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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Y124142 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Y124142 |
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管理番号 | 1205346 |
異議申立番号 | 異議2007-900493 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2007-10-15 |
確定日 | 2009-09-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5061871号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5061871号商標の指定商品及び指定役務中「第42類 電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5061871号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成17年3月24日に登録出願、第12類「荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,運動用具の貸与,写真の撮影」及び第42類「測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与」を指定商品及び指定役務として、平成19年7月13日に設定登録、その後、指定役務中第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」について一部放棄され、その抹消の登録が平成21年2月2日にされたものである。 第2 引用商標 登録第4561546号商標(以下「引用商標」という。)は、「WACOM」の欧文字を標準文字で書してなり、平成11年年6月28日に登録出願、「電子応用機械器具及びその部品」を含む第9類に属する商品を指定商品として、平成14年4月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由の要旨 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証を提出している。 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、その構成中「WAcom」の文字から、「ワコム」の称呼を生じ、他方、引用商標は、「WACOM」の文字から、「ワコム」の称呼を生じるものである。 しかして、本件商標の指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」は、引用商標の指定商品中、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇の商品「電子計算機用プログラム」と類似するものである。 2 商標法第4条第1項第15号について 申立人の引用商標は、申立人の商標として周知であるから、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合には、上記商品及び役務が申立人と何らかの関係があるものと、商品及び役務の出所につき誤認混同を生じるおそれがある。 第4 取消理由 当審において、平成20年12月3日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。 1 商標法第4条第1項第11号に該当することについて 本件商標は、別掲のとおり「WAcom」の赤色の文字と「W」の上部から「m」の上部にかけて先細りとなる青い線、同じく、「m」の下部から「W」の下部にかけて先細りとなる半円状の青色の線を表してなるところ、「WAcom」の文字と半円状の青色の線とが一体となって、特別な意味合いを認識させるものともいえないから、上記の文字部分が独立して自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、「WAcom」の文字に相応して「ワコム」の称呼を生ずるものである。 他方、引用商標は、「WACOM」の文字よりなるものであるから、該構成文字に相応して「ワコム」の称呼を生ずるものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、「ワコム」の称呼を共通にする類似の商標というのが相当である。 そして、本件商標の指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」と引用商標の指定商品中、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属する商品「電子計算機用プログラム」とは、一般に、 ア 前記商品の製造・販売と前記役務の提供が同一事業者によって行われることが少なくないこと。 イ 前記商品は前記役務の提供の用に供する物といえるものであること。 ウ 両者の用途・目的・需要者等が共通していること。 等を総合的に考慮し、判断すると、前記役務と前記商品は、互いに類似するものであり、これらに同一又は類似の商標が使用された場合には、その出所について誤認・混同を生ずるおそれがあるものである。 したがって、本件商標は、その指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 2 本件が、商標法第4条第1項第15号に該当することについて (1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 申立人の企業は、1983年に設立、1980年代に世界で初めてコードレス・電池レス電子ペンを使用したペンタブレット(電子ペンとタブレット本体を基本構成とする入力機器)の開発に成功。広い用途で活用できるペンタブレットは、その後CG・デザイン・映画産業などの分野で使用され、さらに、液晶画面上に直接描き込む(書き込む)ことができる液晶一体型タブレット(以下「ペンタブレット」及び「液晶一体型タブレット」等申立人の製造するタブレットをまとめて「使用商品」という。)は、医療業界・輸送業界等においても使用されていること(甲第5号証)。 イ 申立人は、世界のタブレット市場の約86%(申立人推定)、国内では96.5%(出所:BusinessComputerNews《BCN》2007)のシェアを確保していること(甲第5号証及び第6号証)。 ウ 使用商品については、「WACOM」又は「ワコム」の文字からなる商標が使用されると共に、国内有数の家電量販店において使用商品が販売されていること(甲第5号証ないし甲第7号証、甲第9号証ないし甲第11号証)。 エ 平成9年度には、申立人の使用商品に関し、通商産業省(現経済産業省)選 定のグッドデザイン賞を受賞していること(甲第7号証)。 オ 申立人は、各種雑誌やテレビによる広告宣伝をおこなっており、また、各種雑誌や新聞で指定商品について取り上げられている(甲第13号証の1及び2、甲第15号ないし甲第17号証)。 カ インターネットの検索サイトで「ワコム」を検索すると、約70万件がヒットし、その多くが申立人又は使用商品に関するものであること(甲第19号証)。 (2)以上の認定事実によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品について使用する商標として、少なくとも電子計算機等の電子機器関連分野の取引者・需要者の間には広く認識されていたものというべきである。 そして、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。 しかしながら、使用商品は電子計算機(パーソナルコンピュータ)と一体に又は付随的に使用されるべきものであり、その機能、用途、流通系統等は限定的ともいえるものであるから、引用商標の周知性は、自ずと限定され、電子機器の関連分野等を超えて広く一般にまで及んでいるとまではいい難く、例えば、本件商標の指定商品及び指定役務の全ての分野にまでは及ばないものといわざるを得ない。 一方、使用商品と本件商標の指定役務中第42類「電子計算機の貸与」とは、完成品とその貸与という観点から密接な関係を有するものといえる。 そうすると、本件商標をその指定役務中の上記役務について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。 (3)したがって、本件商標は、その指定役務中の第42類「電子計算機の貸与」については、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。 第5 取消理由の通知に対する商標権者の意見(要旨) 本件商標の登録に関し、本件商標の指定役務中、第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」について一部抹消登録申請書及び商標権の一部放棄書を提出した。 よって、取消理由は解消したものと思料する。 第6 当審の判断 本件商標についてした先の取消理由は妥当なものと認められる。 したがって、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定役務中、第42類「電子計算機用プログラムの提供」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり、また、第42類「電子計算機の貸与」については、同第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきである。 しかしながら、その余の指定商品及び指定役務については、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 なお、商標権者は、本件商標について、商標権の一部放棄を理由に、その取消理由が解消する旨述べている。 しかしながら、登録異議の申立てにおいては、「取消決定が確定したときは、その商標権は、初めから存在しないものとみなす」(商標法第43条の3第3項)と規定されていることから、いわゆる、取消の効果は登録時まで遡及するものというべきである。 他方、商標権の権利放棄の効果は、専ら当該放棄に係る権利の抹消登録後において発生するものであって、放棄前にまでその効果が遡及するものと解すべきではないから、本件商標の登録後にされた商標権の一部放棄の事由は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するとした先の取消理由の認定判断に何ら影響を及ぼすものではない。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標)(色彩については、原本を参照されたい。) |
異議決定日 | 2009-07-30 |
出願番号 | 商願2005-25396(T2005-25396) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
ZC
(Y124142)
T 1 651・ 271- ZC (Y124142) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 村上 照美、綾 郁奈子、小川 きみえ |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
豊田 純一 佐藤 達夫 |
登録日 | 2007-07-13 |
登録番号 | 商標登録第5061871号(T5061871) |
権利者 | いすゞ自動車株式会社 |
商標の称呼 | ワコム、ワ、ダブリュウエイ |
代理人 | 塚田 美佳子 |
代理人 | 高部 育子 |
代理人 | 橋本 千賀子 |
代理人 | 関口 一秀 |
代理人 | 村木 清司 |
代理人 | 松嶋 さやか |
代理人 | 松原 伸之 |