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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y25
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y25
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y25
管理番号 1202015 
審判番号 無効2008-890014 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-02-12 
確定日 2009-07-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4920129号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4920129号の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4920129号商標(以下「本件商標」という。)は、「SNOW PEAK」の欧文字を横書きしてなり、平成17年6月16日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、同18年1月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録第2673420号商標(以下「引用商標」という。)は、「SnowyPeak」の欧文字を横書きしてなり、平成4年3月23日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同6年6月29日に設定登録、その後、同16年2月17日に商標権の存続期間の更新登録がされ、同17年1月5日に指定商品を第25類「被服」とする指定商品の書換登録がなされ、当該商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第48号証を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標と引用商標の商標の類似性について
ア 称呼上の類似
本件商標及び引用商標は、前記第1及び第2のとおり、「SNOW PEAK」及び「SnowyPeak」の英文字を横書きした構成からなるところ、英語の発音記号によれば、本件商標は、「snou pi:k」(スノウピーク)、引用商標は、「snoui pi:k」(スノウイピーク)と発音される(甲第5号証)。してみれば、中間音「i」(イ)の有無のみが異なるものである。
そして、相違音「i」(イ)は、引用商標の中間音であり、かつ、単語「Snowy」の語尾音であり、聴覚上ひびきの弱い「弱音」として発音される。一方、本件商標と引用商標に共通する「スノウ」「ピーク」の音は、いずれも聴覚上ひびきの強い「強音」として発音される音である。
したがって、共通する強音部分「スノウ」及び「ピーク」の音が聴者に強い印象を与え、相違音「イ」は、強く認識されず、結局両商標は、語調・語感が酷似するものである。
また、本件商標及び引用商標は、英語の発音規則上、共に前半部分「no」(ノ)と後半部分「i:」(イー)の二カ所に強いアクセントを有しており、この点からも語調・語感が酷似すること明らかである。
さらに、本件商標の音節数は6音節、引用商標は7音節で構成される。商標審査基準にかんがみれば、両商標共に多数音から構成され、中間音1音のみが相違するから、この相違音が全体の類否判断に与える影響は極めて小さく、全体の音感は近似して聴覚されると考えられる(甲第6号証)。
してみれば、本件商標と引用商標は、称呼上相紛れるほど酷似した類似の商標である。
イ 観念上の類似
引用商標は、「雪の積もった」という意味の「Snowy」と「山頂」という意味の「Peak」を結合させてなるものであるから、「雪の積もった山頂」という観念が生じる(甲第5号証)。
同様に、本件商標は、「雪」という意味の「SNOW」と「山頂」という意味の「PEAK」を結合させてなるものであるから、「雪の積もった山頂」という観念が生じる(甲第5号証)。本件商標から「雪の積もった山頂」という観念が生じることに関しては、商標権者自身が「私の社名であるスノーピーク(SNOW PEAK)という言葉の意味は、雪を戴いた山頂、白い頂です。」とウェブサイト等において広く宣伝していることからも疑いの余地はない(甲第7号証)。
してみれば、本件商標と引用商標は、観念を共通にする類似の商標である。
ウ したがって、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において類似する商標である。
(2)本件商標と引用商標の商品の同一及び類似性について
引用商標の指定商品は、第25類「被服」である。一方、本件商標の指定商品は、前記第1のとおりであるところ、類似商品・役務審査基準上、本件商標の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,頭巾、すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」と引用商標の指定商品「被服」とは、類似すると考える。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念のいずれもが酷似する類似の商標であり、指定商品も同一若しくは類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず登録されたものである。
(4)請求人について
ア 請求人は、1981年に創業したニュージーランドの被服製造会社である。同社は、最高経営責任者ペリ ドライスデールにより設立された。同社の商号であり、同社のブランド名でもある「SNOWY PEAK」は、ドライスデール氏が生まれ育ったニュージーランド、カンタベリー地方のサザンアルプスのイメージから名づけられたものである。
イ 請求人のニットウェアは、ニュージーランドで生産されるウールやポッサム(小中型の樹上動物)などの最高級天然素材を使用し、ニュージーランド国内はもちろん、世界中で高い評価を得ている。
1993年には、請求人の製造・輸出事業の貢献が評価され、エリザベス女王から請求人にMBE(Member of the British Empire)が贈られた(甲第8号証)。
また、ニュージーランド首相やニュージーランド政府などにより、ニュージーランドを代表するものとして、請求人の被服は、世界中の要人(エリザベス女王、エジンバラ公など)へのプレゼントとしても頻繁に使用されている(甲第9号証ないし甲第11号証)。
1999年9月にニュージーランドのオークランドで開催された先進国首脳会議(APEC)でも、請求人の商品が、小渕恵三元首相や江沢民中国国家主席などをはじめとする世界の首脳、閣僚、政府高官への公式ギフトとして選ばれた。中でも米国元大統領ビル クリントンが、雨と風のなか、ジャンパーを脱いで、請求人のポロシャツを披露して国際会議に出席した映像は、世界中に配信され、非常に大きな話題を呼んだ(甲第10号証及び甲第11号証)。後に、ビル クリントン大統領は、「在任期間中に着た洋服の中で最も格好良かったものだった。」と語ったといわれている(甲第8号証)。
ウ 登録商標
請求人は、世界中でSNOWY PEAKの商標を第25類「被服」等に関して商標登録を有している(甲第40号証)。上述のとおり、SNOWY PEAKは、請求人の商号かつブランド名でもあり、世界中で適切に保護・管理を行っている。
エ 請求人と日本との関係
請求人と我が国との関係は、非常に深い。
請求人は、1988年頃からオーストラリア、カナダ、アメリカ、ヨーロッパ、日本への輸出を本格的に開始し、中でも日本は、輸出当初から請求人の主要なマーケットであった(甲第8号証、甲第12号証ないし甲第33号証)。
具体的には、日本で開催された展示会などに積極的に参加し(甲第13号証)、1996年には、SnowyPeakJapanを設立(甲第15号証)、さらに、大手百貨店の伊勢丹、三越、高島屋、その他多くの日本企業とビジネス上の密接な関係を築いてきた(甲第14号証、甲第16号証ないし甲第19号証、甲第21号証ないし甲第28号証)。特に、伊勢丹に関しては、2000年に社長の武藤信一氏がニュージーランドへ異例の視察に訪れるなど、請求人と伊勢丹は、ビジネスパートナーとしての深い関係を築き、現在でも両社は継続的な取引を行っている(甲第16号証、甲第18号証、甲第29号証ないし甲第33号証)。
また、日本の成仁皇太子殿下、雅子妃殿下がニュージーランドを訪問した際には、ニュージーランドを代表する会社の代表として、最高経営責任者ペリドライスデールがウェリントンの総督官邸で行われた晩餐会に出席し、同社の被服をニュージーランドのギフトとして両殿下に贈呈した(甲第20号証)。
現在は、エフ・イー・デー株式会社などにもライセンスを与え、「ジャケット、ベスト、カーディガン、セーター、ポロシャツ、手袋、靴下、帽子、スカーフ」などを製造・販売し、請求人の商品は、伊勢丹のほか、全日本デパートメントストアーズ開発機構(A・D・O)に加盟するその他の大型百貨店(甲第34号証)、路面店など多岐に渡る場所で取扱われている(甲第21号証、甲第30号証ないし甲第33号証)。
オ 以上のとおり、請求人の商標「SNOWY PEAK」は、日本を含む世界各国において業務上の信用が化体した商標となっており、法の下において保護すべき価値を有する商標として事実上成長している。
上記のような状況にかんがみれば、我が国商標法において保護すべきことは、明らかである。
(5)商標権者の自認
本件商標と引用商標が同一又は類似であることは、商標権者自身が自認し、また、強く主張もしている。
すなわち、商標権者は、本件商標を出願した直後の2005年7月20日付けで、関係者を通じ請求人代表者ペリ ドライスデール宛てに書簡を送っている。同書簡の中で、「被服に関してSnow Peakという商標を使用したいが、SnowyPeakと類似すると考えられるので、使用の許諾を得たい。」という趣旨の依頼を請求人にしている(甲第35号証及び甲第36号証)。
また、商標権者は、2006年に請求人の欧州共同体商標「SNOWY PEAK」(No.004 561 049)に対して異議申立を行い、「両商標(SNOWY PEAKとsnow peak)は、いずれもほぼ同一の二語から構成され、混同を生じさせるほどに類似している。」と主張している(甲第37号証)。
さらに、両商標の称呼に関しては「ほぼ同一である」との主張を行った。 上記異議申立ての結果、請求人は、指定商品を第25類「被服」等に限定し、商標権者は、商標「SNOW PEAK」を「被服」等に使用しないという趣旨のCo-Existence Agreement(商標並存契約)を締結し、市場における棲み分けを行った(甲第38号証)。
上記の事実にかんがみても、商標権者の「SNOW PEAK」と請求人の「SnowyPeak」が相互に類似し、同一の商品に使用した場合には、出所の混同が生じるおそれがあることは、両当事者が共通に認識するところである。
(6)現実の混同
本件商標と引用商標は、市場において実際に混同される可能性は、極めて高い。すなわち、上述のとおり、請求人は、大型百貨店から被服専門店、メールオーダー、更には、インターネットによる通信販売まで、多岐に渡る販路を有している。してみれば、商標権者が被服の販売を行う以上、現実の市場において、商標権者と請求人の販売場所、需要者、取引者が重複せざるを得ないことは、明らかである。
現に、請求人顧客の間で、本件商標と引用商標に関し出所の混同が生じ始めている。例えば、甲第39号証は、ニュージーランドのASB銀行からの請求人に送付した融資に関する重要な電子メール(写)であるが、これが誤って商標権者の”snowpeak.com”宛てに送付されてしまった。 商標権者にも、既に書簡をもって真摯に説明しているところであるが(甲第36号証)、請求人にとってこのような出所混同のおそれは、深刻であり、「SNOWPEAK」が被服に関して本格的な販売活動を日本で行えば、請求人は、日本において、ひいては世界中で「SNOWY PEAK」の名前で取引を行うことが困難になる。
(7)市場における棲み分けの事実
SNOW PEAKとSNOWY PEAKとは、「被服」(請求人商品)と「キャンプ用品等」(商標権者商品)の間で、事実上の市場における棲み分けを行ってきた。
上述の「Co-Existence Agreement」は、まさにこの市場における棲み分けを両当事者が契約という形で明らかにしたものである(甲第38号証)。
仮に、商標権者の「SNOW PEAK」の登録を許すとすれば、いままで築かれてきた「市場における棲み分け」が崩壊することになる。
また、上記「Co-Existence Agreement」において、「商標権者は被服等に関して商標SNOW PEAKを使用しない」と契約している。このAgreement自体は、ヨーロッパのみで有効なものではあるものの、インターネットの普及により国境がなくなりつつある現代において、我が国での使用を許せば、商標権者と請求人が真摯に取り決めた約束自体を無に帰させてしまうことは、明らかである。
(8)結語
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条の規定により無効とされるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)禁反言の原則違反ないし信義則違反
被請求人は、答弁書においては、本件商標と引用商標とは、非類似であると主張している。
しかしながら、他方において、被請求人は、請求人の欧州共同体商標に対して異議申立を行い、「両商標(「SNOWY PEAK」と「snow peak」)は、いずれもほぼ同一の二語から構成され、混同を生じさせるほどに類似している」と強く主張してきたものである(甲第37号証)。
してみれば、答弁書における「非類似の主張」と同じく被請求人の欧州共同体商標異議申立事件で行った「類似の主張」とは、明らかに矛盾するものである。
したがって、答弁書における「非類似の主張」は、過去の行動と矛盾する主張を禁ずる「禁反言(estoppel)の原則」あるいは信義則に反する主張であり認められるべきではない。
(2)被請求人の「実際の認識」と「答弁書における主張」の矛盾
被請求人は、2005年7月20日付書簡において、「被服に関してSnow Peakという商標を使用したいが、SnowyPeakと類似すると考えられるので、使用の許諾を得たい」と請求人に依頼している(甲第35号証)。
上記の事実にかんがみると、被請求人の「実際の認識」と「答弁書における非類似の主張」は、明らかに矛盾するものである。してみれば、答弁書における被請求人の主張は、「実際の認識」に反する主張であり、認められるべきではない。
(3)引用商標の称呼について
被請求人は、本件商標と引用商標が非類似であるとする根拠として、引用商標の称呼が「snouipi:k」ではなく「snoui:pi:k」であることを主張している。
しかしながら、甲第5号証(ランダムハウス英和大辞典)及びその他の辞書( 甲第47号証)において、いずれも「snowy」の称呼は「snoui」とされている。各辞書が統一して、その称呼を「snoui」としていることにかんがみれば、商標「Snowy Peak」から「snouipi:k」の称呼が生じないとする合理的な理由は、何ら見つからない。
したがって、「引用商標からは『snouipi:k』 の称呼は生じず、『snoui:pi:k』のみの称呼が生じる」とする被請求人の主張は、合理的根拠に欠ける。
(4)称呼上の類似1
仮に、 引用商標から、「snouipi:k」ではなく、中間音「i」が長音を伴った「snoui:pi:k」のみの称呼が生じるとしても、本件商標と引用商標は、称呼上類似すると考えるべきである。すなわち、長音自体は、その性質上非常に弱く発音されるものであり、商標全体の類否判断に与える影響は、極めて少ないからである。上記の請求人の主張が合理的であることは、甲第41号証ないし甲第43号証の特許庁審決例において明らかである。
(5)称呼上の類似2
被請求人は、答弁書において「この『ウィー』は中間に位置し、決して弱音ではなく、むしろ強音に発音」されると主張している。さらに、被請求人は、この中間音が強音として発音されることを根拠に「『スノー』と『ウィー』と『ピーク』との3強音が一体となった称呼であって、『スノー』と『ピーク』と2強音が結合した本件商標『スノーピーク』とは、語調も語感も異なる」と主張する。
しかしながら、称呼上、商標の「中間音」「語尾音」は、弱く聴覚され、商標の類否判断に大きな影響を与えないと考えられるのが一般的である。特許庁の審査基準においても「中間音、語尾音は比較的弱く聴覚されることが多い」とした上で、「相違する音がともに中間又は語尾に位置しているか」を商標非類似判断の一つの要素としている(甲第44号証)。
したがって、「両商標の相違音が中間に位置し強音として発音されるから、両商標は、語調も語感も異なる」とする被請求人の主張は、分析を誤った主張であるといわざるを得ない。
結論として「snouipi:k」の称呼が生じる引用商標と「snoupi:k」の称呼が生じる本件商標とは、弱音である中間音のみが相違し、全体の類否判断に大きな影響を与える程度の相違音ではないから、両商標は、称呼上相紛れるほど類似すると判断されるべきである。
なお、引用商標が「『スノー』と『ウィー』と『ピーク』の3強音」から構成されるとする被請求人の主張は、i 中間音が「強音」であるという誤った認識に基づいている点、ii 英語の正しい発音を全く無視している点(各種英和辞典によれば、本件商標と引用商標のアクセントはともに、「snou(i)」の「no」と「pi:k」の「i:」の二カ所にある(甲第5号証及び甲第47号証))の二点に誤りがあり、認められるべきではない。
(6)称呼上の類似3
特許庁商標課編「商標審査基準」の以下の判断基準にかんがみても、「本件商標と引用商標は類似する」という請求人の主張が合理的であることは、明らかである(甲第44号証)。
すなわち「商標審査基準」は、「欧文字商標の称呼において強めアクセントがある場合に、その位置が共通するか」を商標類似の一つの判断基準として列挙し、「音の強弱(イ・ウ等)、相違する音の位置、全体の音数の長短等」を総合勘案して商標の類否を決すべき旨を定めている(甲第44号証)。この点、下記の(a)から(e)の事実を総合勘案すれば、本件商標と引用商標とは、共に称呼上相紛れるほど類似することが明らかである。
(a)甲第5号証(ランダムハウス英和大辞典)等において、本件商標と引用商標のアクセントは、ともに「snou(i)」の「no」と「pi;k」の「i:」の二カ所にあるとされている。したがって、本願商標と引用商標とは、「強めアクセントがある場所が共通」しているという点において疑う余地がない。
(b)本件商標と引用商標の相違音「i」は、その性質上「弱音」として発音される「小開き母音」であり、微弱な音として聴覚される。
(c)相違音「i」は、引用商標の音構成から、「拗音(ィ)」として発音される。
(d)相違音は、「弱音」として発音される「中間」に位置している。
(e)両商標は、6音節と7音節という多数音から構成されており、相違音が全体の類否判断に与える影響は、極めて小さい。
(7)本件商標の審査における判断
被請求人は、答弁書において、本件商標の審査段階において本件商標と引用商標とが非類似と判断されたことを根拠に、商標法第4条第1項第11号に該当しないことを主張している。しかしながら、登録無効審判の立法趣旨は、「過誤による商標登録を存続させておくことは(略)妥当でないから」であり(甲第45号証)、「審査において非類似と判断されたこと」は、本件無効審判におけるいかなる根拠ともなりえないことは、論ずるまでもない。
(8)観念上の類似
ア 被請求人は、答弁書において、観念上の類似に関し、「『snowy』なる意味は、容易には理解できない」ことを理由として、本件商標と引用商標とは、観念上非類似であることを主張している。
しかしながら、「snowy」という言葉は、多くの英和辞典において「基本語」として紹介されており、「辞書を見なければ意味が理解できない」といったたぐいの言葉ではない(甲第46号証及び甲第47号証)。したがって、「ほとんどの人に全く理解されない」という被請求人の主張は、事実の認識に誤りがある。
イ 「snowy」という言葉が一般的に使われていない英語だと仮定しても、以下の二つの理由により、本件商標と引用商標とは、観念上類似することは、明らかである。
第一に「snowy」 が広く知られていないとしても、「snowy」が「雪が積もった」という意味を有することは、真実であり、「本願商標と引用商標は、観念が同一である」という事実は、動かすことができない。
第二に、英単語の最後に「y」を付して形容詞を形成することは、広く知られており、初等・中等教育を受けた日本人であれば「『snowy』は、『雪が積もった』という意味を有する」ということは、容易に想像できる。 この「最後に『y』を付して形容詞が形成されることは、広く知られている」という請求人の主張が合理的であることは、「コザック」と「コザッキー」を観念上類似と判断した判決例からも明らかである(甲第48号証)。同判決例は、「近時我が国においても、英語の普及に伴い、英語の名詞の語尾に『Y』又は『ie』を付した形容詞又は愛称がそのまま日本語(外来語)として使用されることが少なくない(例えば、『スピーディー』『ミルキー』『クリーミー』)(略)。引用商標を構成する『コザツキー』の語に接するとき、(略)『コザック民族に関連を有するもの』との観念を生ずるものということができる」と判示し、「コザック」と「コザッキー」を観念上類似とした。上記判決例にかんがみれば、本件商標と引用商標とが観念上類似することは、論ずるまでもなく明らかである。
(9)本件商標の周知性
(a)被請求人は、答弁書において、本件商標と引用商標の周知・著名性について種々論じている。
この点に関し、請求人はまず、本件無効審判の請求の理由として主張しているのは、商標法第4条第1項第11号であることを改めて指摘するものである。すなわち、商標法第4条第1項第11号は、周知商標を保護する規定ではなく、先願商標を保護する規定であるから、「どちらの商標の周知性がより高いか」という被請求人の議論はあまり意味がない。商標法第4条第1項第11号において周知性の高い商標を保護するとすれば、先願主義を採用した商標法の基本原則自体を覆すこととなるからである。
(b)また、現実の市場において出所の混同が生じる典型例は、周知の程度に差がある場合である。してみれば、周知性の程度に差があることを理由に出所の混同を否定する請求人の主張は、合理的ではない。
(c)なお、本件無効審判との関連性は低いが、本件商標の著名性に関する被請求人の主張には、疑義がある。被請求人は、本件商標が「アウトドア用品」に関して著名であることを示す証拠として、カタログと数点の雑誌、ホームページ、書籍のコピーのみを提出している。しかし、このわずかな証拠のみで「本件商標がアウトドア用品に関して著名である」とは、到底いえない。むしろ、乙第4号証によれば、「(日本では)90年代前半をピークにブームは徐々にしぼみ、同社の売上げも減少の一途をたどる」と紹介されていることにかんがみれば、本件商標の日本における周知性には、疑義を抱かざるを得ない。
(10)市場における棲み分けの事実
被請求人SNOW PEAKと請求人SNOWY PEAKとは、「キャンプ用品等」と「被服」に関し、事実上の市場における棲み分けを行ってきた。
この棲み分けの一例が、請求人の欧州共同体商標「SNOWY PEAK」(No.004 561 049)に対して被請求人は、異議申立てを行い、その結果、請求人と被請求人が締結したCoーExistence Agreementである(甲第37号証及び甲第38号証)。この契約書において、請求人は、欧州共同体商標に係る指定商品を限定させられ、多くの商品に関する使用制限を約させられた。
上記のように、請求人に対しては、使用制限を約させておきながら、本件無効審判においては「商標の非類似を主張する」といった被請求人の矛盾する行為は、フェアプレーの精神に著しく反するものであり、長期間に渡り築き上げられた市場における棲み分けを崩壊させる行為である。
(11)結語
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条の規定により無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
答弁の理由
(1)本件商標と引用商標の類似性について
請求人は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたことを根拠に本件無効審判を請求しているが、本件商標と引用商標とは、互いに非類似である。
したがって、商標法第4条第1項第11号に違反していない。
ア 請求人は、称呼及び観念について互いに類似していると主張しているが誤りである。
引用商標の称呼は、「スノーウィーピーク」であり、本件商標の「スノーピーク」とは、非類似である。請求人は、発音に関し中間に「i」すなわち「snou」に「i」がついて「snoui」となったにすぎないかのように主張しているが、一般に少なくとも日本人がこのスペルから発音する場合、この「Snowy」の「y」は、明らかに「i」ではなく「i:」である。すなわち、「snoui:pi:k」である。「スノー」でなく、また、「スノーウィ」でもなく明らかに「スノーウィー」であり、引用商標の称呼は「スノーウィーピーク」である。
してみれば、この「ウィー」は、中間に位置し、決して弱音でなく、むしろ強音に発音され、「スノー」と「ウィー」と「ピーク」との3強音が一体となった称呼であって、「スノー」と「ピーク」と2強音が結合した本件商標「スノーピーク」とは、語調も語感も異なる。
したがって、引用商標の称呼は、この「ウィー」が中間で一体となっていることで全体として互いに非類似である。
イ 本件商標の審査においても、この中間にしっかりと発音され語感と語調に影響を与える「ウィー」なる音節が介在することから、互いに非類似であると判断され商標登録となったはずである。
もちろん、実際に拒絶理由通知が出され審査において引用商標が審査でも引例となったわけではないが、おそらく、類否が問題となる商標の一つとして挙げられ審査官によって各個に類否判断がなされたと予想はできる。すなわち、当然審査においても引用商標について類否判断がなされたと考えるが、それでも上記理由等から非類似と審査判断され商標登録となったものと考える。
つづりだけ見ると「SNOW」と「PEAK」との間の「y」の違いであるから、類否が検討されたであろう商標であるとは認識するが、しかし、「w」に一体化する「wy」であるから、請求人の主張のような単なる「y」ゆえに称呼に「i」なる違いがあるのではなく、称呼は明らかに「ui:」となる違いがある。すなわち「ウィー」と中間で強く発音される大きな違いがあるケースである。
審査においてもこのように判断され「スノー」と「ピーク」との間に強い発音部分が介在一体化しているから称呼は互いに非類似であり、両商標は、互いに非類似であると審査判断され、商標登録されたのである。
したがって、本件審査判断は、正しく、何ら、商標法第4条第1項第11号に違反していなく、無効理由はない。
ウ また、観念上類似しているとも請求人は、主張しているが、「Snowy」あるいは「スノーウィー」なる意味は、容易に理解されない。辞書を引かなければ「雪の積もった」とは、理解できない。
したがって、何か変わった「ピーク」にまつわる商標としかイメージされない。
「○○ピーク」なる商標やネーミングは、これまで多数あり、それぞれ様々なイメージが観念されているが、本件商標では、その意味がストレートに理解されるのに対して引用商標の意味は、良く分からず、意味まで伝わる商標ではない。
本件商標の「SNOW」が平易な意味であるため、直ちに「雪・峰」をイメージできるが、「Snowy」となるともはやよく意味がわからず、少なくとも本件商標と同じような意味と理解する人は、ほとんどいないはずである。
このような一般的に使われていない英語は、ほとんどの人に全く理解されないのが日本の現状である。
したがって、観念においても非類似である。
なお、外観についても「Snowy」の「y」の一体化によって、特にこの「y」が「w」と「P」との間で一体化していることで、全体として外観も非類似である。
エ 以上から、「Snowy」の「y」は、弱音であって全体として語感・語調は、近似するとの請求人の主張は、誤りであり、審査判断どおり「スノーピーク」と「スノーウィーピーク」とは、互いに語感・語調が明確に異なり、称呼は、非類似であり、また観念・外観も非類似であるから、互いに商標は、非類似であって出所混同のおそれも生じ得ない。
(2)請求人の主張する市場の混同について
ア 前述のように互いに非類似である商標であるから、出所の混同を生じるおそれもない。
しかし、商標構成が本来非類似あるいは類似であっても、出所混同が生じるおそれが特に強い現状や逆にそうではない現状の場合は、この現状も考慮され類否が判断される場合があることは承知しているが、この市場での出所混同のおそれの有無を考慮しても、本件ケースは、市場で出所混同を生じるおそれも現に全くないケースである。
イ 本件商標は、請求人自体が創業された1981年より以前から、少なくともアウトドア用品等についての著名ブランドであるし、また、請求人のブランドは、何ら著名商標でも周知商標でもない。
しかも、請求人の引用商標は、日本において周知なブランドでもなく、日本国内で使用していることすら知られていない商標である。今後日本を含め世界で大々的に使用しようと主張しているにすぎず、今後日本でも周知となるかもしれないという希望でしかなく、日本での使用実績は、現にほとんどない商標である。
少なくとも、引用商標は、日本では、出所混同が生じるかどうかを議論するほどの周知性はなく、それを裏付ける日本での使用実績もないし、また、本国や世界での周知性もないと見受けられる。もちろんこれを証する使用実績が提示されてもいない。したがって、商標法第4条第1項第11号において市場での混同の有無を論ずるほど日本で現に使用されていないし、甲号証を見ても日本での商標使用の実績は、ほとんどないので、これをもって商標が類似するとか、具体的出所混同が生じるなどということは、決してない。ウ 商標権者は、本件商標が本件指定商品、例えば、衣類そのものについても著名商標だとは考えていない。しかし、1958年から創業し、1963年の最初の「SNOW PEAK」の商標登録取得以後からの40年以上の商標使用と、徹底した品質管理と、創造性豊かな商品のラインナップによって、日本においては、少なくともアウトドア用品についての一流ブランドであり、アウトドア用品類では、著名ブランドであり、また、米欧の主な諸国にまで知れ渡っているほどの有名ブランドである。
したがって、本件商標自体が本件指定商品の衣類等についてまで著名ブランドであるとは主張しないが、少なくともアウトドア用品、すなわち、例えばキャンプ用のテント、タープ、寝袋、テーブル、チェア、調理具、工具、ランタン、あるいは登山用具などにおいては、すべて商標登録されている著名ブランドであり、そのためこのアウトドア関連(キャンプ、ハイキング、登山関連)の衣類製品、バック、帽子等は、このブランド浸透効果によって、需要者は、直ちに商標権者に係る製品と連想するだろうから、本件商標の各商品についても、その周知性は、かなりのレベルまで達しているといっても過言ではないはずである。
したがって、むしろ商標権者の方が少なくとも日本国内では、明らかに周知性が高いことは、疑いなきことである。
この点については、これを証する資料として、商標権者のこれまでの歴史についても掲載した2007年の総合カタログ(一部抜粋コピー)を乙第1号証として提出する。また、このほかアウトドア関連において「SNOW PEAK」が著名商標であることを証する雑誌や書籍の一部を乙第2号証ないし乙第8号証として提出する。
このように、商標権者の「SNOW PEAK」は、アウトドア関連商品について著名商標であり世界においてもかなりの周知性を有するに至っており、少なくとも日本において、請求人の引用商標が周知であることはないし、本件指定商品についても商標権者より周知されていることは、決してあり得ない。
加えて、商標権者の「SNOW PEAK」 は、アウトドア関連商品について乙第13号証に示すように、多数のグッドデザイン賞を受賞していることのみならず、商標権者は、乙第9号証ないし乙第12号証に示すようにアメリカのアウトドア専門誌「BACKPACKER MAGAZINE」が毎年発表する“エディターズチョイス”を1999年に受賞している。この賞は、アウトドアの専門家である編集者たちが商品を徹底的に使い尽くし、「これはいい」と判断した者に与える、業界では、世界的に有名でかつ価値の高い賞で、この受賞以来、商標権者の商品も世界において著しく注目されることになった。
さらに、商標権者が、ベンチャービジネスで注目される中小企業であることを示すため、乙第14号証及び乙第15号証を提出する。
以上から、むしろアウトドア用品についての著名性とこれに基づく本件指定商品にまで及ぶ周知性から、むしろ仮に商標構成の類否が検討されるに際して市場の現状も考慮される場合においても、この現状をもって、需要者は、出所を混同することはなく、一層非類似であると判断されるケースである。
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、その登録は、同法第46条の規定により無効とされるべきでない。

第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「SNOW PEAK」の欧文字を横書きしてなるところ、全体として親しまれた意味を有する外国語とは認めがたいこと、「SNOW」と「PEAK」の間に一文字程度スペースを介在させて成ること及び「SNOW」と「PEAK」の各欧文字が我が国において一般に知られている極めて平易な英語であることから、「SNOW」を「雪」と「PEAK」を「(とがった)峯、山頂」と意味する英語として認識できるものである。
してみると、本件商標は、その構成文字に相応して「スノーピーク」の称呼を生ずるものであり、「雪の山頂」すなわち「雪に覆われた山頂」の観念を有するものと認められる。
2 引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「SnowyPeak」の欧文字を横書きしてなるところ、全体として親しまれた意味を有する外国語とは認めがたいこと及び冒頭の「S」と中間の「P」の各文字のみを大文字で、その他を小文字で書して成ることから、「Snowy」と「Peak」の二語から成るものと認識できるものである。
そして、「Snowy」の部分は、親しまれた意味を有する外国語とは認めがたいこと、「Snow」の部分が「雪」を意味する英語として我が国において一般に知られている極めて平易な英語であること、及び例えば、「SILK」(絹)の形容詞が「SILKY」で「絹のような」、「MILK」(ミルク)の形容詞が「MILKY」で「ミルクのような」のように親しまれた英語があることから、「Snow」に「y」を付与した「Snowy」の部分から「雪のような」の意味を認識できるものである。また、「Peak」の部分は、前記のとおり、我が国において一般に知られている極めて平易な英語であるから、「(とがった)峯、山頂」を意味する英語として認識できるものである。
してみると、引用商標の称呼については、当事者が主張するように、「スノーウイ(ィ)ピーク」又は「スノーウィーピーク」の称呼を生ずるものとみるのが相当であり、観念については、「雪のような」と「山頂」すなわち全体として「雪に覆われたような山頂」の観念を有するものとみるのが相当である。
3 本件商標と引用商標の類否について
(1)称呼について
本件商標は、前記1のとおり、「スノーピーク」の称呼を生ずるものであり、他方、引用商標は、前記2のとおり、「スノーウイ(ィ)ピーク」又は「スノーウィーピーク」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「スノーピーク」の称呼と引用商標より生ずる「スノーウイ(ィ)ピーク」又は「スノーウィーピーク」の称呼とを比較するに、両称呼は、中間に位置する「ウイ(ィ)」又は「ウィー」の音の有無の差異を有するにすぎず、その「ウイ(ィ)」又は「ウィー」の音は比較的長い称呼の聴取され難い中間に位置することに加え、「Snow」と「Peak」が、前記のとおり、我が国において一般に知られている極めて平易な英語であるため、該部分の称呼が強く印象づけられるものであるから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さく、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
(2)観念について
本件商標と引用商標は、前記1及び前記2のとおり、「雪に覆われた山頂」と「雪に覆われたような山頂」の観念を有するものであるから、観念上ほぼ同一であると認められる。
(3)外観について
本件商標は、前記第1のとおり、「SNOW PEAK」の欧文字を横書きしてなるものであり、他方、引用商標は、前記第2のとおり、「SnowyPeak」の欧文字を横書きしてなるものであるから、本件商標と引用商標は、大文字と小文字の部分の差異、本件商標の「SNOW」と「PEAK」の間に一文字程度のスペースの差異及び引用商標の第5文字目の「y」の有無の差異はあるもののそれ以外の欧文字8文字をその配列を含めて同じくするものであるから、外観上近似しているものである。
(4)まとめ
本件商標と引用商標は、前記のとおり、称呼上聴き誤るおそれがあること、観念上ほぼ同一であること及び外観上近似していることから、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれのある類似する商標であると認められる。4 商品の類否について
本件商標の指定商品中、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」は、引用商標に係る指定商品「被服」に含まれるものである。
5 まとめ
本件商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中、「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」については、引用商標に係る指定商品「被服」に含まれるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
6 取引の実情について
商標の類否判断に当たって考慮すべき取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的な取引の実情を指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものでないと解されるところ(最高裁 昭和49年4月25日判決言渡 昭和47年(行ツ)第33号判決)、本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、相当多岐に亘るものであるから、広範な指定商品全般について前記5の判断を覆す一般的、恒常的な取引の実情といい得る特殊な取引の実情が存するという理由及び証拠は見出せない。
7 結語
以上により、本件商標は、その指定商品中、結論掲記の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきであり、前記商品以外の商品については、同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから、無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-02-03 
結審通知日 2009-02-06 
審決日 2009-03-10 
出願番号 商願2005-54163(T2005-54163) 
審決分類 T 1 11・ 262- ZC (Y25)
T 1 11・ 263- ZC (Y25)
T 1 11・ 261- ZC (Y25)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 2006-01-06 
登録番号 商標登録第4920129号(T4920129) 
商標の称呼 スノーピーク 
代理人 吉井 剛 
代理人 松尾 和子 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 中村 稔 

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