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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X0916
管理番号 1202167 
異議申立番号 異議2008-900384 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-10-03 
確定日 2009-08-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5148107号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5148107号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5148107号商標(以下「本件商標」という。)は、「発音サプリ」の文字を横書きしてなり、平成19年10月22日に登録出願、第9類「電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させたCD-ROM,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させたCD-ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みのビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第16類「紙製包装用容器,紙製のぼり,紙製旗,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙類,文房具類,印刷物,写真,写真立て」を指定商品として、平成20年7月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
本件商標は、登録異議申立人の行う事業を妨害する目的をもって商標登録出願されたものであるため、その商標登録出願の経緯には、社会的妥当性を欠くものがあり、このような本件商標の登録を認めることは、商標法の予定する秩序に反するものであって、到底容認し得ないものである。
したがって、本件商標は、公序良俗を害するおそれがある。
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号の趣旨について
商標登録が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き、その商標の登録を維持することが商標法の目的に反することになる場合には、その商標は商標法第4条第1項第7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。
しかし、同号が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び、商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである(東京高裁 平成14年(行ケ)第616号 平成15年5月8日判決言渡)。
商標法は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」について商標登録を受けることができず、また、無効理由に該当する旨定めている(商標法第4条第1項第7号、同法第46条第1項第1号)。法第4条第1項第7号は、本来、商標を構成する「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」(標章)それ自体が公の秩序又は善良な風俗に反するような場合に、そのような商標について、登録商標による権利を付与しないことを目的として設けられた規定である。
(中略)
また、当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して、先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や、国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた商標法第4条第1項第19号の趣旨に照らすならば、それらの趣旨から離れて、同法第4条第1項第7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは、商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので、特段の事情のある例外的な場合を除くほか、許されないというべきである。
そして、特段の事情があるか否かの判断に当たっても、出願人と、本来商標登録を受けるべきと主張する者(例えば、出願された商標と同一の商標を既に外国で使用している外国法人など)との関係を検討して、例えば、本来商標登録を受けるべきであると主張する者が、自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず、出願を怠っていたような場合や、契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず、適切な措置を怠っていたような場合(例えば、外国法人が、あらかじめ日本のライセンシーとの契約において、ライセンシーが自ら商標登録出願をしないことや、ライセンシーが商標登録出願して登録を得た場合にその登録された商標の商標権の譲渡を受けることを約するなどの措置を採ることができたにもかかわらず、そのような措置を怠っていたような場合)は、出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は、あくまでも、当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから、そのような場合にまで、「公の秩序や善良な風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない。(知財高裁 平成19年(行ケ)第10391号 平成20年6月26日判決言渡)。
(2)商標自体の公序良俗について
そこで、本件商標について検討すると、本件商標は、上記1のとおり「発音サプリ」の文字を横書きしてなるものであるから、商標自体が公の秩序又は善良な風俗に反するようなものとは認められない。
(3)提出された証拠について
申立人及び商標権者から提出された証拠(商標権者が提出した意見書に添付された証拠は、号証等の表示がないので、通し頁を付与する。)を検討すると、申立人は、平成18年7月に「発音サプリ」の個人レッスンを開始し(甲第39号証)、平成19年1月28日に茨城大学で、英語の教員向けのセミナーにおいて「発音サプリ」の解説と実演を行い(甲第3号証)、平成19年5月2日に「魔法の発音サプリ!!」の企画を小学館チャオ編集部へ提出し(甲第8号証)、平成19年5月31日に小学館コミュニケーション編集局の担当者から同企画の検討を開始する旨の電子メールを受信し(甲第9号証)、平成19年10月1日に小学館コミュニケーション編集局の担当者から同企画が通った旨の電子メールを受信し(甲第10号証)、平成20年3月22日に「70分で準備OK! 小学校教師のための正しい英語発音速修DVDブック 実践!発音サプリ!」の名称でDVD付きの英語の発音に関する教材を小学館から発売し(甲第11号証)、平成20年5月20日に「小学校教師のための 教室英語速攻マスターDVDブック 発音サプリのクラスルーム・イングリッシュ!」の名称でDVD付きの英語の発音に関する教材を小学館から発売(甲第12号証)していることが認められる。
なお、甲第11号証の1枚目の表紙には、「70分で準備OK! 小学校教師のための正しい英語発音速修DVDブック 実践!発音サプリ!」の文字が存在するものの、甲第11号証の2枚目の奥付には、「70分で準備OK! 小学校教師のための正しい英語発音速修DVDブック」と記載されていることから、これが平成20年3月22日に発売された教材の名称と認めることができる。また、甲第12号証の1枚目の表紙には、「小学校教師のための教室英語速攻マスターDVDブック 発音サプリのクラスルーム・イングリッシュ!」の文字が存在するものの、甲第12号証の2枚目の奥付には、「小学校教師のための 教室英語速攻マスターDVDブック」と記載されていることから、これが平成20年5月20日に発売された教材の名称と認めることができる。
一方、商標権者の代表者は、平成19年6月11日に紹介者の株式会社シーエーシーから、小学館コミュニケーション編集局を訪問するに際し、日程調整と人数を確認するための電子メールを受信し(平成21年6月21日付けで提出された意見書に添付された証拠の1頁の電子メール)、平成19年6月25日に小学館コミュニケーション編集局を訪問し(同意見書に添付された証拠の3頁の電子メール、同意見書に添付された証拠の6頁の手帳の写し及び同意見書に添付された証拠の7頁の名刺の写し)、平成19年8月20日に「英語で賢くなるサプリ」と題するブログを掲載し(同意見書に添付された証拠の64頁(後ろから2頁)のブログ)、平成19年10月12日に「『発音力』(丸の中にRの文字)10日間、お口直しの“発音サプリ”」の原稿を作成し(同意見書に添付された証拠の36頁の原稿)、平成19年10月24日に中経出版の担当者から同企画が通り、平成20年2月の刊行を目指す旨の電子メールを受信(同意見書に添付された証拠の61頁(後ろから5頁)していることが認められる。
してみれば、申立人及び商標権者の代表者は、いずれも英語の発音に関する教材の出版の企画に関し、同じような時期に小学館を訪問している。
そして、申立人の「魔法の発音サプリ!!」の企画が通り、平成20年3月22日に「70分で準備OK! 小学校教師のための正しい英語発音速修DVDブック」の名称でDVD付きの英語の発音に関する教材が発売され、平成20年5月20日に「小学校教師のための 教室英語速攻マスターDVDブック」が発売されている。
一方、商標権者の代表者は、「『発音力』10日間、お口直しの“発音サプリ”」の原稿を作成し、中経出版において、この企画が通ったものと認めることができる。
そうとすれば、申立人及び商標権者は、ほぼ同時期に「発音サプリ」の文字を使用した同じような企画を進めていたものと認めることができる。
(4)「発音サプリ」の周知性について
申立人が「発音サプリ」の個人レッスンを開始したのは、平成18年7月である(甲第39号証)ことからすると、「発音サプリ」は、未だ申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ということはできないものである。
(5)本件商標の出願の経緯について
申立人は、「平成19年10月21日に開催された『10月期英語教育東京フォーラムe-pros』の終了後に、申立人と商標権者の代表者が挨拶及び名刺交換をし、平成20年2月頃『発音サプリ』のDVD教材付の教本が小学館から発売されることを話した翌日に、本件商標が登録出願されている。」旨述べているが、商標権者もさほど違わない同じような時期に小学館を含む複数の出版社と英語の発音に関する書籍の出版の企画を進めていたものと認めることができるから、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を維持することが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当するということはできないものである。
さらに、申立人は、「発音サプリ」の商標登録を決意し、平成19年8月頃に特許庁に出願書類の記載方法等を電話で確認している(甲第39号証)ことからすると、本件商標の登録出願日である平成19年10月22日よりも前に、「発音サプリ」の商標登録出願をすることは十分に可能であったといえるものである。
してみれば、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものとする特段の事情が存在するものとは認められないから、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものということはできないものである。
(6)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものということができないものであり、他に本件商標の登録を取り消す理由は存在しないから、同法第43条の2第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2009-07-24 
出願番号 商願2007-108343(T2007-108343) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X0916)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石戸 拓郎山田 忠司 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2008-07-04 
登録番号 商標登録第5148107号(T5148107) 
権利者 株式会社プロンテスト
商標の称呼 ハツオンサプリ、ハツオン、サプリ 
代理人 西田 研志 

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