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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X03 |
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管理番号 | 1206852 |
異議申立番号 | 異議2009-900090 |
総通号数 | 120 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-03-05 |
確定日 | 2009-11-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5186519号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5186519号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5186519号商標(以下「本件商標」という。)は、「ディアドール」の片仮名文字と「DIAD’OR」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成20年5月9日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月7日に登録査定、同年12月5日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が商標法第4条第1項第15号の取消理由に引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4268572号商標(以下「引用商標1」という。)は、「J’ADORE」の欧文字を標準文字で表してなり、1997年8月29日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成10年2月20日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年4月30日に設定登録されたものである。 (2)登録第4376886号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成11年5月7日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。 (3)登録第1023590号商標(以下「引用商標3」という。)は、「DIOR」の欧文字を横書きしてなり、昭和44年3月17日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同48年7月30日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成16年8月4日の書換登録により、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。 (4)国際登録第853280号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、2004年10月27日にフランスにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2005年(平成17年)4月4日に国際商標登録出願、第3類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成18年3月31日に設定登録されたものである。 (以下、上記登録商標を一括していうときは、「引用各商標」という。) 3 登録異議の申立ての理由(要点) 本件商標は、申立人が香水に使用する商標として、我が国においては勿論のこと、世界的に著名性を獲得している引用商標1及び2と称呼及び外観において酷似した商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標1及び2が著名性を獲得している商品である香水等の化粧品と同一の指定商品である。 また、本件商標は、世界的に著名なファッションデザイナー「Christian Dior(クリスチャン ディオール)」の略称として世界的に著名であると同時に、申立人及び申立人の関連会社の業務に係る婦人服、宝飾品、化粧品、香水等に使用され、世界的に著名な標章「DIOR」、「Dior」または「ディオール」の文字及び引用商標3及び4と称呼・外観において類似性が高いものというべきである。 これらの事情を考慮すると、本件商標がその指定商品に使用されるときには、これに接する取引者・需要者は、恰も申立人若しくは申立人と組織的または経済的に何らか関係がある者の業務に係る商品であるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、取り消されるべきである。 4 当審の判断 (1)本件商標と引用各商標との類否について 本件商標は、前記したとおりの構成からなるものであるから、該構成文字に相応して、「ディアドール」の称呼を生ずるものと認められる。 他方、引用商標1及び2は、前記あるいは別掲(1)に示したとおりの構成からなるものであるから、「J’ADORE」あるいは「j’adore」の欧文字に相応して、「ジャドール」の称呼を生ずるものと認められ、また、引用商標3及び4は、前記あるいは別掲(2)に示したとおりの構成からなるものであるから、「DIOR」の欧文字に相応して、「ディオール」の称呼を生ずるものと認められる。 そこで、本件商標から生ずる「ディアドール」の称呼と引用商標1及び2から生ずる「ジャドール」の称呼とを比較するに、この両称呼は、後半部分の「ドール」の音を共通にするにしても、前半部分において「ディア」と「ジャ」の音の差異を有するものである。しかして、「ディ」の音は破裂音であり、「ジャ」の音は摩擦音であって、その音質を明らかに異にするばかりでなく、「ディ」の音に続く「ア」の音も音構成上、明瞭に発音され、聴取され得るのに対して、「ジャ」の音も(a)の母音を伴うものではあるが、これに続く「ドール」の音がむしろ明瞭に発音・聴取されることから、「ジャ」の母音である(a)の音は、不明瞭にしか聴取されないものである。 そうとすれば、この両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部分において、明らかに音質を異にする2音の差異を有するものであるから、これらの音の差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。 次に、本件商標から生ずる「ディアドール」の称呼と引用商標3及び4から生ずる「ディオール」の称呼とを比較するに、両者は、中間部分とはいえ、いずれも明瞭に響く開放音である「ア(a)」と「オ(o)」の音の差異を有するばかりでなく、濁音にして強く響く「ド」の音の有無の差異をも有するものであるから、両者は、これをそれぞれ一連に称呼するも、その語調・語感を異にし、称呼上十分区別し得るものである。 なお、この点については、申立人が引用商標3及び4以外にも使用していると述べている「Dior」あるいは「ディオール」の文字からなる商標についても同様である。 また、本件商標の欧文字部分と引用各商標の欧文字部分の外観を比較してみても、本件商標の欧文字部分は、「DIAD’OR」の文字構成からなるのに対して、引用商標1及び2の欧文字部分は「J’ADORE」あるいは「j’adore」、引用商標3及び4の欧文字部分は「DIOR」の文字構成からなるものであり、その文字構成において明らかな差異を有するものであるから、通常の注意力をもってすれば、その外観を見誤ることはないものというべきである。 その他、本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき特段の理由は見出せない。 したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 上記したとおり、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標等を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(1)(引用商標2)(色彩については原本参照のこと。) 別掲(2)(引用商標4) |
異議決定日 | 2009-10-13 |
出願番号 | 商願2008-35969(T2008-35969) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X03)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高橋 謙司 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
野口 美代子 小川 きみえ |
登録日 | 2008-12-05 |
登録番号 | 商標登録第5186519号(T5186519) |
権利者 | 株式会社クレフ |
商標の称呼 | ディアドール |
代理人 | 宮川 美津子 |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 田中 克郎 |
復代理人 | 田中 景子 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
復代理人 | 佐藤 俊司 |
代理人 | 久保山 隆 |