• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X30
審判 査定不服 観念類似 登録しない X30
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X30
管理番号 1209929 
審判番号 不服2009-4013 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-24 
確定日 2009-12-09 
事件の表示 商願2008-45558拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「水出し煎茶」の文字、「りきゅう」の平仮名文字及び「利久」の漢字を三段に横書きしてなり、第30類「煎茶,煎茶を加味してなる菓子及びパン,煎茶を加味してなるアイスクリームのもと・シャーベットのもと」を指定商品として、平成20年6月11日に登録出願され、その後、指定商品について、同年12月19日付け手続補正書により、第30類「煎茶」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第4473199号商標(以下「引用商標」という。)は、「肥後銘茶利休」の漢字を標準文字で表してなり、平成12年3月23日登録出願、第30類「茶」を指定商品として、同13年5月11日に設定登録され、当該商標権は、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標の類否について
商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、観念、称呼を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(東京高判 平成11年(行ケ)第422号 平成12年6月13日判決言渡)。
以下、これを踏まえて、本件について検討する。
(2)本願商標と引用商標について
本願商標は、前記1のとおり、「水出し煎茶」の文字、「りきゅう」の平仮名文字及び「利久」の漢字を三段に横書きしてなるところ、「りきゅう」の文字の態様が、漢字「利久」の振り仮名を表すようにその上部に小さく書かれていることからすると、「りきゅう」の平仮名文字は、「利久」の漢字の読みを表したものとして認識し、把握されるとみるのが自然である。
ところで、構成中の「水出し煎茶」の文字部分は、「煎茶を冷水で抽出したもの」を意味する語として親しまれたものであり、また、本願の指定商品である「煎茶」を取り扱う業界においては、冷水を使用して短時間で抽出できる煎茶を「水出し煎茶」と称して取引が行われている実情にあることから、該文字部分は、本願の指定商品との関係においては、商品の用途・品質を表すものといえ、自他商品の識別力がないか極めて弱いものというべきである。
してみれば、本願商標は、構成中の「利久」の文字部分から生ずる「リキュウ」の称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないものといわなければならず、また、該文字それ自体は、本願の指定商品との関係において、特定の意味を有する既成語とはいえず、これから直ちに特定の観念を生ずるとはいえないものである。
他方、引用商標は、前記2のとおり、「肥後銘茶利休」の漢字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「肥後」の文字は「旧国名。今の熊本県。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑第六版」)を意味し、「銘茶」は「特別の名のある良質の茶」(同「広辞苑第六版」)の意味を有することから、「肥後銘茶」の文字部分は「熊本県産の良質の茶」程度の意味合いを容易に認識させる商品の産地及び誇称表示にすぎないものであるから、該文字部分は、自他商品の識別力がないか極めて弱いものといえる。
このことは、「大切な方への贈り物におススメ!! 【敬老の日の贈り物】日本茶・緑茶ギフト/人気商品★肥後銘茶詰め合わせ」との記載(http://store.shopping.yahoo.co.jp/sakakien/a-061.html)、熊本県物産振興協会会員一覧中「おもな取扱商品:肥後銘茶やしろたまつゆ 肥後銘茶やしろあさぎり」との記載(http://portal.kumamoto-net.ne.jp/Bussan/contents_dbpac/asp/kyokai/klist_main.asp?kmode=1&gyoshu=1&pg=22)及び「お茶の濱 大松園 お店からのコメント 熊本特産の『玉緑茶』『干筍』『椎茸』の専門店。県外へのお土産にぴったりです。肥後銘茶の試飲でおいしさを知ってもらい、納得してお買いあげ頂く。」との記載(http://cyber.pref.kumamoto.jp/chisan/Content/Asp/Kyoryoku/kyoryoku_detail.asp?tid=659&mmst=0&tmst=0&tpg=3&wd=)からも十分裏付けられるものである。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ヒゴメイチャリキュウ」の称呼が生ずるものであるが、該称呼は10音と冗長であることも相まって、簡易迅速を旨とする取引の実際にあっては、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「利休」の文字部分に着目して、該文字から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであるから、引用商標は、「利休」の文字部分に相応して、「リキュウ」の称呼をも生じ、かつ、該文字からは、「安土桃山時代の茶人である千利休」(前掲「広辞苑第六版」)の観念を生ずるといえる。
そうとすれば、本願商標と引用商標は、「リキュウ」の称呼を同一にするものであり、観念については比較できないとしても、外観についてみると、「利久」及び「利休」の文字部分の「久」と「休」が相違するのみであり、いずれも通常の文字を普通の書体で書してなるにすぎず、この差異が外観において特段強い印象を与えるものではなく、さらに、本願の指定商品を取り扱う分野において、電話等の口頭による商取引も普通に行われている点を考慮すれば、本願商標と引用商標の外観上の差異が、称呼の類似性を凌駕するほどのものとはいえない。
そうすると、本願商標と引用商標が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、両商標は誤認混同を生ずるおそれのある相紛らわしい類似の商標といわなければならず、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品に含まれるものである。
(3)請求人の主張
請求人は、平成21年2月24日付け審判請求書において、本願商標は「利久」であって、「千利休」に通じる「利休」ではなく特定の観念を生じない一種の造語にすぎないのに対し、引用商標は、「肥後銘茶利久」の一連一体の造語であり「肥後銘茶」と「利休」とを分離して判断すべきものではなく、両者は、「リキュウ」及び「ヒゴメイチャリキュウ」と称呼が相違し、外観において著しく相違し、想起される観念も明らかに異なることから、両者は出所について誤認混同を生じ得ない旨述べ、他の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、本願商標から生ずる観念については、「利久」の文字それ自体が指定商品との関係において一種の造語であるとしても、該文字からは「リキュウ」の称呼を生ずるものであり、引用商標については、前記のとおり、「ヒゴメイチャリキュウ」の一連の称呼が生ずることを否定するものではないが、「肥後銘茶」の文字は、前記のとおり、「熊本県産の良質の茶」の意を表すものとして茶を取り扱う業界において使用されているものであって、「利休」の文字に相応した「リキュウ」の称呼をも生ずるというべきであるから、これら称呼を共通にする本願商標と引用商標とを、その指定商品について使用するときに、出所の混同が生じるおそれがないとする格別の理由を見いだすことはできないものである。
そして、本願商標と引用商標の類否について、外観、称呼、観念及び取引の実情等を総合的に考察して判断したことは前記のとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。
また、請求人は他の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張するが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当す
るか否かは、両商標につき個別具体的に行えば足り、過去の登録例の判断に拘束されるものではない。したがって、請求人の指摘する登録例の存することをもって、本件における本願商標と引用商標との非類似を裏付けることはできないから、請求人の主張は採用することができない。
さらに、請求人は、平成21年10月13日付けで審理再開申立書を提出し、本願商標と引用商標とは類似しない旨を主張し、その証左として甲第2号証ないし同8号証を提出しているが、その趣旨は、同21年2月24日付けの審判請求書の内容と重複するものであって、上記認定・判断に影響を及ぼすものとは認められないから、本件審判事件に係る審理の再開は行わないこととした。
(4)結語
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-09-18 
結審通知日 2009-10-02 
審決日 2009-10-19 
出願番号 商願2008-45558(T2008-45558) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X30)
T 1 8・ 261- Z (X30)
T 1 8・ 263- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官
末武 久佳
木村 一弘
商標の称呼 ミズダシセンチャリキュウ、ミズダシセンチャリキュー、リキュー、ミズダシセンチャ、ミズダシ 
代理人 入江 一郎 
代理人 新庄 孝 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ