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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1202207 
異議申立番号 異議2005-68003 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-09-13 
確定日 2009-06-29 
異議申立件数
事件の表示 国際商標登録第0819471号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際商標登録第0819471号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第819471号商標(以下「本件商標」という。)は、「SANPELLEGRINO」の欧文字を書してなり、2003年12月15日に国際登録され、第25類「Hosiery;stockings;skin-tight stockings;tights;pantyhose.」を指定商品として、平成17年6月24日に設定登録されたものである。
2 引用商標及び使用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4223409号商標(以下「引用商標」という。)は、「S.PELLEGRINO」の文字を書してなり、平成9年3月10日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、同10年12月18日に設定登録され、同20年9月2日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
また、申立人が「鉱泉水」に使用する使用商標(以下「サンペレグリノ商標」という場合がある。甲第3号証及び甲第6号証)は、別掲に示したとおりの構成よりなるものである。
3 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人の著名な略称「SANPELLEGRINO」と同一であり、別途に契約があるにも関わらずこれに違反し、申立人の承諾なく出願されたものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の著名商標と類似するものである。さらに、本件商標の使用は、引用商標の出所表示機能の稀釈化を防止する目的で申立人との間で締結された商標使用に関する契約に違反するため、信義則に反すると共に、引用商標の出所表示機能を稀釈化、及び引用商標の有する周知・著名性にフリーライドするという不正の目的でなされた出願である。
(3)具体的理由
ア「SANPELLEGRINO」が申立人の商号の略称・商標であること
「SANPELLEGRINO」は、申立人の商号たる「SANPELLEGRINO S.p.A.」の略称であると共に、同社が主として鉱泉水につき100年以上にわたり使用してきた商標であって、「サンペレグリノ」と称呼されるものである。「SANPELLEGRINO」は、イタリア北部に位置する村の名前で、同村は鉱泉水が湧出することで古くから知られていた。そして、1899年には村名に由来した申立人の前身たる「SANPELLEGRINO TERME(サンペレグリノ・テルメ)社」が設立され、同社が鉱泉水を瓶詰めし、「SANPELLEGRINO」「S.PELLEGRINO」という商標を付してイタリアを中心として販売を開始した。同社は1970年に申立人の現在の社名である「SANPELLEGRINO(サンペレグリノ)S.p.A.」に社名変更され、現在に至るまで引用商標「S.PELLEGRINO」及びサンペレグリノ商標を用いて鉱泉水の販売を継続している(甲第3号証)。
イ「SANPELLEGRINO」のイタリア及び世界的な周知・著名性
上述のとおり申立人は、サンペレグリノ商標を鉱泉水の商標として1899年からイタリアを中心として世界的な規模で販売している。
また、申立人は、その販売地域をさらに世界各地に拡大する意図を有している。このことは、例えばサンペレグリノ商標が指定商品を主に第32類「鉱泉水」として国際登録、共同体商標登録をはじめ、スイス、アメリカ、カナダ、パナマ、ブラジル、インド、ペルー、台湾、マカオ、ラオス、インドネシア、シンガポール、タイ、イラク、イスラエル、オマーン、ケニア、チュニジア等世界各国で登録されている(甲第5号証)ことからも明らかである。
ウ サンペレグリノ商標の日本における著名性
サンペレグリノ商標は、日本においても申立人の販売にかかる鉱泉水を表す商標として、証拠のような態様(甲第6号証)で「サンペレグリノ」という称呼で使用しており、本件商標の出願日より前から周知になっていた。
申立人は、上述のような商標が使用された鉱泉水を1986年から現在に至るまで、約20年近くにわたり日本に輸出しており、1996年からはネスレ日本株式会社がディストリビューターとなっている。
申立人は、引用商標の宣伝広告を本件商標の出願日より前からネスレ日本株式会社を通じ、積極的に行ってきた。また、申立人は、鉱泉水をPRするイベントも多数行っている。
エ 小括
以上の事実を勘案するとサンペレグリノ商標は、単なる地名としてではなく、申立人の商号の略称及び商標として、本件商標の出願前からイタリアをはじめ世界的に周知・著名となっている。同時に申立人は、日本への鉱泉水輸出開始以来、現在に至るまで一貫してその商品にサンペレグリノ商標を「サンペレグリノ」という称呼で使用しているため、本件商標出願日より前から出願人の業務に係る商品を表示するものとして日本の需要者の間でも十分周知されていたといえる。
オ サンペレグリノ商標の出所表示機能の稀釈化を防ぐための契約書の存在
本件商標権者は、以前からイタリアにおいて本件商標を商品「靴下、ストッキング」に使用していた。1987年、この事実に気付いた申立人は、サンペレグリノ商標に化体した信用の毀損、出所表示機能の稀釈化を懸念し、本件商標権者に対して本件商標の使用中止を申し入れた。長年にわたる交渉の結果、本件商標権者と申立人の間で1993年4月13日に本件商標及びサンペレグリノ商標の使用についての契約が締結され、本件商標権者が本件商標をヨーロッパ・トルコ・イスラエル以外の国で「Sanpellegrino」を商標として使用しないことで両社は合意した。
上記契約にも関わらず本件商標権者は、1994年、商標「SANPELLEGRINO HI-FI HIGHFIDELITY COLLANT」を上記契約にてヨーロッパでの使用が禁止されている「被服(vetements)、履物(chaussures)」を指定商品として国際登録を受け(甲第39号証)、さらに本件商標についても契約上使用が禁止されている地域である「日本、オーストラリア」を指定国とするなど(甲第40号証)、契約に違反する行為を行っている。
(4)結語
叙上に徴し、本件登録商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、上記1に記載したとおり、「SANPELLEGRINO」の文字よりなるものであるところ、該「SANPELLEGRINO」の文字は、「San Pellegrino Terme(サン・ペッレグリーノ・テルメまたはサン・ペレグリーノ・テルメ)」を正式名称とするイタリア共和国ロンバルディア州ベルガモ県の地名に由来するものである。
これについて、申立人は、「『SANPELLEGRINO』はイタリア北部に位置する村の名前で、同村は鉱泉水が湧出することで古くから知られていた。そして1899年には村名に由来した申立人の前身たる『SANPELLEGRINO TERME(サンペレグリノ・テルメ)社』が設立され、同社が鉱泉水を瓶詰めし、『SANPELLEGRINO』『S.PELLEGRINO』という商標を付してイタリアを中心として販売を開始した。」と述べているところである。
そして、提出された証拠を徴するに、申立人に係る「鉱泉水」に「サンペレグリノ商標」が使用されて、その商品分野において相当程度の周知性が使用商標に認められるとしても、該「SANPELLEGRINO」の文字が申立人の略称として理解され認識されている事実を認めるに足りる証左はなく、かつ、該文字が地名に由来する文字であることを考慮すると、これが直ちに申立人の著名な略称とは断定できないものである。
してみれば、本件商標が申立人の商号である「SANPELLEGRINO S.p.A.」の著名な略称であるとの主張は、認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標は、「SANPELLEGRINO」の文字よりなるものであり、引用商標は、「S.PELLEGRINO」の文字よりなるものであって、共にイタリア共和国に存する村名(地名)に由来するものであるとしても、その地名の著名性を考慮した場合、両商標に接する取引者、需要者がこれらを当該村名と理解するのは困難であり、共に特定の意味合いを有する語として理解し得ない造語と認識されるというのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、外観においては、語頭の「SAN」と「S.」の文字部分における相違によって、明確に区別されるものである。
次に、称呼においては、本件商標は、その構成文字に相応する「サンペレグリノ」の称呼を生ずるものであり、引用商標は、その構成文字に相応する「エスドットペレグリノ」又は「エスペレグリノ」の称呼を生ずるものであるから、両称呼は、構成音数の相違及び相違する構成音の差によって、相紛れることなく区別し得るものである。
なお、申立人は、引用商標及び使用商標について、「サンペレグリノ」という称呼で使用していると主張しているが、引用商標及び使用商標の構成文字からすれば、そのような称呼が生じるというのは自然ではない。
また、観念においては、両商標は、特定の観念を生じさせないものであるから、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、何ら相紛れるおそれのない非類似のものであって、何ら相通ずるところのない別異の商標である。
さらに、申立人は、「本件商標の使用は、引用商標の出所表示機能の稀釈化を防止する目的で申立人との間で締結された商標使用に関する契約に違反するため、信義則に反すると共に、引用商標の出所表示機能を稀釈化、及び引用商標の有する周知・著名性にフリーライドするという不正の目的でなされた出願である。」旨述べているものであるが、当審における平成20年5月30日付けの審尋に対し、商標権者より平成20年7月3日付けの回答書が提出され、申立人と商標権者との間で本件商標の紛争解決のための契約書が提出されたため、本件商標は、不正の目的でなされた出願ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(3)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第19号の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に
より、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】

異議決定日 2009-06-11 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (Y25)
T 1 651・ 222- Y (Y25)
最終処分 維持  
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小林 由美子
井出 英一郎
登録日 2003-12-15 
権利者 CSP INTERNATIONAL INDUSTRIA CALZE S.P.A.
商標の称呼 サンペレグリノ、サンペルグリノ 
代理人 西津 千晶 
代理人 青山 葆 
代理人 田中 光雄 
代理人 狩野 彰 

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