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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 10330
管理番号 1206733 
審判番号 取消2008-301114 
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-09-01 
確定日 2009-10-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第2572492号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2572492号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成2年2月5日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年8月31日に設定登録され、その後、同15年3月18日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同年5月21日に、指定商品を第3類「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても継続して3年以上日本国内で使用された事実がない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
ア 乙第1号証に示す商品のラベルには、本件商標とほぼ同一の態様からなる商標が見受けられるが、被請求人は、そもそも、乙第1号証に写る商品そのものが、本件審判の請求の登録前3年以内に実在していたという主張を一切行っていない。
さらに、当該写真の表面及び裏面いずれにも撮影日付は印字されておらず、また、同写真の中に具体的な撮影日時を推認させるようなものが写りこんでいる様子もない。
したがって、乙第1号証に示す商品そのものが、本件審判の請求の登録前3年以内に実在していて、また、実際に販売されたものであるということは、何も証明されていない。
また、乙第1号証が本件審判の請求の登録前3年以内に撮影されたものであるならば、「数多くの植物性天然香料、動物性天然香料、合成香料を乙第2号証に示したラベルを用いて販売し」たという被請求人の主張に照らして、乙第1号証に写る「さくら No.3120」のみならず、同じラベルを付した他の商品を写した写真・パンフレット・カタログあるいは何らかの社内資料等が、必ず存在しているはずである。
それにも関わらず、被請求人が「さくら No.3120」の写真しか提出しなかったことは不自然といわざるを得ず、乙第1号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に撮影されていなかったこと、ひいては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用していなかったことが却って明らかとなったというべきである。
イ 被請求人は、「商品名については、乙第1号証では『PERFUMERY』とのみ表示されているが、この英語表記が『香料』を示すことは、少なくとも取引者において周知である。」と述べている。
しかしながら、乙第1号証のラベルに表示されている「NOMURA PERFUMERY」については、そのすぐ右下の箇所に、被請求人の所在地の英語表記「OSAKA JAPAN」が記されており、それとの位置関係から見ても、被請求人の商号「野村香料(株式会社)」の英語表記を示したものとみるのが最も自然である。つまり、「PERFUMERY」は、被請求人の商号の一部であり、商品名を表しているものではない。
そして、商号の一部に「香料(PERFUMERY)」という文言を含んでいることが、必ずしも「香料」の製造・販売を行なっているという証左になるものではなく、「香料」という文言を商号に含む法人が、香料だけではなく、例えば、香料に用いられる化学品や化学添加剤などの製造・販売を行なっていることはごく一般的なことである。
しかるところ、乙第1号証に示す商品「さくら No.3120」の内容を記述した添付説明書やカタログ・パンフレット等の提出が一切なされていない本件審判において、乙第1号証に示す商品の内容物が「調合香料」であるということは全く証明されていない。
ウ 以上のとおり、乙第1号証は、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を指定商品「調合香料」及びその他の指定商品について使用したことを何ら証明するものではない。
(2)乙第2号証について
ア 乙第2号証には、それが作成又は貼付された日付などの表示が全くみられないから、当該ラベルそのものが本件審判の請求の登録前3年以内に実際に存在し、また、被請求人によって現実に使用されていたことは一切証明されていない。
すなわち、乙第2号証のようなラベルが、本件審判の請求の登録前3年以内に実際に存在し、また、被請求人の販売に係る各種商品に現実に使用されていたことを証明するためには、例えば、(ア)当該ラベルがいつ注文され、製造され、そして納品されたのかを示すラベル印刷業者との取引書類、(イ)当該ラベルを付した製品を写したカタログやパンフレットその他の製品案内・広告材料、(ウ)それらカタログやパンフレット等がいつ注文され、製造され、そして納品されたのかを示すカタログ製造業者との取引書類、(エ)被請求人自らが広告材料やカタログ等を作成したのであれば、その作成日付や経費詳細等を示す社内書類、等々の客観的な証拠の提出は欠かせないものであるが、被請求人は、そのような証拠を一切提出することなく、単に今現在保有しているラベルサンプルの存在のみをもってして、本件商標の使用証明に代えようとしている。
したがって、乙第2号証は、それに示されるラベルが本件審判の請求の登録前3年以内に実在していて、また実際に使用されたということを証明するものではない。
イ ところで、被請求人は、「商品は受注量に応じて生産が行なわれる。よって、当該商品は大量生産の既製品のように商品名を予め印刷したラベルを用いることなく、容器に封入した後にラベル張りを行なう性格のものであり、かつ、調合量によって品番が変わるため、同一品番のラベルを印刷するのではなく、手書きを採用している」と主張する。
しかしながら、上記のような手書きラベルの手法を採用するかどうかは、商品の生産能力と事業規模の問題であり、事業規模の大きい香料のメーカーであれば、ラベルの一つ一つに商品番号を手書きで施すようなことはせず、ラベルすべてに印刷でそれを施すのが一般的であって、商品に手書きで商品番号を付すということは、特に香料の産業全体において、当然かつ常識的に行われている実情でも慣習でもなく、単なる被請求人本人の事情でしかない。
よって、被請求人の主張は、本件審判において、特に斟酌に値する事情とはいえない。
そして、乙第1号証の撮影日付が明らかになっていない本件審判においては、乙第2号証に示される「手書き」の商品番号が、乙第3号証の1及び2に示されるそれと対応しているという被請求人の主張からは、何ら合理的・客観的理由を見出すことはできない。
もっとも、仮に被請求人が普段から、ラベルに手書きで商品番号を記入しているのであるとしても、前述したとおり、本件審判において提出されたラベル(乙第2号証)が、本件審判の請求の登録前3年以内に実在したことを示す証拠は何ら提出されていないから、商品番号が手書きであろうと、印刷であろうと、本件審判における本件商標の使用証明の欠如について、何ら影響を与えるものではない。
ウ 以上のとおり、乙第2号証は、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を指定商品「調合香料」及びその他の指定商品について使用したことを何ら証明するものではない。
(3)乙第3号証の1及び2について
乙第3号証の1及び2が発行された日付は、本件審判の請求の登録前3年以内の平成20年8月28日のようである。また、乙第3号証の1及び2の品名欄には、「さくら No.3120」の表示があることも確かである。
しかしながら、そもそも、当該取引書類そのものに、本件商標は付されていないから、乙第3号証の1及び2は、本件商標が指定商品のいずれかについて使用されたことを示す直接的な証拠にはなり得ない。つまり、乙第3号証の1及び2は、「さくら No.3120」という商品を示した乙第1号証との関係においてのみ、証拠としての価値を有するものである。
実際、被請求人は、乙第3号証の1及び2に表示されている商品番号「さくら No.3120」と、乙第1及び第2号証に表示されているそれが対応していることをして、本件審判の請求の登録前3年以内における本件商標の使用の証明を行なっている。
しかしながら、先に述べたとおり、乙第1号証に示す商品が、本件審判の請求の登録前3年以内に実在したことを示す証拠は一切提出されていないのであるから、乙第1号証に示す商品が、正に乙第3号証の1及び2に表示されている商品そのものであることは何も証明されていない。
すなわち、乙第1及び第2号証は、本件商標の使用を証明する証拠価値を有していないのであるから、本件商標がどこにも付されていない乙第3号証もまた、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標を指定商品「調合香料」及びその他の指定商品について使用したことを何ら証明するものではない。
また、「さくら No.3120」の内容物を説明する客観的な証拠は一切提出されていないのであるから、乙第3号証の1及び2が被請求人「野村香料株式会社」によって発行された取引書類であるからといって、「さくら No.3120」が「調合香料」であるという主張も成り立たないというべきである。
(4)むすび
以上、乙第1ないし第3号証の2によっても、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標を、「調合香料」及びその他の指定商品について使用していたことは、何ら証明されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1ないし第3号証(枝番を含む。)を提出した。
1 使用の事実
被請求人は、以下のように、従来から現在に至るまで継続して本件商標をその指定商品に使用しており、請求人が主張する商標登録の取消し理由は存在しない。
(1)乙第1号証は、被請求人が製造販売を行なっている商品「香料」の写真であり、乙第2号証は、乙第1号証に表現されているラベルの実物見本である。
そして、これらには、商品名「PERFUMERY」が明記されると共に、本件商標の図形部分と英文字部分が共にその上部に明記されており、当該使用に係る商標は、本件商標と全く同一の態様である。
なお、商品名については、乙第1号証では「PERFUMERY」とのみ表示されているが、この英語表記が「香料」を示すことは、少なくとも取引者において周知である。
そして、乙第1号証の内容物である商品「さくら No.3120」は、桜の花から抽出した植物性天然香料に合成香料を調合した調合香料であり、第3類に属する商品である。
また、当該商品は、多数の香料を調合した被請求人独自の商品であり、調合内容に関してはノウハウ、もしくは企業秘密に属するものであるから、その開示は差し控える。
(2)乙第3号証の1は、被請求人が発行した取引書類(物品受領書)であり、乙第3号証の2は、乙第3号証の1に係る物品の送り状である。
乙第3号証の1及び2には、平成20年8月28日の日付が記入されており、乙第3号証の1には、件外株式会社奥野晴明堂の担当者の受領印が押印されている。そして、乙第3号証の1には、「さくら No.3120」という商品名と、「4Kg」という納入数量が記載されている。
(3)よって、上記証拠から、被請求人は、その製造販売を行う商品「調合香料」の包装容器であるガラス容器に、本件商標を使用した事実と、当該容器に商品「調合香料」を封入したものを、少なくとも平成20年8月28日に上記件外会社に対して販売した事実が明らかになる。
したがって、被請求人は、これらの証拠及び主張によって、被請求人が本件審判の請求日前に本件商標について、商標法第2条第3項第1号、及び第2号の使用を行ったことを立証した。
(4)なお、乙第1及び第2号証に示したラベルには、本件商標は、予め印刷されているが、中央部分の個別商品名である「さくら No.3120」については手書きである。この種の香料は、最終消費者を顧客とするものではなく、香料が含まれた別の商品を製造する者が原材料として用いるものであるため、これらの商品は、受注量に応じて生産が行なわれる。よって、当該商品は、大量生産の既製品のように商品名を予め印刷したラベルを用いることなく、容器に封入した後にラベル張りを行なう性格のものであり、かつ、調合量によって品番が変わるため、同一品番のラベルを印刷するのではなく、手書きを採用している。しかしながら、この事実は本件商標の使用の事実に何ら影響を与えるものではない。
2 むすび
上述したように、商標権者である被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に、その指定商品に使用していることは明らかである。

第4 当審の判断
1 乙第1ないし第3号証の2によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は、白いキャップを有する暗色のガラス製包装用容器の写真と認められるところ、該包装用容器の正面に貼付された紫地のラベルは、概略3つの部分からなり、その1つである、全体の面積の約5分の2程の上段の箇所には、最上段に、「TRADE」と「MARK」との文字の間に本件商標とほぼ同一の商標が白抜きで表示され、その下にやや大きな文字で「NOMURA」と、その下に小さな文字で「PERFUMERY」と、その右下には、小さな文字で「OSAKA JAPAN」と、それぞれの文字が白抜きで表示されている。
また、これらの文字の下には、白抜きの矩形が全体の面積の約5分の2程占めており、該矩形内には、手書きで表された「さくらNo.3120」の文字、その下に小さな文字で「Net 1kg」の文字などが表示されている。
さらに、該白抜き矩形の下の紫地部分には、「野村香料株式会社」の商号、その下に小さく「大阪市中央区安土町」在の住所表示がそれぞれ白抜きで表示されている。
(2)乙第2号証は、乙第1号証のガラス製包装用容器の正面に貼付されたラベルと同一のものである。
(3)乙第3号証の1は、「(株)奥野晴明堂」から被請求人に宛てた平成20年8月28日付けの「物品受領書」であるところ、その「品名」欄には、「ラベンダー アブソリュート」をはじめとする6種類の品名が記載され、4番目の項目に、「さくらNo.3120」の文字が記載され、その「数量」欄には、「4kg」と記載されている。
(4)乙第3号証の2は、被請求人が「(株)奥野晴明堂」(堺市堺区櫛屋町)に対し、「品名 香料」、内訳「さくらNo.3120」ほか6種類の商品を、平成20年8月28日に、運送会社「ケイシン」を介して配送依頼したことを証する「お客様控」である。
2 前記1で認定した事実及び答弁の理由を総合すれば、本件商標の商標権者(被請求人)は、本件審判の請求の登録(平成20年9月17日)前3年以内である平成20年8月28日に、本件商標とほぼ同一と認められる商標を表示した請求に係る指定商品に含まれる「調合香料(さくらNo.3120)」を、日本国内に所在の「(株)奥野晴明堂」に納品したことを優に推認し得るところである(使用に係る商標が本件商標とほぼ同一であること及び使用者が商標権者であることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)。
3 請求人の主張について
(1)乙第1号証について
ア 請求人は、乙第1号証は、撮影日がなく、ここに示された商品が、本件審判の請求の登録前3年以内に実在していて、また、実際に販売されたものであるということは、何も証明されていない旨主張する。
しかしながら、乙第1号証に撮影日の記載がないとしても、乙第1号証は、どのような商品に本件商標がどのような態様で使用されているかを明らかにする証拠であって、前記2認定のとおり、乙第1号証に示す「さくらNo.3120」(調合香料)が本件審判の請求の登録前3年以内である平成20年8月28日に、被請求人より「(株)奥野晴明堂」に納品され、取引に資されたと推認されることは、乙第3号証の1及び2により明らかである。
したがって、請求人の上記主張は理由がない。
イ 請求人は、「数多くの植物性天然香料、動物性天然香料、合成香料を乙第2号証に示したラベルを用いて販売し」たとの被請求人の主張に照らせば、被請求人が、商品のパンフレット類を提出することなく、乙第1号証に示す「さくらNo.3120」の写真のみを提出したことは不自然といわざるを得ず、乙第1号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に撮影されていなかったこと、ひいては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用していなかったことが却って明らかとなったというべきである旨を主張する。
しかしながら、使用商品である「香料」は、一般の消費者が店頭に並べた商品を選択して購入するという類の商品ではなく、化粧品や食品等の製造業者など、いわば香料を取り扱う専門家を主たる需要者とし、その需要者が自己の必要とする香料を、調合の分量なども含め、注文して取り揃える場合が多く、香料を取り扱う業者にとっても、顧客それぞれの注文に応じて商品を調合する場合が多いといえるから、一定の既存の商品を掲載したパンフレット類を取り揃えることは、その取引形態からみて極めて少ないとみるべきであるのみならず、本件審判においては、前記認定のとおり、被請求人が提出した証拠を総合して判断すれば、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人が請求に係る指定商品に含まれる調合香料に、本件商標とほぼ同一の商標が使用したことが推認できるのであるから、たとえ、「さくらNo.3120」の商品写真しか証拠として提出しなかったからといって、直ちに「さくらNo.3120」について、本件商標を使用していなかったと結論づけることはできない。
したがって、請求人の上記主張は理由がない。
ウ 請求人は、乙第1号証のラベルに表示されている「PERFUMERY」は、被請求人の商号の一部であり、商品名を表しているものではない。また、商号の一部に「香料(PERFUMERY)」の文言を含んでいることが、必ずしも「香料」の製造・販売を行なっているという証左になるものではないから、乙第1号証に示す商品の内容物が「調合香料」であるということは全く証明されていない旨主張する。
しかしながら、乙第1号証のラベルに表示されている「PERFUMERY」の文字部分は、他の文字と切り離されて表されているばかりでなく、「香料」などを意味する英語である。
また、上記イ認定のとおり、被請求人の業務に係る商品「香料」は、化粧品や食品等の製造業者など、香料を取り扱う専門家を主たる需要者とする商品であり、その需要者が自己の必要とする香料を、調合の分量なども含め、注文して取り揃える場合が多いといえるから、たとえ、乙第1号証のラベル中の「PERFUMERY」の文字部分が、被請求人の商号の一部を表したと理解される場合があるとしても、香料の主たる需要者にとっては、「PERFUMERY」の文字部分や「さくらNo.3120」などの商品の種別を表す文字部分をもって、商品「香料」ないし「調合香料」を表したと認識するに十分足りるというべきである。
なお、付言すれば、商品「さくらNo.3120」が香料の一つであることは、乙第3号証の2(お客様控)に記載された「品名:香料」の文字からも認めることができる。
したがって、請求人の上記主張は理由がない。
(2)乙第2号証について
ア 請求人は、乙第2号証には、それが作成又は貼付された日付などの表示が全くみられないから、当該ラベルそのものが本件審判の請求の登録前3年以内に実際に存在し、また、被請求人によって現実に使用されていたことは一切証明されていない旨主張する。
しかしながら、乙第2号証に示すラベルが乙第1号証に示す商品「調合香料」が入ったガラス製包装用容器の正面に貼付されたラベルと同一のものであること、該商品が平成20年8月28日に、「(株)奥野晴明堂」に納品されたと推認できることは、前記認定のとおりであるから、使用に係る商品に貼付されるラベルが本件審判の請求の登録前3年以内に存在していたことは十分に推認することができる。
したがって、請求人の上記主張は理由がない。
イ 請求人は、乙第2号証に示すラベルにおける手書き部分について、商品の生産能力と事業規模の問題であるなどと述べ、特に香料の産業全体において、当然かつ常識的に行われている実情でも慣習でもなく、単なる被請求人本人の事情でしかないし、また、乙第1号証の撮影日付が明らかになっていない本件審判においては、乙第2号証に示される「手書き」の商品番号が、乙第3号証の1及び2に示されるそれと対応しているという被請求人の主張からは、何ら合理的・客観的理由を見出すことはできない旨主張する。
しかしながら、被請求人の取り扱う商品は、「さくらNo.3120」のみではないことは、乙第3号証の1及び2の記載から明らかであるところ、ラベルに記載される項目について、被請求人の取り扱う多数の商品に共通する項目については、既にラベルに印刷され、調合する香料の分量など顧客からの注文のあった個々の商品について、その時々に手書きをするものと容易に推測することができるから、ラベルに手書きの部分があるとしても、取引上、格別に不自然なものとはいえないし、請求人の上記主張は、これを裏付ける証拠の提出もなく、請求人独自の見解を展開するにすぎないものというべきである。
したがって、請求人の上記主張は理由がない。
(3)乙第3号証の1及び2について
請求人は、乙第1号証に示す商品が、本件審判の請求の登録前3年以内に実在したことを示す証拠は一切提出されていないのであるから、乙第1号証に示す商品が、乙第3号証の1及び2に表示されている商品そのものであることは何も証明されていない旨主張する。
しかしながら、乙第1号証に示す商品が平成20年8月28日に、「(株)奥野晴明堂」に納品したことが推認されることは、前記認定のとおりであるから、請求人の上記主張は前提において誤りがあり、採用することができない。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標を請求に係る指定商品中の「調合香料(さくらNo.3120)」について使用していたことを証明し得たというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


審理終結日 2009-06-03 
結審通知日 2009-06-08 
審決日 2009-06-19 
出願番号 商願平2-11749 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (10330)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小林 由美子
久我 敬史
登録日 1993-08-31 
登録番号 商標登録第2572492号(T2572492) 
商標の称呼 ダイアモンド、ダイヤモンド 
代理人 濱田 俊明 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 藤倉 大作 
代理人 松尾 和子 
代理人 井滝 裕敬 

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