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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
管理番号 1208202 
審判番号 取消2009-300324 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-03-13 
確定日 2009-11-12 
事件の表示 上記当事者間の登録第4920202号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4920202号商標の指定役務中、第41類「運動施設の提供,娯楽施設の提供」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4920202号商標(以下、「本件商標」という。)は、「オメガプロジェクト」の片仮名文字と「ω」のギリシア文字及び「プロジェクト」の片仮名文字を結合した「ωプロジェクト」の文字を、上下二段に横書きしてなり、第41類「運動施設の提供,娯楽施設の提供」を指定役務とするほか第1類、第4類、第31類、第37類、第40類及び第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載の商品又は役務を指定商品及び指定役務として、平成17年4月1日に登録出願、同18年1月13日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
1 請求人が、調査したところ、本件商標は、被請求人ないしはその関連会社によって完全資源循環実現のためのプロジェクト名としてスローガン的に使用されている模様であるが、少なくともその指定商品及び指定役務中、第41類「運動施設の提供,娯楽施設の提供」については、過去継続して3年以上日本国内において使用されていた事実は見出せなかった。
よって、商標法第50条第1項の規定に基づいて本件審判を請求し、請求の趣旨のとおりの審決を求める次第である。
2 答弁に対する弁駁
乙第1号証ないし乙第6号証は、いずれも本件商標が「娯楽施設の提供」について使用されていることを証明するものではない。
(ア)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人と件外株式会社きなりとの関係を示すものであり、乙第3号証の1は「ωプロジェクトきなり村施設使用申込書」と題された資料、乙第3号証の2は会場使用規定と題された書類であって、「(株)きなり/ωプロジェクトきなり村」と署名されたものである。
請求人は、乙第1号証及び乙第2号証については真正を争わないが、乙第3号証の1については、頭書の「ωプロジェクト」の文字部分と「きなり村施設使用申込書」の文字サイズが顕著に相違する点からみても、「ωプロジェクト」の文字が、本件審判請求の後に書き加えられたものであるとの疑いが強いものと考える。
また、乙第3号証の2についても、やはり署名部分中における「ωプロジェクト」の文字部分が、その余の文字部分と文字サイズを顕著に相違するものであり、極めて不自然であり、やはり本件審判請求の後に書き加えられたものであるとの疑いが強いものと考える。
さらに、乙第3号証の1については、単に白紙の書類であって、何人かによって申込があったものではなく、したがって、現実に取引に供されたものとも認め難いところであり、当該証拠資料をもって、本件商標が使用されているものとは到底言い得ないものと考える。
(イ)乙第4号証は、いずれかの施設の写真と見受けられるが、これについてはいずれの施設の写真かがそもそも判然とせず、証拠資料として特定の事実を示すものとは認められない。
(ウ)乙第5号証は、件外株式会社広島オンキョウから件外株式会社きなりに当てられた請求書であるが、ここにはそもそも「オメガプロジェクト」、「ωプロジェクト」の文字は一切記載されておらず、むしろ、実態として商標「ωプロジェクト」が使用されていないことを示すものである。
(エ)乙第6号証は、いずれかの電話帳における件外株式会社広島オンキョウの広告部分と見受けられ、これを被請求人はNTT西日本発行のタウンページの記載であると主張しているが、特に表紙や奥付の添付もなく、直ちにこれをNTT西日本発行のタウンページの記載であるとも認められないところではあるが、そもそも当該証拠資料の提出の趣旨が不明であり、本件とは関わりのない無用の資料と考える。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 被請求人は、本件商標のうち、下段の「ωプロジエクト」の部分を商標として使用している。
このことは、審判便覧(改訂第9版)「特許庁審判部編」の「53商標登録取消審判」「53-01 登録商標の不使用による取消審判」の「3 平成8年改正商標法における不使用取消審判の改善」(2)登録商標の使用の認定に関する運用の事例において、『エ その他社会通念上同一と認められる商標、例2』に記載があるように、上・下の二段併記の構成からなる商標のうち、その一方を使用することで、商標の使用が認められると記載されていることより明らかである。
2 また、履歴事項全部証明書(乙第1号証)に示すように、広島県廿日市市津田字桧木尾840番地に所在する株式会社きなりは、被請求人である株式会社カンサイが100%出資の子会社であり、このことは、同族会社等の判定に関する明細書(乙第2号証)の記載により明らかである。
そこで、被請求人は、第41類「娯楽施設の提供」に含まれる「カラオケ施設の提供」について、本件商標の使用を、継続して三年以上、日本国内において使用しており、その使用の実体をその証拠と共に説明する。
(1)「ωプロジェクトきなり村施設使用申込書」(乙第3号証の1)に示すように、該申込書には、マイクロホン、音響設備、TVモニター、DVD(機器一式)を備えており、カラオケ施設を使用する申込みを行っている。
さらに、会場使用規定(乙第3号証の2)には、本件商標と被請求人の記載もあり、役務において使用されている。
(2)さらに、会場を撮影した写真(乙第4号証)もあり、カラオケセットの存在が明白である。
(3)また、通信カラオケの1・2・3か月分の情報料の請求書(乙第5号証の1)も、平成19年12月31日付けとある。
請求書に記載された株式会社広島オンキョウは、NTT西日本タウンページの157ページの広告(乙第6号証)からも明らかなように、業務用音響設備の設置を業としている。
3 以上のとおり、本件請求人は、2以上指定役務について取消審判を請求しているが、被請求人は、第41類「娯楽施設の提供」を行っており、したがって、本件審判請求は成り立たないものであるから、答弁の趣旨どおりの審決を求める。

第4 当審の判断
商標法第50条第1項の規定に基づく商標登録の取消の審判が請求された場合には、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者がその指定役務に係る商標登録の取消しを免れないことは、同条第2項の規定から明らかである。
しかして、被請求人は、100%出資する子会社である株式会社きなりが、本件商標を本件請求に係る指定役務、第41類「娯楽施設の提供」の範疇の「カラオケ施設の提供」について使用しているとして、乙第1号証ないし第6号証(枝番号を含む。)を提出しているので、提出に係る乙各号証について、検討する。
乙第3号証の1は、「ωプロジェクトきなり村施設使用申込書」と題する書面であって、申し込み先は「株式会社 きなり 殿」と印刷済み、申込文言も「貴社のきなり村施設使用につき使用規程を了承の上、下記の通り申し込みを致します。」と印刷済み、申込者の住所、氏名欄は空白で押印をすべき様式となっており、「記」として「会場」に関する事項について掲載されているが印刷済み部分と未記入部分とがあり、会場使用区分の「バイオスフィアK ホール」及び附属設備使用欄の「マイクロホン( 本)、オンキョウ設備、TVモニター、DVD(機器一式)、ノートパソコン」が印刷済みであり、予定人員、車両予定数、会場使用日時、会場使用目的の催事の名称及び催事の内容、タイムスケジュール、使用責任者、御社持込用品などの各欄は未記入であり、申込者が記載すべき事項とされていることが認められる。
以上の事実によれば、この申込用紙は申込者が記入するものであって、株式会社きなりが作成するものではないから、この用紙によって株式会社きなりが本件商標を使用しているとはいえないばりでなく、標題及び申込書の文言中には「きなり村施設」とされていること、会場使用区分が「バイオスフィアK ホール」とされていること及び会場使用目的について催事の名称及び催事の内容を申込者が記載すべきようにされており、これらは「カラオケ施設の提供」の申込書といえるものではない。
また、附属設備に掲げられた機器は、「カラオケ施設の提供」の専用機器とはいえず、むしろホールにおいて一般的催事をする場合に必要とされるノートパソコンなどを含む機器といえるものであり、使用申込対象とされている施設は、多用途の目的に使用できるホール形式の会場施設といえるものであって、カラオケ施設とは認められないものである。
乙第3号証の2は、「会場使用規定」と題する書面で、株式会社きなりの表示が最後にされているので、株式会社きなりの会場使用規定と認められるが、この「会場使用規定」からは、該会場がカラオケ施設であることを理解させる規定は全くなく、本件商標が「カラオケ施設の提供」に使用されているとの事実も認められない。
乙第4号証は、会場を撮影した写真でカラオケセットの存在が明白であると被請求人が主張するが、写真には、約50脚の椅子が写っているが、カラオケセットの存在が確認し得ないばかりか、カラオケ施設入り口などには、通常、広告・宣伝のため会場名等として商標の使用がされているが、同写真からは本件商標の使用を認めることができず、カラオケ施設というよりはむしろ一般的催事に利用される施設のように見受けられるものである。
乙第5号証は、19年12月31日締切分として広島市中区銀山町7-5株式会社広島オンキョウが廿日市市津田字桧木尾840に所在の株式会社きなり村宛の請求書であり、請求金額は56,700円で、その詳細が伝票日付欄「19/12/31」、品名欄「G100情報料1・2・3月分」、数量欄「3」、単価欄「18,000」と記載されているものである。
したがって、前記請求書の宛先「株式会社きなり村」は、被請求人の子会社「株式会社きなり」と商号が異なるものである。
ところで、同族会社等の判定に関する明細書(乙第2号証)によれば、株式会社きなりは、被請求人が100パーセント出資する子会社であり、前記請求書に記載の「平成19年12月31日」当時、履歴事項全部証明書(乙第1号証)によれば、平成19年5月14日に「廿日市市宮内字野稲原3116番地1」に移転していたことが認められるから、仮に前記請求書のあて先「株式会社きなり村」が「株式会社きなり」の誤記であるとしても、前記請求書に記載の住所が「株式会社きなり」の住所と一致しない。
さらに、前記請求書の記載事項、品名欄「G100情報料 1・2・3月分」、数量欄「3」及び単価欄「18,000」も内容が不明であるから、乙第5号証は、本件商標の使用の事実を立証するものではない。
乙第6号証は、NTT西日本 職業別2008.12?2009.11(掲載日は2008.9.10現在)デイリータウンページの157ページであり、株式会社広島オンキョウが掲載する広告には「通信カラオケの中古取引もやっております。」「全カラオケ設備 業務用音響・映像設備」「販売/リース」と記載されていることが認められるが、本件商標の使用の事実を立証するものではない。
したがって、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)によっては、被請求人及びその子会社が本件商標を「カラオケ施設の提供」に使用している事実を認めることができず、本件全証拠を総合してもその事実を認めることができない。
また、請求人は、請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由のあることを主張、立証していない。
以上のとおり、本件商標の登録は、指定役務中「結論掲記の役務」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-09-15 
結審通知日 2009-09-18 
審決日 2009-09-29 
出願番号 商願2005-28706(T2005-28706) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2006-01-13 
登録番号 商標登録第4920202号(T4920202) 
商標の称呼 オメガプロジェクト 
代理人 仲 晃一 
代理人 三原 靖雄 

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