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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X30 |
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管理番号 | 1206867 |
異議申立番号 | 異議2009-900199 |
総通号数 | 120 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-05-27 |
確定日 | 2009-11-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5210650号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5210650号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5210650号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成20年5月2日に登録出願、第30類「うなぎのエキス入りの菓子及びうなぎのエキス入りのパン」を指定商品として、同21年1月14日に登録査定、同年3月6日設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の引用する商標は、以下のとおりであり、いずれも、有効に存在しているものである。 (1)登録第2723157号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「うなぎ」の平仮名文字を横書してなり、昭和59年8月9日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿のとおりの商品を指定商品として、平成9年10月9日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品を、第30類「パイ菓子」とする指定商品の書換登録がなされているものである。 (2)登録第4171395号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「うなぎサブレ」の文字を横書きしてなり、平成7年11月24日に登録出願、第30類「サブレ」を指定商品として、同10年7月31日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がされているものである。 (3)登録第4412564号商標(以下、「引用商標3」という。)は、「うなぎ」の平仮名文字を標準文字で表してなり、平成11年10月6日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同12年8月25日に設定登録されているものである。 (4)登録第5194889号商標(以下、「引用商標4」という。)は、「うなぎ」の平仮名文字を標準文字で表してなり、平成19年4月3日に登録出願、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同21年1月9日に設定登録されているものである。 以下、これらの商標をまとめていうときは、単に「引用商標」という。 3 登録異議申立ての理由 商標法第4条第1項第11号の該当性について (1)本件商標について 本件商標は、装飾された平仮名文字「うなぎ」を、黒一色でやや左傾斜に横書きすると共に、「うなぎ」の右側下方に装飾されたローマ文字「BONY」を、文字の輪郭を残し中は白色により、これも横書きしたものであって、「うなぎ」と「BONY」からなる結合商標である。 そうとすると、本件商標からは、「ウナギボニー」、「ウナギ」、「ボニー」の称呼を生ずる。 そして、本件商標の「BONY」の文字部分は、「骨ばった」又は「痩せた」の意味合いを有し、「うなぎ」に対して形容詞的に使用され、商品の品質を表しているものであるから、本件商標は、「骨ばったうなぎ」又は「痩せたうなぎ」の意味合いを有するものである。 なお、本件商標における「うなぎ」の部分が、菓子の原材料表示であるとするならば、「うなぎ」部分も「BONY」部分も、いずれの部分も識別機能を有していない語句であると言うことになってしまい、これでは商標法第3条第1項第3号の規定に該当し登録できないものとなる。 しかし、商品「菓子」において、「うなぎ」の文字は、商標として機能しているものであり、自他商品の識別機能を有しているものである。 したがって、本件商標は、「うなぎ」部分が要部となるものであり、「うなぎ(鰻)」の観念を有するとともに、商標類否の判断をするときの称呼は唯一「ウナギ」である。 (2)本件商標と引用商標1との類否について 引用商標1は、平仮名文字の「うなぎ」からなるものであるから、「ウナギ」の称呼を生ずるものである。 してみれば、本件商標と引用商標1は、「ウナギ」の称呼を共通にする類似の商標である。 そして、本件商標と引用商標1の指定商品は、類似のものである。 (3)本件商標と引用商標2との類否について 引用商標2は、平仮名及び片仮名文字の「うなぎサブレ」からなるものであるから、「うなぎ」の部分から「ウナギ」の称呼を生ずるものである。 してみれば、本件商標と引用商標2は、共に「ウナギ」の称呼を生ずることは明らかであるから、両者は、称呼において類似の商標である。 そして、本件商標と引用商標2の指定商品は、類似のものである。 (4)本件商標と引用商標3との類否について 引用商標3は、平仮名文字の「うなぎ」(標準文字)からなるものであるから、「ウナギ」の称呼を生ずるものである。 してみれば、本件商標と引用商標3は、共に「ウナギ」の称呼を生ずることは明らかであるから、両者は、称呼において類似の商標である。 そして、本件商標と引用商標3の指定商品は、類似のものである。 (5)本件商標と引用商標4との類否について 引用商標4(甲第4号証)は、平仮名文字の「うなぎ」(標準文字)からなるものであるから、「ウナギ」の称呼を生ずるものである。 してみれば、本件商標と引用商標4は、共に「ウナギ」の称呼を生ずることは明らかであるから、両者は、称呼において類似の商標である。 そして、本件商標の指定商品と引用商標4の指定役務は、類似のものである。 (6)むすび 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似するものであり、また、指定商品・役務も類似のものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)本件商標について 本件商標は、別掲のとおり、「うなぎ」の平仮名文字を横書し、その右下に「BONY」の欧文字を黒色で輪郭を縁取りし、その中を白抜きで横書してなるものであるから、全体の構成文字に相応して「ウナギボニー」の称呼を生ずるものである。 そして、その構成中の「うなぎ」の文字部分は、我が国において親しまれた語で「ウナギ科の硬骨魚、鰻」を意味し、登録査定がなされた当時、既に、当業界においてはうなぎのエキスを使用したパイ菓子が昭和36年ころより生産販売されていた(例えば、インターネット フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」参照)ので、「うなぎBONY」の表示を本件指定商品「うなぎのエキス入りの菓子及びうなぎのエキス入りのパン」に使用しても、これに接する取引者、需要者にその商品の原材料について、「うなぎ」又は「うなぎのエキス」が使用されているものであること(品質)を表示したものと認識させるにとどまるとみるのが相当であり、商品の出所表示機能や自他商品の識別機能を果たすものではないというべきであるから、その構成中において他の構成部分より独立して自他商品の識別機能を果たす部分は、「骨質の、骨の多い」などの意味を有する英語「bony」に通ずる「BONY」の欧文字部分にあり、これより「ボニー」の称呼を生ずるものと認められる。 しかし、同英語は我が国において、あまりなじまれたものでなくその意味が広く知られているとはいえないものであるから、本件商標は、観念を有しないものとみるのが相当である。 請求人は、本件商標の要部が「うなぎ」の文字部分にあり、これより「ウナギ」の称呼、「鰻」の観念を生ずる旨主張するが、上述したとおり、「うなぎ」の文字部分は、商品の品質を表示したものと認識されるにとどまり、自他商品の識別機能を果たすものではないというべきである。 したがって、本件商標の「うなぎ」の文字部分が使用により識別機能を獲得したとは、本件全証拠によっても認められない。 よって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。 (2)引用商標について 引用商標1は「うなぎ」の文字を書してなり、引用商標3及び引用商標4は「うなぎ」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その指定商品との関係で、識別性について問題がないわけではないが識別力を有するとすれば、いずれも「ウナギ」の称呼、「鰻」の観念を生ずるものである。 また、引用商標2は「うなぎサブレ」の文字を書してなるものであるところ、その指定商品との関係で、識別性について問題がないわけではないが識別力を有するとすれば、構成全体から「ウナギサブレ」の称呼を生じ、その構成中の「サブレ」の文字部分は商品の普通名称を表すものであるから、自他商品の識別力を有しないものであり、その構成中において自他商品の識別機能を果たす部分は、「うなぎ」の文字にあり、これより「ウナギ」の称呼、「鰻」の観念を生ずるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とは、「うなぎ」の文字以外の構成部分において全く異なるものであるから、時と所を異にして観察した場合にも、両者は相紛れることなく判然と区別し得るものである。 そして、本件商標より生ずる「ウナギボニー」の称呼と引用商標より生ずる称呼「ウナギ」「ウナギサブレ」とは、構成音において「ボニー」又は「サブレ」の各音の差異を有するので、時と所を異にして観察した場合にも、両者は相紛れることなく聴別し得るものであり、また本件商標より生ずる「ボニー」の称呼と、引用商標より生ずる「ウナギ」「ウナギサブレ」の称呼とは、構成音が全く異なるものであるから、時と所を異にして観察した場合にも、両者は相紛れることなく判然と聴別し得るものである。 また、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができない。 したがって、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点からしても、相紛れるおそれのない非類似のものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 (3) 結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標(登録第5210650号商標) ![]() |
異議決定日 | 2009-10-23 |
出願番号 | 商願2008-34762(T2008-34762) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(X30)
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最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 小林 由美子 |
登録日 | 2009-03-06 |
登録番号 | 商標登録第5210650号(T5210650) |
権利者 | 株式会社 出雲流通センター |
商標の称呼 | ウナギボニー、ウナギ、ボニー |
代理人 | 中山 清 |
代理人 | 野末 祐司 |