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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y18
管理番号 1208240 
審判番号 取消2008-301191 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-09-17 
確定日 2009-11-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第4618748号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4618748号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成14年3月4日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」を指定商品として、同14年11月8日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
設定登録後から現在に至るまでの間、本件商標権者が本件商標をその指定商品「かばん類、袋物」について使用している事実は認められない。また、原簿上使用権者の存在は認められないところ、使用権者が本件商標を上記商品について使用している事実も請求人は知らない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品「かばん類、袋物」について使用している事実は、認められないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は、取り消されるべきものである。

2 弁駁の理由
(1)被請求人の反論と証拠の認否
乙第7号証及び乙第8号証は、本件審判請求の予告登録前3年以内より古い日付が付された資料であり、証拠として採用できない。
次に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、商品「バッグ」と「財布」に付されている写真が提出されていることについては争わない(誰のブランドで、誰が使用しているかは不明。)。
また、被請求人が、「ローズマリー」の品名の商品(具体的にどのような商品であるかは不明。)を本件審判請求登録の日前3年以内に他人に納品している点についても争わない。しかし、被請求人が本件商標を使用しているとの主張については争う。
(2)請求人の主張について
ア 本件商標の実質的な使用に関して
被請求人は、「本件商標は、商標登録出願を行った日から今日に至るまで継続して、商品『かばん類,袋物』について使用されてきている」と主張している。
しかし、乙第1号証ないし乙第6号証から、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が「バッグ」と「財布」(以下「バッグ等」という。)に付されていることは認められるとしても、それらの商品が、被請求人又はその使用権者のものであるか、全くの第三者の商品であるかは不明のままである。
したがって、当該バッグに本件商標を付す行為が被請求人により主体的に行われたかどうか不明であり、その点で、「本件商標は、被請求人又はその使用権者のいずれかが、商標登録後今日に至るまで継続して、商品『かばん類,袋物』について使用されてきている。」と認めることはできない。
イ 本件商標の使用対象商品に関して
乙第9号証ないし乙第11号証、及び乙第13号証ないし乙第15号証からは、被請求人が、「ローズマリー」の品名の商品を、本件審判請求登録の日前3年以内に他人に納品している点は認められる。
しかし、当該「ローズマリー」の品名の商品が、指定商品「かばん類,袋物」に該当する商品であることを示す証拠は提出されてない。
すなわち、被請求人は、「使用している商品については、指定商品の第18類に分類される『かばん類』の中の『バッグ』であり、また、『袋物』の中の『財布』である」とし、その証拠に乙第1号証ないし乙第6号証を提示している。
しかし、乙第1号証ないし乙第6号証の個々のバッグ等と乙第9号証ないし乙第11号証中に記載された「ローズマリー」の品名が記載された商品との関係性はなんら示されてない。
したがって、乙第9号証ないし乙第11号証中に記載された「ローズマリー」の品名の商品が、指定商品「かばん類,袋物」に含まれる商品であるか、なんら立証されていないため、証拠として採用できず、「本件商標は、商標登録から今日に至るまで継続して、商品『かばん類,袋物』について使用されてきている」とは認められない。
(3)結論
以上に述べたとおり、被請求人の主張を立証する証拠が提出されておらず、継続して3年以上日本国内において商標権者等のいずれもが、指定商品「かばん類,袋物」についての使用をしているとは認められない。

第3 当審における被請求人に対する審尋
1 本件商標の使用を客観的に証明するため、以下の補完資料を提出されたい。
(1)乙第1号証ないし乙第6号証で示されたバッグあるいは財布と、乙第9号証ないし乙第11号証中に記載された「ローズマリー」の品名が記載された商品との関係性の分かる書類及び説明。
(2)提出された「当座勘定照合表」と、それに関連する「納品書」あるいは「請求書」等と、日付及び入金額が符合していないので、符合する「当座勘定照合表」。

第4 被請求人の主張
被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証(枝番号を含む。ただし、枝番号のすべてを引用する場合は、その枝番号を省略する。)を提出した。
1 答弁の要旨
本件商標は、商標登録出願を行った日から今日に至るまで継続して、その指定商品である第18類の「かばん類、袋物」について使用されてきており、現在も使用を継続中である。すなわち、本件商標は、その出願日である平成14年3月4日以前の、平成12年11月頃より商品「バッグ」について使用を開始し、平成13年頃からは、別紙に添付した写真(乙第1号証ないし乙第6号証)に示されたような「バッグ」と「財布」について使用を開始し、現在に至っている。
使用の事実を証明するために、平成16年からの納品書、請求書、支払明細書等を各年度ごとに分けて提出する(乙第7号証ないし乙第11号証及び乙第13号証ないし乙第15号証)。
本件商標の使用形態は、登録された商標と同じ「ローズマリー」と称呼される筆記体の「Rose Mary」であり、その使用態様は、本件商標と同一の範囲に入るものである。
また、使用している商品については、指定商品の第18類に分類される「かばん類」の中の「バッグ」であり、また、「袋物」の中の「財布」である(乙第1号証ないし乙第6号証及び乙第12号証)。
よって、本件商標は、登録された形態と同一の範囲に入る使用形態で、本件指定商品第18類の「かばん類」に含まれる「バッグ」と「袋物」の中に含まれる「財布」について継続して3年以上使用しているものであるから、商標法第50条第1項の規定に該当せず、継続して3年の不使用により、取り消されるべき理由はない。

2 弁駁及び審尋に対する被請求人の第2回答弁の要旨
(1)被請求人の履歴事項全部証明書(乙第16号証)の記載(目的 カバン、ハンドバッグの製造、販売、輸出入とこれに付帯する一切の業務)から、製造卸の会社であること、及び代表者の住所が埼玉県深谷市に所在することを立証する。
(2)被請求人の本店が、東京都台東区に所在し、工場兼倉庫が前記代表者の住所である埼玉県深谷市に所在し、また、被請求人が東京ハンドバッグ卸協同組合の組合員であることを立証する(乙第17号証ないし乙第19号証)。
(3)被請求人が、乙第1号証ないし乙第6号証に示されたハンドバッグと財布を、平成17年度以前から今日に至るまで継続して製造卸を行ってきたこと、及び、取引先会社が被請求人から前記商品を仕入れ、販売してきていることを立証する(乙第20号証ないし乙第22号証)。

第5 当審の判断
1 商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録(本件の場合、平成20〔2008〕年10月7日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。

2 被請求人は、本件商標をその指定商品である「かばん類、袋物」について使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第22号証を提出しているので、以下、提出に係る証拠について検討する。
(1)乙第1号証ないし乙第6号証は、バッグ及び財布の写真であるが、そこには、本件商標と社会通念上同一と見られる構成の標章が商品自体に刻印して表され、また、タグにも表されている。
(2)乙第7号証及び乙第8号証は、被請求人の納品書、支払通知表等の取引書類であるが、これらは、要証期間に該当しない。
(3)乙第9号証ないし乙第11号証について
ア 乙第9号証-1-1は、被請求人から請求外「株式会社東京デリカ」の「ラパックス 久里浜店」に対する2006年4月21日付け「納品書」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、平成18年5月11日付け「請求書」(乙第9号証-1-2)添付の「4月 請求明細書」、並びに「6月度 支払通知表」、「4月度 買掛一覧表」、「4月度 買掛金元帳」(乙第9号証-1-3ないし5)の金額がそれぞれ符合している。なお、関連の取引書類として提出された「当座勘定照合表」(乙第9号証-1-6)については、日付、金額とも一致していない。
乙第9号証-2-1は、被請求人から請求外「株式会社協和バック」の「伊勢崎店」に対する2006年10月3日付け「納品書(控)」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」及び「RO 財布」の記載があり、これに続く、同年12月10日付け「支払明細書」(乙第9号証-2-2)の同一の伝票番号の欄に記載された金額と符合している。
乙第9号証-3-1は、被請求人から請求外「株式会社東京デリカ」の「野田店」に対する2006年10月16日付け「納品書」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、平成18年11月9日付け「請求書」(乙第9号証-3-2)添付の「10月 請求明細書」、並びに「12月度 支払通知表」、「10月度 買掛一覧表」、「10月度 買掛金元帳」(乙第9号証-3-3ないし5)の金額がそれぞれ符合している。なお、「当座勘定照合表」(乙第9号証-3-6)については、日付、金額とも一致していない。
乙第10号証-1-1は、被請求人から請求外「株式会社協和バック」の「伊勢崎店」に対する2007年4月3日付け「納品書(控)」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」及び「RO 財布」の記載があり、これに続く、同年6月10日付け「支払明細書」(乙第10号証-1-2)の金額と符合している。
乙第10号証-2-1は、被請求人から請求外「株式会社東京デリカ」の「守谷店」に対する2007年6月8日付け「納品書」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、平成19年7月6日付け「請求書」ほか「支払通知表」等(乙第10号証-2-2ないし5)の金額がそれぞれ符合している。なお、「当座勘定照合表」(乙第10号証-2-6)については、日付、金額とも一致していない。
乙第10号証-3-1は、被請求人から請求外「株式会社協和バック」の「上尾店」に対する2007年8月9日付け「納品書(控)」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、同年10月10日付け「支払明細書」(乙第10号証-3-2)及び平成19年10月31日付け「当座勘定照合表」(乙第10号証-3-3)の金額が符合している。
乙第10号証-4-1は、被請求人から請求外「株式会社東京デリカ」の「牛久店」に対する2007年12月14日付け「納品書」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、平成20年1月11日付け「請求書」ほか「支払通知表」等(乙第10号証-4-2ないし5)の金額がそれぞれ符合している。なお、「当座勘定照合表」(乙第10号証-4-6)については、日付、金額とも一致していない。
乙第11号証-1-1は、被請求人から請求外「株式会社協和バック」の「桶川店」に対する2008年5月1日付け「納品書(控)」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、同年7月10日付け「支払明細書」(乙第11号証-1-2)及び平成20年7月31日付け「当座勘定照合表」(乙第11号証-1-3)の金額が符合している。
乙第11号証-2-1は、被請求人から請求外「株式会社協和バック」の「長岡イトーヨーカドー店」に対する2008年9月16日付け「納品書(控)」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」及び「RO 財布」の記載があり、これに続く、同年11月10日付け「支払明細書」(乙第11号証-2-2)の金額と符合している。
乙第11号証-3-1は、被請求人から請求外「株式会社東京デリカ」の「ル・フラウ 千城台店」に対する2008年5月1日付け「納品書」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、平成20年6月11日付け「請求書」ほか「お取引明細書」等(乙第11号証-3-2ないし4)の金額がそれぞれ符合している。なお、「当座勘定照合表」(乙第11号証-3-5)については、日付、金額とも一致していない。
乙第11号証-4-1は、被請求人から請求外「株式会社東京デリカ」の「高萩店」に対する2008年6月13日付け「納品書」であるが、そこには、品名として「ローズマリー」の記載があり、これに続く、平成20年7月11日付け「請求書」ほか「お取引明細書」等(乙第11号証-4-2ないし4)の金額とそれぞれ符合している。なお、「当座勘定照合表」(乙第11号証-4-5)については、日付、金額とも一致していない。
イ 以上の乙第9号証ないし乙第11号証の取引書類によれば、品名を「ローズマリー」あるいは「RO 財布」と称する商品が、取引先である「株式会社東京デリカ」及び「株式会社協和バック」の各店に、2006年4月21日から2008年6月13日の間に数回にわたり納品され、その代金が支払われていたことが確認できるものである。
(4)乙第19号証の被請求人の工場兼倉庫の写真から、乙第1号証ないし乙第3号証のバッグと同じ型のバッグの存在が確認できる。
(5)乙第20号証は、「東京ハンドバッグ卸協同組合」による、被請求人が該組合の組合員であること、及び乙第1号証から乙第6号証に表示されたバッグと財布の製造卸を行っていることの、平成21年6月10日付けの証明である。
(6)乙第21号証及び乙第22号証は、取引先である「株式会社東京デリカ」及び「株式会社協和バッグ」による、乙第1号証から乙第6号証に表示されたバッグと財布を被請求人から仕入れていることの、平成21年6月10日付けの証明である。
(7)まとめ
以上の乙各号証よりすれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標が付された商品「バッグ」を製造し、また、要証期間内である2006年4月21日から2008年6月13日にかけて、該商品を取引先である「株式会社東京デリカ」及び「株式会社協和バッグ」に販売していたことが推認できるものである。

3 請求人の主な反論について
請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証から、本件商標または本件商標と社会通念上同一の商標が、「バッグ」と「財布」(以下「バッグ等」という。)に付されていることは認められるとしても、それらの商品が誰の使用にかかるものであるかが不明であり、また、乙第9号証ないし乙第11号証、及び乙第13号証ないし乙第15号証からは、被請求人が「ローズマリー」品名の商品を、要証期間内に他人に納品している点は認められるが、該商品と前記バッグ等の関係性は示されておらず、指定商品「かばん類,袋物」について使用されているとは認められない旨主張している。
確かに、請求人の主張している乙各号証をそれぞれ個別に見た場合には、本件商標の使用の事実を証明するものとして、必ずしも、それのみを持ってしては適確なものとはいえないとしても、取引書類である納品書の品名欄に記載された「ローズマリー」は本件商標の構成中の文字部分の読みと同一と認められるものであること、あるいは、被請求人が工場兼倉庫とする場所に本件商標が付されたものと同じ型のバッグ等が保管されていること等、乙各号証を総合してみれば、相互に補完し合うことにより、本件商標の使用は証明されているものとみるのが相当である。
したがって、請求人の主張は採用することができない。

4 結び
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求にかかる指定商品中「バッグ」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものということができる。
したがって本件商法の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)本件商標



審理終結日 2009-09-11 
結審通知日 2009-09-16 
審決日 2009-10-02 
出願番号 商願2002-16397(T2002-16397) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y18)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
野口 美代子
登録日 2002-11-08 
登録番号 商標登録第4618748号(T4618748) 
商標の称呼 ローズマリー 
代理人 涌井 謙一 
代理人 山本 典弘 
代理人 鈴木 一永 
代理人 伊藤 捷雄 
代理人 鈴木 正次 

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