• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 010
管理番号 1208244 
審判番号 取消2008-300940 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-07-25 
確定日 2009-11-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第3198192号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第3198192号商標の指定商品中の第10類「医療用機械器具」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3198192号商標(以下「本件商標」という。)は,「ブリアント」の文字を横書きしてなり,平成5年10月4日に登録出願,第10類「医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器」を指定商品として,平成8年9月30日に設定登録されたものであり,その商標権は,平成18年6月13日に存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中「医療用機械器具」について継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証(写真)について
乙第1号証は,商品(電子治療器)の販売に関わる写真ではなく,「美容」という役務の提供の一態様としての施術に用いられる機器が被請求人の経営に係るエステティックサロン(以下「被請求人エステティックサロン」という。)に設置されている状態を示す写真にすぎない。また,同写真には,本件商標が一切表れていない。
したがって,乙第1号証によっては,本件商標が医療用機械器具の販売に際して使用されたことを何ら立証するものではない。
(2)乙第2号証(ちらし)について
乙第2号証にも印刷日などの表示がない。
したがって,乙第2号証が仮に過去の一時期に,被請求人エステティックサロンに備えられていたとしても,本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人エステティックサロンに備えられていたという事実は何ら立証されていない。
また,乙第2号証は,「タカダイオン」自体を単に説明するだけにすぎず,いかなる趣旨の物件であるのか不明である。これをもって医療機械器具の販売に関わるちらしであるとはいえない。すなわち,乙第2号証には,標題と覚しき「タカダ電子治療器」のあとにカッコ書きで「(ブリアント タカダイオン)」と小さく,しかも細い文字で書されているが,ここでの商品についての商標は,むしろ「タカダイオン」であり,「ブリアント」の部分が出所表示機能を発揮するものではない。なお,「ブリアント タカダイオン」なる表現は,その他の乙号証においては,乙第5号証の機械発送一覧表(いわば,社内の内部資料である)において一度表示されているだけで他の乙号証にはこのような表現はまったく出てこない。特に,乙第3号証の6頁「商品一覧(2)」(需要者向けの書類)には「タカタイオン」(「ブリアント」はない,また「タカダ」ではなく「タカタ」である。)としか表示されていない。乙第3号証の5頁「商品一覧(1)」には,「ブリアントMCジェル」,「ブリアントコールドゲル」,「ブリアントクリーム」なる表現があるにもかかわらずである。
仮に「ブリアント タカダイオン」なる表現が用いられていたとしても,あくまで一般需要者向けの表示ではなく,社内で内部的にしか用いられてこなかったのではないかと疑念を起こさせる。
さらに,販売用のちらしであれば,通常は商品の製造者に関する表示,商品の販売価格や割引率,代金の支払い方法,また高価な商品(乙第3号証によれば,一台262,500円)であることから,クーリングオフについての教示なども記載されるはずであるにもかかわらず,そのような記載がないことも不自然である。
したがって,乙第2号証をもってしては,本件商標が商品「医療用機械器具」について,本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人により使用されたことが立証されていないことが明らかである。
(3)乙第3号証(事前説明書)について
乙第3号証の6頁の表示は,「タカタイオン」であって,「ブリアント タカダイオン」ではなく,一般需要者向けの書類であるにもかかわらず,「医療用機械器具」の商標としての「ブリアント」の文字が一切ない。乙第3号証の5頁「商品一覧(1)」には,商品名と結合して,たとえば「ブリアントMCジェル」,「ブリアントコールドゲル」,「ブリアントクリーム」のように表現しているにもかかわらず,「タカタイオン」に限っては,「ブリアント タカタイオン」とは表示していないのであり,単に「タカタイオン」と記載しているのである。
したがって,これをもって,本件商標が商品「医療用機械器具」について被請求人により使用されたとはいえない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証に記載の「岡田 操子」が被請求人の社員であることの立証がない。
したがって,乙第4号証によっては,被請求人が本件商標を商品「医療機械器具」について販売するために備えるべき要件に適合していることの立証にはならない。
(5)乙第5号証について
乙第5号証には「ブリアント タカダイオン」なる記載があるが,これとても前述のとおり,社内の内部資料にすぎず,この記載をもって,本件商標が商品「医療用機械器具」について出所表示機能を発揮するものとして使用されたことを示すことにはならない。
したがって,乙第5号証をもってしても,本件商標がその指定商品「医療用機械器具」について,被請求人により本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたとは到底いえない。
(6)なお,被請求人は答弁書において,タカダイオンなる商品について言及しているが,その用語が「電子治療器」であったり,「電位療法器」であったり,「電子療法器」であったり,統一されていない。
このような商品について,本件商標が使用されていると主張するには,あまりに商品自体が特定されていないようである。
ちなみに,商標法施行規則上には「電位治療器」なる表現がみられるが,前記の被請求人が主張する種々の表現のいずれとも一致していない。しかし,暖昧さを避けるため,これらの種々の用語は統一して使用されるべきであるので,請求人は被請求人に対し,これらの用語を統一すべきことを要求し,参考までに薬事法上の医療機械器具の販売の許可の際にはいかなる表現により許可されていたのか,その証拠を示すべきである。
(7)被請求人は,本件の場合,一般消費者に対する販売ではなく,エステティックサロンの会員を対象とした販売をしていると主張するが,乙第6号証ないし乙第10号証によれば,その使用方法は,商品「タカダ電子治療器」の販売について本件商標が用いられてるのではなく,このような使用は,例えば小売等役務などの役務についての商標の使用に該当することはあるかもしれないが,商品についての使用では決してない。しかも使用されている商標は,「ブリリアント」ではなく,「タカタイオン」又は「タカダイオン」という商標にすぎない。
(8)以上述べたように,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により請求に係る指定商品について使用されたことが十分に立証しえたとはいえないものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」と答弁し,その理由及び当審の審尋に対する回答を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁
(1)使用の事実
被請求人(商標権者)は,以下のとおり,本件商標を医療機器である「タカダ電子治療器」について,10年以上にわたり日本国内において継続的に使用してきた。
ア 被請求人は,昭和62年(1987年)9月に設立した被請求人エステティックサロン「ピュアエステブリアント」を経営する会社であり,現在,全国に46店舗を展開している。被請求人は,被請求人エステティックサロンにおいて,電位療法器「タカダ電子治療器」を顧客の施術に用いると共に,施術を受けた顧客の要望に応じて,1995年ころから,「タカダ電子治療器」を「ブリアント・タカダイオン」として販売するようになった。
「タカダ電子治療器」は,マイナスイオンの電子を活用させ,健康を増進し病気の予防や治療のために製造した家庭用療法器である。被請求人エステティックサロンの業務の中心は施術を行うことであるから,機械の販売には力を入れておらず大々的な宣伝も行っていないが,自宅で「タカダ電子治療器」を使って施術を行いたいという顧客の要望に応えるために,「タカダ電子治療器」の注文販売を始めた。
イ 乙第1号証は,被請求人エステティックサロン(松戸店)において実際に施術に用いている「タカダ電子治療器」の写真であり,乙第2号証は,各サロンに備えている「タカダ電子治療器」のちらしである(なお,効果の記載に少し不備な点があったためその部分を伏せている。)。
また,来店者には施術の契約前に,乙第3号証に示すピュアエステブリアント「事前説明書」を配布しているが,この事前説明書の6頁の右上の方には「商品名/タカタイオン」,「標準価格/¥262,500/(¥250,000)」という表示がある。また,この事前説明書で販売用として載せている「タカダイオン」(タカダ電子治療器)は,被請求人の販売に係るものである(同10頁)。
「タカダ電子療法器」は,医療機器であるため,その製造販売には薬事法に基づく医療機器製造販売業の許可を得ており,各サロンにおいても,「医療機器の販売及び賃貸管理者」を必ず一人は置くようにしている(乙第4号証は,「医療機器の販売及び賃貸管理者」の資格要件としての「講習修了証」(松戸店社員のもの)である。)。
そして,「タカダ電子療法器」は,各サロンにおける注文販売という形態を採り,原則として来店し施術を受けた顧客にしか販売していないことから,販売個数は,全サロン合計でもせいぜい年間で10?20台である。最近の具体的数字をあげると,乙第5号証の「ブリアントタカダイオン発送一覧表」に示すように,2008年1月から8月までで8台ほどの販売になっている。
(2)むすび
以上のように,被請求人は,「タカダ電子治療器」(電位療法器)について,「ブリアント・タカダイオン」として,本件商標の使用を日本国内で継続しており,請求人の主張には理由がない。
2 審尋に対する回答
(1)乙第3号証の事前説明書には,その表紙右下に「改訂B080801J」という記載がある。これはこの事前説明書の改訂版の発行が2008年(平成20年)8月1日であることを意味する。
なお,2007年の改訂版を乙第6号証として提出する。これは「改訂B071201J」とあるので,2007年12月1日発行ということになる。この事前説明書にも「タカタイオン」が記載されており,表紙と裏表紙には「ブリアント」の記載がある。
以上のとおり,乙第3号証の事前説明書には,配布年月日の記載がある。(2)タカダイオンの販売は,サロンに通っている会員(顧客)に対するものであり,脚やせなどのトリートメント(施術)の一環として自分の家でもサロンと同様に「タカダイオン」を試してみたいという会員が対象であり,不特定多数の消費者を対象とするものではないから,本権利者の商品の販売における取引書類は一般的なそれと異なる。すなわち,サロンに通っている会員よりトリートメントのコースや商品の購入の申込みを受けた場合には,各サロンにおいて,原則として,以下,アないしエのような段取りで販売をしている。
ア 注文があった場合,乙第7号証の「パスポート/商品 受渡書」の用紙に,購入者の名前と会員番号,トリートメントコース名や商品名と個数,値段,支払方法(現金・カード・クレジットの別)などを記入する。このパスポート/商品 受渡書は,4枚綴りの複写式となっており,1枚目がお客様控え,2枚目がサロン控え,3枚目がカード・クレジット用控え,4枚目が本部控えとなっている(乙第7号証の1ないし5)。この4枚綴りのもの70部で1冊の「パスポート/商品 受渡書」を構成しており,あらかじめ各サロンに配布され,記載済みのもの1冊(一月分)を毎月各サロンから本部に回収する。
イ この購入商品の支払いは,現金,カード,クレジットのいずれかで行っている。この契約時,現金受け取りやカード決済を済ませた顧客には,支払方法の欄にその日付等も記載するから,「パスポート/商品 受渡書」は,会員と取り交わした「商品受渡契約書」であるとともに,「領収書」的な役割も果たしている(乙第8号証の1ないし8)。
ウ 各サロンでは,上記商品等受渡の契約に基づき,直ちに「美容機器注文書」の用紙に所定事項を書き込み,これを本部にファクシミリで送信し知らせる(乙第10号証の1ないし8)。この時,「パスポート/商品 受渡書」のサロン控えも,受渡契約の確認のため同時にファクシミリで送信する。
エ 本部では,これを見て「美容機器注文書」に示す送り先へ商品の発送を行う手配をし,機器類を宅配便等で希望先に発送する。
(3)乙第11号証の写真には,正面中央上部に「TAKADAION/TK-2211」とあり,裏面には「電磁治療器タカダイオン/型式TK-2211/医療用具(58B)第780号」とある。また,裏面には,認可番号である「91-18240号」の表示,「株式会社日本理工医学研究所(以下「日本理工医学研究所」という。)/長崎県佐世保市…」という製造元の記載がある。「TAKADAION」は,日本理工医学研究所の登録商標であり,被請求人は,日本理工医学研究所から,「タカダイオン」を仕入れ,購入を希望する会員に販売している。
(4)乙第12号証として,医療用具承認番号「58B第780号」の日本理工医学研究所製のタカダイオン電磁治療器の発売当初のパンフレットのコピーを提出する。このパンフレットの裏面に,効能や使用方法の要点が記されている。
(5)以上述べたように,タカダイオンの販売は,間違いなく本権利者の経営するエステティックサロンの会員になされている。乙第6号証の「商品事前説明書」には,商品「タカタイオン」を掲載しており,その表紙と裏表紙には,本件商標「ブリアント」を明記している。そして,「パスポート/商品 受渡書」は,受渡契約書のような重要な書類であり,そこには「タカダイオン」の明記がある。また,この受渡書の用紙は,「Briant」の文字を枠外のスペースに散りばめており。また,本部控え等でわかるように,「ブリアント」の取り扱いに係るものであることを明示している。
同一人の領収書と名前,日付,購入代金等の表示を照らし合わせれば,タカダイオンの取引のあったことは明白である。

第4 審尋
当審において,平成21年4月27日付け及び同年6月10日付けの審尋により被請求人に対し書面の提出及び釈明を求めた。
「タカダ電子治療器(以下,これを「使用商品」という。)は,写真の映りが不鮮明である上に,その効果については,目隠しがされ,使用商品に本件商標が使用されていたのか,あるいは,使用商品がいかなる目的で使用されるものであるか等については,明らかではなく,また,「講習修了証」における「医療機器の販売」が使用商品に関わるものであるか否かについても不明といわざるを得ない。
さらに,使用商品の広告をしたと認められるちらしや事前説明書には,その作成年月日ないし配布年月日の記載がなく,これらが本件審判の請求の登録前3年以内に頒布されたものか否か不明である。
加えて,使用商品が2008年1月1日から同年8月31日までに8台販売されたとする乙第5号証は,被請求人が作成した販売記録にすぎないものであり,使用商品のように高額な商品の取引に関しては,納品書,受領書,請求書,受領書などの取引書類が取り交わされるのが一般的であるところ,乙第5号証に記載の販売が実際にあったことを裏付ける上記取引書類等の証拠の提出がない以上,乙第5号証の記載を直ちに信用することはできない。
また,平成21年5月21日付け回答書には,使用商品が取消しに係る商品「医療用機械器具」に含まれることを立証するための釈明及び書面の添付がないので,さらにこれらを立証するための書面及び釈明があれば提出されたい。

第5 当審の判断
1 乙各号証によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は,被請求人が主張するところの「タカダ電子治療器」が使用されている状態の写真であるところ,写真に示される商品は,正面の写真のみであり,しかも,小さく,不鮮明であるから,本件商標の表示の有無は確認をすることができない。
(2)乙第2号証は,被請求人が主張するところの「タカダ電子治療器」のちらしであるところ,その作成年月日ないし配布年月日は明らかではない。
また,乙第2号証には,上段に「タカダ電子治療器(ブリアント タカダイオン)」との表題があり,その下には,「タカダイオンとは:マイナスイオンの電子を活用させ,健康を増進し病気の予防や治療のための家庭用療法器」,「タカダイオンと効果:」(なお,この項目は,被請求人の主張によれば,「効果の記載に少し不備な点があったため」,目隠しがされている。),「使用上の注意:(省略する。)」の3項目にわたり記載がされ,これらの記載の下には,商品の写真が掲載されている。さらに,ちらしの下段には,「ピュアエステ/ブリアント」の文字が表示されている。
(3)乙第3号証は,表紙に,「ピュアエステ/ブリアント/事前説明書」,「ここから貴方の足やせ物語がはじまります」との文字が記載された冊子と認められるところ,その表紙右下に「改訂B080801J」という記載がある。被請求人の主張から,これは改訂版の発行日時を表すものと認められ,当該事前説明書の改訂版の発行が,2008年(平成20年)8月1日であることが認められる。
同2頁の「ブリアントシステムのご案内」には,「当店では,基本的にトリートメント使用商品(関連商品)以外の商品は,推奨販売商品として取り扱っております。」との記載があり,また,同6頁の「商品一覧(2)/推奨販売商品一覧」の「推奨販売商品(機械及び消耗品)」には,「商品名」欄に「タカタイオン」との記載があり,その「標準価格」は「¥262,500(商品価格¥250,000)」である。同10頁の下段には,「役務提供業者と店舗」の表示のもと,「会社名 株式会社ピーユーサービス(屋号)ピュアエステブリアント」との記載がある。
(4)乙第5号証は,「機械発送一覧表(商品別 明細)」であるところ,これには,右上部に「ブリアント タカダイオン」と記載され,その内訳として,発送日,店舗名,名前,郵便番号,住所,電話番号などの欄が設けられ,発送日欄に「08/01/25」,「08/02/04」,「08/03/19」,「08/03/31」,「08/04/03」,「08/06/02」,「08/06/06」,「08/07/04」と記載されている。また,名前,住所,電話番号の一部が目隠しされているが,名前欄に「1262三堂」「1195加瀬野」「1210鈴木」「1214長谷」「1205川上」「0450川崎」「1016両角」「1239家田」の番号と文字を確認することができる。
(5)乙第8号証の1ないし8は,申込日,氏名,会員番号,コース/商品名などの欄に記載のある「パスポート/商品 受渡書」8通であり,宛先の氏を「三堂」「加瀬野」「鈴木」「長谷」「川上」「川崎」「両角」「家田」とするものである。これらの氏名及び会員番号は,乙第5号証に記載された氏名と番号と一致する。また,いずれも「コース/商品名」に「タカダイオン」及び右下の欄に「ブリアント藤沢店」などのように「ブリアントの名を冠した店舗名」が記載されている。
(6)乙第9号証の1ないし5は,年月日,会員番号,氏名,領収金額などが記載された「領収書(控)」であり,宛先の氏を「三堂」「加瀬野」「すずき」「長谷」「家田」とするものである。これらには,それぞれ,乙第8号証の1ないし4及び8の「パスポート/商品 受渡書」の記載と一致する氏名,会員番号,領収金額,店舗名などが記載されている。
(7)乙第10号証の1ないし8は,年月日,タカダイオン,お客様氏名,住所,送先,支払方法等の欄に記載のある「美容機器注文書」8通である。これらに記載された氏名のうち、「三堂」「鈴木」「長谷」「川上」「川崎」「両角」「家田」の氏の者の氏名は,乙第8号証に記載された氏名と一致する(ただし、加瀬野には取り消し線が記されている)。
(8)乙第11号証の1ないし4は,被請求人が主張するところの「タカダ電子治療器」と同型のタカダイオン電子治療器の写真であるところ,これには,正面中央上部に「TAKADAION/TK-2211」とあり,裏面には「電磁治療器タカダイオン/型式TK-2211/医療用具(58B)第780号」と記載されている。
(9)乙第12号証は,「TAKADAION/タカダイオン電子治療器」と題する製品パンフレットである。その表面には,「承認番号58B第780号/認可番号第91-18240号」,「製造元株式会社日本理工医学研究所」などの文字と,第11号証の1及び2に表示され「タカダ電子治療器」と同一と認められる「タカダ電子治療器」の正面が表示されている。また,裏面には,「タカダイオン電子治療器は…」の表題の下,「疲れがとれない」「肩がこる」「便秘する」「頭が痛い・重い」「眠れない」「腰が痛い」と記載されている。
2 前記1で認定した事実及び被請求人の主張に基づき判断する。
(1)使用商品について
被請求人は,被請求人エステティックサロンにおいて,その役務を提供するために「タカダ電子治療器」ないし「タカダイオン」又は「タカタイオン」なる機械器具(以下「使用商品」という。)を使用するところ,その使用商品は,承認番号を「58B第780号」として承認された医療用具と認められるから(乙第11号証),これは,請求に係る商品である「医療用機械器具」の範疇に属するものということができる。
そして,乙第5号証及び乙第8号証ないし乙第10号証によれば,これらのいずれにも「タカダイオン」と表示され,また,それぞれに記載された氏名(顧客名),会員番号なども一致することから,これらの事実とその他乙第3号証,被請求人の主張などを勘案すると,被請求人は,顧客の要望に応じ,使用商品を推奨販売商品として販売しており,その使用商品は,2008年1月から同年7月までの間に,エステサロンの顧客に少なくとも8台販売されたことが認められる。
(2)使用商標について
被請求人は,使用商品を「ブリアント・タカダイオン」として販売したと主張するが,乙第11号証に示された使用商品には,「TAKADAION」と表示されているのみでブリアントの表示はない。また,被請求人の行うエステティックサロンの説明書と認められる「ブリアント事前説明書(乙第6号証及び乙第6号証)」並びに請求人が取引書類とする「パスポート商品 受渡書(乙第8号証)」及び「美容機器注文書(乙第10号証)」に記載された商品名も「タカタイオン」であって,ブリアントではない。
さらに,被請求人が被請求人の経営するサロンに備えていると主張するちらし(乙第2号証)には,「タカダ電子治療器(ブリアント タカダイオン)」と記載されているが,これには作成年月日がなく配布時期が特定できないことから,これが実際に需要者(サロンの顧客)に配布された事実を確認することができない。
また,「機械発送一覧表」(乙第5号証)に「ブリアントタカダイオン」と表示されているが,これは被請求人の内部資料として事務処理に用いられたものであろうことが推認され,これをもって,使用商品が「ブリアント」として取引されていたことを立証するには十分とはいえない。
その他,乙第3号証及び乙第6号証のブリアント事前説明書,乙第7号証及び乙第8号の「パスポート商品 受渡書」及び乙第9号証に「ブリアント」の表示があることは認められるが,乙第3号証及び乙第6号証の「事前説明書」に記載されているとおり,これらは,被請求人の屋号である「ピュアエステブリアント」の一部を表示するものであって,被請求人が行うエステティック美容に関する役務の提供についての使用に当たるとしても,商品についての使用と認めることはできない。また,他に使用商品を「ブリアント」と表示している証拠は見あたらない。
したがって,乙各号証をもってしては,被請求人が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,請求に係る指定商品「医療用機械器具」について,本件商標を使用したと認めることはできない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,その請求に係る指定商品について使用されていなかったといわざるを得ず,また,その使用がされていないことについて正当な理由があるものとも認められない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の「医療用機械器具」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-09-11 
結審通知日 2009-09-16 
審決日 2009-10-07 
出願番号 商願平5-100688 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (010)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 1996-09-30 
登録番号 商標登録第3198192号(T3198192) 
商標の称呼 ブリアント 
代理人 小川 眞一 
代理人 藤森 洋介 
代理人 朝日奈 宗太 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ