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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1208366 
審判番号 取消2008-301057 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-08-20 
確定日 2009-11-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4749750号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4749750商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成15年4月23日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同16年2月20日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成20年9月5日である。

2 請求人の主張(要旨)
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されておらず、また、本件商標が使用されていないことについて何ら正当な理由が存するとも認められないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア カタログの頒布について
被請求人は、本件商標の使用事実を証明する証拠として、2006年(平成18年)秋・冬物用カタログ「INNER 2006 AUTUMN & WINTER」(以下「被請求人カタログ」という。)及び被請求人カタログが平成18年4月25日に印刷会社より被請求人に納入されたことの証明書(乙第1号証)を提出し、これらの証拠により、被請求人は、被請求人カタログを頒布し、本件商標を使用していたと主張する。
被請求人が主張する本件商標の使用事実は、被請求人カタログに標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)である。
この使用事実を証明するためには、被請求人カタログを発行したことのみならず、頒布したことも証明しなければ、商標法第2条第3項第8号の使用には該当しない。
しかしながら、被請求人の証拠方法によれば、本件商標が付された被請求人カタログが印刷会社により発行され、被請求人に納入されたことは証明されているが、被請求人カタログが量販店等に頒布されたかは明らかではないから、被請求人は、「カタログに標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)」の事実を証明するには至っていない。
また、商標の使用とは、実質的には商標の出所識別機能を発揮させる行為をいうものと思料する。
この点から検討しても、被請求人カタログを頒布したことの証明は必須である。被請求人カタログが発行されたとしても、頒布されなければ需要者及び取引者の目に触れず、出所識別機能が発揮されない。
したがって、被請求人の証拠方法は、形式的にも実質的にも、本件商標が本件審判の請求に係る指定商品に使用されたことを何ら証明していないものと考える。

イ 本件商標と各使用商標との同一性
(ア)被請求人カタログの表紙裏面に表示された「マイシェープ」(以下「使用商標1」という。)について
本件商標は、「マイシェープ」の文字を上段とし、「MY SHAPE」の文字を下段とする二段書きからなる商標である。
これに対し、使用商標1は、「マイシェープ」の片仮名文字のみであり、「MY SHAPE」の文字は表示されていない。
二段書きの構成からなる商標の場合、上段文字と下段文字の観念が同一のときのみ、その一方の使用であっても、商標の識別性に影響を与えず、登録商標の使用といえるものと思料する。
逆に言えば、上段文字と下段文字が同一の観念のみならず異なる観念をも生じさせる場合は、その一方のみの使用では、登録商標の使用とはいえない。
本件商標中の「MY SHAPE」の文字部分は、「マイシェープ」のみならず「エムワイシェープ」の称呼及び観念を生じさせ得る。
したがって、「MY SHAPE」の文字部分と「マイシェープ」の文字部分が、同一の観念のみならず異なる観念をも生じさせる可能性がある。
よって、「マイシェープ」の文字のみからなる使用商標1は、本件商標と社会通念上同一でないと考える。

(イ)被請求人カタログの20頁に表示された「マイシェープ」及び「MY SHAPE」(以下「使用商標2」という。)について
本件商標は、上記(ア)で述べたとおりの構成よりなる商標であり、その書体は、ゴシック体である。
これに対し、使用商標2は、緑色の四角に「MY SHAPE」と「マイシェープ」の文字を白抜きしており、その書体に特徴がある。
また、本件商標の上段が片仮名文字であるのに対し、使用商標2の上段は欧文字である点で、両商標は異なる。
さらに、本件商標は、上下段共に同等の大きさであるのに対し、使用商標2は、上段の欧文字が商標中大部分を占めており、下段の片仮名文字部分は右下に小さく付記的に表示されているのみである。
これらの相違点を鑑みると、本件商標と使用商標2の外観は大きく異なることから、両者は社会通念上同一ではないと考える。

(ウ)被請求人カタログの43頁に表示された「マイシェープ」(以下「使用商標3」という。)について
使用商標3は、「マイシェープ」の文字のみであり、「MY SHAPE」の文字は表示されておらず、その態様は使用商標1と同一である。
よって、使用商標1と同様の理由により、使用商標3は、本件商標と社会通念上同一ではないと考える。

(エ)以上のとおり、本件商標と使用商標1ないし3は、社会通念上同一とはいい難いから、使用商標1ないし3の使用をもって、本件商標が使用されたとはいえない。

ウ 以上のように、被請求人が示す証拠方法によっては、被請求人等によって、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が使用されたことは何ら証明されていないものと考える。

3 被請求人の答弁(要旨)
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
(1)使用の事実
以下のとおり、本件商標は、被請求人(商標権者)により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品中の「被服」に属する商品「ガードル」に使用されていた。
乙第1号証は、被請求人の業務に係る下着類に関する被請求人カタログとこれを印刷した凸版印刷株式会社(以下「凸版印刷」という。)の証明書である。
被請求人カタログは、平成18年4月25日に被請求人に納入されており、その後、衣料品を扱う大型スーパー等の量販店や百貨店、一般小売店等に頒布された。
そして、被請求人カタログの表紙裏面の「Contents」の「ガードル」欄には、「マイシェープ」の商標が表示されている。
さらに、同20頁には、商標「マイシェープ」及び「MY SHAPE」の下に、3種類の商品「ガードル」の写真が掲載されている。同43頁の「品番リスト」の商品「ガードル」の欄にも、商標「マイシェープ」の語が表示されている。
したがって、このことは、被請求人カタログの頒布により、被請求人が本件商標をその指定商品中の「ガードル」について使用したことにほかならない(商標法第2条第3項第8号)。
また、本件商標の使用開始時期は、乙第1号証(証明書)の記載から、平成18年4月25日以降であることは明らかであり、本件審判の請求の登録前3年以内の使用であることは明白である。
なお、本件商標に係る商品「ガードル」は、平成18年夏ころから販売を開始し、平成19年春ころまで販売されていたものであるので、その販売先の量販店や小売店等の「購入証明書」についても、追って提出する予定である。

(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、過去3年以内に被請求人により商品「ガードル」について適法に使用されていたものであり、商標法第50条第1項の規定には何ら該当しないことは明白である。

4 当審の判断
(1)乙第1号証及びこれに添付された被請求人カタログによれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、平成20年12月19日に、凸版印刷が被請求人に宛てた証明書であるところ、その内容は、乙第1号証に添付した被請求人カタログが凸版印刷により印刷され、平成18年4月25日に、凸版印刷から被請求人に納品されたというものである。

イ 被請求人カタログは、その表紙に、「INNER 2006/AUTUMN & WINTER」、「ATSUGI/アツギ株式会社」等の文字が表示されており、その内容は、各種女性用下着を掲載する52頁(表紙及び裏表紙を含む。)からなるものである。
また、同表紙の裏面には、「2006 Autumn&Winter Inner Collection/Contents」の表題のもと、「ガードル」の項目には、「マイシェープ 20」(「マイシェープ」の部分は、使用商標1)の記載があり、被請求人カタログの20頁には、その下段に、「ガードル」、「マイシェープ」の各文字及び3種類のガードルの写真と共に、緑地矩形内に、大きく横書きした「MY SHAPE」の文字と該文字の右下に小さく横書きした「マイシェープ」の文字をいずれも白抜きで表した構成よりなる商標(使用商標2)が表示されている。
さらに、同42、43頁は、「品番リスト」であるところ、「ガードル」の項目(43頁)には、「マイシェープ」(使用商標3)の表示のもとに、20頁に掲載された3種類のガードルの品番、価格、デザイン等が一覧表で表されている。

(2)ア 前記(1)で認定した事実によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成18年4月25日に、凸版印刷により印刷された被請求人カタログの納品を受けたこと(当事者間に争いのない事実)、被請求人カタログに掲載された各種女性用下着のうち、商品「ガードル」の一つには、使用商標1ないし3が表示されていること、などを認めることができる。

イ そこで、使用商標1ないし3が本件商標と社会通念上同一の商標であるか否かについて争いがあるので検討する。
(ア)使用商標1及び3は、被請求人カタログの目次(Contents)及び巻末の「品番リスト」に、被請求人の業務に係る他の商品と区別するために、本件商標中の片仮名文字部分のみをもって表示されているところ、目次や品番リスト等に商品の紹介等をするための標識として用いられる商標は、一般に、登録商標そのものが用いられる場合は少なく、例えば、欧文字と片仮名文字の二段併記よりなる商標の場合は、片仮名文字のみをもって表記したり、図案化された文字よりなる商標の場合は、活字体で表記する場合が多いのが実情といえる。
そして、使用商標1及び3は、上記のとおり、本件商標中の「マイシェープ」の片仮名文字部分のみをもって表示されているが、これより生ずる「マイシェープ」の称呼は、本件商標より生ずる「マイシェープ」の称呼と同一であり、また、「マイ」及び「シェープ」からは、「私の」及び「姿」等を意味する英語「my」、「shape」が想起されるといえるから、これより「私の姿」なる観念を生ずるものであって、当該観念は、本件商標より生ずる「私の姿」なる観念と同一のものということができる。
したがって、使用商標1及び3は、本件商標と称呼及び観念において同一のものと認めることができるから、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
なお、請求人は、本件商標は、その構成中の「MY SHAPE」の文字部分より、「エムワイシェープ」の称呼及び観念をも生ずる旨主張するが、本件商標は、その構成中の「マイシェープ」の片仮名文字部分が欧文字部分の読みを表したものと理解されるといえるから、これより「マイシェープ」の称呼のみを生ずるものであって、構成全体として「私の姿」なる観念を生ずるとみるべきものである。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

(イ)使用商標2は、前記(1)イのとおり、緑地矩形内に、大きく横書きした「MY SHAPE」の文字と該文字の右下に小さく横書きした「マイシェープ」の文字をいずれも白抜きで表した構成よりなるものであるところ、本件商標とは、片仮名文字と欧文字を入れ替えて、その字体を変更し、かつ、片仮名文字部分を小さく表しているものである。
しかし、使用商標2は、これを構成する欧文字と片仮名文字は、いずれも本件商標を構成する各文字と同一の綴り字よりなるばかりでなく、使用商標2の構成文字全体から生ずる「マイシェ-プ」の称呼及び「私の姿」なる観念は、本件商標より生ずる称呼及び観念と同一のものである。
したがって、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。

ウ 以上によれば、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に発行した被請求人カタログに、請求に係る指定商品に含まれる商品「ガードル」を掲載し、該商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1ないし3を表示して広告をし、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で、取引に資することを目的として、これを頒布をしたものと優に推認することができる。
そして、商標権者がカタログに本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示し、頒布した行為は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
したがって、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「ガードル」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたというべきである。

(3)その他の請求人の主張について
請求人は、被請求人カタログが量販店等に頒布されたかは明らかではないから、被請求人は、「カタログに標章を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)」の事実を証明するには至っておらず、被請求人カタログが発行されたとしても、頒布されなければ需要者及び取引者の目に触れず、出所識別機能が発揮されない旨主張する。
しかし、特段の事情がない限り、一般的に、カタログは、不特定多数の者に頒布することが予定されているといえるのみならず、被請求人カタログは、全52頁(表紙及び裏表紙を含む。)からなり、かつ、装丁もかなりしっかりしたものであるところからすると、これが本件商標の取消しを免れるためにのみ作成されたものとは到底考えられない。
そして、前記(2)認定のとおり、被請求人は、被請求人カタログに、請求に係る指定商品に含まれる商品「ガードル」に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1ないし3を表示して広告をしたものと認めることができ、使用商標1ないし3は、商品「ガードル」の識別標識としての機能を発揮しているというべきである。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中の「ガードル」に本件商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲


本件商標





審理終結日 2008-12-10 
結審通知日 2008-12-16 
審決日 2009-07-21 
出願番号 商願2003-38470(T2003-38470) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田口 玲子三澤 惠美子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
田村 正明
登録日 2004-02-20 
登録番号 商標登録第4749750号(T4749750) 
商標の称呼 マイシェープ 
代理人 渡邊 隆 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 鈴木 博久 
代理人 志賀 正武 
代理人 浅賀 一樹 

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