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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X30
審判 査定不服 観念類似 登録しない X30
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X30
管理番号 1205275 
審判番号 不服2009-5203 
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-09 
確定日 2009-10-05 
事件の表示 商願2007-105445拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成19年10月11日に登録出願されたものである。その後、指定商品ついては、原審における同20年4月30日付け及び当審における同21年3月9日付けの手続補正書により、最終的に、第30類「静岡県浜松市で製造又は販売されうなぎを原材料の一部とする菓子及びパン」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は以下のとおりであり、その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2723157号商標(以下「引用商標A」という。)は、「うなぎ」の文字を書してなり、昭和59年8月9日に登録出願、第30類「パイ菓子」を指定商品として、平成9年10月9日に設定登録され、その後、同19年9月11日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同20年2月20日に、第30類「パイ菓子」を指定商品とする書換登録がされたものである。
(2)登録第4171395号商標(以下「引用商標B」という。)は、「うなぎサブレ」の文字を書してなり、平成7年11月24日に登録出願、第30類「サブレ」を指定商品として、同10年7月31日に設定登録され、その後、同20年6月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第4412564号商標(以下「引用商標C」という。)は、「うなぎ」の文字を標準文字で書してなり、平成11年10月6日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同12年8月25日に設定登録されたものである。
(4)登録第5194889号商標(以下「引用商標D」という。)は、「うなぎ」の文字を標準文字で書してなり、平成19年4月3日に登録出願、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同21年1月9日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)商標の類否について
商標の類否については、次のように判示されているものである。
「商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、称呼、観念を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)」
「商標はその構成部分全体によつて他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判定するがごときことが許されないのは、正に、所論のとおりである。しかし、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである」(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決(昭和37年(オ)第953号)参照)。
以下、これらを踏まえて、本願商標及び引用商標とをそれぞれの指定商品に使用した場合に、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるか否かについて判断する。
(2)本願商標と引用商標について
本願商標は、前記1のとおり、灰色四角形内の中央部に「浜名湖の」の文字と、その左下に大きく「風」の文字を筆書体で縦書きし、その右横に赤色の円輪郭内に横長の幾何模様と「うなぎ」の文字を大きく縦書きしてなり、その上部に六つの赤色の隅丸四辺形の中に白抜きで「遠州浜松名菓」の文字を横書きし、さらに小さく「The wind from Lake of Hamanako」の文字を横書きした構成からなるものである。
そして、構成中の「遠州浜松名菓」の文字部分は、「静岡県浜松市における名のある菓子」であるという商品の品質(産地・販売地)を表示するものであり、自他商品の識別標識としては機能し得ないものであり、また、「The wind from Lake of Hamanako」の文字部分は、「浜名湖の風」の文字の英語表記と認められ、附記的に記した程度の語と認識し、理解されるにとどまるというのが相当である。
そうすると、「浜名湖の」の文字と「風」の文字は、大きさを異にしていものの、共に筆書体でまとまりよく表されているものであるから、「浜名湖の風」の文字部分と赤色の円輪郭内に大きく顕著に表された「うなぎ」の文字部分が、独立して自他商品の識別標識として認識されるものとみるのが相当であり、取引者、需要者の注意を惹く色彩を付した「うなぎ」の文字部分に相応して「ウナギ」の称呼及び「鰻」の観念が生じ、また、「浜名湖の風」の文字部分に相応して「ハマナコノカゼ」及び「浜名湖から吹く風」の観念をもって、取引に資される場合も決して少なくないものというべきである。
一方、引用商標A、C及びDは、いずれも「うなぎ」の文字を書してなるから、これより「ウナギ」の称呼が生じ、かつ、「鰻」の観念が生ずること明らかである。また、引用商標Bは、「うなぎサブレ」の文字を書してなるところ、その構成中、「サブレ」の文字部分は、指定商品の普通名称を表示するものであるから、引用商標Bをその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、「サブレ」の文字部分が、商品の普通名称を表示する語と認識、把握し、自他商品の識別標識としての機能を果たすのは、前半の「うなぎ」の文字部分にあるものと理解するとするのが相当である。
してみれば、引用商標Bは、その構成文字全体から生ずる「ウナギサブレ」の称呼のほか、自他商品の識別機能としての機能を果たす「うなぎ」の文字部分を捉えて、これより、単に「ウナギ」の称呼及び「鰻」の観念をも生ずるものといわざるを得ない。
次に、本願商標と引用商標の外観をみると、本願商標は図形と文字からなるのに対して、引用商標は文字のみからなることから、全体として外観の構成が相違するものではあるが、本願商標中「うなぎ」の文字と、引用商標中の「うなぎ」の文字は、書体や縦書き、横書きで異なるものの、その構成文字の綴りを同じくするものであるから、これに接する取引者、需要者に近似した印象、記憶、連想等を与え、近似性を有するものといえる。
ところで、引用商標の権利者である有限会社春華堂は、昭和36年に「うなぎパイ」と名付けたパイ菓子を製造販売し、現在では年間売上高40数億円に上り(無効2000-35721 甲第4号証)、需要者一般に広く親しまれていることが認められる。そして、日本全国の和菓子、伝統菓子を紹介する「うなぎパイ」の項に「当初はうなぎ粉(骨粉)をパイ生地に練りこんでいたが、その後、うなぎを丸ごと煮詰めてエキスを取り出して、生地に混入する方法に変えた。北海道産のバターを用い、小麦粉に浜名湖産のうなぎのエキス、ガーリックなどを練り込み、ビタミンAを強化してうなぎの特性を強調し、うなぎの蒲焼をかたどって焼き上げたもの。」と記載がある(「日本銘菓事典」株式会社東京堂出版)。
そうすれば、本願商標と引用商標とは、外観上の違いを有するとしても、
構成文字の綴りを同じくする近似性を有するものであり、「ウナギ」の称呼
及び「鰻」の観念を共通にし、また、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務とは、同一又は類似のものであり、取引の実情を考慮すれば、両者はその出所について誤認混同を生ずるおそれがあり、全体として類似の商標というべきである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
なお、請求人は、平成21年3月11日付け手続補足書で資料1ないし資料11を提出し、菓子、パンに、鰻のエキス、粉末、蒲焼、骨等を加えたりしていることは、この業界では、従来より通常行われているものであり、本願商標において識別力を発揮する部分は「浜名湖の風」の部分のみが該当し、「うなぎ」の部分は単なる品質表示にすぎない旨主張しているが、提出に係る証拠を徴するに、これらのお菓子の包装容器の原材料名の欄や商品説明中で「うなぎパウダー、うなぎ粉末、うなぎエキスパウダー、うなぎエキス」と記載されているから、これに接した取引者、需要者は、商品中に上記の「うなぎ○○」が商品中に原材料として含まれていることを表示しているものと認識するとしても、本願商標の構成態様中に顕著に表された「うなぎ」の文字からは、うなぎの蒲焼き味に仕上げたものか、うなぎの形に仕上げたものか、うなぎを材料としているのかを直接的かつ具体的に表示したものとはいえないものである。
してみれば、本願商標中の「うなぎ」の文字部分は、顕著に表されているから、必ずしも、原材料が認識されるとは限らないから、請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、
本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標(色彩については原本参照)



審理終結日 2009-08-04 
結審通知日 2009-08-07 
審決日 2009-08-18 
出願番号 商願2007-105445(T2007-105445) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (X30)
T 1 8・ 263- Z (X30)
T 1 8・ 262- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 幸一冨澤 武志守屋 友宏 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小畑 恵一
平澤 芳行
商標の称呼 エンシューハママツメーカハマナコノカゼ、ハマナコノカゼ、ザウインドフロムレイクオブハマナコ、ウインドフロムレイクオブハマナコ、エンシューウナギ、ハママツウナギ、ハナマコウナギ、カゼ、ウナギ 
代理人 野末 祐司 

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