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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 131
管理番号 1209863 
審判番号 取消2008-301581 
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-12-19 
確定日 2009-12-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2254852号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2254852号商標の指定商品中「みそ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2254852商標(以下「本件商標」という。)は、「まほろば」の文字を横書きしてなり、昭和63年4月7日に登録出願、第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として平成2年8月30日に設定登録され、その後、同12年7月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成21年1月14日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中「みそ」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、上記指定商品についての商標登録は取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
ア 乙第1号証について
乙第1号証として提出された「商品写真」によれば、本件商標が「みそ」及び「黒酢」に付されていることが認められる。
まず、黒酢については、本件審判の請求対象とは異なる商品であり、これについて本件商標が使用されているとしても、本件審判の結果に影響を与えるものではない。
次に、みそについては、確かに本件商標が印刷されたラベルシールが貼られていることは認められるとしても、この商品写真からは、当該商品が「いつ」、「どこで」、「誰が」製造等したものであるのかは定かではない。したがって、この商品写真によっては、商標法第50条第1項に規定された要件、すなわち、「三年以内」、「日本国内」及び「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれか」について立証されたものとはいえない。
イ 乙第2号証について
乙第2号証として提出された「売上帳の写し」中には、2008年11月25日に「まほろばみそ1kg」なる商品が20個取引された旨が記載されているが、そもそも、この売上帳が誰のものであるのか定かではない。また、当該売上帳の写しは、手書き帳簿の一ページにすぎず、誰でも簡単に作成することが可能なものである。さらに、本件商品「みそ」は、一般家庭等において日常的に使用(消費)される食品であることから、通常は相応の量が取引されるものであるところ、1kg入りの商品が20個しか取引されていないというのは極めて不自然である。
以上のことから、乙第2号証は、本件商標の使用事実を客観的に裏付けるものとしては不十分なものである。
ウ 客観的事実
まず、インターネット上の一般的な検索サイト(Yahoo! JAPAN)において、「ミヅホ株式会社 まほろば みそ(又は味噌)」をキーワードとして検索したところ、これらに一致するウェブページは見つからなかった(甲第1号証)。また、被請求人のホームページ(http://www.mizuhosu.co.jp)においては、「製品紹介」として三点の商品が紹介されているが、それらは何れも「酢」であり、「みそ」については紹介されていない(甲第2号証)。
エ まとめ
以上述べたごとく、乙第1号証及び乙第2号証として提出された資料は、本件商標の使用証拠としての適格性及び信憑性を欠くものであり、これらをもって、本件商標が被請求人又は使用権者によって三年以内に日本国内で使用されたことを客観的に認めるべきではない。また、本件商標がみそに使用されているのであれば、当該商品の性質上、それ相応の量が取引されているはずであり、その場合には、当該商品に関する何らかの情報がインターネット上に存在してもおかしくない。しかしながら、前述のごとく、被請求人と本件商標が付されたみそとを関連づける情報は検出されていない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している(審決注:以下、平成21年10月3日付け答弁書(以下「第2答弁」という。)に添付された乙第1号証ないし乙第4号証を乙第4号証ないし乙第7号証と読み替えて表す。)。
(1)答弁の理由
まほろば味噌として製造、販売している。
(2)第2答弁の理由
ア 証拠として提出した商品の写真に登録商標「栄光」を表記して「まほろば」と商品名を表示している。商標の趣旨から、栄光、まほろばの表記した味噌は被請求人が製造したものであるといえる。
イ 被請求人の販売先は、業務用が80%で、残りは昔の小売店、土産屋などになるので、取引数量も受注生産での小ロットになり全く認知されていないのが現状である。
ウ 被請求人は、吉野杉の桶を使用して酢を製造しているので、酢を重点にPRしている。ホームページ上では、ミヅホマークにMiso、製品紹介の写真でみそを写しているが、商品紹介はしていない。

4 当審の判断
(1)本件は、商標法第50条第1項の規定に基づき商標登録の取消しを求める審判であるところ、同条第2項は「前項の審判の請求があった場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。」と規定する。
(2)そこで、被請求人が請求に係る指定商品「みそ」について本件商標の使用をしているとして提出した証拠についてみるに、以下の事実が認められる。なお、請求に係る指定商品「みそ」は、本件商標の指定商品中、「調味料」の範ちゅうに含まれるものであり、これについて当事者に争いはない。
ア 乙第1号証は、二種類の包装用容器を撮影した写真と認められるところ、左側のものは、「みそ」と思しき商品を封入したプラスチック製容器を撮影したものであり、その容器には、「榮光みそ」、「まほろば」、「天然醸造」及び「風味絶佳」の各文字を記載したラベルが貼付されているものの、他に商品の製造者・販売者、製造日、製造場所等を具体的に示す表示はない。また、右側のものは、内容物は不明なるも紙製と思しき容器を撮影したものであり、その容器には、「奈良吉野杉大樽造り」、「天然醸造」、「純玄米」、「黒酢」及び「まほろば」の各文字を記載したラベルが貼付されているものの、他に商品の製造者・販売者、製造日、製造場所等を具体的に示す表示はない。
なお、写真の撮影者、撮影日、撮影場所等については、一切明らかでない。
イ 乙第2号証は、ルーズリーフ式のノートの1ページを複写した売上帳とするところ、そのページの最上段に「〒632-0204宇陀市室生区小原162 中上商店」と印字されており、その下段には、年月日欄に「2008(20)」及び「11.25」、品名欄に「まほろばみそ1kg」、数量欄に「20」、単価欄に「396」、税抜売上金額欄に「7920」の各文字が手書きで記載されている。
ウ 乙第3号証は、奈良県桜井保険所長による被請求人に係る営業許可証の写しと認められるところ、これには「営業の種類」として「みそ製造業」との記載があるが、商品の現実かつ具体的な取引を示すものではなく、かつ、本件商標に係る記載もない。
エ 乙第4号証は、「栄光」の文字を横書きしてなり、「みそ,しょうゆ,食酢」を指定商品とする商標登録第2547591号に係る特許電子図書館における商標出願・登録情報を紙出力したもの及び「みそ」と思しき商品を封入したプラスチック製容器を撮影した商品の写真と認められるところ、該登録第2547591号商標は、請求外の登録商標であり、また、該商品の写真は、乙第1号証の左側に表示されたものと同じ写真と認められる。
なお、写真の撮影者、撮影日、撮影場所等については、一切明らかでない。
オ 乙第5号証は、「2008年 みその県別・月次生産量〈全味集計〉」、「2008年 みその県別・月次実出荷量〈全味集計〉」及び「みその都道府県別、企業規模別工場数」と題する統計資料並びに奈良県味噌協同組合等の名簿の写しと認められるところ、奈良県味噌協同組合の見出しの下、会社・工場名の欄に「ミヅホ(株)」、所在地の欄に「橿原市中町267」、商標の欄に「栄光」との記載が認められるが、本件商標に係る記載はない。
カ 乙第6号証は、「酢・お酢|ミヅホ酢|ミヅホ株式会社の純米酢・味噌(ミヅホ)」と題するウェブページの写しと認められるところ、「Manufacture of Japanese Vinegar & Miso」及び「MIZUHO」の各文字を表した図形のほか、「酢ができるまで」、「製品紹介」等の見出しが記載されているが、本件商標に係る記載はない。
キ 乙第7号証は、「奈良まほろば館のご案内|奈良まほろば館」と題する奈良まほろば館に係るウェブページ及び「まほろば」と題するインターネットのフリー百科事典「ウィキペディア」の写しと認められるところ、前者の奈良まほろば館に係るウェブページの写しには、本件商標、請求に係る指定商品「みそ」及び商標権者等に係る記載はなく、また、後者の「ウィキペディア」の写しには、「まほろば」の文字に係る各種記載があるが、商品「みそ」について使用する本件商標に係る記載はない。
(3)以上の認定事実によれば、本件商標に係る記載が認められる証左は、わずかに乙第1号証及び乙第4号証の写真、乙第2号証の売上帳である。
ア 乙第1号証及び乙第4号証の写真によれば、商品「みそ」の包装用容器に本件商標と社会通念上同一と認められる「まほろば」の文字が表されていることが認められるとしても、該写真の撮影者、撮影日、撮影場所等について一切明らかでないから、これらの写真によっては、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に商品「みそ」について本件商標を使用したものと認めることはできない。
イ 乙第2号証の売上帳については、品名欄に記載された「まほろばみそ1kg」において、後半の「みそ1kg」の文字部分は、商品「みそ」の内容量が「1kg」であることを表したものと容易に認識、把握され、自他商品の識別標識としての機能を果たすものではないのに対して、その前半の「まほろば」の文字部分は、本件商標と綴り字を同じくするものであるから、本件商標と社会通念上同一ということができるものである。また、年月日欄の「2008(20)」及び「11.25」によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に該当する「2008(平成20)年11月25日」と認めることができるものである。
しかし、乙第2号証の売上帳が被請求人に係るものであることを示す証左は認められず、かつ、乙第2号証は、各ページの着脱が容易にできるルーズリーフ式ノートの写しと解され、いつでも誰によっても記載可能なものであるから、これによっては、本件審判の請求の登録前3年以内に商品「まほろばみそ1kg」が被請求人と中上商店との間で真実取引されたことを客観的に証明するものではない。
そこで、当審において、平成21年8月25日付けで「本件商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが本件審判の請求の登録前3年以内(平成18年1月14日から同21年1月13日まで)に本件商標を請求に係る商品「みそ」に使用したことを認めるに足りる納品書、受領書、領収書等の取引書類(例えば、乙第2号証に記載された平成20年11月25日における「中上商店」との「まほろばみそ1kg」に関する取引書類)の提出」を求める審尋をした。
これに対して、被請求人は、同人に係る「みそ」の販売先は業務用が80%、残りは、小売店、土産物店となるので、取引数量も受注生産で小ロットになると主張し、上記平成20年11月25日における中上商店との「まほろばみそ1kg」に関する取引書類その他の本件商標に係る取引書類の提出を一切していない。
しかし、被請求人と中上商店等との商取引が真実存在したのであれば、取引数量が小ロットであるか否かにかかわらず、両者の納品書、受領書、領収書等の取引書類が存在し、これらを提出することに特段の支障があるとは考えられないものであるから、被請求人の対応は不自然なものといわなければならず、結局、中上商店等との間に本件商標を付した商品「みそ」に係る商取引が存在したと認めることはできない。
そうすると、上記「まほろばみそ1kg」の記載が乙第1号証及び乙第4号証の写真に表された商品を示すものであるとしても、乙第2号証にある記載をもって、被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に該商品を実際に販売したものと認めることはできない。
ウ ほかに、被請求人の提出に係る乙各号証によって、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を請求に係る指定商品「みそ」に使用したことを認めるに足りる証左は見いだせない。
エ したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定商品「みそ」について使用されていなかったものといわざるを得ない。
(4)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を請求に係る指定商品について使用していることを証明したものとはいえず、かつ、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったものともいえない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の商品について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-10-20 
結審通知日 2009-10-23 
審決日 2009-11-04 
出願番号 商願昭63-40018 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (131)
最終処分 成立  
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 1990-08-30 
登録番号 商標登録第2254852号(T2254852) 
商標の称呼 マホロバ 
代理人 西川 巌 

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