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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 Y1137 審判 査定不服 商品(役務)の類否 取り消して登録 Y1137 |
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管理番号 | 1202025 |
審判番号 | 不服2007-29158 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-10-26 |
確定日 | 2009-08-12 |
事件の表示 | 商願2006-78328拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「Scut」の欧文字を標準文字で表してなり、第11類「家庭用・業務用電気床暖房装置,その他の暖房装置」及び第37類「電気床暖房装置の設置工事,電気床暖房装置の修理又は保守」を指定商品及び指定役務として、平成18年8月23日に登録出願され、その後、指定商品については、同19年5月21日付け手続補正書により、第11類「家庭用・業務用電気床暖房装置」と補正されたものである。 2 原査定の引用商標 原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の3件である。 (1)登録第2058920号商標(以下「引用商標1」という。)は、「スカット」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和59年9月14日登録出願、第11類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として同63年6月24日に設定登録され、平成10年3月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものであるが,その後、同20年6月24日に存続期間が満了し、その登録の抹消が同21年3月4日になされたものである。 (2)登録第3139490号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月14日登録出願、第37類「基礎工事,さく井工事」を指定役務とする特例商標として、同8年4月30日に設定登録され、同18年2月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続するものである。 (3)登録第4111654号商標(以下「引用商標3」という。)は、「SCAT」の欧文字を横書きしてなり、平成8年4月12日登録出願、第9類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同10年2月6日に設定登録され、同20年2月19日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続するものである。 3 当審の判断 (1)本願商標と引用商標1との類否について 引用商標1の商標権は、前記2(1)のとおり、商標登録原簿の記載によれば、平成20年6月24日に存続期間が満了し、その登録の抹消が同21年3月4日になされたものである。 したがって、引用商標1を引用して、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の拒絶の理由は解消した。 (2)本願商標と引用商標2との類否について ア 商標について 本願商標は、前記1のとおり、「Scut」の欧文字からなるところ、該文字は、特定の意味を有さない造語と認められるから、英語読み風の「エスカット」又は「スカット」の称呼を生じるものである。 一方、引用商標2は、別掲のとおり、「SKT」の欧文字を背景にその中央部分を横長四角形状に白抜きし、その中に「スカット」の片仮名文字を配した構成からなるものであるところ、該「スカット」の片仮名文字に相応して、「スカット」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じない造語というべきものである。 そして、本願商標と引用商標2は、それぞれの構成から外観については相違し、観念については、いずれも造語であるから比較することができない。 そうすると、本願商標と引用商標2とは、外観において相違し、観念において比較することができないことを考慮しても「スカット」の称呼を同じくする類似の商標といえるものである。 イ 指定役務等について 本願商標の指定役務は、前記1のとおり、「電気床暖房装置の設置工事,電気床暖房装置の修理又は保守」とするところ、「電気床暖房装置の設置工事」は、建物の屋内において、室内を暖めることを目的として、床の下に電気式の床暖房パネルを埋め込む工事であって、その施工は、電気工事士によるものであり、また、「電気床暖房装置の修理又は保守」は、専ら室内に設置された電気式の床暖房パネルの修理や保守をするものである。 一方、引用商標2の指定役務は、前記2(2)のとおり、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定による使用に基づく特例の適用の主張をした「基礎工事,さく井工事」とするところ、「基礎工事」は、建造物の支持や河川工事における土留め、止水などを目的として、三点式杭打機、地中連続壁掘削機、アースオーガ等の基礎工事用機械を用いて地中にくいを打つ工事であり、「さく井工事」は、農業用水、融雪用水、上水用水、温泉などを目的として、ボーリングマシンなどのさく井機械などを用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事であり、いずれも屋外で行われるものである。 そうすると、本願商標の指定役務と引用商標2の指定役務とは、その役務の提供の目的、提供の手段、提供の場所、提供に関連する物品、需要者の範囲を異にし、役務の提供の事業者も明らかに相違するといい得るものである。 また、本願商標の指定商品と引用商標2の指定役務とは、商品と役務の用途、商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲を異にし、商品の製造・販売の事業者と役務の提供の事業者が明らかに相違するものである。 ウ 小括 してみると、本願商標と引用商標2とは、称呼において類似する商標であるとしても、両商標がそれぞれの指定役務について使用された場合、その役務が同一の営業主の提供に係る役務と誤認混同するおそれがあるということはできないから、両指定役務は互いに類似するものではなく、かつ、両商標がそれぞれの指定商品と指定役務について使用された場合、これらの商品と役務が同一の営業主の製造・販売に係る商品又は提供に係る役務と誤認混同するおそれもないものであるから、その指定商品と指定役務は類似するものではない。 したがって、本願商標と引用商標2とは、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)本願商標と引用商標3との類否について 本願商標は、前記(2)のとおり、「エスカット」又は「スカット」の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じない造語である。 一方、引用商標3は、前記2(3)のとおり、「SCAT」の欧文字を書してなるところ、該文字は、「《ジャズ》スキャット《意味のない音節をもって歌詞に変える即興的な歌(い方)》」(「研究社 新英和大辞典第6版」2002年3月 株式会社研究社発行)を意味する語として、一般に知られているものであるから、その構成文字に相応して、「スキャット」の称呼を生じ、「意味のない音節をもって歌詞に変える即興的な歌」の観念を生ずるものである。 そこで、まず、本願商標から生ずる「エスカット」の称呼と引用商標3から生ずる「スキャット」の称呼を比較すると、両称呼は、音構成及び構成音数が明らかに相違するから、それぞれを一連に称呼しても両者は十分区別し得るものである。 次ぎに、本願商標から生ずる「スカット」の称呼と引用商標3から生ずる「スキャット」の称呼を比較すると、両称呼は、ともに4音構成からなるところ、第2音において、清音「カ」と拗音「キャ」の差異を有するものである。 しかして、該差異音は、これらの前音「ス」が比較的弱く発音される無声摩擦音であることから、ともにアクセントを置いて強く、明確に発音されるものであり、4音構成からなる冗長とはいえない比較的短い音数からなることも相まって、その差異が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼は、それぞれを一連に称呼しても全体の語感が異なり十分区別することができるものである。 また、本願商標と引用商標3の構成は、それぞれ前記1及び同2(3)のとおりであるから、外観においては相紛れるおそれはなく、さらに、本願商標は、特定の意味を有しない造語であるから、観念については、比較することができない。 してみれば、本願商標と引用商標3とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても類似しない商標といわなければならない。 したがって、本願商標と引用商標3とは、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (4)結語 以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由をもって、本願を拒絶することはできない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 引用商標2 (色彩については原本参照) |
審決日 | 2009-07-22 |
出願番号 | 商願2006-78328(T2006-78328) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
WY
(Y1137)
T 1 8・ 264- WY (Y1137) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 土井 敬子 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
田村 正明 末武 久佳 |
商標の称呼 | スカット、エスカット、カット、シイユウテイ |
代理人 | 小川 順三 |
代理人 | 中村 盛夫 |