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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20093220 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X0305
管理番号 1208391 
異議申立番号 異議2008-900364 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-09-22 
確定日 2009-11-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5142752号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5142752号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5142752号商標(以下「本件商標」という。)は、「PINK RE BOM」の欧文字と「ピンク リ ボン」の片仮名文字を上下二段に書してなり、平成19年11月8日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」及び第5類「薬剤」を指定商品として、同20年4月14日に登録査定、同年6月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、異議申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第57号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号
本件商標の出願時である平成19年11月には、「ピンク リボン」及び「PINK RIBBON」(以下、あわせて「引用商標」という。)は、申立人を含むエスティーローダーグループ(以下「ELグループ」という。)の業務に係る化粧品その他商品を表示するものとして日本国内において周知となっていた。そして、本件商標と引用商標とは称呼及び観念において類似する。また、その商品及び化粧品、せっけん類その他について同一である。
(2)商標法第3条第1項第6号
仮に、「ピンク リボン」及び「PINK RIBBON」という語がELグループの周知商標でないとしても、「PINK RIBBON」及び「ピンクリボン」という語は、乳がん啓蒙運動の世界的なシンボルであるから、これらの語に類似する本件商標には自他商品識別力がない。
(3)商標法第4条第1項第7号
仮に、「ピンク リボン」及び「PINK RIBBON」という語がELグループの周知商標でないとしても、「PINK RIBBON」及び「ピンクリボン」という語は、乳がん啓蒙運動の世界的なシンボルであり高い故応益性を有するから、これらの語に類似する本件商標の登録を許すことは公序良俗を害するおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第19号
本件商標の出願時である平成19年11月には、引用商標は、ELグループが販売する化粧品その他商品を表示するものとして日本及び外国において周知となっている。そして、本件商標と引用商標とは称呼及び観念において類似する。さらに本件商標は、不正の目的をもって使用するものである。

3 本件商標に対する取消理由
登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由(平成21年7月3日付け取消理由通知)は、要旨次のとおりである。
<取消理由>
(1)申立人の提出に係る甲各号証及び商標法第43条の8で準用する特許法第150条第1項に基づいてした職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(ア)現代用語の基礎知識2007(自由国民社2007年1月1日発行)には、「ピンクリボン」の項に「乳がんでなくなる人を少しでも減らそうと、早期発見・早期治療を啓発する運動(以下「ピンクリボンキャンペーン」という場合がある。)のシンボル。1980年代のアメリカで乳がん患者の家族たちが『同じ悲劇を繰り返したくない』という祈りを託し、使いはじめた。」の記載がある。
(イ)東京都福祉保健局保健政策部健康推進課成人保健係が運営する「受けよう!がん検診 東京都がん検診支援サイト」(ウェブサイト)の「東京都の取組 東京都のピンクリボン運動」の頁には、「ピンクリボンとは」の項に「ピンクリボンは、乳がんの早期発見、早期診断、早期治療の重要性を伝えるために、世界共通で使用されているシンボルマークです。」の記載があり、「ピンクリボン運動とは」の項に「ピンクリボン運動は、80年代にアメリカで、乳がんで亡くなられた患者さんの家族が、『このような悲劇が繰り返されないように』と願いをこめて作ったリボンから始まった運動です。アメリカでは、この運動の広がりにより、乳がんに対する意識が高まり、乳がんの検診受診率も高まることで、死亡率が低下し、ピンクリボン運動が広く認知されるようになりました。日本でも近年、この運動は普及し、行政、企業、民間団体などが『乳がん』の、早期発見、早期診断、早期治療の大切さを伝えるための活動を展開しています。」の記載があり、「東京都のピンクリボン運動」の項に「日本人女性の約20人に1人が乳がんにかかるといわれていますが、東京都の女性の乳がんによる死亡率は、全国で最も高い状況です。一方、都内の区市町村が実施する乳がん検診の受診率は全国に比べ低い状況にあります。乳がんは早期に発見し、治療すれば多くが治る病気です。そのため検診を定期的に受けることがとても重要です。東京都では、多くの都民が乳がんに関心を持ち、早期発見のための検診の大切さを理解し、積極的に乳がん検診を受診するよう、10月の乳がん月間に、区市町村や民間団体と協働してピンクリボン運動を実施しています。」の記載がある(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/gan/torikumi/pinkribon01.html)。
(ウ)「朝日新聞ピンクリボン運動」のウェブサイトの「ピンクリボンとは」の頁には、「80年代、アメリからスタート」の項に「ピンクリボンは乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝えるシンボルマークです。・・・行政、市民団体、企業などが乳がんの早期発見を啓発するためのイベントを展開したり、ピンクリボンをあしらった商品を販売して収益を研究団体に寄付したりする運動が積極的に行われました。」の記載があり、「日本でのピンクリボン活動 日本でもピンクリボン普及活動がスタート」の項に「2000年頃から、日本の乳がん事情に危機感を抱いた専門医などがNPO法人(乳房健康研究会、J.POSH)を立ち上げたり、また外資系企業が中心になって独自で啓発イベントを実施したり、ピンクリボンをあしらった商品販売をするなど、乳がんの早期発見を啓発するための活動がスタートしました。」の記載があり、「ピンクリボンフェスティバルの成り立ち 2002年に企業枠を超えたコラボレーション」の項に「?2003年 ピンクリボンフェスティバルが誕生!? このように、企業や団体の個々の活動がスタートしました。そして、『一社では限界がある』『点の活動を広げたい』という企業や団体の声を受け、2002年に朝日新聞社は、賛同企業とともにキャンペーンのビジョンを設定し、シンポジウム開催という形でピンクリボン活動をスタート。日本で初めて企業枠を超えたコラボレーションが実現しました。2003年からは、より広くピンクリボンのメッセージを伝えるため、また日々の生活の中で、乳がんを自分の問題として意識してもらいたいと、『街』と『人』をコンセプトにした『ピンクリボン・フェスティバル』を開催することになりました。(財)日本対がん協会をはじめ、六本木ヒルズやNPO法人大丸有エリアマネジメント協会(大手町、丸の内、有楽町の街づくりNPO法人)という街や日本音楽事業者協会などの団体と『運営委員会』を設立。シンポジウム以外にも、ウオークイベントの実施、街のデコレーションや、テレビ朝日新社屋のライトアップ、原宿駅の16面大型広告ボードのジャックなど、規模を拡大しました。さらにYahoo!JAPANやテレビ朝日とメディアミックスさせることで、全国展開をスタートさせました。」の記載があるほか、協賛企業として33社が掲載されている( http://www.asahi.com/pinkribbon2007/about.html#top)。さらに、「全国のピンクリボン活動」の頁には、全国各地の取り組みが紹介されている。
(エ)甲第2号証(申立人の米国法人エスティローダーカンパニーズ 2008年キャンペーン資料)によれば、1980年代後半頃、乳がんの早期発見・早期治療を啓発する運動(以下「ピンクリボンキャンペーン」という場合がある。)が始まり、申立人の会社グループの上級副社長であるエヴリン H.ローダー氏もこの運動に参加し、1992年にエヴリンらはピンクリボンを創り、同年10月の第1回乳がん早期発見啓発キャンペーンにおいて、ピンクリボンが広く配布され、以後、ピンクリボンは、ピンクリボンキャンペーンのシンボルとなった。
(オ)甲第4号証(「Grazia 2003年10月号」株式会社講談社 平成15年10月1日発行)、甲第5号証(「Harper’s BAZAAR 2003年11月号」エイチビー・ジャパン株式会社 2003年11月1日発行)、甲第7号証(「Domani 2003年11月号」小学館 2003年11月1日発行)、甲第11号証(「Grazia 2004年10月号」株式会社講談社 平成16年10月1日発行)、甲第12号証(「Harper’s BAZAAR 2004年11月号」エイチビー・ジャパン株式会社 2004年11月1日発行)、 甲第16号証(「Grazia 2005年11月号」株式会社講談社 平成17年11月1日発行)、 甲第17号証(「MAPLE 2005年11月号」株式会社集英社 2005年11月1日発行)、 甲第18号証(「Colarful 2005年11月号」ぴあ株式会社 2005年11月7日発行)、 甲第19号証(「Precious 2005年11月号」小学館 2005年11月1日発行)、甲第38号証(2003年10月2日付け日本経済新聞(夕刊))、甲第39号証(2004年10月2日付け日本経済新聞(夕刊))、甲第40号証(2005年9月30日付け日本経済新聞(夕刊))、甲第41号証(2006年9月30日付け日本経済新聞(夕刊))、甲第44号証(2007年9月29日付け日本経済新聞(夕刊))には、申立人の会社グループによるピンクリボンキャンペーンの広告が掲載され、また、東京の東京タワーをはじめとする世界各地のランドマークが、同キャンペーンイベントとしてピンク色のライトアップがされていることなどが記載されている。
(カ)上記雑誌及び新聞のほか、甲第6号証(「LaVie de 30ans 2003年11月号」株式会社アシェット婦人画報社発行)、甲第8号証(「婦人画報 2003年11月号」株式会社アシェット婦人画報社発行 2003年11月1日)、甲第9号証(「ELLE JAPON 2003年11月号」株式会社アシェット婦人画報社 2003年11月1日発行)、甲第10号証(「25ans 2003年11月号」株式会社アシェット婦人画報社発行)、甲第13号証(「BOAO 2005年10月号」株式会社アシェット婦人画報社 2005年10月1日発行)、甲第14号証(「クロワッサン 2005年10月10日号」株式会社マガジンハウス 2005年10月10日発行)、甲第15号証(「anan」株式会社マガジンハウス 2005年10月12日発行)、甲第20号証(「婦人画報 2005年11月号」株式会社アシェット婦人画報社 2005年11月1日発行)、甲第21号証(「ELLE JAPON 2005年11月号」株式会社アシェット婦人画報社 2005年11月1日発行)、甲第22号証(「ミセス 2005年11月号」文化出版局 2005年11月7日発行)、甲第23号証(「Style 2005年11月号」株式会社講談社 平成17年11月1日発行)、甲第24号証(「GLAMOROUS 2005年11月号」株式会社講談社 平成17年11月1日発行)、甲第25号証(「GINZA 2005年11月号」株式会社マガジンハウス発行)、甲第26号証(「marie claire 2005年12月号」株式会社アシェット婦人画報社 2005年12月1日発行)、甲第27号証(「MAQUIA 2006年11月号」株式会社集英社 2006年11月1日発行)、甲第28号証(「美的 2006年11月号」小学館 2006年11月1日発行)、甲第37号証(2003年9月27日付け日本経済新聞)、甲第42号証(2006年10月4日付け讀賣新聞(夕刊))、甲第43号証(2007年9月18日付け日本経済新聞(夕刊))には、申立人若しくは申立人の会社グループが、ピンクリボンキャンペーンを支援しているとして、キャンペーンのシンボルであるピンクリボンをあしらった装飾用のピンや化粧用コンパクト等の支援商品の販売広告が掲載されている。
(キ)甲第55号証及び甲第56号証によれば、商標権者もピンクリボンキャンペーン(ピンクリボン運動)に参加し、関連商品を販売していることが認められる。
(2)上記事実によれば、1980年代後半頃から乳がん早期発見・早期治療の啓発運動が広まり、1992年よりピンクリボンがピンクリボンキャンペーンのシンボルとして使用され、同キャンペーンは「ピンクリボン運動」とも呼ばれ、広範な企業の賛同を得ると共に、東京都などの自治体を含む団体において広くキャンペーン活動が行われ、ピンクリボンキャンペーン及びそのシンボルである「ピンクリボン」は、我が国をはじめとする世界各国において広く知られていることが認められる。
(3)本件商標は、前記のとおり、「PINK RE BOM」の文字と「ピンク リ ボン」の文字を二段に書してなるものであるが、両文字を一体不可分として認識されるとすべき特段の事情も認められないものであるから、「ピンク リ ボン」の文字部分も看者の注意を惹く部分であると認められるところ、該部分が「ピンク」、「リ」、「ボン」の各文字の間に1文字分の空白がある構成であるとしても、容易に「ピンクリボン」を認識させるものというべきである。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用したときは、ピンクリボンキャンペーンを認識させるというべきであるから、このような商標について商標権者が商標登録を得ることは、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、社会の公共の利益に反し、また社会の一般的道徳観念にも反するというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
本件商標権者は、上記3の取消理由の通知に対して何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本件商標についてした上記の取消理由は妥当であるから、その登録は商標法第4条第1項第7号に違反してされたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する
異議決定日 2009-10-02 
出願番号 商願2007-113602(T2007-113602) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (X0305)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 斎林田 悠子 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 2008-06-20 
登録番号 商標登録第5142752号(T5142752) 
権利者 ジェクス株式会社
商標の称呼 ピンクリボン、ピンクリボム、ピンクレボム、リボン、リボム、レボム 
代理人 福島 栄一 
復代理人 熊谷 美和子 
代理人 高木 楓子 
代理人 大向 尚子 

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