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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1203954 
異議申立番号 異議2008-900475 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-11-27 
確定日 2009-08-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5162749号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5162749号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5162749号商標(以下「本件商標」という。)は、「FortiManager」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年12月28日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年8月8日に登録査定、同年8月29日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標の著名性について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、米国で2000年に設立されたネットワ-クセキュリティ企業である。日本においても、子会社であるフォーティネットジャパン株式会社(以下「フォーティネットジャパン」という。)を設立し、販売を行っている。申立人は、2003年ころに、セキュリティ機器の設定、管理及び監視を集中的にできる統合管理/監視装置(以下「申立人商品」という。)を開発し、申立人商品に「FortiManager」の欧文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)を付して販売しており、インターネットを通して広告している(甲第2号証ないし甲第25号証)。
したがって、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より既に著名な商標となっていた。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用商標とは、同一の商標である。また、申立人商品と本件商標の指定商品とは互いに抵触する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、同一の商標である。また、両商標が使用される商品は、その需要者を共通にし、同じ場所で用いられるものである。
加えて、申立人は、「Forti○○○」の商標を数多く使用している。
したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、申立人の名称の一部と「Manager」とを結合させた造語である。本件商標の商標権者がこれと同一の本件商標をたまたま採択したものとは考え難い。
したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用されるものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号について
商標権者が、著名な引用商標と同一の本件商標をその指定商品に使用することは、公正な商取引秩序の維持を旨とする商標法の趣旨に反するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第15号又は同第19号に該当する商標であるというためには、本件商標の登録出願時にも当該各号に該当するものであることを要するところ(同条第3項)、甲第2号証ないし甲第6号証、甲第8号証ないし甲第16号証、甲第18号証、甲第20号証、甲第22号証及び甲第23号証(本件商標の登録出願前のものと確認し得るもの。)によれば、申立人は、2000年に米国で設立されたコンピューターネットワークセキュリティに関する企業であり、その業務に係るコンピューターネットワークのセキュリティ関連商品について、「FortiGate」、「FortiClient」、「FortiLog」、「FortiGuard」など「Forti」の文字を基幹とし、これに他の語を結合した商標を使用してきたこと、引用商標は、申立人商品について使用される商標として、2003年ころから、申立人の日本における子会社であるフォーティネットジャパンを通じて日本で紹介され、その後、2004年11月9日に発表した「FortiManager-3000」等として、少なくとも本件商標の登録査定時に至るまで継続して使用されていたこと、などを認めることができる。
しかしながら、甲第2号証は、図研ネットウエイブが主催する「第1回パートナー会」と称する会における申立人商品等の説明会資料にすぎないものであり、また、甲第3号証及び甲第12号証は、「FortiManager-3000」、「FortiManager-3.0」等を発表したことに関するプレスリリースであり、甲第4号証は、「FortiGate製品」についての新価格一覧表であり、甲第6号証は、申立人がその取扱いに係る商品に関してしたプレスリリースの日付順一覧表であり、甲第10号証、甲第13号証、甲第14号証、甲第18号証及び甲第22号証は、申立人商品をはじめとする申立人の取扱商品に係る商品のパンフレット類であると認められ、これらは、いずれも商品の製造、販売業者が行う自己の製品についての必要最小限の宣伝広告といえるものであって、引用商標の著名性を立証する客観的証拠とは認め難いところである。
また、甲第20号証によれば、申立人が申立人商品であると主張する「FL」の記号が付された商品の2004年から2009年にかけての売上げが表で示されているところ、該「売上表」に示された数字がどのような意味を持つものであるのか判然とはしないばかりでなく、申立人のパンフレット類等を総合すると、「FL」の記号が付された商品中には、「FortiManager-3000」(甲第3号証)のように「3000」の符号が付された商品(「FL-3000」に相当するもの)は見当たらず、かえって「FM」の記号が付された商品中に「FM-3000」との表記があることからすると、申立人のいう「FL」は「FortiLog」であって、申立人商品は「FM」の記号が付された商品ではないかとの疑問さえ生ずる。さらに、甲第23号証によれば、申立人商品が高額の商品であるとはいえ、本件商標の登録出願時までに顧客より注文を受けたのは、2004年3月26日の1件のみである。
加えて、コンピューターネットワーク関連の専門誌等に申立人ないし申立人商品が紹介された事実がある(甲第5号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第11号証、甲第15号証及び甲第16号証)ことは認め得るとしても、これらの掲載記事は、主に申立人の業務に係る商品として中心的存在といえる「FortiGate」に関する商品紹介等の記事であって、これに付随して申立人商品等も紹介される、といったものである。
したがって、上記証拠によっては、引用商標が、申立人の業務に係る商品「セキュリティ機器の設定、管理及び監視を集中的にできる統合管理・監視装置」(申立人商品)を表示するものとして、本件商標の登録出願前より我が国の需要者の間に広く認識されていたものとみることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
前記(1)認定のとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時に、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。
そうすると、他人の商標(本件においては引用商標)について需要者の間に広く認識されていることが前提要件とされている商標法第4条第1項第10号及び同第19号、並びに他人の表示(本件においては引用商標)について需要者の間に広く認識され、周知・著名性を有することが「混同を生ずるおそれ」の前提事実とされている商標法第4条第1項第15号においては、本件商標の商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号の該当性をいう申立人の主張は、その前提を欠くものであり、採用することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当しない。
なお、申立人は、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について、仮に引用商標の周知・著名性がさほど高いものでないとしても、取引の実情においては、他人の商標の周知・著名性のみによって出所の混同が生ずるか否かが決まるものではなく、2つの商標の類似の程度、使用される場所等により出所の混同が生ずる旨主張するところ、確かに、他人の商標の周知・著名性のみによって出所の混同が生ずるかが決まるものではないことは、申立人主張のとおりであるとしても、上記のとおり、出所の混同を生ずるかどうかの判断の前提事実として、他人の商標の周知・著名性の有無が大きく影響することは否定し得ないところであるから、申立人の上記主張は採用することができない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、前記1のとおり、「FortiManager」の欧文字よりなるところ、その構成自体が、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与える標章からなるものでないことは明らかであるから、構成上、公序良俗を害するおそれがあるものとはいえない。そして、前記(1)認定のとおり、引用商標が本件商標の登録出願(平成19(2007)年12月28日)前である2003年ころから、我が国においても申立人の日本の子会社を通じて使用されていた事実は認められるものの、先願登録主義を採用する我が国の商標制度下において、申立人自らが引用商標を商標登録出願し、その商標権を取得することも十分可能であったにもかかわらず、それを行わなかったものであり、さらに、本件商標の登録出願時において、引用商標が我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないことをも併せ考慮するならば、本件商標の出願の経緯等に著しく社会的妥当性を欠くものがあったとまでは認められず、また、これを登録することが直ちに国際信義に反するということもできないものであり、他に、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益及び社会の一般道徳観念に反するものとすべき事由も見当たらない。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とまではいうことはできないものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-07-30 
出願番号 商願2007-128405(T2007-128405) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X09)
T 1 651・ 22- Y (X09)
T 1 651・ 271- Y (X09)
T 1 651・ 222- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 2008-08-29 
登録番号 商標登録第5162749号(T5162749) 
権利者 中川 孝枝
商標の称呼 フォーティマネージャー、フォーティ、マネージャー、フォルティ 
代理人 原 隆 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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