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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 111 |
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管理番号 | 1201994 |
審判番号 | 取消2008-300775 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2008-06-19 |
確定日 | 2009-07-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2121714号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2121714号商標の指定商品中、「電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2121714号商標(以下「本件商標」という。)は、「アイカップ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和61年1月31日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として平成元年3月27日に設定登録されたものであり、その後、同11年4月13日及び同21年3月24日の2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成20年7月8日にされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品のうち「電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁 被請求人が提出している書類からは、本件商標が「電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について、商標法上の「使用」がされていることの証明はなされていない。 (ア)乙第1号証及び乙第2号証について 乙第1号証及び乙第2号証に記載されている「アイカップ」は、商品の識別標識ではなく、商品の一般名称として使用されているから、商標法上の「使用」がなされていない。 その証左として、乙第1号証の2において、「アイカップ」の記載は、「視度補正レンズ」、「ラバーフレーム」と同じ意味、すなわち商品の一般名称として用いられており、乙第1号証の3においても、「アイカップ」の記載は、「アングルファインダー」、「アダプター」、「ラバーフレーム」、「アンチフォグアイピース」、「フォーカシングスクリーン」と同じ意味、すなわち商品の一般名称として用いられており、更に、このことは、乙第2号証においても同様である。 (イ)「アイカップ」が一般名称であることについて オンラインショッピングのサイト(甲第2号証)によれば、被請求人以外のメーカーが「アイカップ」という名称の商品を販売している。また、インターネット上の辞書(甲第3号証)によれば、「アイカップ」の語は「カメラのファインダー接眼部に装着して、接眼部から光が入らないようにしたゴム製・軟プラスチック製のカバー」と定義されている。 上記甲各号証からも、「アイカップ」は、自他商品を識別する標章ではなく、特定の商品を表す一般名称であることは明らかである。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)答弁の理由 被請求人は、本件商標を本件審判の請求の登録日前3年以内に日本国内において、その指定商品である「電気通信機械器具」に属する商品である「デジタル一眼レフカメラ用接眼目当て」について使用している。 乙第1号証は、被請求人が製造している一眼レフカメラ「EOS」用のアクセサリーカタログであり、2005年9月時点において、本件商標を使用していた事実を証明するものである。 一眼レフカメラ「EOS」には、銀塩カメラとデジタルカメラがあるが、この当時のものでは、「アイカップEc-II」、「アイカップEb」及び「アイカップEf」が銀塩カメラとデジタルカメラの両機種に適合するものである。 乙第2号証は、被請求人が製造しているデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D MarkIII」のカタログであり、2007年2月時点において、本件商標を使用していた事実を証明するものである。 以上の証拠により、本件商標は、本件請求の指定商品に属する商品である「電気通信機械器具」について、本件審判の請求の登録日前3年以内に、被請求人により日本国内において使用されていたことは明らかである。 (2)弁駁に対する答弁 被請求人は、請求人の弁駁に対して何ら答弁するところがない。 4 当審の判断 (1)本件商標は、前記1のとおり、「アイカップ」の片仮名文字を書してなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品とするものであるところ、被請求人は、本件商標を「デジタル一眼レフカメラ用接眼目当て」に使用している旨主張している。 ところで、「デジタルカメラ」自体は、本件商標の出願時に適用されていた商標法施行規則(昭和50年通商産業省令第85号による改正)別表の第11類の「電気通信機械器具」に例示されてはいないが、例えば、デジタルカメラの歴史(http://digitalcamera.main.jp/chishiki/rekisi.html)によれば、「デジタルカメラの歴史は意外と古く、1981年ソニーが磁気記録方式による『マビカ』を発表したことからはじまります。・・・その後キャノンがはじめて1986年に『RC-701』を市販しました。しかしそれはシステム一式で500万円という到底個人向けと言えるようなものではありませんでした。・・・それからしばらくして私達にとって身近になったのは、1995年カシオが『QV-10』を発売してからです。」と記載されており、このような記載からみれば、「デジタルカメラ」自体は、本件商標が出願された当時において既に存在していたと認められるものであり、「ビデオテープレコーダー、ビデオカメラ」等とともに、第11類の「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する商品と認められるものである。 (2)そこで、被請求人の提出に係る乙各号証をみるに、乙第1号証及び乙第2号証によれば、以下の事実を認めることができる。 ア 乙第1号証の1ないし4は、裏表紙(乙第1号証の4)に「2005年9月現在」と記載された被請求人の業務に係るカタログであり、表紙(乙第1号証の1)には、左肩に「Canon」の欧文字が大きく表示されており、右肩に「EOS」の欧文字が大きく表示され、その上に小さく「EOSアクセサリーカタログ」との記載があり、該「EOS」の欧文字の下にやゝ小さく「Accessories」の欧文字が表されている。 2頁目(乙第1号証の2)には、「FINDER ACCESSORIES,OTHERS」の大見出しがあり、その下に、黒塗り横長矩形内に白抜きで表された「アイカップ」の小見出しがあって、「撮影に集中できる接眼部装着アクセサリー。」との説明が記載されている。そして、更にその下に、「アイカップ」、「視度補正レンズ」、「ラバーフレーム」の項目が設けられており、それぞれの項目のもとに幾つかの商品が掲載されている。そのうち、「アイカップ」の項目には、「アイカップEc-II ¥1,500」、「アイカップEb ¥650」、「アイカップEd-E ¥2,000」、「アイカップEf ¥650」等の商品が掲載されている。 また、3頁目(乙第1号証の3)には、「FINDER」の大見出しのもとに、「アングルファインダーC」を構成しているアダプターとして、「アダプターEd-C」と「アダプターEc-C」が表示されており、そのそれぞれが対応する「EOS」の型番とそのアダプターに適応する製品が一覧表の形で表示されている。例えば、「アダプターEc-C」については、「EOS-1V、EOS-1N」等のカメラに対応しており、該アダプターに適応する製品として、「アイカップEc-II」、「ラバーフレームEc」、「アンチフォグアイピースEc」等が掲げられている。 イ 乙第2号証の1ないし3は、裏表紙(乙第2号証の3)に「2007年2月現在」と記された被請求人の業務に係るカタログであり、表紙(乙第2号証の1)には、左肩に「Canon」の欧文字が大きく表示されており、右肩に「EOS-1D」の文字が大きく表示され、その下にやゝ小さく「MarkIII」の文字が表されている。 2頁目(乙第2号証の2)の「システムマップ」の欄には、カメラに取り付ける各種の部品・附属品の位置関係やパソコン等との接続関係が図示されており、「付属品」の文字のもとに網掛けされた商品として、「リチウム電池CR2025」、「ACアダプターキットACK-E4」、「バッテリーパックLP-E4」、「ビデオケーブルVC-100」等とともに「アイカップEg」が表示されている。また、「アクセサリーリスト」の欄には、「アイカップEg」が「視度補正レンズEg-4」、「アンチフォグアイピースEg」等とともに掲載されている。 (3)上記(2)において認定した事実を総合すると、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内の2005(平成17)年9月に印刷・発行されたカタログ及び2007(平成19)年2月に印刷・発行されたカタログに、「Canon」のハウスマーク及び「EOS」の個別商標のもとに、「EOS」のカメラに係る各種のアクセサリーを掲載しており、その中に、「アイカップ」の語を表示して数種類の接眼部装着アクセサリーを掲載していた事実を認めることができる。 しかし、乙第1号証の2に掲載されている「アイカップEd-E」の商品の説明において、「EOS-3、5、7、55用の大型アイカップ。太陽光など外光の進入を抑え、ファインダーの視認性を向上させます。」と記載されているばかりでなく、請求人の提出に係る甲第3号証(インターネット上の辞書)によれば、「アイカップ」の語は「カメラのファインダー接眼部に装着して、接眼部から光が入らないようにしたゴム製・軟プラスチック製のカバー」と説明されており、請求人以外のパナソニック、オリンパス及びペンタックスの各メーカーも「アイカップ、視度補正アイカップ」という名称をもって商品を販売している事実(甲第2号証)が認められる。 そうすると、乙各号証のカタログにおいて表示されている「アイカップ」の語は、商品の普通名称と認められる「視度補正レンズ」や「ラバーフレーム」(乙第1号証)、あるいは商品の普通名称と品番を表す記号とを組み合わせたと認められる「リチウム電池CR2025」、「ACアダプターキットACK-E4」、「バッテリーパックLP-E4」等(乙第2号証)の商品名と同じ位置付けのもとに記載されていることからみれば、専ら、商品名(カメラのファインダーの部品あるいは附属品の名称)として使用されているものというべきであって、自他商品の出所識別標識として用いられているものとは認め難く、また、該カタログに接する取引者・需要者においても自他商品の出所識別標識として理解・認識することはないものというべきである。 してみれば、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(商標権者)によって、「デジタル一眼レフカメラ用接眼目当て」について、商標として使用されていたものとは認められない。 (4)まとめ 以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を取消請求に係る指定商品のいずれかについて使用をしていた事実を証明したものということはできない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、本件商標の指定商品中、取消請求に係る第11類「電気通信機械器具,電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」について取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-05-22 |
結審通知日 | 2009-05-26 |
審決日 | 2009-06-08 |
出願番号 | 商願昭61-8974 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(111)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
末武 久佳 田村 正明 |
登録日 | 1989-03-27 |
登録番号 | 商標登録第2121714号(T2121714) |
商標の称呼 | アイカップ |
代理人 | 西山 恵三 |