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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X03 |
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管理番号 | 1206839 |
異議申立番号 | 異議2008-900264 |
総通号数 | 120 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-12-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-07-14 |
確定日 | 2009-10-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5124756号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5124756号商標の登録を取り消す。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5124756号商標(以下「本件商標」という。)は、「Matte Chance」の欧文字を横書きしてなり、平成19年9月6日に登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き」を指定商品として、同20年2月14日に登録査定され、同年4月4日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立ての理由 1 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第1005206号商標(以下「引用商標」という。)は、「チャンス」の文字を横書きしてなり、昭和46年4月7日に登録出願、第4類「せつけん類」を指定商品として、同48年3月22日に設定登録され、その後、3回にわたり、商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、第3類「せっけん類」を指定商品とする書換登録が平成15年5月7日にされたものである。 2 理由の要点 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、引用商標「チャンス」に類似し、かつ、引用商標の指定商品をその指定商品中に含むものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 本件商標は、申立人が香水等の化粧品関連の商品に使用して著名な標章を、その一部に含む商標であり、本件商標から申立人の使用する標章を容易に連想できるというべき商標であって、また、本件商標の指定商品と申立人の標章を使用している商品は同一又は非常に高い関連性を有するものであり、かつ、その流通経路や取引者・需要者を同じくするものであるから、これをその指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、あたかも申立人もしくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所につき混同を生ずるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。 (3)申立人は、証拠方法として、甲第1ないし第114号証(枝番号を含む。)を提出している。 第3 本件商標に対する取消理由 当審において、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成21年2月16日付けで商標登録の取消の理由を通知した。その要旨は、次のとおりである。 1 申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)申立人は、香水の歴史を変えたといわれる香水「CHANEL N^(o)5」(シャネルN^(o)5)を1921年に発表して以来、1974年に「CRISTALLE」(クリスタル オードゥトワレット)、1984年に「COCO」(ココ オードゥパルファム)、1990年に「EGOISTE」(エゴイスト オードゥトワレット)、1996年に「ALLURE」(アリュール オードゥトワレット)、2001年に「COCO MADEMOISELLE」(ココ マドモアゼル オードゥパルファム)、2003年に「CHANCE」(チャンス オードゥトワレット)の各香水を発表し、現在もこれらの香水は販売されている(甲第3及び第4号証)。さらに、これら香水と同じ香りを楽しむことができるシャワージェル、シャワーフォーム、ボディクリーム、ローション等も販売され人気を博している(甲第5、第6、第110号証及び第111号証の1ないし4)。 (2)我が国において、上記香水「CHANCE」(チャンス)が発売されたのは平成15年(2003年)4月であったが、以下のとおり、その発売に合わせて該香水のボトルの写真や「CHANCE」、「チャンス」の文字と共に、該香水について様々な手法を用いて宣伝広告が行われた。 (ア)2003(平成15)年4月、約1ヶ月間にわたり、JR渋谷駅及び同駅前交差点に面するビルの壁面に巨大な屋外ビジョン等の広告媒体を設置し、また、渋谷公園通りの舗道上に大きなフラッグを掲げ、これらには「CHANCE」及び「CHANEL」の文字を二段に表記した香水瓶の大きな写真と共に「シャネルの新しい香りーチャンス」等の文字が表示された(甲第7号証)。 (イ)同年4月から7月にかけて、東京銀座で建設途中であったシャネルビルの壁面に上記(ア)と同様の写真及び文字が掲示された(甲第8号証)。 (ウ)上記(ア)と同様の広告は、同年9月から10月にかけて、東京メトロ銀座線及び丸ノ内線の車輌、銀座4丁目交差点に面した三越ビル壁面、新宿UFJビル壁面、井の頭線渋谷駅、東横線渋谷駅において行れたほか、2004年2月の1ヶ月間に銀座及び渋谷のビル壁面においても行われ、さらに2005年8月には井の頭線渋谷駅、平成18年5月には地下鉄表参道駅、銀座駅において柱巻き広告が行われた(甲第9、第10及び第105ないし第108号証)。また、同様の広告は、2006年に屋外のバス停留所(三ノ宮駅、光洋台駅等)においても行われた(甲109号証)。 (エ)上記香水「CHANCE」については、我が国における発売前に発行された週刊誌「WWD JAPAN(ウーマンズ・ウェア・デイリー・ジャパン)」(甲第3号証)、同じく月刊誌「FIGARO japon(フィガロジャポン)」(甲第11号証)において紹介された。その後も現在に至るまで、「世界の一流品大図鑑2004年版」、「週刊粧業」等の雑誌や「朝日新聞」、「毎日新聞」等の新聞において紹介されたほか、主に女性層が読者である「MORE(モア)」、「anan」、「VOGUE NIPPON(ヴォーグニッポン)」、「non-no」、「PINKY(ピンキー)」、「美的(BITEKI)」、「ar(アール)」、「MAQUIA(マキア)」、「COSMOPOLITAN」、「WITH」等の多数の雑誌に広告が掲載された。これらの紹介記事や広告においては、「CHANCE」及び「CHANEL」の文字を表示した香水瓶の写真が、「CHANCE」、「CHANEL」、「シャネル」、「チャンス」、「シャネルの新しい香りーチャンス」等の文字と共に掲載されている(甲第11ないし第16及び第26ないし第103号証)。これらの雑誌、新聞は、いずれも2003年から2007年にかけて発行されたものである(甲第17及び第104号証)。 (3)上記香水「CHANCE」については、我が国における発売初年度の2003年に約5.4億円、2004年に約1.7億円、2005年に約1.4億円、2006年に6700万円、2007年に1億800万円の広告・宣伝費を費やし(甲第18及び第113号証)、その売上高は2003年が8.9億円、2004年が約5.7億円、2005年が約5.6億円、2006年が約3.9億円、2007年(「CHANCE EAU FRAICHE」(3月発売開始)の売上高を含む。)が約5.9億円に達している(甲第113号証)。 2 上記1の認定事実によれば、「CHANCE」の文字からなる商標(以下「申立人商標」という。)は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品「香水、シャワージェル、シャワーフォーム、ボディクリーム、ローション等」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。 3 他方、本件商標は、上記第1のとおりの構成からなるところ、全体として親しまれた既成の観念を有する一連の成語を表したものとはいえないばかりでなく、「Matte」の文字は、「色[つや]の鈍い、光らない、つや消しの」の意味を有する英語であり、また、「Chance」の文字は、「機会、好機、チャンス」の意味を有する英語として親しまれているものであるから、一見して直ちに、これら2語からなるものとして認識し把握されるものというべきである。 しかも、「Matte」の語は、上記意味合いからして、化粧品等の業界にあっては、商品の品質、効果等を表示するために用いられることがあり、自他商品の識別力が比較的弱いものといえる。 そして、本件商標の指定商品は、申立人商標が使用されている商品とは需要者、取引者、用途、販売場所等を共通にし、密接な関係を有するものといえる。 そうすると、本件商標をその指定商品に使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「Chance」の文字に着目して、周知著名になっている申立人商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといわなければならない。 4 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。 第4 商標権者の意見 上記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。 第5 当審の判断 本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2009-06-10 |
出願番号 | 商願2007-95370(T2007-95370) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(X03)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 箕輪 秀人 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
小林 由美子 久我 敬史 |
登録日 | 2008-04-04 |
登録番号 | 商標登録第5124756号(T5124756) |
権利者 | エイボン プロダクツ インコーポレイテッド |
商標の称呼 | マッテチャンス、マットチャンス |
復代理人 | 田中 景子 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 河野 昭 |
代理人 | 穂坂 道子 |
復代理人 | 佐藤 俊司 |