以下のとおり判示している。
旧商標法における商品類別ないし現行商標法における商品区分は、市場で流通する膨大な種類の商品を、商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類したものであり、もとより、いずれの分類に属するか判断の極めて困難な商品も存する(現行の商標法施行規則第3条の別表のいわゆる小分類に掲げる商品は例示であり、当然、右小分類のいずれにも属しない商品もありうるし、例えば同別表第一類化学品中の「硫酸アンモニウム」と第二類肥料中の「硫安」のように、実質的に同じ商品でありながら、用途の違いにより二つの商品区分に挙げられているものもある。)のみならず、時代の推移とともに右分類のなされた当時には存在しなかつた種類の商品が出現することは見易い道理であり、右分類自体、現実の流通市場の実態に合わせるべく改定されてきたところであること等に鑑みれば、右分類のいずれか一つに属するとは決し難い商品が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品は常にいずれか一つの分類に属すべきものであつて、二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱つて差支えないというべきであり、このように解しても、前記のような商品類別ないし商品区分の趣旨に反することにはならない。
また、東京高等裁判所平成12年(行ケ)第447号事件平成13年7月12日判決は、以下のとおり判示している。
「商品を順次階層的に概念括りして配列する」分類体系の下で、例えば「薬剤」と「医療補助品」とが区別されているということは、両者が概念上区別される(その結果、商品を「薬剤」と指定して登録された商標権がその専用権の範囲に「医療補助品」まで包含することはない)ということを意味するにとどまり、市場に存在する個別具体的な商品が必ず一つの商品区分中の一の商品にのみ属すべきであって他の商品に属してはならないということまで意味するものではないというべきである。
したがって、本件使用商品が「医療補助品」であると認められるからといって、必然的に「薬剤」に属さないことになるわけではないし、取消請求に係る「薬剤」に属することにつき具体的な理由が主張されている場合に、その検討を不要とするものでもない。
3 被請求人提出の証拠について
以上を前提として、本件使用商品が、請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に属するか否かを検討する。
乙第1号証は、リーフレットと認められるところ、表面の右上には、「企業・施設向け」の文字が記載されている。
表面の左下には、「液晶モニター部」の文字、その写真及び仕様並びに「ステーション部」の文字、その写真及び仕様が掲載されている。
その右側には、「液晶モニター部」の横幅が109.0cmであり、高さは68.5cmであって、厚さは4.35cmであること及び「ステーション部」の横幅が18.0cmであり、高さも18.0cmであって、奥行きが29.8cmであることが図面とともに記載されている。
乙第1号証の表面の右上には、「REAL」の文字が記載されている。
乙第1号証の裏面の上部には、「会議室や受付、研修室をはじめ、ビル内のロビーやエントランスなど共用部のインフォメーションディスプレイとしても、質の高いコミュニケーションを実現します。」と記載されており、会議室、受付・案内、研修所等の設置例の写真が掲載されている。
その下には、「PC入力対応表」が掲載されている。
裏面の下部には、「三菱電機株式会社」及び「2008年12月作成」の文字が記載されている。
乙第2号証は、商標権者のホームページと認められるところ、1枚目には、「法人様向け」の文字ともに「REAL」の文字が記載されている。
その下には、「さまざまな業種をサポート」「ホテル・旅館」「病院・クリニック」「教育施設」「高齢者施設」「企業・施設」の文字が記載されている。
2枚目には、「企業・施設での導入ポイント」として、「モニターとステーション部をワイヤレス接続するから活用の幅が広がります」及び「PCの映像もワイヤレスで伝送、会議室等でご活用いただけます。」の文字が記載されている。
その下には、乙第1号証の裏面に掲載された会議室、受付・案内、研修所等の設置例の写真とほぼ同一の写真が掲載されている。
また、下部には、「ステーション部とパソコンを接続し、ワイヤレスでモニターに伝送可能。モニターとPCを近くに設置する必要や長い接続ケーブルが不要です。」の文字が記載されている。
3枚目には、「ステーション部」と「液晶モニター部」がワイヤレス接続している旨のシステムイメージ図が掲載されている。
4枚目には、「液晶モニター部」の文字、その写真及び仕様並びに「ステーション部」の文字、その写真及び仕様が掲載されている。
3 本件使用商品について
乙第1号証及び乙第2号証に示された本件使用商品は、先に述べたとおり、「液晶モニター部」と「ステーション部」よりなるものである。
そして、たとえ乙第1号証及び乙第2号証に「液晶テレビ」の文字が記載されているとしても、同号証に掲載された本件使用商品の使用例の写真に照らせば、本件使用商品は、専ら「テレビジョン受信機」として取引きされるというよりは、パーソナルコンピュータと一体的に用いられ、企業等の会議室、受付・案内、研修室、ロビー、エントランスなどの共用スペースに設置され、パーソナルコンピュータの液晶モニター及びこれの操作部(ステーション部)としての機能を目的とした機器として取引きされるものというべきである。
したがって、先に述べた不使用取消審判における商品の二面性を考慮すると、本件使用商品は、請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に属する液晶ディスプレイとステーション部とからなる複合的な商品と認めることができる。
そして、乙第1号証は、2008年12月作成のリーフレットであるところ、このようなリーフレットが作成された場合、商品の宣伝・広告のため頒布されるのが経験則に照らして相当であるから、作成後直ちに頒布されたものと推認できるものである。
4 商標の同一性について
乙第1号証及び乙第2号証に記載された「REAL」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
5 結び
以上のとおりであるから、被請求人は、請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具」に属する本件使用商品について、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が使用をしたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、本件請求に係る指定商品についての登録を取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-10-30 
結審通知日 2009-11-05 
審決日 2009-11-17 
出願番号 商願2004-38413(T2004-38413) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2005-03-11 
登録番号 商標登録第4845600号(T4845600) 
商標の称呼 リアル 
代理人 加藤 恒 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ